ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)

 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。

 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。

 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)

 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

アレルギーが悪化傾向なのは何故か (4) 広義のアレルギー

2013年09月24日 |  症例(その他)

 前回(ココ)は脱線したまま終わってしまったので、直ぐに本題に入ろう。今回は、アレルギーには幾つかの型があるという話である(本来は初回の一般論で取り扱うべき内容と思いつつ眠たいので省略してしまったが、次回の記事の前に書かざるを得なくなり必要に迫られ仕方なく・・・)。


 免疫による異物の処理方法は、大きく二つに分類できる。液性免疫(あるいは体液性免疫)と細胞性免疫である。どちらの方法にも処理の得意分野があるので(この辺りを少し解説した過去記事は 交感神経の緊張と自己免疫疾患(膠原病) 2012/6/3)、異物の処理が滞る場合、液性免疫系が滞ることもあれば、細胞性免疫系が滞ることもあるだろう。

 アレルギーとは体内で異物の処理に支障を来たした際に起こる免疫応答と理解する立場からすると、異物の処理方法の種類と同じ数のアレルギーの種類がありそうだということとなろう。さすがに異物の処理方法を細かに分類すると訳が分からなくなるので、通常はアレルギーの方だけを4つに分類することが多い(I型、II型、III型、IV型)。


 このシリーズのこれまでの記事でアレルギーと言えば、4つの内で最も馴染み深いと思われるI型アレルギー(即時型アレルギー、アナフィラキシー型アレルギー。いわゆる狭義のアレルギー)であることを暗黙の前提にしていたことが多かったのである。

 アレルギーの分類の解説について少し分かり易いものは、例えばサイト「管理薬剤師.com」の次の記事を参照してほしい(長いので引用省略)。

アレルギーの種類(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ型アレルギー)
http://kanri.nkdesk.com/hifuka/yougo27.php


 とはいえ少し気が引けるので、超短くまとめておこう。I型アレルギーというのは、液性免疫が関与するアレルギーのうち、特にIgE抗体がからむものを指している。このアレルギーは、早ければ即座に遅くとも数時間以内に症状が出るので即時型アレルギーとも、あるいはアナフィラキシー症状をもたらすのでアナフィラキシー型アレルギーとも呼ばれている。代表的なものとしては、蕁麻疹を考えてもらえばよいだろう。gooヘルスケアから、

じんま疹<アレルギー疾患>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S11200.html


 液性免疫が関与するアレルギーには、I型のほかに、II型アレルギー(細胞障害型アレルギー)及びIII型アレルギー(免疫複合体型アレルギー)がある。(II型はこのシリーズでは余り扱わないだろうし、III型は多分別の機会にということで、この辺で・・・)

 他方、細胞性免疫が関与するアレルギーもある。これはIV型アレルギーと呼ばれているが、即時型とは違い症状が出現するのに1日とか2日の時間を要するため、遅延型アレルギーと呼ばれている。代表的なものは、アレルギー性接触皮膚炎(あるいは接触性皮膚炎)であろう。gooヘルスケアから、

アレルギー性接触皮膚炎
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S11300.html


 こんなに短くしてしまうと理解不能かもしれないので、「広義のアレルギー」の解説について、他力本願でかなりマニアックにいくと、厚労省のサイト内の「平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト」(目次はhttp://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/jouhou01.html)から、

第1章 アレルギー総論
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-17.pdf (pdfファイル)

1. アレルギーの定義

・・・現在のアレルギー・免疫学の進歩から照らしてみると、次のように定義できるであろう。すなわち、「(広義の)アレルギーとは免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害である」。そして“(広義の)アレルギー”は、血中抗体による液性免疫反応に基づくアレルギー(後述のGellとCoombsのⅠ、Ⅱ、Ⅲ型アレルギー)と感作リンパ球による細胞性免疫反応に基づくアレルギー(GellとCoombsのⅣ型アレルギー)に大別される。“アトピー”は厳密には液性免疫反応に基づくアレルギーのうちのⅠ型アレルギーすなわちIgE関与のアレルギーを指すが、“(狭義の)アレルギー”と同義語として使用する場合もある。“アナフィラキシー”は上記Ⅰ型アレルギー反応に属し、全身の各標的器官でアレルギー反応を起こして全身症状の発現をみるものである。 [5頁]


3. アレルギーの分類(表2)

 アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellular immunity)と大別される。 [7頁]




 4つのタイプのうち、このブログ記事に関係しそうなI型、III型、IV型をみておくと、少し専門用語が多すぎるかもしれないが、

[Ⅰ型アレルギー]
 Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギー、アナフィラキシー型とも呼ばれ、皮膚反応では15分から30分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示す。関与する免疫グロプリンはIgEであるが、一部IgG特にIgG4(short term skin sensitizing IgG: STS-IgG)も関与するといわれる。血中や組織中のマスト細胞および好塩基球上の高親和性IgEレセブター(FcεRI)と結合したIgE抗体にアレルゲンが結合することにより、マスト細胞、好塩基球からヒスタミンをはじめとする種々化学伝達物質が遊離して各組織において平滑筋収縮、血管透過性亢進、腺分泌亢進などをきたしアレルギー反応が出現する。Ⅰ型アレルギー反応による代表的疾患にはアトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックなどがある。

  [中略]
 
[Ⅲ型アレルギー]
 Ⅲ型アレルギーは、免疫複合体型またはArthus型とも呼ばれ、可溶性抗原とIgGまたはIgM抗体との抗原抗体結合物いわゆる免疫複合体(immunecomplex)による組織傷害である。皮膚反応では皮内注射後3~8時問で最大となる紅斑・浮腫を特徴とする炎症反応を示す。生体内でつくられた免疫複合体は、補体を活性化することにより、C3aやC5aを産生してアナフィラトキシン(anaphylatoxin)としてマスト細胞や好塩基球からのvasoactive amine遊離を起こし、血管透過性亢進、平滑筋収縮などのⅠ型アレルギー様の反応を惹起する。C3a、C5aは、また好中球遊走因子(chemotactic factor)として好中球を組織局所に集め、その好中球が免疫複合体を貪食することにより種々蛋白分解酵素の分泌、活性酸素の放出をきたし、組織傷害性の炎症を起こす。Ⅲ型による疾患としては血清病、SLE、RAをはじめとする諸種自己免疫疾患、各種糸球体腎炎、過敏性肺炎(Ⅲ+Ⅳ?)さらにアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(Ⅰ+Ⅲ+Ⅳ?)などがあげられる。

[Ⅳ型アレルギー]
 Ⅳ型アレルギーは遅延型アレルギー、細胞性免疫、ツベルクリン型とも呼ばれている。皮膚反応では、抗原皮内注射24~72時間後に紅斑・硬結を特徴とする炎症反心を示し、反応が強い場合は潰瘍を形成することがある。本反応は感作T細胞と抗原との反応により、感作T細胞からサイトカイン(cytokines)が放出され細胞傷害を起こす。また、K細胞(killer Tまたはcytotoxic Tcell)によるウイルス感染細胞、腫瘍細胞、移植組織片に対する直接傷害も含まれる。Ⅳ型には液性抗体や補体は関与しない。Ⅳ型による疾患としては、アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(?)、過敏性肺炎(Ⅲ+Ⅳ?)などがあげられ、さらに結核性空洞、癩やサルコイドーシスの類上皮細胞性肉芽腫病変、天然痘・麻疹の発疹などもⅣ型反応と考えられている。 [7-8頁]


 このアレルギーの分類(いわゆるクームス分類)は、現状厳密にできるわけではない。その点は、上記の解説に所々「?」と表記されていることからも読み取れるだろう。例えば、アトピー性皮膚炎は、I型とIV型の混在したものと理解されていることが多いと思われる。

 別の例をみておけば、花粉症は、一般にはI型アレルギーと解されているとみられるが、その詳細にみれば即時反応部分と遅延反応部分とがあり、細かく言えば、僅かにIV型も混在しているとみるのが妥当であろう。この点については、三好耳鼻咽喉科クリニック(宮城県所在)のサイトから、

3. スギ花粉症はどうしておこるのか?
http://www.3443.or.jp/book/book_sugikafun/sg0603.htm (図1の「即時相反応」・「遅延相反応」の流れを参照)


 さて、アレルギーの概念を広げてしまったので、振り出しに戻る必要があるだろう。IV型アレルギーは、何故悪化傾向にあるのだろうか(上述したようにIII型は別途、II型はパスということで・・・)。

