THE ARCTIC - オーロラの地を旅する

北欧北極圏、アイスランド、グリーンランドの旅行情報

日本の最北端③

2009-09-21 | 番外編
☆利尻島 

礼文島の南、日本海上に浮かぶほぼ円形の島。面積182.11平方メートル。日本で18番目に広い面積の島らしい。
この島の象徴である利尻山(標高1721M)は利尻富士とも呼ばれ、円錐形の美しい山である。

利尻山は海上の独立峰で天候が変わりやすく、9合目以上では強風が吹き荒れる。どんなに天気予報で晴れでも、必ずレインウェアを忘れないように。しかも利尻山には途中に水場も売店もないので、そう安易に登れる山ではない。
ちなみに他の北海道の山と違って、利尻にはクマがいないので、鈴は不要。
私も、利尻島では天候に恵まれたので、他の宿の方々同様、早起きして頂上目指すことにした。

◎利尻山登山者へ!利尻山を守るための3つの「利尻ルール」

①携帯トイレを使う

②ストックにはキャップをつける。

③植物の上に踏み込まない、座らない。

利尻山では携帯トイレを使うことになっている。島内の宿泊施設、観光案内、コンビニなどで400円で販売している。山には計5箇所に専用トイレブースが設置され、携帯トイレをかぶせ使用する。登山口には専用の回収ボックスもある。

■朝4時に登山開始!甘露泉(3合目)へ

宿の送迎車は鴛泊の町を出てキャンプ場にむかう。そこの駐車場で降ろしてもらい早速登山開始。キャンプ場のトイレが最後の水洗トイレなので寄っていく。甘露泉までは石畳の道が続いている。日本名水百選の「甘露泉水」はさすがにうまい。近くにベンチもあってくつろぐこともできるが先を急ぐ。この先水場はないのでここでペットボトルに水を満タンにしておいた。

■第一見晴台(6合目)へ

甘露泉を出発すると、すぐポン山姫沼ハイキングコースとの分岐にさしかかる。ここを右に進む。すぐに乙女橋という小さな木の橋が見えてくる。しばらくはエゾマツ・トドマツなどの森の道が続く。比較的道幅も広く歩きやすく緩い登りだが、やがてダテカンバが目立ってきて、急な登りになってくる。
5合目あたりで森林限界を越え、展望が開けてくる。第一見晴台と呼ばれている狭い広場があり、姫沼や鴛泊の町、礼文島が見える。

■絶景!長官山(8合目、標高1218m)で朝食

ハイマツのトンネル状の樹林帯の急勾配をどんどん登ると樹林帯もなくなり、前には利尻山頂が、後ろには姫沼や鴛泊の町そして礼文島が見えてくる。6.5合目にはトイレブースがある。このあたりから両脇が深い谷になってくる。谷に挟ませた急な尾根道を登っていく。
急登が一服したところが長官山(標高1218m)のてっぺん。利尻山の絶好のビューポイントで、ここでお弁当を食べる。しかしものすごい風でのどかにお食事とはいかなかった。雪渓が残る谷が間近に見える。

  

8合目より利尻富士

■9合目(標高1531m)へ

長官山から15分歩くと約30人ほどの避難が可能な非難小屋がある。なかなかきれいな非難小屋だが設備は何ももない。ここから先は急な登りの連続。また道も険しくなり歩きにくくなってくる。9合目にはトイレブースあり。看板には「ここから正念場」と書いている。

■決死の山頂(標高1719m)へ

山頂に近づいてくると高山植物が目についてくるが、一見礼文島ほどのお花畑というわけではなかった。しかし目を凝らすと霧の向こうにたくさんのお花たちが強風に揺らめいているのがわかる。
このあたりはまさに正念場。猛風、霧に加え、ガレ場はよく滑るのでほとんど命がけ。ここが山頂と思うピークを何度か越えたのちやせ尾根を渡り、急ながれ場を登ると山頂。神社が祭ってある。しかし霧で下界は何も見えない。。

宿

お宿マルゼン 1泊2食8400円

フェリーターミナルから徒歩5分。利尻山登山にはうってつけの宿。料理も美味しい。食事は食堂丸善(フェリーターミナル2階)で。食堂まではスタッフが送迎してくれる。まあ歩いても5分だが。
ただお風呂は男女共用小さいバスタブが1つのみ。しかし窓からは海が広がっていてペシ岬も見える。利尻富士温泉(入浴料500円)への送迎も無料でしている。

鴛泊コース登山口までの無料送迎がある。私が登山した日は早朝3時半~4時にかけて3班に分けて出発した(利尻の宿の中で一番早いらしい)。日の出の時刻により出発時間に変動がある。登山後登山口まで戻ったら、電話すれば迎えに来てくれる。

