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心の病は食事で改善できる? 精神栄養学の第一人者が語る「最強の食事術」 | デイリー新潮
息苦しい世の中である。外出は憚(はばか)られ、人とのコミュニケーションすらままならない。…
デイリー新潮
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情報提供する トップ 新着 ランキング 話題 社会 政治 国際 エンタメ ライフ ビジネス スポーツ 連載 週刊新潮 最新情報をお届け! デイリー新潮とは? 広告掲載について お問い合わせ 著作権・リンクについて ご購入について 免責事項 プライバシーポリシー 運営:株式会社新潮社 Copyright © SHINCHOSHA All Rights Reserved. すべての画像・データについて無断転用・無断転載を禁じます。 心の病は食事で改善できる? 精神栄養学の第一人者が語る「最強の食事術」 ライフ 2021年10月03日 ストレスフルなコロナ禍なればこそ(他の写真を見る) 緑茶やコーヒーを飲む人は… 例えば、メタボリック症候群はうつ病のリスクを1・5倍に高め、逆にうつ病もメタボリック症候群のリスクを1・5倍に高める双方向性の関係にあると報告されています。 他にも、緑茶やコーヒーをよく飲む人はうつ症状を呈しにくいという報告が増えていたり、鉄や亜鉛などの微量元素の不足がうつ病のリスクを高め、うつ状態をもたらす危険性があることも指摘されています略
脳腸相関 例えば肉の脂に含まれているn-6系脂肪酸のアラキドン酸由来の物質は血液を凝固させ、炎症の一因となる。逆に、魚の脂に含まれているn-3系不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は炎症を抑える効果があります。 n-6系とn-3系の摂取比率は4対1が理想とされていますが、「肉食化」が進んでいる現代の食生活では、どんどんn-6系の割合が増えていて、血液がドロドロになり、炎症が起こりやすくなっています。そして、炎症を引き起こすIL-6などの“サイトカイン”と呼ばれる物質が血液を通じて脳に運ばれ、脳が炎症を起こしている状態がうつ病なのです。
また、腸の働きがうつ病に関係することも分かっています。 腸の上皮は、本来人間が食事をした際に必要な栄養素だけを吸収する有能な働きを持っています。しかし、腸内細菌が上手く働いていないと、上皮と上皮の間がスカスカになり、必要な栄養素だけでなく、悪玉菌の成分など余計なものを吸収してしまう。それらの成分によって腸が炎症を起こすと、先のIL-6が放出され、血液を通じて脳に送られてしまうわけです。 こうした脳と腸の密接な関わりを「脳腸相関」と言います。腸内の環境が脳に影響を与えるのです。
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注目される「DASH食」「地中海食」 こうしたメカニズムで発症するうつ病を予防し、また症状を改善するにはどのような食事を心がけるべきなのか。そこで今注目されているのが、「DASH食」や「地中海食(地中海式食事)」です。 前者は過剰なナトリウム(塩化物)を体外に排出する効果のあるミネラルを多く摂取する食事法で、主に大豆、ニンジン、ブロッコリー、アボカド、バナナなどを積極的に食べ、糖質を抑えた低カロリーであることを重視します。そして、私がとりわけ推奨しているのが、後者の地中海食です。 〈1960年代、地中海沿岸諸国での心臓病死亡率が低いことが判明する。略
情報提供する トップ 新着 ランキング 話題 社会 政治 国際 エンタメ ライフ ビジネス スポーツ 連載 週刊新潮 最新情報をお届け! デイリー新潮とは? 広告掲載について お問い合わせ 著作権・リンクについて ご購入について 免責事項 プライバシーポリシー 運営:株式会社新潮社 Copyright © SHINCHOSHA All Rights Reserved. すべての画像・データについて無断転用・無断転載を禁じます。 心の病は食事で改善できる? 精神栄養学の第一人者が語る「最強の食事術」 ライフ 2021年10月03日 「医療同源」で地中海に注目(他の写真を見る) 注目される「DASH食」「地中海食」 こうしたメカニズムで発症するうつ病を予防し、また症状を改善するにはどのような食事を心がけるべきなのか。そこで今注目されているのが、「DASH食」や「地中海食(地中海式食事)」です。 前者は過剰なナトリウム(塩化物)を体外に排出する効果のあるミネラルを多く摂取する食事法で、主に大豆、ニンジン、ブロッコリー、アボカド、バナナなどを積極的に食べ、糖質を抑えた低カロリーであることを重視します。そして、私がとりわけ推奨しているのが、後者の地中海食です。 〈1960年代、地中海沿岸諸国での心臓病死亡率が低いことが判明する。 そして2000年代には、スペインや南イタリア、ギリシャなどの伝統的な食事の減量効果が注目を浴び、欧米で地中海食がブームとなっていった。〉 ぶどう(他の写真を見る) 赤ワインはプラス1点 飢餓を除いた現代の食事の問題点は、ふたつに大別できます。ひとつは食べすぎ、そしてもうひとつは西洋式食事です。 