国際環境保護団体グリーンピースは9月19日、北極海の石油採掘に対する抗議を行っていた同団体の船舶にロシアの武装部隊が突入し、全乗員が一つの部屋に監禁された、と発表した。
同団体の船舶「アークティック・サンライズ」上から電話取材に応じた活動家の一人は、自分を含む乗員29人が食堂に監禁されていると話した。また、先にロシア沿岸警備隊に拘束されていたメンバー2人も同じ部屋に入れられているという。2人は6月18日、ペチェラ海にあるロシア国営エネルギー大手ガスプロム所有の石油プラットホームによじ登ろうとして、後に拘束されていた。
同団体は、マシンガンで武装した集団がヘリコプターからロープをつたって船に乗り込んできたと述べている。
グリーンピースは、ガスプロムが石油漏れ事故を起こす危険があり、ホッキョクグマやセイウチの生息地である自然保護区が3か所ある同地域に壊滅的な被害をもたらす恐れがあると主張している。ガスプロムは、この石油プラットホームでの生産を2014年に開始する予定。
グリーンピースは、2012年6月ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議「リオ+20」の会場で、北極を資源開発から守るためのキャンペーンを発表した。このキャンペーンは、どの国の領土、領海にも属していない北極点周辺の公海をグローバル保護区に設定することを目指すというスケールの大きいものだ。グローバル保護区とは、その海域内での資源開発や漁業を国際的に禁止することを言う。
現在、南極大陸は、環境保護に関する南極条約議定書により1998年から鉱物資源の開発が禁止されている。この時もグリーンピースが、南極に基地を設置するなどして、開発の禁止を各国に同意させるきっかけを作ったということだ。
グリーンピースは、北極海を航行できる船を所有しており、北極での調査活動や、現在北極海で石油資源の掘削を始めようとしている企業に対して開発見直しを迫っている。