レンタカーもあり、3時間5400円(ガソリン、保険、税込み)と利尻では安い。



フェリーターミナルより利尻富士



日本の最北端②

2009-09-09 | 番外編
☆花の浮島 礼文島

日本最北の島(北方領土を除く)。南北29KM、東西8KM、面積約82キロ平方メートル。人口3千4百人ほど。
本州なら2000M級の山でなければ見られないような高山植物が、礼文島では平地でもごく普通に生育している。
島を縦断する道路は、東海岸のみにあり、西海岸の自然を楽しもうと思えば、自分の足を使って歩くしかない。西海岸には最北部スコトン岬から海岸沿いを縦断するトレッキングコースが整備されている。西海岸は地形が険しく、また西から強い風が年中吹き付けて気候が厳しいため、高い木の生えない荒涼とした笹地になっている。
礼文島に来たからには、このトレッキングコースを歩かなければ始まらない。私の歩いたこの島の代表的トレッキングコースを紹介する。

散策路 BEST5

1.桃岩展望台コース

このコースが一番メジャーなのだが、人気なだけあって素晴らしい。高い木は生えていず、大部分を笹が覆っていて見晴らしがとてもよい。ちょっと観光客多いが。。散策路は細く、雨の後はぬかるむ。
全てのコースの中でお花は一番多かった。しかもこの日は晴れてて遠くに利尻富士の端正な姿が。お花畑からの利尻富士の眺望は、例えようのない美しさだ。

 

桃岩展望台より

香深~桃岩~元地灯台~知床 難易度★

2.林道&礼文滝コース

レブンウスユキソウ群生地のある礼文林道は桃岩展望台コースに負けず劣らず花が多かった。特に礼文滝への道は、小さな沢を渡ったり、ロープを伝って下ったりと、少々大変だがレブンウスユキソウを含め一面のお花畑。礼文滝は海岸にあり、浜辺には大量の昆布が打ち上げられていた。
あいにく、曇り空でここからも利尻富士が見えるはずなのだが分厚い霧に覆われて50M先も見えない。それがかえって幻想的でよかったのだが。。

香深~林道~レブンウスユキソウ群生地~礼文滝 難易度★★

3.4時間コース

島の最北端のスコトン岬からゴロタ岬、鉄府海岸を通って西上泊(澄海岬)までのコースは花はそれほどでもなかったが複雑な海岸線や漁村の風景も楽しめる。風が強く、濃霧の中、お花畑の険しい登りを歩いていると、黄泉の国へ続いていそうな雰囲気。
西上泊には売店(うに丼など軽食もとれる)、トイレ、民芸品店がある。
西上泊から車道を浜中方向に歩いて行くと、レブンアツモリソウ群生地がある。5月下旬から6月下旬(今年は6月15日まで)にかけてオープンしていて私の訪ねた7月1日は閉まっていて中には入れなかった。しかし高山植物園ではレブンアツモリソウを見ることが出来た(2輪だけだったが)。

 

強風のため木は生えない

 

スカイ岬

スコトン岬~ゴロタ岬~鉄府海岸~西上泊(澄海岬) 難易度★

4.8時間コース後半

本来は上記の4時間コースと併せて8時間コースと呼ぶそうだが、私は西上泊から香深井までのコースを別の日に歩くことにした。他のコースと比べあまり(ほとんど)ハイカーの姿は見ない。お花も少なく森林地帯を通ったり単調な道も多いがこれはこれで楽しい。「砂すべり」と呼ばれる海岸へ降りる急斜面があり、そのあたりにはレブンウスユキソウなどお花も多い。海岸へ出てからは、ごつごつした岩の浜辺が永遠続き、標識もなく不安になったが、そのうちひなびた漁村(宇遠内)が見えてきた。宇遠内にはひなびた食堂一軒あり。漁村の裏の舗装されてはいないがわりと広めの道を登っていくと礼文林道に出る。そのまままっすぐ行くと香深井に出る。

西上泊~宇遠内~香深井 難易度★★

5.礼文岳登山コース

礼文島のほぼ中央に位置する礼文島最高峰礼文岳。もっとも、標高は490Mで、半日で行って帰ってこられる程度の山で特別な装備などは必要ないらしいが。
礼文島滞在中は曇りの日が多く、登ってもガスで利尻富士は望めそうもなかったので今回は断念。あまりお花も楽しめるコースでもないのでせめて展望が利かないと。。
頂上付近にはガレ場やハイマツ帯があって、本格的な登山気分も若干味わえるらしい。
頂上からは、晴れてれば遠くサハリンをも見渡せるとのことなので晴れてればチャレンジしがいがあるだろう。

内路~礼文岳頂上~内路 難易度?(★★?)