 アレルギーとは体内で異物の処理に支障を来たした際に起こる免疫応答と理解する立場からすると、

●の影響 →免疫力の低下 →異物の処理に支障 →意図的な免疫バランスの崩れ →不快な症状

という流れがあると推測され、悪化傾向だろうと考えられる。

 この辺りを生物学や分子生物学の知識と結び付けて説明したいところだが、ちょっと難解で歯が立たないので、宿題ということで・・・。この点が難解な理由は、液性免疫が関与するアレルギーが3つに分類されたと同様、細胞性免疫が関与するアレルギー(IV型アレルギー)も更に細かく分類でき、考えていくと訳がわからなくなってしまうからである。例えば、ウィキペディア日本語版から、

アレルギー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC

IV型アレルギー

  [中略]

 近年、免疫学の進歩により細胞性免疫によるIV型アレルギーも責任免疫細胞によって細分類されることがある。しかし細分類してもマネジメントは変化しない。

IVa型
    Th1細胞とマクロファージによる反応でありツベルクリン反応、接触性皮膚炎がこれに含まれる。
IVb型
    Th2細胞と好酸球による反応であり気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蛋白誘発性腸炎が含まれる。
IVc型
    CD8+T細胞による反応であり接触性皮膚炎が含まれる。
IVd型
    T細胞と好中球による反応でありベーチェット病などが含まれる。

 
 最後に、尻すぼみで終わるのもアレだし、IV型アレルギーにも触れられることになったので、最後に、少し前に報道されていた接触皮膚炎(接触性皮膚炎)を取り上げておこう。今年は猛暑だったので例年より増えただろうけど、理由は多分それだけではないのではないか。MSN産経ニュースから、

汗による接触性皮膚炎 通気の良い衣服と適度な保湿
2013.7.2
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130702/bdy13070207250003-n1.htm (全3頁)

 吉木[伸子・よしき皮膚科クリニック銀座院長]によると、あせもは、スポーツなどで急激に大量の汗をかくことで汗腺(汗が通る管)が詰まり、皮膚の下に汗がたまって発症する。大人に比べて体温が高く発汗しやすい子供に多く見られ、できやすいのは首や肘の内側、膝の裏側などだ。

 一方、「汗による接触性皮膚炎」は、服などで密閉された体の一部分に汗がたまって現れる「かぶれ」のこと。男性の場合はワイシャツの襟元やズボンのベルト部分などに、女性の場合は下着のゴムなど締め付けられている部分にそれぞれできやすい。

 症状は、皮膚の赤み、ざらつき、ポツポツとした湿疹など。激しいかゆみのため、仕事などに集中できない人もいる。女性の場合、蒸れやすいデリケートエリア(陰部)に接触性皮膚炎を起こしているケースもあるという。

 吉木院長は「特に40代以降になると、皮膚が薄く弱くなり、汗に含まれる塩分などの成分が刺激となり、『かゆみ』や『かぶれ』の症状が出やすくなる傾向があるようです」と指摘する。


 仮にアレルギーの悪化傾向が生じ難い体質の人がいたとしても、●の影響は早期老化を招くため「皮膚が薄く弱くなり」易いだろうし、「汗に含まれる塩分」には3.11前とは違った成分が含まれている可能性があるだろう。

 おまけで噂話だと、この辺りが汗による接触性皮膚炎の悪化が疑われる例だろうか。某掲示板の緊急自然災害板から、

442 名前:地震雷火事名無し(大阪府) 投稿日:2013/09/02(月) 16:09:18.83 ID:rMxYPsey0
  胸の谷間や下乳のあせもなのか湿疹なのか  
  痒くて仕方ない
  掻きこわして傷だらけ
  もっと汗をかいていたはずの学生時代でも、
  ていうか去年まで、こんなこと一切無かったのになあ
  汗から悪いもんが出てるんだろうか

  頭皮も湿疹酷くて定期的に皮膚科にかかってるんだが、
  一緒に診てもらうのも場所が場所だけに渋ってしまうわ
  同じ薬でいいかな…

443 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区) 投稿日:2013/09/02(月) 16:20:50.65 ID:euI1tRML0
  汗かいたら早めに洗い流すかふき取るかして
  保湿ローションでも塗って対策するしかないね
  ステロイドはあんまおすすめしないよ

  免疫力低下して
  汗アレルギーになったのかもね

455 名前:地震雷火事名無し(茸) 投稿日:2013/09/02(月) 17:47:17.64 ID:Yj4SU3hk0
  >>443
  汗アレルギーとかなんじゃそら!
  汗かくことが悪みたいな表現は逝く無いと思うお

456 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区) 投稿日:2013/09/02(月) 18:09:38.01 ID:euI1tRML0
  >>455
  いや、そういう診断をくだされたんですよ皮膚科でね
  汗と紫外線アレルギーだって
  毎年夏でも外でサッカーやりまくってたのに
  昨年の夏一気に全身に湿疹出たからね
  今年は注意してたから、なりそうな気配はあったが出ていない
  まぁきっかけは間違いなく内部被曝の免疫低下だと思うがね

458 名前:地震雷火事名無し(dion軍) 投稿日:2013/09/03(火) 02:06:07.30 ID:LH5LtmOS0
  >>455
  被曝でアレルギーが悪化したりするらしいし、
  アトピー系の人は、自分の汗にアレルギーを起こすこともありえるらしく、また、
  汗に溶け出た金属にアレルギーを起こしているのかもしれない。

  >>442の人は、ブラにワイヤーでも入っているなら考えた方がいいだろうし、
  アトピー系なら、脂質とり過ぎだろうからその取り方を考えた方がよいのかもしれない。

  >>456
  「紫外線アレルギー」があるなら「ガンマ線アレルギー」もありそうだが、どう区別しているのだろう。


459 名前:地震雷火事名無し(東日本) 投稿日:2013/09/03(火) 03:27:54.30 ID:QrO6dOsR0
  >>455
  汗は、身体のいらない物質を出すおしっこのような作用がある。
  そういうものが肌に残れば、痒くもなる。

  逆に、そこで洗い流してしまえば、毒物がぬけてすっきり。

  ところが最近は、水道水が慢性的に汚染されている。
  水道水で洗うと、悪くなる。
  できれば、ペットボトルの天然水を。


アレルギーが悪化傾向なのは何故か (2) 免疫増強(アジュバント)作用

2013年09月18日 |  症例(その他)

 早速詰まってしまったのでお茶を濁しておこう・・・

 前回(ココ)は途中でぶった切りのようになったので、おさらいから。

 アレルギーは、体内で異物(異種のタンパク質)の処理に困ったときに起こる正常より過敏な免疫反応だろう、という点に触れた気がする。この点は、多分松本仁幸氏(漢方科 松本医院院長)の言説だっただろうか(うろ覚え)。同医院(大阪府所在)のサイトから、

漢方科 松本医院について
http://www.matsumotoclinic.com/index.html

アレルギーとは何でしょうか?

 アレルギーとは環境汚染物質を体内から排除する働きであります。何故アレルギーは増えたのでしょう?環境を汚染する農薬をはじめとする化学物質が極めて多く作り出されるようになったからです。実はリウマチもアレルギーのⅢ型であります。


 このように理解するならば、タイトルに掲げた疑問はわりと簡単だろう。何故なら、●の影響によって全身で免疫力の低下が起きることから体内での異物の処理能力も落ちることになり、処理に困る機会が増え易いからだ。

 この議論だと納得する人も少ないだろうから、この点を少し免疫学の知識で述べれば、前回でも触れた流れになるだろう。この点は、●の影響には、アレルゲン(抗原)に対する免疫応答を刺激する性質があるとも言えるだろう。

●の影響 →酸化ストレスの亢進 →Th1/Th2バランスをTh2型優位へ誘導 
→Th1/Th2バランスを回復できず →易アレルギー性


 さて今回は、この辺りのことを免疫学の概念(アジュバント)を使ってもう少し整理しておこう(●の影響の話でなく言葉遊びになりそうな予感が・・・)。

 用語の定義については、サイト「kotobank」から、

アジュバント
http://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%88

(1) 広く薬物などの活性を補助する物質,混合物.
(2) 免疫補助剤,免疫アジュバント,免疫助成剤ともいう.免疫応答を非特異的に刺激する物質.・・・


 「アジュバント」は、ワクチンの効果を高める目的で添加される物質を示すことに使われる機会が多いようなので、これに引っ張られた定義が多いようだが、もう少し一般的にいえば、

抗原に対する免疫応答を増強させる物質(免疫増強物質)

