NYダウ、1008ドル安 FRB議長講演受けリスク回避
北米
2022年8月27日 5:05 (2022年8月27日 6:55更新)
【ニューヨーク=大島有美子】26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比1008ドル(3%)安の3万2283ドルで終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、インフレ抑制対策を「やり遂げるまで続ける」と述べた。早期の利下げ転換を否定した形となった。市場は金融引き締めの継続を折り込み、リスク回避姿勢を強めた。
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ダウ平均は5月18日(1164ドル安)以来の下げ幅となった。米主要株式指数はそろって下落し、S&P500種株価指数は3.4%、ハイテク株の比率が大きいナスダック総合株価指数は3.9%それぞれ前日の終値と比べ下落した。
市場では7月以降、堅調な米企業業績や消費者の期待インフレ率の低下などを受け、楽観的なムードが漂いつつあった。26日のパウエル氏の発言は「2023年中に金融緩和政策へ転換するとの市場の期待を下げた」(ジョーンズトレーディングのストラテジスト、マイケル・オルーク氏)。
個別株では、金利上昇によって割高感が意識されやすいハイテク株が大きく売られた。アルファベットは5%、アップルは4%下落した。
金融や資本財・サービスなど景気動向の影響を受けやすい銘柄も売りが目立った。米銀大手JPモルガン・チェースは3%、カード大手のビザは3%下げたほか、ゼネラル・エレクトリック(GE)は4%の下落だった。
米金利先物市場に織り込まれた政策金利の見通しを示す「フェドウオッチ」によると、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを見込む割合は26日時点で約60%となり、1週間で13ポイント上昇した。パウエル氏は9月会合に関しての明言を避けたが「(中立金利で利上げを)止めることはない」と言及し、利上げの継続を示唆した。
債券市場では米長期金利が3%台と高止まりした状態が続く。指標となる10年物国債の利回りは26日に約3.03%となり、前週末と比べて0.04ポイント上昇した。2年債の利回りは同0.12ポイント上昇の3.38%台となった。短期の利回りが長期の利回りを上回る「逆イールド」の状態が続き、景気後退への懸念を強めている。
米ブライトン証券のジョージ・コンボイ会長は「金利上昇による住宅市場の冷え込みが耐久消費財の購入控えにつながるなど、家計支出の減速につながる」として、景気の先行きを不安視する。米証券ミラー・タバックの株式ストラテジスト、マシュー・マリー氏は「9月のFOMCに向けて相場は荒れるだろう」とみる。
外国為替市場では、「安全通貨」とされるドル買いが進んだ。26日のニューヨーク市場では、主要通貨に対するドルの強さを示す米インターコンチネンタル取引所(ICE)算出の「ドル指数」が一時108台をつけた。前日より0.4ポイントほど上がり、7月末時点と比べて約3%上昇している。