THE ARCTIC - オーロラの地を旅する

北欧北極圏、アイスランド、グリーンランドの旅行情報

北極に進出する中国

2010-05-09 | 北極圏ニュース
中国がアフリカなどに対し積極的に資源外交を展開しているのは有名な話だが、北極地方にもその活動範囲を広げつつある。

「北極地方には世界の約30%の未発見のガス、約13%の未発見の石油が眠っている。それらは“グローバル”な資源であって、特定の国の資源ではない。」と中国当局は言う。

まず、北極圏への中継地として中国が注目するのがアイスランドである。
中国はアイスランドと自由貿易協定(FTA)の交渉を始めるとともに、首都レイキャビクに5~6階建てで、約30台の駐車が可能な大使館を建設した。中国の在外公館の中でも最大規模である。人口約30万の小国に設ける大使館としては異例の大きさで、レイキャビクでも話題を集めている。
中国はまた、アイスランドの口利きで、北極圏に領土を持つ国々が北極開発のあり方を協議する「北極評議会」に暫定オブザーバーとしても参加している。アイスランドの港湾建設のため資金提供したといううわさもある。

地球温暖化で2030~40年には夏の間、北極海の氷がなくなると予測されている。中国は、GDPの半分の経済活動を海上輸送に依存しているが、ベーリング海峡を通って太平洋と大西洋を結ぶ北極海航路が開通すれば、上海~ドイツ・ハンブルク間が、スエズ運河経由の航路より6400キロも短縮できる。しかもマラッカ海峡やインド洋の海賊に悩まされる心配もなくなる。

中国は1993年にウクライナから購入した砕氷船「雪龙」を保有している。中国はこの「雪龙」で、北極や南極でのリサーチを続けているが、新たにもう一隻、新型砕氷船の建造を決定した。
ちなみに、この「雪龙」は1999年にカナダの北極海に面する村Tuktoyaktukに突如現れ、カナダの極地地方における防衛の弱さを露呈させたことがある。

スヴァールバル諸島、スピッツベルゲン島のニーオーレスン(Ny-Ålesund)には中国唯一の極地観測基地、黄河站(Arctic Yellow River Station )がある。

天然資源が豊富なロシア・ネネツ自治管区の知事は4月、上海万博のロシア館のオープニングの際、「中国と北極圏開発において協力関係を結びたい。」と言った。

北極海の利用に関してはこれまで事実上国際的な取り決めがなく、中国の一連の動きは、資源開発や海上交通などの面で、他国に後れを取らないための布石とみられる。

プーチン、極北の島に立つ

2010-05-04 | 北極圏ニュース
ノヴァヤゼムリャの北、スヴァールバル諸島の東に位置するロシア領の北極海に浮かぶ島、フランツヨーゼフ島を4月16日、プーチン首相が訪問した。

 プーチン首相は、麻酔で眠らされた体重230キロの雄のホッキョクグマに衛星追跡用タグを搭載した首輪を付けたり、足を握って「握手」するなどした。
 また、旧ソ連時代から現地に放棄されている100万バレルの燃料について、環境を汚染する恐れがあるとして、撤去を命じた。

 この訪問は、メドベージェフ露大統領とストルテンベルグ・ノルウェー首相がオスロで、ロシアとノルウェーが約40年前から争ってきたバレンツ海の境界を画定するという歴史的な合意の後という、微妙なタイミングで発表された。合意の前に、ノルウェーに余計な刺激を与えないというプーチン側の配慮らしいが、同時に北極圏におけるロシアの存在感、野心を効果的に示すという意味もあるのだろう。