THE ARCTIC - オーロラの地を旅する

北欧北極圏、アイスランド、グリーンランドの旅行情報

オーロラ観測時の注意

2008-11-13 | オーロラを見るには
まず基本だが

◎空を20分おきにチェックする。
◎空のすべての方角をチェックする。
◎暗いところで観測する。

 オーロラがせっかく出ているのに、見逃してしまう人が結構多いように思う。時間とお金をかけて来るんだから、ちゃんと目に焼き付けて帰国したい。晴れていれば3日に2日は見れると言われているのだから。
 オーロラは早い時間、北の空に西から東へ線状になって現れる。しかし大きいものだと夕方の時点で頭上か、さらに大きいものだと南に見えることもある。
 
 線状のオーロラがずっと空に浮かんでいる場合でも、それで満足せずにブレイクアップするのを待ちたい。ブレイクアップはいつ起こるかわからないし、しない可能性のほうが大きい。しかし世界一美しい現象であるブレイクアップを見れるチャンスがあるのならいくら時間を費やそうが寒かろうが無駄ではない。ブレイクアップは一瞬の出来事なんで、活発になりそうな気配があればじっと待つことが必要だ。

 よくバスに乗って夜オーロラ観測地点に行くツアーがあるが、観測地点にいるときに運良くオーロラが出ればいいが、やはりツアーに参加する必要のない、周りに人工的な照明のない郊外または田舎の宿に宿泊したほうがチャンスも高いし楽しめるだろう。

 ブレイクアップの起こる時間帯はアラスカなどでは深夜が多く、非常に寒いので防寒は完璧にしておきたい。
 気象条件の悪いノルウェー、アイスランドの場合真冬でも比較的暖かいので、晴れてれば、そんな重装備しなくてもずーっと外で粘って待つこともできる。

オーロラ観測地点の選び方

2008-11-12 | オーロラを見るには
オーロラについて最近さらに詳しく調べてみた。

オーロラは、よく緯度が大体65度ぐらいの領域でよく見えるといわれているがそう話は単純ではない。

地球を上から眺めてみると、オーロラオーバルの位置は太陽に対していつも一定であるのがわかる。地球は、一日に一度オーロラオーバルの下を回転する。オーロラオーバルは地球の夜側の方が幅が広く、輪ゴムが伸びるように大きくなっている。

北半球では、オーロラオーバルは通常、地磁気緯度65~70度にはさまれたベルト状の地帯にある。しかし、オーロラの活動が激しい時、オーロラオーバルは拡張し、もっと南で見られることもある。

ここで地磁気緯度という言葉が出てきてしまったが、磁北極と磁南極を中心に平均的に決められた緯度のことで、我々の使う天頂の方向と赤道面とのなす角度で表す緯度とは概念が違う。

こんなことを書いているがワタシもちゃんと理解してるわけでもない。。

地磁気北極は北緯79.7度、西経71.8度、Greenland 北西端の Siorapaluk という村付近にある。つまりそこを中心としてオーロラオーバルが成形されている。オーロラオーバルはドーナツ状の帯なんで、地磁気極に近い場所はドーナツの中に入ってしまうことになり、オーロラは見えない。

前にも書いたが実際のオーロラの環である「オーロラオーバル」とオーロラが発生する確率の高いエリア「オーロラベルト」は一致しない。「オーロラベルト」とは言い換えればオーロラオーバルの夜の部分をつなげた帯と考えてもいいだろう。オーロラベルトに位置していれば夜、オーロラは観測できる。

 ではオーロラベルトは正確にはいったいどこなのだろうか。

本の図を見ると、そのオーロラベルトはアラスカ北部、カナダハドソン湾北部を通り、グリーンランド南端、アイスランド、北欧の北端をかすめ、ユーラシア大陸の北の北極海を通っている。つまり地磁気北極付近のグリーンランド北部、カナダのクイーンエリザベス諸島、北極点などはオーロラベルトの内側に入り込みすぎて見えない(実際は見えることもあるらしいが)。

地磁気北極は北極点より1000KM以上南である。地磁気北極の真南のカナダケベック州あたりだと、北極圏よりかなり下の地点でも観測できるのではないだろうか?

