米FRB、来週にあと1回利上げで打ち止めへ-エコノミスト予想
Steve Matthews、Sarina Yoo "Kyungjin"
2023年7月20日 18:00 JST ブルームバーグ
予想中央値では来年3月が利下げ開始の時期とされる
今後1年以内の米リセッション予想、6月から減る
過去40年で最も積極的なインフレ退治の取り組みとして、昨年3月に現行の利上げキャンペーンを開始した米金融当局について、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合であと1回の追加利上げを決めて打ち止めにすると、エコノミストの大多数は予想している。
ブルームバーグがエコノミスト45人を対象に13-18日に実施した最新調査では、FOMCが25、26両日の会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げて5.25-5.5%と、2001年以来の高水準とするとの見通しが示された。
当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数で物価上昇圧力の緩和が示され、ほぼ全てのエコノミストが9月19、20両日のFOMC会合での金利据え置きを予想。11月会合までにさらなる利上げを見込むのは5分の1にとどまった。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者は利上げを再開する方針を示唆している。FF金利はインフレ率を2%の当局目標に回帰させるのに十分景気抑制的と考えられる水準に近づいており、6月にはいったん利上げを休止していた。当局者は同月公表の四半期経済予測で、年内2回の追加利上げ見通しを示している。
ネーションワイド・ライフ・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は調査の回答で、「FOMCが来週の会合で利上げを決めるのはほぼ確実だ」と指摘。その上で、「パウエル議長らFOMC当局者は市場に混乱したメッセージを発しており、来週の記者会見は議長がもっと明確なガイダンスを示す機会として注目される」と話した。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミストであるアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は「米金融当局が今月、0.25ポイント利上げに踏み切るのはほぼ確定的だが、消費者物価指数(CPI)が良好な内容だったことで、FOMCでは7月の利上げで打ち止めにすべきだとの主張を勢いづけるだろう。それはわれわれの基本シナリオとも合致する。BEでは、当局が今月の利上げ後、長期にわたり休止すると予想する」とコメントした。
ブルームバーグが調査したエコノミストは、当局が年末まで金利をピーク水準に据え置くと見込んでいる。一方で、2024年1月に最初の利下げがあるかどうかでは意見が分かれている。4分の1余りが1月利下げ開始を予測するが、予想中央値では3月が利下げ開始の時期とされ、24年6月までに4.75%、同年末までに4.25%に引き下げられると見込まれている。いずれの数字も6月の前回調査時をやや上回る。
他方、金融当局者は6月の経済予測で24年末時点のFF金利を4.5-4.75%と、一段と緩やかなペースでの利下げを予想していた。このほか、金融市場は今月の利上げをほぼ確かなものとして織り込むとともに、24年3月までに最初の0.25ポイント利下げがあり、同年末までに3.9%に引き下げられるとみている。
INGフィナンシャル・マーケッツのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「インフレは引き続き急激な鈍化の方向にあるものの、われわれがかねて予想している利下げは年内にはないだろう」との考えを表明した。
最新調査で今後1年以内に米国のリセッション(景気後退)を予想したのは58%と、6月の63%、4月の67%から減り、エコノミストが米経済の見通しに徐々に楽観的になっていることが示された。
持続的な雇用増や、3.6%と歴史的低水準に近い失業率に加え、CPIの予想を上回る鈍化もあり、一部エコノミストの展望も前向きなものにシフトしている。
原題:Fed Seen Hiking Final Time to a 22-Year Peak in Economist Survey(抜粋)
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