先日、何となく見覚えのある電話番号から電話をいただきました。電話に出るとそれは４年前に中学部を卒業した生徒のお母さまからでした。「息子と一緒にご挨拶に伺いたいのですが…。」とのことで、時間をお約束し、お二人が来るのを待ちました。
時間通りにお二人が見えられ、その卒業した生徒が「電気通信大学に合格しました。」との報告をしてくれました。その生徒は５年制の高等専門学校に進みましたから、大学の３年生に編入する試験を受験し、見事合格したというのです。高校入学時の偏差値から考えてみると、相当学力を伸ばしたと言うことになります。
彼は小学生の頃から創研塾に通ってくれていました。私が直接勉強を見たのは中学生からでしたが、宿題をやって来ずに叱ることもありました。また、反抗期と重なっていたことからか、自分の素直な気持ちをそのまま出せずにネガティブな発言をして私から強く注意したことも度々ありました。高校受験前に志望校について相談する保護者面談の際、理科と数学への興味が強いことからこの高等専門学校を提案したのです。学校見学へ行ってみると、充実した設備が整っており、また５年間通うことにより高校の卒業資格に加え、短大卒業の資格を得られること、さらに４年制大学への編入もできることに魅力を感じ、進学を決めました。
入学後は好きな理科や数学に力を入れて勉強できることが楽しかったようで、順位も９位→４位とあげていき、学年で上位２０％程度には常にいたようです。
今回の入試では、東京工業高専など彼の進んだ学校よりも入学時の難易度が高い学校の生徒ばかりが受験しに来ていたようです。それを知って少し弱気が顔を出したようですが、最後まで頑張りぬいて見事難関大学の合格を手にしました。
お母さまも大変喜んでくださり、「あの時塾長に勧められた学校に行って本当に良かった。本人にぴったり合っていたために頑張ることができたと思うし、夢にも思わなかった国立大学へ入学することができました。」とおっしゃってくださいました。私も想像以上の好結果に驚きました。
私のしている仕事は、生徒たちの人生における大きな分岐点に関わっていると言うことをあらためて感じました。あの時、違う学校を勧めていたら彼は国立大学へ進学することはできなかったかもしれません。学習指導とともに、進路指導、それも偏差値や内申だけで決めるのではなく、その子の特性や将来の希望に合った学校を提案することはとても重要だと思います。私は学習塾団体で進学相談会の責任者を数年にわたって担当して来ましたから、様々な学校の特色を知る機会に恵まれました。多くの学校の先生方との交流も生まれ、今でもたくさんの情報をいただいています。
今年の受験生、来年の受験生たちに対しても、最適な進路を提案できるよう情報収集に努めたいと思います。