というのことであり、これから派生させれば、

「抗原に対する免疫応答を増強させる作用」が「アジュバント作用(免疫増強作用)」、
「抗原に対する免疫応答が増強する現象を引き起こすこと」が「アジュバント効果(免疫増強効果)」

ということに多分なるのだろう。そうすると結局、

●の影響は、アレルギー疾患の増加にアジュバントとして関与している
あるいは
●の影響にはアジュバント作用がある

というようにまとめることができるだろう。中々短く覚え易くなるのである。


 言葉遊びはこれ位で御仕舞いにして(記事もここで御仕舞いにしたい位眠いのだが・・・)、とりあえずアジュバントの具体例を眺めておこう。アジュバントと言えば、最近だとワクチンの話がタイムリー(適時)という気がするけど長くなりそうなので別の機会にすることとして、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎、同結膜炎)らしきものの話でみておこう。

 行きがかり上、疑わしい例の方を先にあげておくと、某掲示板の緊急自然災害板から発掘しておくと、

877 : 地震雷火事名無し(関東・甲信越)[] 投稿日:2011/12/05(月) 13:35:30.84 ID:SzMF8c/eO [1/2回(携帯)]
  くしゃみ・鼻水・目の痛がゆさ・咳・痰が止まらない
  症状出始めたのが瓦礫燃やし始めた時期と一致する@中央区

880 : 地震雷火事名無し(関東地方)[] 投稿日:2011/12/05(月) 13:55:10.22 ID:PuevlomOO [1/2回(携帯)]
  >>877さんのご近所だけど、家族みんな先週の金曜日頃からやけに体調悪いよ。
  311後からずっといろいろ気を使ってるし、西へ避難もしたりしてなんとかやってきたけど、ここ最  近のダルさは半端ない。身体中痛いわ手はしびれるわ、うっかりミスが多くなった。
  今日はなぜか少し良くなった。

882 : 地震雷火事名無し(関東・甲信越)[sage] 投稿日:2011/12/05(月) 14:31:32.34 ID:SzMF8c/eO [2/2回(携帯)]
  >>880
  自分は花粉症なんだけど、アレルギーのない弟も鼻水と咳が出てる
  風邪薬飲んでも鼻炎薬飲んでも症状が治まらない
  杉本彩は咳のし過ぎで肋骨折れて京都に引っ越すらしい

885 : 地震雷火事名無し(中国地方)[sage] 投稿日:2011/12/05(月) 18:39:12.46 ID:HoF5oPZp0 [1/1回(PC)]
  ブタクサの花粉だってベクレてるよね?

915 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2011/12/05(月) 23:16:28.34 ID:9t4NtXvT0 [2/2回(PC)]
  >>885
  多分。
  ベクレる原因の放射性降下物も、花粉症を悪化させる(花粉症のアジュバントである)可能性が高い
  (アジュバント:抗原と混合して生体に投与されたとき、その抗原に対する免疫反応を非特異的に増強する
  作用を持つ物質)。

  なぜなら、ディーゼル排気微粒子(DEP)は、花粉症のアジュバントとされている。

   アジュバントが凶悪化させた“都会の花粉”が“田舎の花粉”よりヤバイ理由~もっと知りたい花粉の話
   2010年12月27日
   ttp://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20101221/1033996

  他方、DEPの健康被害は、主としてそれが活性酸素を生成するためらしい。

  論文紹介:Biological Effects of Diesel Exhaust Particles. I. In Vitro Production of Super oxide and In Vivo Toxicity in Mouse. (1993)
   ttp://www.nies.go.jp/kanko/news/13/13-5/13-5-05.html

  以上の2点から考えると、生体内で活性酸素を産生する放射性降下物も、DEPと同様に考えられる。
  アジュバント効果がある場合には、従来症状のなかった人(>>882)でも・・・  


 とりあえず、上記の最後のレスで言及された2つの記事をみておこう。1つ目は、3.11前のもので花粉症に関連した日経トレンディの記事から、

アジュバントが凶悪化させた“都会の花粉”が“田舎の花粉”よりヤバイ理由~もっと知りたい花粉の話【第1回】
2010年12月27日
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20101221/1033996/ (全文6頁)

「アジュバント」で都会の花粉が凶暴化!

 なぜ、そんなことが起こるのか?
 理由は、“都会の花粉”に「アジュバント」と呼ばれる物質が付着・吸着するからだという。

  [写真省略]田舎のスギ花粉(左の写真)に比べて、都会の花粉(右の写真)には、
       花粉以外の物質が多く付着している。これが「アジュバント」と呼ばれる物質だ。[1頁]

   [中略]

 高野領[筑波大学大学院教授も務める独立行政法人国立環境研究所環境健康研究領域の域長]の話によると、アジュバント物質の代表格であるディーゼル粉塵の花粉症への影響については、1980~90年代に指摘され始めたという。 [2頁]
   [中略]

 そう高野領域長が説明するように、「アジュバント(Adjuvant)」とは、抗原と一緒に生体に投与することで、投与した抗原に対する免疫応答(反応)を増強する物質。ラテン語の「adjuvare(助ける)」に由来し、「抗原性補強剤」とも呼ばれている。

「ですから、アジュバントとは、もともとアレルギーを念頭に置いた言葉ではありませんでした。ただ、今はもう少し広い意味で『アレルギー反応(免疫応答)をより活性化する(強くする)作用があるもの』という形で使われています」(高野領域長)。 [3頁]


 ここでは、ディーゼル排気微粒子(diesel exhaust particles、DEP。いわゆるディーゼル粉塵)が花粉症のアジュバント物質の代表格として位置づけられている。

 2つ目は、国立環境研究所のサイトから、DEPと喘息の関連を扱ったものだが、

論文紹介(ディーゼル排気ガスの生体への影響について) (1994年度 13巻5号)
http://www.nies.go.jp/kanko/news/13/13-5/13-5-05.html

 私[嵯峨井 勝氏]たちは,DEPを懸濁液として,マウスに気管から肺の中に投与すると,1.0mg DEPですべてのマウスが死亡し,この死因は肺水腫という肺の血管の内側をコーティングし,水分が血管外に漏れないように働いている「血管内皮細胞」が損傷を受けることによることを見いだした。この細胞は活性酸素に非常に弱い細胞である。・・・

   [中略]

 このようなことから,DEP の細胞毒性の本体はこのヒドロキシラジカルをはじめとする活性酸素であることが判明し,これまで考えられていたこととは異なる様式で毒性が発現する機序があることを明らかにすることができた。

 その後の研究により,少量のDEPをマウスに1週間に1回ずつ繰り返し気管内に投与すると,ぜん息の3つの基本病態すべてが発現することが分かり,活性酸素消去酵素(SOD)を投与しておくと,上記病態が発現しなくなることも認めた。さらに,DEPから生じるヒドロキシラジカルは DNA 損傷を起こすことや,DEP 投与によるマウスの肺がん発生は活性酸素消去物質の投与で著しく低下する傾向があることも認めた。このように,本論文は,ディーゼル排気ガス中の粒子状物質であるDEPから生じる活性酸素が広く肺疾患の発症に関与していることを示す私達にとって記念すべき論文となった。(強調は引用者)


 なお、●の影響と酸化ストレス(活性酸素)の関連については、過去記事をどうぞ(電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9)。


 最後に、花粉関連の2012年シーズンの報道を東京新聞から、

スギ花粉のセシウム 林野庁試算「ごく微量」
2012年4月17日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/nattokuqa/list/CK2012041702000161.html

Q 今シーズンの調査方法は?

