https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170926-00000023-pseven-soci
東大の合否を分ける壁は、「5才までの幼児教育」にあった――新刊著書『「東大に入る子」は5歳で決まる』でそう説いた精神科医の和田秀樹先生が、子供4人を全員東大理IIIに現役合格させた“名物教育ママ”佐藤亮子さんと対談した。2人はまず、幼児期の詰め込み教育の重要生を伝えることに加え、情操教育が学習意欲を奪っている現状を非難。続けて、「ガリ勉=人間性に問題あり」という通説に反論した。
佐藤:人間性と結びつけて東大受験に反対する人も多いですよね。「小さな頃から勉強ばかりさせた結果、偏差値至上主義になり、人を見下すようになる」という。確かに東大にギリギリ入る層は、「東大生である自分」がアイデンティティーになり、選民意識を持っている人は多い。なにかと「東大です」と自分から言う人たちですね(笑い)。
でも東大生もピンキリで、上位の学生ほど「教授がダメだ」とか、学校の問題点に気づき、偉ぶらず、自分で自分をより高めようとする。理IIIの学生ほど、あまり学歴をひけらかさない気がします。
和田:東大に入ることが目標ではなく手段だと理解している学生は、謙虚ですよ。これも、幼少期に親がどれだけ向上心や探究心を持たせたか、という点にかかっている。
佐藤:うちの子も地元で大学名を聞かれても“関東の方です”としか言わない(笑い)。
和田:突っ込んだことを言えば、医学部は人間性うんぬん以前に、偏差値の高い人間が入らなければいけません。勉強ができる人というのはミスが少ない人でもあるからです。受験でケアレスミスが命取りであるのと同じように、医学の世界はミスが許されません。
人間性のいいお医者さんに診てほしい、という人がいますが、じゃあ勉強ができてミスの少ない医者と、勉強がダメでミスも多いけど人間性の素晴らしい医者のどちらを選びますか?という話。後者を選ぶ覚悟もないくせに、勉学より人間性などと言わないでほしい。
佐藤:本当にそう思います(笑い)。そもそも小さい頃から母親と一緒に勉強を頑張った子供って、人間的にも曲がらないと思います。うちの子は全員、反抗期という反抗期もありませんでしたから。灘に入る子って、母親とタッグを組んで努力した子が多いから、親への感謝が大きいんです。得てしてみんな母親にはやさしいし、いい子が多い。
和田:実際、データもあるんです。シカゴ大学が2万人を対象に調査した結果、反抗期のない子供の方が社会的成功度が高く、犯罪歴も少なかった。東大生は親孝行の子が多い、といわれていますが、親の愛情を一心に受けてきた子供の方が、まっとうな人間に育つのは当たり前です。
佐藤:母親の在り方が問われているんでしょうね。テストの点数で怒るとか、きょうだい同士を比べるとか、母親が幼少期に“理不尽の種”を蒔いてしまっていると、大きくなってから子供は反抗する。その種が育っただけなんです。理不尽の種を蒔かなければ反抗もしない。寄り添うことが大切なんだと思います。
和田:勉強ができるから愛するのではなく、愛しているから勉強ができてほしい、ということです。たとえ受験が落ちたって、一緒に見返してあげようねって。条件付きの愛ではなく、絶対的な愛がここに存在するとわかれば、子供は決して道を外したりしない。
私の母親もそうでした。弟は小さな頃から病弱で、勉強も苦手だった。中高一貫の進学校に進みはしましたが、その後もなかなか芽が出ない。でも、母親は“おまえは絶対にできる子だ”と言い続けたんです。結果、弟は高校3年生で開花し、東大文Ⅰに現役合格しました。
佐藤:私も自分で産んだ以上、全精力をかけて育てようと思いました。世界中がこの子の敵に回っても、私だけはそばにいよう、と。夫は弁護士なのですが、何度も刑務所に出入りしているような犯罪者は、親族からも見放されているケースが多いそうです。親族に嘆願書を集めに行っても、みな逃げてしまって書かない。
もし、万一にもうちの子が犯罪を犯したら、私は嘆願書を書いて毎日差し入れに行く母親でありたい。いいときも悪い時もそばにいてあげたい。子育てとは、その覚悟の表れなのだと思います。