●宿

民宿「海憧(かいどう)」 

船泊にある宿。2食付1人7500円だった。食事はまずまず。無料送迎サービスあり。

素泊まり民宿「オホーツク荘」 

香深のフェリーターミナルから歩いて5、6分。素泊まり1人5千円(ホームページ見たといえば5%引)。礼文林道や桃岩展望台への登り道すぐそば。「海鮮処かふか」で使えるドリンク券を毎日もらえた。

●食事

「海鮮処かふか」

ほっけのチャンチャン焼き、生うに、天ぷら、すし、刺身などなに食べてもおいしかった。

「武ちゃん寿司」

香深フェリーターミナル2階にある寿司屋というか団体向け大衆食堂。昼時など団体客でごった返す。「海鮮処かふか」の方が空いてて落ち着く。

●お金

香深、香深井、船泊に郵便局がありATMでおろせる。

日本の最北端 ①

2009-08-27 | 番外編
6月29日から7月8日まで北海道北部(稚内、礼文島、利尻島)へ行ってきた。

一応日本の最北端地方ということだが、北欧のラップランドに比べれば、かなり南だしオーロラも見えない(非常に大きなものなら見えるという話しだが)。
しかしラップランドとはまた違った最果てな雰囲気があり、日本の他の地方にはない独特の景観が楽しめる。
初めての北海道旅行だったが、非常に満足できる旅だった。

☆北緯45度31分22秒。日本最北端の地、宗谷岬。

宗谷岬には日本最北端の地と記された石碑が建てられているが、実は日本政府が領有権を主張する範囲における最北端の地は、ここではなく択捉島にあるカモイワッカ岬というところらしい。

そして日本政府の実効支配が及ぶ日本最北端の地としては、宗谷岬の沖にある弁天島という小さな島なんだそうな。

つまり何の変哲もないただの岬で、日本最北端の地というわけでもないんだが、結構観光客を集めている。
サハリンの西能登呂岬にわずか43kmと近いこともあり、晴れた日にはよく見えるらしいが、私の行ったときは曇りで猛烈な風。当然海のかなたに目を凝らしても何も見えない。

北海道遺産に選定されている、通称「宗谷丘陵」と呼ばれている地形が宗谷岬周辺の丘陵地帯に広がっている。このあたりは「周氷河地形」といわれている地形で、あまり日本の他では見れない独特の地形だ(礼文島でも見られる)。この地形を利用し牧場が経営されており、宗谷牛が放牧されている。また風の強い所なので、風力発電の風車があちこち建っている。

◎間宮堂

日本最北端のラーメン屋。ウニ丼なども食べられる。6月29日に行ったときはまだストーブ焚いていた。
塩ホタテラーメン700円が人気だが醤油もいける。ホタテがまるまる一つ入っている。
冬期間は店が閉まっているので注意。

☆北緯45度線の通る町、幌延

フィンランドから来たというトナカイとヒマラヤの青いケシの栽培で知られている町。最近は、海岸近くにある風力発電の風車群が、新しいビューポイントとして人気を集めている。

●宿

「ビジネス旅館光栄荘」 TEL:01632-5-1266 素泊まり3150円/人

駅そばの清潔な旅館。居酒屋「菜味季」を併設してて、今日のオススメに「トナカイ丼」とあった。トライしなかったが。

◎トナカイ観光牧場

幌延市街より少し北。間近にトナカイたちを見ることができ、餌付けも可能。羊たちもたくさんいた。ヒマラヤの青いケシ(メコノプシス)が咲く花園があり、何百という青いケシが咲いていた。
ここでも、トナカイ料理が食せる(トライしてないが)。



◎稚咲内

道々106号線沿いに風力発電の風車が28基も並んでいる所があり壮観。晴れてれば利尻富士もきれいに見えるはずだが。。



☆サロベツ原野

豊富町と幌延町のビジターセンターがある。豊富町のビジターセンターに行ったが、雨で利尻富士は見えず。駐車場、自然教室、レストハウス、1周30分ほどの木道がある。ここのレストハウスの名物はあげいもといももちらしいが、特に普通だった。6月下旬から7月上旬にかけて一面に咲くエゾカンゾウ(ニッコウキスゲ?)が有名。近くの道路を走っていると、キタキツネを見かけた。エゾシカに遭遇するとこもあるらしい。



☆稚内

●宿

「稚内海員会館」 TEL:0162-24-1620 素泊まり3800円

南稚内駅前の宿。清潔でコストパフォーマンス高し。近くには、食堂街やコンビにもあり便利な立地だ。

●食事

「花いちもんめ」 (回転寿司) 