A 福島県内は原発に近い双葉郡や南相馬市などを中心に百三十二カ所、他は青森から静岡までの十五都県五十カ所の計百八十二カ所のスギ林で、立木の枝葉を切り落とし、花粉が入っている雄花を採取してセシウム濃度を調べた。

 最も高かったのは、福島県浪江町のスギ林の雄花で、一キログラム当たり二五万三〇〇〇ベクレル(空間線量は一時間当たり〇・〇四ミリシーベルト)。福島県以外での最高は、栃木県矢板市の同一六四〇ベクレル(空間線量は未調査)だった。 (強調は引用者)


 「スギ花粉容器説」を考える前提は満たしていると思われるような数値といえるかもしれない。また、2013年シーズンについては、林野庁のサイトから、

スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について
平成25年2月8日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kenho/130208_2.html

 農林水産省は、昨年度に引き続き、スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度を調査しました。
その結果、放射性セシウム濃度の最高値は平成23年度の3分の1程度のスギ雄花1キログラムあたり約9万ベクレルでした。・・・(強調は引用者)


 おまけで噂話をツイッターから、

@manukahany 6月16日
@snoopymaygon @etosha0824 @onodekita 近所の長年お世話になっている耳鼻科の先生が「今年は、いつもと違う花粉症が多くて、毎日朝から晩まで診察。疲れたよ。」と言ってました。とても儲かったので、クルマ買い換えました。その先生。関東です。 (強調は引用者)


アレルギーが悪化傾向なのは何故か (1) 一般論

2013年09月15日 |  症例(その他)

〔更新履歴:9/21追記〕

 台風来たりて、3回休んで振り出しに戻り・・・


 適当に書き出してはみたものの、構成が悪いと同じことが何度も出てきて手間になりそうなので少し軌道修正して、振り出しに戻り書き直し。(スミマセン)


 先ずは、アレルギーとは何かというあたりから始めると、サイト「kotobank」から、

アレルギー
http://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC

 抗原にさらされた時、個体が正常よりも過敏な反応を起こし、組織障害を起こした状態。過敏症ともいう。アレルギーの原因になる抗原をアレルゲンという。・・・


 風邪で鼻水が出たというのは、病原菌・ウィルス(抗原)に対して免疫反応が起きているからで、それは鼻粘膜の障害の一つにあたるのだと思うが、これは正常な範囲だろうから過敏とはみなされないであろう。他方食パンなどの小麦製品を食べたら蕁麻疹が出たというのは、正常とはみられないだろう。(それでは、仮に一億総花粉症になってそれが常態化したらアレルギーでなくなるのかと混ぜっ返すこともできそうだが、そこは、海外にも日本人が沢山いるのでありそうもない、とかわしておこう。)

 
 アレルギーが何故起きるかというと、体内に取り込まれるのが増えてきた異物の処理に困ってしまった場合が多いのではないだろうか。例えば花粉症の場合は、花粉の処理が面倒になったのか鼻水を出して花粉を流し、目をしょぼしょぼさせて入ってくる量を減らしていると考えることができるだろう。このような状況なら、不要不急の外出を控えることもあるだろう。また、気管支喘息も似たようなものといえるだろう。(しかし、目の「しょぼしょぼ」と「しばしば」の違いを述べよと混ぜっ返されると、返答に困りそう。)


 次に、アレルギーの一般的な解説については、gooヘルスケアから、

アレルギーの治療法 - 分類ごとの病気の概論
http://health.goo.ne.jp/medical/read/desease/2802.html

アレルギー疾患の現況

 アレルギー疾患に悩む人は、近年世界的にも著しく増えています。日本の厚生省(当時)アレルギー総合研究事業の全国調査(1992~1997年)によれば、何らかのアレルギー疾患をもっている人は乳幼児で28・3%、小・中学生で32・6%、成人で30・6%と、ほぼ3人に1人という高率であることが報告されています。すなわち、日本には3000万~4000万人の患者さんがいると考えられます。

 しかし、アレルギー疾患が注目されるようになったのは、ここ30年くらいのことです。たとえばスギ花粉症は1960年代半ばに初めて報告されたのですが、今では全成人の25%を超す高い有症率とされています。また患者数の増加は現在でも続いており、近い将来には全国民の50%以上が、アレルギー症状に悩む可能性もあります。


 「スギ容器説」といのもありかという気もしてくるが・・・。妄想はさておき、有名どころのアレルギーを列挙しておくと、

食物アレルギー<アレルギー疾患>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S10100.html
 消化管アレルギー
 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10161300.html

気管支喘息<アレルギー疾患>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S10800.html

アレルギー性鼻炎<鼻の病気>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10C20900.html
アレルギー性結膜炎、春季カタル
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10A20600.html

アトピー性皮膚炎<子どもの病気>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/101D0200.html
成人のアトピー性皮膚炎
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10O10500.html

9/21追記:
じんま疹<アレルギー疾患>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S11200.html

 
 次にここでは、アレルギーが悪化した例をチェルノブイリの事例などからあげていくべきだろうが、少し時間がかかりそうなので、この点は別の機会にすることにしよう。とりあえず、●の影響下ではアレルギーが悪化傾向にあるものとして仮定して話を進めていこう(タイトル自体が既にその前提なので・・・)。とはいえ、一つだけ関連の過去記事を思い出したので紹介しておくと、

大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (6) アレルギー(3歳児) 2013/1/14


 さて、アレルギーの悪化傾向は、どのようなメカニズムで起こるのであろうか(今回は少しマニアックな内容だけでお仕舞いになってしまいそうだな・・・)。

 結論を先に書いておけば、

●の影響 →酸化ストレスの亢進 →Th1/Th2バランスをTh2型優位へ誘導
→Th1/Th2バランスを回復できず →易アレルギー性


という流れで易アレルギー性(持病のアレルギーが悪化し易くなり、あるいは新たにアレルギーになり易くなるという性質。易過敏性)に至るものと考えられる。


 用語の解説をしておくと、先ず「Th1」と「Th2」については、それぞれTh1細胞、Th2細胞のことで、いずれもリンパ球の一種であるヘルパーT細胞に属している(リンパ球は白血球の一種)。他力本願でいくと、例えばサイト「脂質と血栓の医学」から、

Th1細胞とTh2細胞
http://hobab.fc2web.com/sub4-Th1_Th2.htm

 リンパ球には、T細胞と、抗体(免疫グロブリン)を産生するB細胞とがある。
 T細胞には、さらに、単球・マクロファージから抗原を提示され、免疫反応を調節する、ヘルパーT細胞(CD4抗原陽性)と、ウイルス感染細胞などを傷害する、キラーT細胞(CD8抗原陽性)がある。
 ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞とがある。


 次に「Th1/Th2バランス」については、再度他力本願でいくと、「酒井医院」(長野県所在)のサイトから(その目次は http://homepage2.nifty.com/fwkx2334/link41.htm)、

Th1/Th2細胞のバランスの乱れ
http://homepage2.nifty.com/fwkx2334/link33.htm

・・・通常、両細胞は相互にバランスを保ち免疫応答を制御しているが、何らかの原因でTh2細胞が過剰になるとカビやダニに対するIgE抗体が産生され、アレルギー疾患が生じる。一方,Th1細胞が過剰になると自己免疫疾患を引き起こすといわれる。

 簡単にまとめると、ヘルパーT細胞は機能的にTh1型とTh2型に分けられる。Th1型は細菌やウィルスなどの異物を攻撃、破壊して感染を防御し、さらにマクロファージをも活性化する。Th2型はカビやダニなどに反応し、B細胞にIgE抗体を作らせる。この2つは、免疫全体のバランスを保つために互いにけん制している。つまり、Th2型がつくるサイトカインはTh1型の増殖を抑制し、Th1型のつくるサイトカインは、Th2型の活性を抑制する。従ってアレルギー疾患を防ぐためには、Th1型と2型のバランスが大切であることが理解できる。


 上述の流れに戻ると、最初の矢印については、従来から何度も出てきているので説明は省略しておこう。2番目の矢印については、酸化ストレス環境においては、Th1/Th2バランスがTh2優位になるという報告が多いとされている。医薬ジャーナル社のサイトの記事から、

序:各種疾患におけるレドックス制御とその異常
アレルギー・免疫 2005年5月号(Vol.12 No.5)
https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/dc8/index.php?trgid=14783

 近年,オゾン,二酸化窒素(NO2),ディーゼル排気などの増加による大気環境の変化,食生活や室内環境の変化に伴い,アレルギー性疾患の発生頻度が増加している。こうした生活環境の変化自体,それにより促進される体内での活性酸素・フリーラジカルの生成は生体に酸化ストレスを与え,アレルギー性疾患の発生を助長すると認識されている。最近,細胞内のレドックス環境が酸化方向に傾くと,Th1/Th2バランスがTh2優位にシフトするという研究報告が増えている。


 酸化ストレス環境下においてTh2型優位になるのは、多分酸化ストレスが亢進していると体内で小さな異物が増えるので、これを液性免疫系で処理するためだろうと推測される。

 仮に酸化ストレスの亢進によってTh2型優位になった場合でも、Th1型がそれに見合う形で増強されればTh1/Th2バランスは回復すると思われるが、アレルギー症状のある人は何らかの原因によりこの回復力に問題が生じているのであろう。

