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米債務上限復活、マネーの洪水に拍車 MMF窮地に 金融政策・市場エディター 大塚節雄

2021-09-09 16:30:55 | 日記
米債務上限復活、マネーの洪水に拍車 MMF窮地に
金融政策・市場エディター 大塚節雄

2021年9月9日 2:00 (2021年9月9日 10:23更新) 
米金融市場でカネ余りが極まっている。政府の債務上限が8月に復活し、財務省が臨時の資金繰り策で政府預金を取り崩す動きを強め、民間へのマネー流入が加速した。「リバースレポ」と呼ぶ米連邦準備理事会(FRB)が用意した資金の避難場所には1.2兆ドル(約130兆円)近くが集まり、パンクの恐れも出る。FRBは制度拡充も視野に状況を注視している。
イエレン米財務長官は8日、財務省が資金繰り策を「10月中に使い果たす可能性が最も高い」と指摘し、議会に上限引き上げを改めて要請した。資金枯渇の「Xデー」が迫るにつれ、様々な形で市場に影響が及ぶ可能性がある。
  • 【関連記事】米財務長官、資金枯渇は「10月中」 債務上限問題で
2021年の米市場を襲ったマネーの大洪水。新型コロナウイルス対策に備えて20年に国債を前倒しで大量に発行していた財務省が一転、手元預金を取り崩し、大量の資金が官から民に移った。
8月に債務上限の凍結期限が切れ、この構図はさらに強まった。債務残高を増やせない財務省は不要不急の出費を繰り延べるとともに、日々の財政需要を賄うために手元資金を充当する緊急対応に入った。米短期国債の発行も絞っている。
20年末に1.7兆ドルに及んだ政府の預金残高は7月末に5000億ドルを切り、8月下旬には2400億ドルにまで急減した。FRBが量的緩和で毎月1200億ドルを市場に供給し続けているところに財政資金がなだれ込み、市場はマネーであふれかえっている。



象徴するのがリバースレポの急膨張だ。FRBが国債を担保に民間の余剰資金を受け入れる仕組み。米短期市場の中核を担うMMF(マネー・マーケット・ファンド)など銀行以外に門戸を開いている。
リバースレポは4月以降、急減する政府預金の鏡映しのように膨らみ始める。7月末には初めて1兆ドルを突破し、8月末には1.2兆ドル近くに達した。利用の8~9割がMMFだ。
米金融市場に詳しい東短リサーチの加藤出社長は「余ったお金を押しつけ合う『ババ抜き』になり、MMFがババを引いた」と表現する。
政府やFRBからのマネーは通常なら銀行の準備預金にも大量に流れ込む。もちろん準備預金は総額では膨らんでいるが、けん引するのは主に外国銀行。米大手銀行は微減の傾向となっている。
大手銀には準備預金を増やしたくない事情がある。カギは野放図な与信膨張を防ぐ「補完的レバレッジ比率(SLR)」と呼ぶ規制。コロナ禍の特例で緩和され、計算上、準備預金などを与信額から除外できた。4月からは元に戻り、指標の悪化を防ぐために準備預金を絞る必要が生じた。



FRBの3月の調査では、米国内銀の7割近くが準備預金を抑えるために行動すると答えた。複数の関係者は「一部の大手銀は預金をしようとする顧客に対し、傘下のMMFにお金を振り向けるよう促している」と語る。
モルガン・スタンレーの金利ストラテジストらもリポートで一部の大手銀で準備預金が減る一方、傘下のMMFの運用残高が増えたと分析し、「預金が本当に銀行からMMFに移ったかはわからないが、この一致は注目に値する」と指摘した。
米議会が債務上限の引き上げや凍結で合意しない限り、政府預金は減り続ける。イエレン氏と同様、市場も財務省の資金繰り策が尽きる時期を10月下旬~11月初めとみる。解決が遅れれば、政府預金は1000億ドル強まで減り、リバースレポは1.5兆ドル前後に膨らむとの予想もある。
問題はリバースレポの利用上限だ。1つの利用先につき800億ドルという制限がある。7月末時点でフィディリティ系など、利用が上限の6~7割に達するファンドも出ている。
FRBも状況を注視する。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では事務方が「多数の利用先が上限に達して短期金利に低下圧力がかかった場合、上限の引き上げが適切となる」との見解を示した。「次回の9月会合で対処する必要がある」(欧州の調査会社)との見方もある。