日本においては、ダイエットを意識しすぎたせいか女性はむしろ節食傾向にあるので、前者の問題は当てはまりません。一方、後者の問題は該当します。 西洋式食事とは、いわゆるファストフードに象徴される製品化、精製化された食物です。これにより、冒頭の徳川将軍のような栄養不足に陥りやすくなっている。ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉、ピザやハンバーガー、ビールなどでお腹を満たすのが西洋式食事の典型例です。 米に限らず、本来であれば果物でも皮ごと食べたほうが栄養を摂れるのですが、現代人は剥いて中身だけ食べる。ぶどうの皮に含まれるポリフェノールは渋く、その他の果物の皮に豊富に含まれるミネラルやビタミンもあまり美味しいものではないので、それを取り除いて美味しい中身だけを食べてしまうわけです。また、味付けを濃くした食品の製品化も進んでいます。 私たちの身体は、「生の食材」を摂取する前提の遺伝子を有しています。食品の製品化が進んでいるからといって、遺伝子はそれに合わせてすぐに変化するわけではない。したがって、塩分の摂りすぎなどといったアンバランスが生じると、必然的に心身に支障を来してしまうのです。それを解決するのに有効なのが地中海食です。 地中海食、それは欧米諸国では健康食の代名詞となっています。そのミソは、当たり前でありながら、これまで説明してきたように現代人が忘れがちな、とにかくバランスの良い食事に努めることに尽きます。では、どうやってバランスを保てばよいのか。その参考になるのが、03年にギリシャのアテネ大学などが考案した「地中海式食事スコア」です。
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果物の摂取量もつるべ落としの状態で、2002年と19年を比較すると、わずか17年の間に、年間の世帯当たりの摂取量が約3割も減っています。 魚も例外ではありません。日本人は魚を多く食べているイメージがありますが、1人1年当たりの消費量が01年時点では約40キロあったのに対し、16年には25キロ程度まで減ってしまっています。つまり、ますます食の西洋化が進んでいる。だからこそ、地中海食のようなバランスの良い食事を意識することが必要とされているのです。 ここまでの話を改めてまとめてみます。 ・医食同源であり、精神の問題と捉えられがちなうつ病にも食事内容が大きく影響する。 ・うつ病は生活習慣病のひとつであり、炎症が引き金となって発症する。 ・炎症を防ぐにはバランスの良い食事が求められる。 ・その代表的なものは地中海食である。 この流れを踏まえた上で、うつ病に効く食事スタイルを具体的に紹介していきましょう
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うつ病は自殺の主な要因 まずメニュー、つまり「何を」食べるかの話に入る前に、「いつ」食べるかがいかに大事であるかを説明したいと思います。 約1万2千人を対象に行った我々のアンケート調査では、朝食をほぼ毎日とっていると答えたうつ病の人の割合は健常者より低く、逆に間食や夜食をとる人の割合はうつ病の人のほうが多いという結果が出ています。これは、うつ病の人は生活リズムが乱れがちだということと関係があると思います。うつ病が生活習慣病であることを考えると、当然の結果といえるかもしれません。 人間のパフォーマンスは、起床後数時間の間に最も上がります。その時に、充分な栄養を補給できていなければ、せっかくの「パフォーマンス向上時間帯」を有効に活用できません。
また、朝起きて日光を浴びることで体内時計がリセットされますが、それに合わせて食事をすると、脳と身体をリフレッシュさせ、活動モードに入ることができます。 こうした理由から、朝にしっかりと食事をとることがとても重要なのです。 そこで次に、その重要な朝に何を食べるべきなのかを考えてみます。 まず主食は、地中海食を意識して玄米などの精製していないお米や全粒粉のパンがおすすめです。ただし、カロリーは控えめにしましょう。 そして、葉酸が豊富な葉物野菜や鉄分が摂れる海藻、そしてビタミンDが含まれるきのこ類など、具だくさんのお味噌汁やスープ。塩分は控えめにしてください。
さらに、DHAやEPAを含んだ魚、亜鉛が摂れる大豆、アミノ酸を摂取できる卵などを使ったおかず。 デザートとして、果物を入れたヨーグルトなどの乳製品。 最後に、ポリフェノールの一種であるカテキンが摂れるお茶やクロロゲン酸が含まれるコーヒーを食中や食後に1杯。 これらをバランス良く摂取するのが理想的な朝食です。 うつ病の人はこれだけのメニューを自分で作るのは困難な場合もあるでしょう。そうした場合は缶詰やレトルト食品を活用するのもありだと思います。 うつ病は年間約2万人にも達する自殺の主な要因です。さらに現在、コロナ禍によるストレスが加わり、誰にとっても、うつ病は他人事であると言い切れる環境ではなくなっていると思います。うつ病と栄養の関係が明らかになってきた現代こそ、古(いにしえ)からの「医食同源」の教えを実践するべき時なのではないでしょうか
功刀 浩(くぬぎひろし) 帝京大学医学部教授。1961年生まれ。精神科学者、医学博士。東京大学医学部卒業後、ロンドン大学精神医学研究所に留学。精神疾患における食事療法に注目し、臨床研究に取り組んでいる。『精神疾患の脳科学講義』など著書多数。