逆にグリーンランドのKangerlusuaqはオーロラ観測地点として有名だが、地磁気極にかなり近い位置にあるのでそんなによく見える場所というわけでもないのでは?(Kangerlusuaqは冬ずっと晴天なんで天候の面では理想だが)Ilulissatまで来るとかなり北すぎるかもしれない。

スヴァールバル諸島の場合も、ここでもオーロラは見えるがノルウェーのトロムソのほうが見える、と在住の人が話していた。ここも晴天の日が多いので、そういう気象の面では条件はいい。

あと昼間のオーロラだが地磁気緯度76度付近で見れるので、極夜のころスヴァールバル諸島やグリーンランド東部で観測される。これは実際のオーロラオーバルの昼間の部分がオーロラベルトのかなり内側を通っているからである。
 昼間は明るいからオーロラが見えない、のではなくて、なぜかオーロラは地球の夜の部分で多く起こる。昼間のオーロラは夜のに比べて薄く、しかもかなりの高緯度でないと見れない。

では、結局オーロラ観測にはどこがいいんだ?という話だが、オーロラベルトのちょうど真下ぐらいである町を挙げてみよう。

◇アラスカのフェアバンクス、北極圏の村Bettles、Cold Foot、Kotzebue

◇カナダのDawson City、イエローナイフ、マニトバ州Churchill 、ケベック州ヌナヴィック地区の Kuujjuaq、ラブラドール地方のラブラドール・シティ

◇グリーンランド南部Narsarsuaq、Narsaq、Nanortarik

◇アイスランド

◇ノルウェーのトロムソ、アルタ、ナルヴィク、ローフォーテン諸島、ボードー

◇スウェーデンのアビスコ、キールナ

◇ロシアのムルマンスク

フィンランドのロヴァニエミやスウェーデンのルーレオなどはオーバルより少し外ぐらいか。

こうやって書き出すとカナダの町が低緯度にも関わらず、オーバル直下だということが分かる。つまり夏は8月上旬からオーロラが見え始め、5月上旬ぐらいまで観測可能、ということなのだろう。グリーンランド南部も同じことが言える。
 フェアバンクスだと8月後半~4月後半、キールナだと9月始め~4月始めまでがオーロラシーズンだ。

次に天候の話をする。上空でオーロラが乱舞してたって、その下が分厚い雲に覆われているんじゃ空を見上げても雲しか見えない。
 上記の町で降水量が少ないところは、

アラスカのKotzebue、Bettles、Cold Foot、フェアバンクスがベストでカナダのイエローナイフ、Dawson Cityと続く。
 ヨーロッパではアビスコがベストだが北米には及ばない。ノルウェー各都市は曇、雪、雨が多いので不向きだ。グリーンランド南部も比較的降水量は多い。
 アイスランドは降水量はそれほどでもないが曇の日が多い。アイスランド北東部はわりと晴れていることが多い。

オーロラオーバルより内側だが、冬いつも晴れているKangerlusuaqはやはり観測地として合格だろう。東グリーンランドも条件はいい。

次に気温だが、ずっと外で見守っておかないとだめなんでこれも重要な要素だ。

2~3月を例にとるとイエローナイフが一番寒く、次にフェアバンクス、Kotzebue。スウェーデンのキールナははそれより10度以上暖かくグリーンランド南部はさらに暖かい。しかしKangerlusuaqはアラスカぐらい。ノルウェー、アイスランドは場所にもよるが一番マイルドだ。

最後にオーロラが一番大きく出る確率の時刻を述べよう。

統計によるといわゆる「ブレークアップ」のよく起こる時刻は「地磁気時間」で午後11~午前0時だ。
この「地磁気時間」と言うのは地磁気緯度に対する地磁気経度をもとに決められた時間で、我々のいつも使う時間とは少々異なる。

地磁気時間の0時を現地の時間に直してみると

フェアバンクス 2時13分
イエローナイフ 1時48分
キールナ 22時43分
ロヴァニエミ 23時25分

キールナだと夜9時から11時ぐらいのちょうどいい時間がオーロラタイムとなる?逆にフェアバンクスではかなり夜更かししないとブレークアップを見れない、ということか?(あくまで統計上の話だが)。

オーロラ観測必勝法

2008-10-21 | オーロラを見るには
オーロラとは極域近辺に見られる大気の発光現象である。南半球では普通南極大陸または近辺でしか見ることができず、春から夏まで白夜の時期は当然見れない。