リバースレポが枠いっぱいになると、待機マネーは仕方なくレポや短期国債に流れ、FRBが市場機能を保つ観点から嫌うマイナス金利が定着する可能性がある。MMFから資金が急激に流出し、金融システムを揺るがすリスクもゼロではない。銀行にお金が環流してSLRの悪化に苦しむことも想定される。
同じ債務上限問題に絡み、逆の心配もある。FRBがリバースレポを拡充しすぎると、短期国債にお金が回りにくくなる懸念だ。
とくに問題が長引き、米国債のデフォルト(債務不履行)リスクが気にされるようになると、「一部の投資家は満期(の償還)が危険にさらされる短期国債を避けようとするかもしれない」(ゴールドマン・サックス)。リバースレポは0.05%の金利がつき、「米短期国債の購入者にとって魅力的な代替手段」(資産運用大手ピムコ)になりつつある。FRBにさらにお金が集まる可能性もある。
FRBはカネ余りにどう対応し、大量のマネーはどう動くのか。暫定予算を巡る与野党の攻防などと絡み、債務上限問題は9月末に一つのヤマ場を迎える。
(金融政策・市場エディター 大塚節雄)


米国株、ダウ続落68ドル安 景気鈍化を懸念した売り ナスダック反落 米国・欧州株概況2021年9月9日 5:24 (2021年9月9日 5:27更新)

2021-09-09 05:54:05 | 日記
米国株、ダウ続落68ドル安 景気鈍化を懸念した売り ナスダック反落
米国・欧州株概況2021年9月9日 5:24 (2021年9月9日 5:27更新)

【NQNニューヨーク=張間正義】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比68ドル93セント(0.2%)安の3万5031ドル07セントで終えた。前日までの2営業日で300ドル余り下げたため朝方は買いが先行した。ただ、買い一巡後は新型コロナウイルスの感染拡大による景気回復の鈍化を警戒した売りが次第に優勢となった。

3日発表の8月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったのをきっかけに経済成長率見通しを下方修正する金融機関が増え、8日の投資家心理の重荷となった。米連邦準備理事会(FRB)は8日に発表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、新型コロナの感染拡大で夏場に景気回復がやや鈍化したとの認識を示した。

航空機のボーイングや化学のダウ、金融のゴールドマン・サックスなど景気敏感株の一角が下げた。スポーツ用品のナイキも売られたほか、前日に上場来高値を更新していたスマートフォンのアップルは5営業日ぶりに反落した。
ただ、ダウ平均の下げ幅は限られた。米労働省が発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)で、非農業部門の求人件数が5カ月連続で過去最高を更新した。経済再開に伴う求人増加は続いており、雇用回復は続くとの見方は支えとなった。個別では、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や外食のマクドナルドなどディフェンシブ株が買われた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は8日、テーパリング(量的緩和の縮小)について「経済が予想通りに改善を続けるなら、年内に資産購入のペースを下げ始めることが適切だろう」と述べた。8月の雇用統計を受けても年内のテーパリング開始予想を維持する金融機関は多く、相場への影響は限られた。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落し、前日比87.691ポイント(0.6%)安の1万5286.637で終えた。交流サイトのフェイスブックとネット検索のアルファベットが下げた。エヌビディアなど半導体株も総じて安く、暗号資産(仮想通貨)交換業者のコインベース・グローバルも売られた。