https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180307-00054061-gendaibiz-bus_all
いったいどんなカラクリになっているのか。
普通、不動産仲介業者は、売買が成立した際にその成功報酬として「売り手」から、売却価格の3%+6万円の法定手数料を得ている。売り手だけから手数料を取ることを「片手仲介」と呼ぶ。
一方、この仲介業社が、購入を相談してきた自社の「顧客」に物件を販売することで「買い手」からも3%+6万円の手数料を得ることを「両手仲介」と呼ぶ。仲介業者は売り手と買い手から合計6%+12万円の手数料を受け取ることができ、うま味が大きいのである(下の図を参照)。
「両手仲介は、日本では違法ではありませんが、売り手と買い手を同じ業者が扱うと利益相反が生じてしまう。アメリカでは禁止か制限されていることがほとんどです。
何より問題は、両手仲介をするため、仲介業社が『囲い込み』をすることです。囲い込みとは、仲介業社が両手仲介によって儲けを得ようと、買い主を自社の顧客だけに限定してしまうこと。
仲介業社は、ネット上や不動産業者がアクセスできるデータベースに物件情報を掲載するにはします。しかし、自社の顧客以外の買い手が現れ購入をオファーしても、『現在、商談中です』と言ってことごとく照会を断ってしまう。自分たちの儲けにならないからです。
しかしその一方で、同じ物件を自社の顧客や懇意の業者に売るため、売り手に『値段を下げましょう』と持ちかけるのです。結局、本来売れるであろう値段より何割も安く売却してしまい、売り手は大きく損をしてしまいます」(前出・深谷氏)
白田さんの場合でも、A社は買い手のオファーを断り続け、挙げ句、同社の言うことを聞く「買い取り業者B社」に安く買い取らせることで、6%+12万円の手数料を得たと考えられる。
その後、買い取ったB社は物件を相場の価格で売り出して差益を稼ぎ、仲介にはA社を使って、A社はそこでも両手仲介をしている可能性が高い。
整理しよう。4000万円の物件を片手仲介すれば、A社の儲けは4000万円×3%+6万円=126万円にすぎない。
しかし、物件をB社に3000万円で売って両手仲介すれば、A社は3000万円×6%+12万円=192万円の儲け。
B社がそれを再度4000万円で売って両手仲介した場合には、A社は総計444万円を儲け、B社には1000万円近い差益が転がり込む(ここからA社にキックバックがあることが多い)。
損をするのは物件を売った人で、儲かるのは不動産業者だけだ。
人は家を購入する際には、たっぷり時間をかけ、情報を得て準備をする。しかし、売却となると、住み替えなどの事情から、短期間での決断を迫られてしまう。業者はそこに付け込むのだ。
だからこそ、「不動産を高く売るには、何よりも業者選びが重要」と言われるのである。
●複数業者で見積もりを
まずは、複数の業者から見積もりを出してもらい、その対応を比較することが第一歩。そのとき、担当者に好印象を持てるか否かも重要なポイントだ。
会社ではなく、担当者のレベルで囲い込みをしている場合もあるからだ。多くの担当者と接し、誠実さを見極めたい。大手だからといって安心できるわけではない。
●ホームページにも注意
ホームページも大切な判断の基準。前出の深谷氏が言う。
「ホームページに自社の物件ばかりを載せている会社は、『両手仲介をしていますよ』と言っているようなもの。また、高級物件ばかりを扱っている業者も、おカネになる取引ばかりをしていると考えられます」
●しきりに値下げを提案してこないか
一度、業者に委託をしたとしても、その対応に問題があれば業者を変えたほうが得策だ。相続に関する専門家集団「アレース・ファミリーオフィス」代表の江幡吉昭氏はこう話す。
「とにかく成約をさせようと売却を急かしてくる業者はNG。すぐに値下げを提案してくる業者を信用してはいけません。
依頼をした当初は『高く売れます』と好条件を出しておきながら、しばらくすると大幅値引きを提案する業者がいますが、能力がないと言わざるを得ない。短期間に1割以上価格を下げるよう求めてくる業者は、絶対に信頼してはならない」