 この回復力に問題が起こるのは、●の影響が(全身性の)免疫力の低下を招くこととも関連しているのかもしれない。免疫力の低下により、例えば、●の影響がない場合に比べてTh1型の系統に余裕がなくなるのかもしれないし、あるいはTh2型の系統が弱くなるにつれTh1/Th2バランスの乱れが激しくなるのかもしれない。


 目がしょぼしばしてきたので・・・(つづく)


アレルギーが悪化傾向なのは何故か (*-1) アトピー性皮膚炎

2013年09月11日 |  症例(その他)

〔更新履歴:9/15出直しのためタイトル番号変更。〕

 

 引き続き涼しい感じなので順調に更新を・・・

 3.11後にアレルギーが悪化したり、あるいは新たにアレルギーの症状が出たりしたひとが多いようだ。事例については後で眺めることにして、そういう前提で話を進めていこう。

 と、書き始めたものの、何故悪化するのか考え方がまとまっている訳ではない。

 2年以上よく分からない問題として頭の隅にあり時々思い出すのだが、余り進展もなく結局よくわからないままなのである。最近では思い出すことも少なく、かつて調べたことも忘れつつある。ということで、分かってる事柄を中間報告的に書き留めておこうという趣旨である。

 中間報告と言い訳しつつ構成もいいかげんにして、扱い易い項目から適当に進めていこう。より良い構成を考えていたら、従来と同様に多分書き出さずに終わってしまうだろうから・・・


 書き易い項目ということで(大いに他力本願できるため)、今回は、アトピー性皮膚炎を眺めてみよう。これがアレルギー性疾患かどうは多少議論があるかもしれないが、その病態の一部にアレルギーが関与しいてることは間違いがないだろう。一般的な解説については、gooヘルスケアから、

アトピー性皮膚炎<子どもの病気>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/101D0200.html

原因は何か
 アトピー素因(アトピー体質)とは、気管支喘息(きかんしぜんそく)、アレルギー性鼻炎・結膜炎(けつまくえん)、アトピー性皮膚炎などの病気にかかりやすい体質のことをいいます。家系内にこれらの病気にかかっている、またはかかったことがある人が多く、また、ダニやハウスダスト(家のホコリ)、食物などの環境中のアレルゲン(アレルギー反応の原因となる物質)に対してアレルギー反応を起こしやすい体質のことを指します。
 このアトピー素因に加え、皮膚の易(い)刺激性、乾燥肌そして環境因子などが複雑に絡(から)みあって関与し、病変をつくっていると考えられています。皮膚の乾燥傾向が基本となり、そこにアレルゲンやさまざまな刺激が加わり、慢性の湿疹がみられます

症状の現れ方
 かゆみを伴った湿疹病変が慢性に経過し、左右対称性に分布します。年齢などにより湿疹のできやすい場所は違ってきます。・・・ (強調は引用者)


成人のアトピー性皮膚炎
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10O10500.html


 「皮膚の乾燥傾向が基本となり、そこにアレルゲンやさまざまな刺激が加わり」皮膚炎になるとあるので、乾燥肌という前提がある中で、アレルギーが皮膚炎の引き金を引くこともあるし、アレルギー以外の別の刺激が引き金を引くこともあるということだろう。

 この皮膚炎の状態にはいろいろあるようだ。その詳細については、「土佐清水病院」(高知県所在)のサイトから、

今のアトピーの状態とその名称~アトピーの程度を知る
http://www.tosashimizu-hospital.com/atopy/atopy_002.html

 アトピー性皮膚炎とひと口にいっても、軽症なものから重症なものまでさまざまです。患者さんはまず、ご自分のアトピーがどの程度か知る必要があります。

  [一覧表があるけど長いので省略]

 アトピーは、(1)丘疹 (2)紅斑 (3)結節性痒疹 (4)肥厚 (5)苔癬化の順で進行していきます。

 
 アトピー性皮膚炎の原因については諸説あると思うけど、現状では丹羽耕三氏(土佐清水病院院長。ペンネーム(?)で「丹羽靭負」(にわゆきえ)とされる場合もある)の言説を個人的に支持している。その詳細については、前出の「土佐清水病院」のサイトから(なお、アトピー関係記事の目次は、丹羽療法によるアトピー治療 http://www.tosashimizu-hospital.com/atopy/index.html)、

アトピーの主因は「活性酸素」である
http://www.tosashimizu-hospital.com/atopy/atopy_003.html

 しかし、実は、問題はこれから先にあります。活性酸素がどこまでも善玉ならば、その研究も専門家だけに任せておけばよかったのですが、活性酸素にはジキルとハイドのような二面性があり、しかも、活性酸素が悪玉の役割をも果たすように仕向けた犯人は、他ならぬ文明社会そのものであることが最近の研究で明らかになったのです。

 活性酸素が体内で増加し過ぎると、勢い余って自分の身体の組織をも攻撃するのですが、近年、活性酸素の過剰をもたらした正体は、薄くなったオゾン層を突き破る紫外線であり、無神経に乱用される放射能であり、病院で提供される医薬品などであります。

 また最近増加し続けている自動車による排気ガスは、製鉄工場でたかれる重油から発生するガスとともに大量の窒素酸化物を含み、 この窒素酸化物も体内で大量の活性酸素を発生させます。

 その他、塩素化合物、トリハロメタン、PCB、メチル水銀、マンガン化合物、カドミウム化合物などの工場廃液や、フェニルヒドラジド、クロラムフェニコールなどの医薬品も細胞の内外で有害な活性酸素を生み出します。

 この活性酸素の過剰が原因で起こる病気はアトピーをはじめ癌や生活習慣病など、 私たちの病気の80~90パーセントに及んでいるとさえいわれています。

活性酸素 + 脂質 = 過酸化脂質

これはとても重要な公式です。というのも″悪玉″活性酸素は非常に強力な代物ですが、作用時間が短く、作用部位も細胞の表面に限られています。これに対して、過酸化脂質は、強さはそれほどではありませんが、作用時間が長く、細胞の内部に浸透する性質をもっているからです。

 したがって、生体に実際に害を及ぼすのは、活性酸素そのものというよりは過酸化脂質のほうであろうと考えられるのです。 (強調は引用者)


 脂っこい物を多く食べるようになれば過酸化脂質が増えるし、体内で活性酸素が増えれば過酸化脂質が増えるということだろう。ここで思い出すべきことは、

●の影響 →酸化ストレスの亢進(活性酸素の増加)

という流れであろう(この点については過去記事 電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9 をどうぞ)。


 活性酸素が作用してできた過酸化脂質がどのように乾燥肌に繋がっていくのかというと、同病院のサイトから、

アトピーになる人とならない人の違いは何か?
http://www.tosashimizu-hospital.com/atopy/atopy_004.html

 活性酸素は不飽和脂肪酸と結びついて過酸化脂質となり、血管、臓器、皮膚組織に付着して徐々に生体に障害を与えてしまうのですが、アトピー性皮膚炎の患者さんの場合は、過酸化脂質が皮膚の最上層の角層に付着して皮膚の水分保湿機能を奪ってしまっているのです。


アトピーと乾燥肌という体質の関係
http://www.tosashimizu-hospital.com/atopy/atopy_006.html

 人間の皮膚は、皮膚の最上層の角層がしっかりしていると、皮膚の水分を外へ逃がさない仕組みになっています。このことで皮膚の湿度が保っていられるのです。これを角層の保湿機能と呼びます。しかし、アトピー体質の人は″Xerosis(乾皮症)″といって、この角層の保湿機能が弱く、角層の下にある皮膚の水分が角層を通って表面へ逃げ出してしまいます。そのために、アトピーの人は、乾燥肌をしており、症状が悪化すると、ますますこの乾燥肌が増悪してしまいます。

  [中略]

 もちろん、アトピーは体質性のものですが、環境汚染のなかった時代には、その体質だけで終わり、角層の保湿機能の低下という本質的な欠陥も軽い症状で済み、学童期の前には、この保湿機能の低下が回復して治癒していました。

 それが、環境汚染によって過剰な活性酸素が発生するにもかかわらず、活性酸素を取り除く体内のSODが、アトピー患者は体質的に少ないために活性酸素を取り除くことができず、脂と結合して過酸化脂質をどんどん作ってしまうのです。

 そのため、学童期までには回復するはずの角質の保湿機能が、実際には回復するどころか、どんどん作られる過酸化脂質によって、角層が破壊され、保湿機能の低下がますます進行して、アトピー性皮膚炎がさらに悪化するようになったと考えられます。


