平成14年度の学習指導要領の改訂で完全学校週5日制が導入され、小学校では台形の面積を求める問題が教科書から消滅し、円周率を従来の3.14から3で計算することが決まるなど、学習内容が減少した“ゆとり世代”だが、このゆとり世代に「数学的素養が身についていない」と24日、時事通信社が報じ、ネット掲示板などで波紋を呼んでいる。
時事通信の記事によると、入学して間もない大学1年生(小学一年生の時点からゆとり教育が始まっていた世代)を中心に数学的素養がどの程度身に付いているか調査を行ったところ、4人に1人が“平均”の意味を正しく理解していない実態が発覚し、この問題を調査した日本数学会は「由々しきこと」と懸念を表明しているという。
この記事を受け、ネット掲示板には「さすがにこれは冗談だろ…」「20年近く何を学んできたの?」「平均がわからないってことが解らない」とゆとり世代の現状に呆れる声が相次いで書き込まれた。
一方で「どう考えても“最近の若い奴は…”ということを言いたいだけの記事だよな、これ」「どうせ大半はブラック企業に就職して奴隷扱いされるだけ。数学なんてできなくても問題ないだろ」など、ゆとり教育を受けたと思われるユーザーからは記事への反論も寄せられている。
ゆとり教育は、1970年代に日本教職員組合 (日教組) が“ゆとりある学校”を提起し、文部科学省などと推し進めた経緯があるが、「日教組と文科省はよくもここまでやってくれたな」「ここまで教育無茶苦茶にしても日教組って大して叩かれないんだよな」など、責任を追及する声も見られた。
入学して間もない大学1年生を中心に数学的素養がどの程度身に付いているか調べた結果、4人に1人が「平均」の意味を正しく理解していないことが24日、日本数学会の「大学生数学基本調査」で分かった。
調査対象は、学校週5日制が導入され、学習指導要領で学ぶ内容が減らされた「ゆとり世代」の学生。同会は「科学技術立国を目指す国として由々しきことだ」と懸念している。
昨年4~7月、国公私立48大学の1年生を中心とした5934人を対象に、統計や論理など5分野の基礎的数学力を調査。偏差値ごとに国立3、私立4の計7グループに分けて正答率を比較したほか、偏差値は関係なく学部別でも分析した。
その結果、身長を題材に平均の定義とそこから導かれる結論を求めた設問の全体の正答率は76.0%だった。東京大など最難関国立大グループの正答率は94.8%と高かったが、偏差値50以下の私立大グループは51.2%。理工系学生でも82.0%にとどまった。
文章を読ませて確実に言えることは何か、と論理力を問う問題の全体の正答率は64.5%。最難関国立グループは86.5%だったが、偏差値50とそれ以下の私大2グループは50%を切った。