南稚内駅から歩いて30分かかった。地元の人たちで溢れていた。目の前に空港行きのバスが止まるので、ここで食事してから空港に向かえる。


皆既日食2009

2009-08-06 | 番外編


オーロラは何度も見たことあるのだが、同じく宇宙現象である日食は、以前日本で部分日食を一度観察したことあるぐらいで、皆既日食には一度もまだ遭遇していなかった。皆既日食を追って世界中を旅する人もいるぐらいだし、見たという人に会うと、みんな「すごかった!!」みたいな答えが返ってくるので、やっぱり一度見てみないと、オーロラファンの私としてはちょっと片手落ちだ。

2009年7月22日インド、中国、日本のトカラ列島や硫黄島で観察できる皆既日食は今世紀最大ということで私もかなり前から気にはなっていたが、せっかくのチャンスなんで今回はお隣の中国で、一度見てみることにした。

とりあえず皆既日食帯の中心に近い位置の杭州に宿を押さえておいて、22日の朝の天気予報の具合を見ながら場合によってはより条件のよさそうな場所に移動できるよう計画を立てておいた。

20日、杭州に到着。天気は晴れで異常に蒸し暑い。21日も晴れときどき曇りという感じだったが、22日の天気は上海、蘇州、杭州、武漢、成都など皆既日食帯にある都市はことごとく雨や雷、曇りなどと予報されている。
しかし21日の天気予報は曇にもかかわらず、実際は雲は多少あったが晴れ間が覗くことが多く、予報もそれほど当てにならないかもしれない。杭州に限っては降雨予報図を詳細に調べてみても、他の地域よりは希望が持てそうである。杭州より西の武漢などは一日曇りマークで降雨はないようだ。皆既日食帯から外れるが、杭州や武漢などの地方より南にいくと晴れているようで皆既日食帯の内側ぎりぎりまで南下するのも手かもしれない。しかし上海など杭州より東に行くと、日食が見れるどころか大雨で外にも出られない可能性が高い。

22日午前6時に起床し外を見上げると、空は案の定、厚い雲で覆われている。もうちょっと日が昇ればちょっとは晴れるかもしれないが、その薄い可能性にかけるよりちょっとでも条件の良いところに移動した方が利口と思い、昨日の計画どおり西へ向かうことにした。天気というものは地理的条件で、ちょっと離れるだけで劇的に変わる場合もある。

2時間かけてタクシー、バスを乗り継いで、杭州の60KMぐらい西の青山湖という湖の畔に到着。なかなか風光明媚な眺めのいいところで観測には絶好のポイントだ。薄い雲がまんべんなくかかっているが、厚い雲はなく、太陽ははっきり観察できそうだ。すでに地元の人が、黒いフィルムで観察している。外国人の皆既日食ツアーのバスかと思われる車両も見つけた。

上海で観察した場合

食の始め 08:23:21
皆既日食 09:36:28~09:42:18(皆既時間5分50秒)
食の終わり 11:02:02

となっていた。

ここ杭州の西60KMの地点でも、この時間はそう変わらないだろう。
湖畔の階段状の岸に座って、太陽が完全に月に隠れるのを待った。

しかし午前9時30分ぐらいになっても、まだ明るい。若干暗くなった気もするが、それは空が薄い雲に覆われているからかもしれない。

心配になって地元の人にフィルム借りてみると、すでに9割5分ぐらい欠けて、三ケ月状になっているではないか!

すると、みるみる辺りは暗くなってきて、完全に太陽が月に隠れる。
あたりは日没後ぐらいに暗くなった。
今まで直視できなかった太陽は、コロナを発して異様な様だ。
明るい星なら、ポツリポツリと輝くそうなのだが今回は目立ったものは見えない。
湖に浮かんでいる二隻の船は灯をつけた。
5分ぐらい真暗な状態が続いて、すこし西側の山々が明るくなってきたと思うと、太陽が、いわゆるダイヤモンドリング状態になり、周りにいた中国人たちも思わず歓声を上げる。
徐々に明るくなってきてもう肉眼で見れなくなったので、杭州へ引き返すことにした。

う~ん、これがうわさの皆既日食か。やはりオーロラと同じく宇宙現象は壮大さが違う。オーロラとはまったく違った趣だが、シュールで不思議で心奪われるイベントだった。時間とお金をかけても体験する価値はある。皆既日食を追っかける「日食ハンター」の気持ちはよく分かった。

杭州でも、雲の合間からなんとか見えたそうで、ビデオに撮ったのを見せてもらった。しっかりダイヤモンドリングも映っていた。しかし杭州より東にいた人はやはりだめだったようだ。

●皆既日食観測グッズ

日食観測用めがね:皆既日食だからいらない、と思って持っていかなかったんだが、どれぐらい欠けているんだろうと常に気になるので目を傷めないために持っていた方が良い。サングラスや黒い下敷きでは目を傷めてしまう。

カメラと三脚:カメラはオーロラのときと違って望遠の利くのが良い。暗いところで望遠使うので三脚は必須だ。