 なお、「SOD」とは、もともとは抗酸化酵素の一種(スーパー・オキシド・ディスムターゼ)のことだが、ここでは抗酸化物質一般の意味と思われる。


 過酸化脂質が皮膚の角質層に何故集まってるのかというと、それは過酸化脂質を体内で上手く処理できなくなったので、表皮から落屑(皮膚の表層が大小の角質片となってはげ落ちること)や分泌によって体外に出してしまいたいからだと理解できるだろう。この部分は多分、安保徹氏の言説だと思われる。「湯島清水坂クリニック」(東京都所在)のサイトから、

リバウンドはなぜ起きるのか - アトピー性皮膚炎 治療
http://yushima-s-clinic.com/index.php?%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E8%B5%B7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B

 アトピー性皮膚炎は、体内で分解できない化学物質、たとえば農薬や食品添加物、薬などの化学物質を皮膚から排出しようとする際に起こる、皮膚の炎症やかゆみが症状として現われます。

 体内で分解できない化学物質の多くは、分子量が小さいために、それ自体が抗原(アレルゲン)と認識されるわけではありません。分子量の大きいたんぱくと結びつき、はじめて抗原と認識され、免疫機能が働くわけです。


 最後に、何度か出てきた「土佐清水病院」のサイトでは、3.11に関連して活性酸素が遺伝子を傷つけるメカニズムを解説している記事があるので紹介しておこう。

この夏休み、子供たちを土佐清水で過ごさせませんか
http://www.tosashimizu-hospital.com/top_topics/top_topics_110623.html


 また終わりそうもない新たなシリーズが始まったような印象を受けるが、多分気のせいだろう。


盲腸が増加しているのか?

2013年09月09日 |  症例(その他)

 少し涼しくなってきたので、少しぺースを・・・

 2020年五輪の東京招致が決定したようだが、さて後世の歴史家はこの出来事をどう評価するのだろうか。ちょっと興味が沸いてきた(過去の経緯は、ウィキペディア日本語版によれば、1936年に決定した1940年東京五輪は1938年に開催返上、1959年に決定した1964年東京五輪は無事開催らしい)。


 このブログ的にはどうでもよい話はおいといて、盲腸(虫垂炎)に関する噂話をみかけたのでメモしておこう。ツイッターから、 
 
@bunny_paw 9月8日
@onodekita 先月末から盲腸で都内病院に入院中。明日退院です。看護師さん曰く「うちの病院だけかも知れませんが八月は虫垂炎がすごく多かったんですよ」とのこと。昔からあるありふれた病気とはいえ、原因がいまひとつ明らかでないだけに考えちゃいますね。

@sobtomk
@bunny_paw @onodekita 311以降、知り合いが4人盲腸になりました。知り合いのなかでいえば、311前よりずっと増えてる感じです。

@sobtomk
@onodekita @bunny_paw 工作員の人たちの数がだいぶ減っているように思います。2年前くらいだったら、あのあと次から次へとコメントが来てうざかったのですが、今回はたった一人でした。 (強調は引用者)


 盲腸(虫垂炎)といって著名人で個人的に記憶にあるのは、この人。

岩上安身 @iwakamiyasumi さんの体調についての中間報告
2012-04-10
http://togetter.com/li/286337

ご心配を皆さんにおかけしているので、中間報告をしておきます。これまでの経過をかいつまんで言いますと、2月20日、福一入構取材の翌々日から、腹痛と下痢、その後、発熱にも見舞われ、虫垂炎との診断を受けました。5日間の絶食療法のあと、回復。虫垂炎は、一過性の病気かと思いましたが…
iwakamiyasumi 2012-04-10 21:29:30 (強調は引用者)


 最近の例だと、ブックマークを探すとこのあたりだろうか。

狩野英孝、虫垂炎で「危機直メン」芸人人生がけっ縁!?
2013/4/6
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20130406-OHT1T00028.htm

 3月17日に「急性虫垂炎穿孔(せんこう)限局性腹膜炎」の緊急手術を受けたお笑いタレントの狩野英孝(31)が5日、・・・仕事復帰した。狩野は「あと少し病院に行くのが遅ければ危険な状態だった」と、深刻な病状だったことを告白。・・・


 盲腸(虫垂炎)の解説については、gooヘルスケアから、

虫垂炎 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10G30400.html

虫垂炎とはどんな病気か

 虫垂炎は、虫垂に化膿性の炎症が起こる病気です。虫垂は、盲腸(もうちょう)(右下腹部の小腸から大腸につながった下の部分)の先に突き出た5~ 10cmほどの先端が閉じた突起物で、長さ6~8cm、太さは鉛筆程度です。虫垂は、リンパ組織が集まっているため、免疫に関与するともいわれていますが、少なくとも成人では不要と考えられている臓器です。
 虫垂炎は、一般には「盲腸」あるいは「盲腸炎」という通称で知られていますが、これは昔、虫垂炎の発見が遅れ、炎症が盲腸まで広がった状態で発見されたケースが多かったためです。
 急に激しい腹痛を訴え、外科的な治療を必要とする病気を総称して「急性腹症」といいますが、虫垂炎はそのなかでも最も頻度の高いもので、15人に1人が一生に一度この病気にかかるといわれます。虫垂炎の発症のピークは10~20代ですが、小児や高齢者も含めてどの年齢層でもみられます。男女差はありません。・・・ (強調は引用者)


 個人的な想定だと、●の影響下では虫垂炎が増加するものと考えており、そのメカニズムについては、

●の影響 →酸化ストレスの亢進→ 交感神経過緊張→ 顆粒球増多

に伴う粘膜・組織破壊の一種ととらえている。この点については、サイト「SOD-jpドットコム」の次の記事、及び過去記事 交感神経の優位と粘膜・組織破壊 (1) 2012/5/13 あたりを参照してほしい。

 
《3》胃潰瘍と活性酸素
http://www.sod-jp.com/page1/sikkanbetu/03/3-5.htm

『「ストレスと虫垂炎」 白血球の好中球、関係』 朝日新聞(95-09-20)

  この春、東京本社から大阪本社へ転勤になった同僚の女性記者が、夏に帰京した際、急性虫垂炎で入院した。関西での生活は初めてだし、単身赴任。仕事の内容も変わったのでさぞストレスも大きいだろう。しかし、ストレスで盲腸になるものだろうか。
 「そりゃ、十分考えられますよ」というのは、新潟大医学部の安保 徹教授(免疫学)。ストレスがかかると、交換神経が緊張し、白血球の代表格である「好中球」が増える。好中球は、体内に侵入してきた細菌などの異物を取り込んで消化する働きがあり、生体を守る重要な役割を担っている。


 最後に、今夏は猛暑だったので、多少割り引いて考える必要があるのかもしれない点を付け加えておこう。「湯島清水坂クリニック」(東京都所在)の記事から、

虫垂炎とリンパ球
http://yushima-s-clinic.com/index.php?%E8%99%AB%E5%9E%82%E7%82%8E%E3%81%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%91%E7%90%83

気圧と温度により症状が変わる
  [中略]

自律神経のバランスで虫垂炎も変わってくる
  [後略]


二重あごが最近増えているのか?

2013年08月13日 |  症例(その他)

 とあるテレビ番組のいかがわしさを幾つか指摘してきたのだが(カテゴリー「誤認誘導の疑い」を参照)、最近は同じような思いを抱く人が少し増えていたような気がしていた。最近みかけた例だと、ツイッターから、

@onodekita 7月24日
最近は、NHKが素人でもおかしいと思えることを平気で放映するようになってきた。

@Higashimaru
来週のためしてガッテンは「突然失明!?」だそうです。なんでもアリになってきましたね RT @onodekita 最近は、NHKが素人でもおかしいと思えることを平気で放映するようになってきた。

@onodekita
@Higashimaru そうですね。何でもありです。舞台裏では随分と気を遣っていたようですが、もういまさらどうでもいいんでしょう。視聴率さえとれれば。


 ついでに、ブログ「院長の独り言」の記事の方からも、

心臓病、失明、低身長、奇形・・隠蔽し続けるマスコミ
2013年07月25日
http://onodekita.sblo.jp/article/71335056.html

 健康被害と言えば、日頃からの刷り込みは大事です。健康番組として、一定の評価がある「ためしてがってん」・・ここもまた、被曝症状を教えてくれています。昨日の放映は・・

40代から多発!恐怖の「隠れ心臓病」2013年07月24日放送
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20130724.html


 このため、不可解なものがあれば誰かが話題にしてくれる状況に至り、同番組には少し興味を失いつつあったのだが・・・


 前置きはさておき、どうも噂話によると二重あごの人(多くは女性か)が増えているようだ。某掲示板の緊急自然災害板から、長くなるけど(今回は備忘録も兼ねているので)、

918 : 地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)[sage] 投稿日:2013/08/03(土) 21:17:19.65 ID:8ZhVJHJY0 [2/2回(PC)]
  今年の夏に急に二重あごになって、寝ると気道が圧迫される感じで気付いたんだけど、
  太ったりはしてないしむしろ食欲なくて痩せたけど老化かなあと思っていたら
  周りの女性達も軒並み二重あごになってる事に気付いた。
  痩せてる太ってる若い年寄り関係なく二重あごになってる人が増えてる気がする。
  今27時間テレビを見ていても痩せてるモデルやタレントの女の子達が二重あごになってる。
  甲状腺が腫れて首が太くなるっていうけど、二重あごも何か関係あるのかな?

