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物価下落時の『マクロ経済スライド』による給付減額に向けた法制見直しの見送り

2015-03-09 08:01:47 | 社会・経済

 今年4月からの、マクロ経済スライドによる年金給付額減額実施に向けた法制見直しが見送りとなりました。(2015.02.22)
 マクロ経済スライドとは、給付額見直し時の社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

 2004年(平成16年)に法制化された「マクロ経済スライド」は、5年に1度の財政検証(年金額の見直し)を行うにあたって、物価(賃金)が上昇したときには、その上昇幅より少ない幅で増額し、物価(賃金)が下落したときには、その下落幅を限度として減額して新たな給付額を決定することを原則としています。

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 現在の法令では“物価(賃金)が下落したとき”の措置は発動しないようにされていますが、政府(厚生労働省)は今年4月からの年度においてこれが実施できるように法改正を求めていました。
 しかし、今春は統一地方選挙が控えており、年金受給者である高齢有権者の反発を危惧する政権与党(自民党&公明党)の理解を得ることができず、国会に法制見直し案を提出することができなかったようです。

 理由はどうであれ、年金受給者が不利益を被る制度への移行が一時的にしろ先送りされたことは受給者にとって喜ばしいことだと思います。厚生労働省の見直し案が今後成立したとしても、実施は最短で5年後(平成31年)の財政検証まで引き延ばされることとなるのではないでしょうか。

<財政検証の時期>

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 上述したマクロ経済スライドによる年金給付額の減額のほか、給付額を増やすことを目的とした、『基礎年金の保険料納付期間を5年間延長』する案も、国費としての財源不足を理由に見送られました。

 なお、これらの見送られた2案のほかに、厚生労働省から自民党のプロジェクトチームに提出された下記の改正案4件は法案として今国会に提出される見通しです。
①500人以下の企業のパート社員でも、労使の合意があれば厚生年金に加入可能。
②国民年金加入者の産前・産後の保険料免除。ただし、保険料を月100円上乗せし、財源を確保。
③賃金が大幅に下落したとき、物価ではなく賃金に連動して年金給付額を減額。
④国民年金の保険料を過去10年分納入できる特例措置(時効による未納保険料の後納制度:国民年金法 第94条)の期限(平成24年10月から平成27年9月までの3年間に限り)を一年半延期。→2017年3月までに延長

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【関係サイト】

 ○ 厚生労働省「マクロ経済スライドってなに?」

 ○ 日本年金機構Hp-国民年金保険料の後納制度

 ○ 国民年金法

 ○ 国民年金法施行令

 ○ 国民年金法施行規則







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