 観測したいのであれば普通北半球の北極圏に行くことになる。しかし北極点近くではあまり発生せず、緯度が大体65度から80度の、地球の磁極を取り巻くドーナツ状の領域に高頻度で発生する。この領域は「オーロラベルト」と呼ばれている。 人工衛星から写された写真を見ると、オーロラがオーロラベルト上に、光の環になって写っている(これを「オーロラ・オーバル」という)。
 人工衛星から見ると、365日中オーロラが薄くなって確認しづらくなる時期が10日ほどしかないらしく、つまりほぼ一年中どこかでオーロラは見えるはずである。しかし活動が小さくなるとオーロラオーバルの半径も小さくなり、低緯度のところでは見えない。反対にオーロラが非常に活発になるとオーロラオーバルの半径も大きくなり、普段オーロラが見えないところでも見えたりする。北海道でも10年に2、3度ぐらい見える可能性があるといわれている。

 オーロラの基本的な形はカーテン状で東西の長さは数千KMだが厚さは500Mほどである。下端の高さは100KM、上端は300~500KM。つまり雲や飛行機が飛ぶ高さよりはるか上の現象なので北極圏を飛ぶ飛行機からはよく観測できる。
 オーロラカーテンは観測者の位置、時刻によって見え方が異なり、低緯度で見ると北の方角に東西に帯状に見えるが、より高緯度に近づくとカーテンの下端を見上げるような感じになり、渦巻いて見えたりする。

 非常に激しい「オーロラの嵐」と呼ばれるものになると、カーテンの上端が1000KMにも達し、全天を覆うようにオーロラが見える。このときの壮麗さは言葉では表現不可能だ。
 オーロラの色は大体緑、緑白色か白で、カーテンの最下端がピンク色に見える事が多い。

 見える時期は基本的に晴れていて周りが真暗であれば可能性があるのだが、真冬の太陽が昇らない時期の昼は見えることは少ないらしい。また冬至の頃、つまりクリスマス、年末年始の頃も一番真暗な時期なのだが見える確率は少ないといわれている。秋分、春分の日を挟んで2~3ヶ月ぐらいが見えやすいと経験的に言われているがよくわかっていない。
 時刻で言うと午後9時ぐらいに北の方角に見えだし、徐々に真上の方に移っていき午前0時ぐらいに真上近くまで来てそれからまた北の方へ戻っていくというパターンだ。しかしこれも観察者の場所やオーロラの大きさや活動の仕方によっても違ってくる。

 太陽黒点は約11年周期で増減する。2001年がそのピークの年だった。オーロラの活動はそれより数年ずれるので(コロナホールがそのときピークを迎える)2003~2006年がオーロラが激しく活動した時期ということになる。
 それから太陽の自転の関係で27日周期で1度ないし2度オーロラは活発になる。一度活発になればそれは9、10日続く。
 あとオーロラの出現には地球の磁場の方向が影響していて、太陽風の運んでくる太陽の磁場と地球の磁場の方向の関係でオーロラの活動のレベルが決まる。実際、太陽の活動よりその地球の磁場の方向の影響の方がオーロラの出現と関係が深いらしく、太陽の活動が活発でなくともそう残念がることはない。

 というわけで、オーロラを絶対見たい!!というのであれば

①4月下旬~8月終わり以外の時期。特に春分、秋分前後がいい。

②晴天率の高い場所

③満月の頃は避ける(満月でも見えなくはない)

④なるべく田舎、人口の明かりのないところ

⑤太陽の活動をこまめにチェック

ということになる。

しかし①~④までは前もって調べて準備もできるが、⑤に関してはオーロラが活発になりそうだといって、急に休みとって北欧に行く、というのは現実として難しいとは思うが。。



Space Environment Center

2008-10-18 | オーロラを見るには
Space Environment Centerがオーロラアクティビティレヴェルというのを発表している。10段階の評価で、数値が大きいほど出現確率が高く、規模も大きくなるということだ。
 ホームページを開いて左下のグラフをクリックし、グラフ下の「Aurora Activity Estimates」をクリック。「Nothern overview」をクリックすると過去2日間の数値が表示されている。
 
http://www.swpc.noaa.gov/