922 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[sage] 投稿日:2013/08/03(土) 22:12:27.91 ID:0SEk75dz0 [1/1回(PC)]
  >>918
  わかる!千葉住みの友人がそんな感じ。なんか顔全体のお肉が
  下がってる感じ。老化かな?

923 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[] 投稿日:2013/08/03(土) 22:39:47.01 ID:wUiqX/h30 [1/1回(PC)]
  >>918
  関係があると思います。

  急増している恐怖の「夏太り」からおさらばできる方法
  http://diet.beauty.yahoo.co.jp/db/detail/711/?category=undou&from=category

925 : 地震雷火事名無し(大阪府)[sage] 投稿日:2013/08/03(土) 23:00:36.74 ID:Y1xQPO7M0 [1/1回(PC)]
  http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20130626.html
  ガッテンでも二重あごやってたか・・・

937 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/08/04(日) 03:04:25.74 ID:WZI1CX750 [1/2回(PC)]
  >>918
  >甲状腺が腫れて首が太くなるっていうけど、二重あごも何か関係あるのかな?

  関係あると思う。

  急に二重顎、首が太くなりました。 12/04/01
  http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2061556&sort=1

  >・・・老化かなあと思っていたら 周りの女性達も軒並み二重あごになってる事に気付いた。

  しかし、皆甲状腺が腫れているとも思えんので、皮膚が緩んでいるパターンもあり得る。
  これが「本命」で、>>631、>>633に関連かな。

  あと、女性の場合、可能性としては甲状腺のちょっとした異常で筋肉が緩んでいるパターンかもしれない。
  こちらは「対抗」で、これは>>925に関連かな。

  ついでに>>923に追加すると、>>551と>>561。
  >>551や>>923の線だと肥満のパターンで、その中でも中心性肥満かなという気がする。

940 : 937(東京都)[sage] 投稿日:2013/08/04(日) 03:11:31.80 ID:WZI1CX750 [2/2回(PC)]
  訂正追加しておくと、「筋肉が緩んでいる」のはセシウムさんの直接関与かもしれない。

(注) なお、500~600番台の関連レスは、以下のとおり。

551 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[] 投稿日:2013/07/29(月) 08:54:23.09 ID:1R3vv9uV0 [1/1回(PC)]
  夏に体重が増加する人は「栄養失調太り」の可能性
  http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130729-00000635-playboyz-soci

553 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[sage] 投稿日:2013/07/29(月) 09:20:39.51 ID:uKlsUMOa0 [1/2回(PC)]
  事故後の健康関係の情報工作がネットもテレビも酷すぎるな

561 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/07/29(月) 10:54:33.26 ID:C7VuHa5P0 [1/1回(PC)]
  >>551
  >三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質に加え、ビタミンやミネラルなど多様な栄養素をバランスよく
  >摂取できていない状態、それが栄養失調なのだ。

  これは、被曝の損傷の修復でいつもと栄養素の使われ方が違うからでないのかな。
  多く使われそうなものを補ってあげないといかんよな。
  記事にするなら、その点をもっと強調しないと落第。
  それに、フグシマの避難地域でも肥満が増えていたはずなんだけど・・・


609 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/07/30(火) 00:26:55.43 ID:XawI9hpZ0 [1/3回(PC)]
  カネボウ化粧品の皮膚障害は白班しか報道されてないけど
  蕁麻疹で顔が痒くて死にそうな人もいるみたいだぞ。

  またテレビは隠蔽してる。

617 : 地震雷火事名無し(九州地方)[] 投稿日:2013/07/30(火) 01:56:34.80 ID:yTbbePeB0 [1/1回(PC)]
  >>609
  内部被曝で血液おかしくなって
  圧加わって赤くなった部分修復できずにいつのまにか痛みのない痣
  または湿疹や蕁麻疹

  皮膚に根性なくなってるから
  これから皮膚に関する疾病もふえるかもな
  [以下略]

631 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/07/30(火) 10:23:35.84 ID:p0V6kJR30 [1/1回(PC)]
  >>617
  [中略]
  >皮膚に根性なくなってるから
  コラーゲン類の合成が阻害されるみたいだね(線維芽細胞への悪影響)。

633 : 地震雷火事名無し(新潟県)[sage] 投稿日:2013/07/30(火) 10:58:22.23 ID:kz7WG0fb0 [1/4回(PC)]
  >>皮膚に根性なくなってるから
  >コラーゲン類の合成が阻害されるみたいだね(線維芽細胞への悪影響)。

  これは本当にそう思う
  皮膚がなんだかやけにしわっぽいんだよね
  手の甲や腕の皮膚を指でちょっと押し上げてもシワシワーっと…
  おばあちゃんの肌みたいになってる
  コラーゲンたっぷりの手羽先やかすべをたらふく食べたいが
  どっちも汚染が怖くて無理…


954 : 地震雷火事名無し(北海道)[] 投稿日:2013/08/04(日) 12:56:10.49 ID:2Okje4gZ0 [2/3回(PC)]
  >>918
  311時、札幌ですらリンパ腫れて肺が痛くなったカナリア体質なんだけど、
  2012年の春頃に首が太くなったってたまに会う家族に何度も言われた。
  首は普通の人より細くて長めだからすぐに分かったんだと思う。
  元々顔が太りやすいタイプだけど、今まで首が太ったなんて言われたことない。
  今は元に戻って細くなってます。

967 : 地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)[sage] 投稿日:2013/08/04(日) 19:41:32.82 ID:vhbEGOm60 [1/1回(PC)]
  >>937
  どれも納得いく感じだけど、特にコラーゲンと筋肉の弛みがしっくりくる感じ。
  毎年夏には同じように食欲がなくなるのに、アゴ周りが弛んだのは今年だけだし。
  特にコラーゲンは実感がある。今まで緩く来ていた老化が事故後急降下しだした実感がある。肌の質感が全然違う。
  私一人がそういう年齢に差し掛かったというのではなくて、周りの女性達が若い子も年上も大勢が
  がくんと老けて来た。例えば若いのに法令線や目尻のシワがくっきりした子が多数いたり、突然おばあちゃんの
  肌のようにシワシワになった人がいたり。私は突然肌にハリがなくなって弾力のない感じになった。
  しょっちゅう会ってる人は気付きにくいけど、たまに会う人は会う度突然の老け込み度に吃驚する。
  特に何も気にせず外食してるっぽい人が酷い。話だけで判断してるから実際はわからないけど。
  最近は化粧品が進化してるから老化をごまかせたはずなのに、事故後はごまかせないレベルになってる気がする。

968 : 地震雷火事名無し(西日本)[sage] 投稿日:2013/08/04(日) 19:55:30.43 ID:TFClWAB9O [3/3回(携帯)]
  >>967
  分かります。化粧濃い若者も増えました。ホクロの目立つ若者も増えました。
  事故前には考えられなかった事です。
  化粧濃い若者は、明らかにシワ等を隠している。分かります。
  もう、明らかに日本の異変は起きていると思います。
  車の運転、歩道や広場等でも乱暴者やキレて怒る人増えました。


 長すぎたか。まとめておくと、ここで二重あごが増えている原因として挙げられていたのは、出てきた順番にみると次のとおりだろう。

(1) 甲状腺の腫れ
(2) 皮膚の劣化(たるみ、シワ)
(3) 筋力低下
(4) 肥満(中心性肥満)


 (1)については、甲状腺の異常の一種なので改めて解説するまでもないだろう。(2)については以下の後者の記事で、(4)については前者でそれぞれ触れる予定になっているので、別の機会に取り扱うこととしよう(このシリーズは1年近く前に2か月程度の予定で始めたのだから本来終わっているはずなのだが、なかなか終わらない・・・)。

・「『コルチゾール過剰症候群』 (9) 満月様容貌・中心性肥満」
・「『コルチゾール過剰症候群』 (13) 皮膚の萎縮」


 今回は、(3)について少し深掘りしておこう。先ずは、上記引用でも指摘されていたように、二重あごに関する「ためしてガッテン」の放送内容をみておこう。

まさか!の新発見SP 二重あご&ボタン
2013年06月26日放送
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20130626.html

   睡眠時無呼吸症候群と二重あごの「危険な関係」

「危険な二重あご」、一つ目は、寝ている間に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群と関わりのあるタイプです。睡眠時無呼吸症候群は、放っておくと、高血圧や心臓病のリスクが高まったり、昼間の猛烈な眠気によって事故を起こしたりする危険も。
  [中略]

睡眠時無呼吸症候群は、舌が太っていたり、あごがもともと小さかったりするとなりやすいとされています。
舌が下あごに収まりきらないと、あごの下がたるみ、二重あごになってしまうのです。

   「舌骨」が運命を変えた!?

「危険な二重あご」、二つ目のタイプのカギを握るのは、実は、あごの中に潜む「ある骨」。
それは、のどぼとけの指1本上あたりにある、U字形をした「舌骨」です。
  [中略]

ところが、この舌骨の位置が通常よりもさらに低下してしまうと、「危険な二重あご」になってしまう可能性があるといいます。
一体どうしてでしょうか?

   舌骨の低下と肺炎の「危険な関係」

舌骨をつるしている筋肉は、主に加齢などが原因で衰えてきます。すると・・・
筋肉がやせ、舌骨の位置も下がってしまうので、あごの下の皮膚がたるんで見えます。
  [中略]

舌骨が低下してうまく物を飲み込めないと、食べ物や唾液についた雑菌が原因で起こる誤えん性肺炎のリスクが高まってしまいます。


 この放送内容をまとめると、次のような感じだろうか。

(A) 「危険な二重あご」には2タイプある。

(B) 睡眠時無呼吸症候群と関わりのあるタイプは、舌が下あごより大きいことに起因する。危険な理由は、
舌の腫れ(又は小さい下あご) →「危険な二重あご」 →高血圧・心臓病・交通事故の危険性増加 

(C) 舌骨の低下タイプは、筋力低下に起因する。危険な理由は、
筋力低下 → 舌骨の低下 →「危険な二重あご」 →誤えん性肺炎の危険性増加


 この回の放送内容が従来とは少し異なるのは、「危険な二重あご」の結果表れる病気・事象自体が、●の影響により増加が見込まれるものとなっていることだろう。この観点からみれば、高血圧、心臓病、交通事故あるいは肺炎の増加を、よりなじみ深い二重あごのせいにする誤認誘導の意図があったのかもしれない。類型で言えば「なじみ深い病気(現象)との関連をことさらに強調して報道するパターン」にあたるだろうか。

 上記引用で言及された2つのタイプを少し詳しくみてみよう。先ず(B)についてみると、「舌が下あごより大きいこと」というのは、舌が大きくなったか、あるいは下あごが小さいということだろう。この番組は大人向けなので大人の場合で考えれば、下あごが突然小さくなるというのは殆どないだろう(子供の場合は、下あごが成長しないというのがあり得るだろうけど・・・)。そうすると、問題は、舌が大きくなるのは何故かということだろう。サイト「症状百科」から、

舌の異常 http://www.syojo.jp/HouseCall/encyc/1/30/14_0_0_0.html#item4

一般的原因
  [中略]

 舌の腫張の原因
 - 末端肥大症
 - アミロイドーシス
 - 悪性連鎖状球菌感染
 - ベックウィズ症候群
 - 舌癌
 - 先天性小下顎症
 - ダウン症候群
 - 甲状腺機能低下症
 - 感染
 - 白血病
 - リンパ管腫
 - 神経繊維腫
 - ペラグラ
 - 悪性貧血
 - 下垂体内腫瘍


 ここで思い出すべきは多分、某テレビ局が甲状腺の異常は国民病と言い出したことだろう。ツイッターから、

@venus_325 5月26日
「マスクしろ!」VS「放射脳!」とモメていられた平和な時期は終わった。国民病のキャッチフレーズで「甲状腺の異常」の急増をNHKが報道し始めたという事は、日本政府が急増を認めたという事。「ただちに」の期限が終わったというお知らせだという事を察する事が出来る人は、多くはないのかも。 (強調は引用者)

@tokaiama 5月24日
そして “甲状腺の病気”は「国民病」になった
5/23NHKあさイチ
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2999.html (強調は引用者)


 ついでに、甲状腺機能低下症の解説を「まえだ循環器内科」(山口県所在)のサイトから、

甲状腺機能低下症Q&A(詳細解説)
Q2:甲状腺機能低下症の症状と所見は?
http://www.m-junkanki.com/diseases/hypothyroid2.html#hypothyroidQ2

A:色々ありますが、病状の進行がとてもゆるやかで、老化現象と勘違いして、病気と気づかない人が多い。

○甲状腺機能低下症の症状

全身症状としては、「元気がなくなる」、「疲れやすい」、「脱力感」、「寒がり」、「体重増加」、「食欲低下」、「便秘」など。
精神症状は 、「記憶力低下」、「集中力低下」、「動作が緩慢」、「痴呆ではないが、一見痴呆と間違われる」など。
皮膚症状は 、「発汗低下」、「皮膚乾燥」、「黄色皮膚(カロチン血症)」など。
顔つきでは、「腫れぼったい」、「大きな口唇や大きな舌」など。
下肢では「むくみ(押してもへこみが残らないことが多い)」が起こりやすい。
髪や眉は、「白髪が増加」、「脱毛」、「眉の外側1/3が薄い 」など。
そのほかの症状では、「声が低く」、「しわがれ声」、「月経過多」、「筋力低下」、「こむら返り」など。 (強調は引用者)


 次に、(C)の筋力低下に起因するタイプにつては、放送内容の記事でも指摘されていたように「加齢」でもなり得るとは思うけど、噂話が指摘しているように甲状腺の異常でもなり得るだろうし、筋肉に蓄積しやすい放射性セシウムの影響かもしれないし、あるいはまた、コルチゾールの影響という可能性もあるだろう(この点は、過去記事 「コルチゾール過剰症候群」 (9) 筋力低下 2013/6/1)。


 こうしていろいろみてみると、あの番組で取り上げられて、噂話ベースでも増えているようだから、最近二重あごの人が増加している可能性が高いと考えてよいのではないだろうか。

 今後は、周りの人々をよく観察してみることにしよう。


肝障害はどこに隠れたのか? (5/5)

2013年08月03日 |  症例(その他)

 前回(ココ)からの続きで最終回だけど、少しマニアックな内容になる前に、某掲示板でみかけたものを貼っておこう。

662 :地震雷火事名無し(空):2013/07/30(火) 17:49:35.46 ID:hGB4g9EX0
    541 :本当にあった怖い名無し:2013/07/30(火) 00:53:42.42 ID:TOXUyJeL0
    関東の人は
    最近はみんな手のひらが
    まっ赤だよ。
    急に肝機能わるくなったんだと思う。

663 :地震雷火事名無し(空):2013/07/30(火) 17:52:44.20 ID:hGB4g9EX0
    552 :本当にあった怖い名無し:2013/07/30(火) 02:05:08.93 ID:TOXUyJeL0
    おれはもともと
    肝機能よわいから
    日頃から手のひらの色をみて
    ふつうのはだ色のときは
    仕事帰りに酒をのんだり
    赤みがかっているときは
    そのまま家に帰ってゴロゴロするようにしてたんだ
    眼の錯覚だと困るから電車に乗った時なんかは
    まわりの人の手のひらと、自分の手のひらの色を
    日頃から見比べるクセがついていた。
    最近はいつも赤いんだ。
    まわりの人も赤い。
    みんな手のひらだけ赤いんだ
    本来なら肌色のはずなのにー。
    おれの見間違いならいいけどー


 手のひらが赤くなるのは手掌紅班といわれているが、やはり先ずは肝機能の異常が疑われるのだろう。医学書院のサイトの記事から、

手を見て気づく内科疾患 第19回テーマ - 手掌紅斑,多彩な鑑別疾患
http://www.igaku-shoin.co.jp/misc/medicina/shikkan4707/

 手掌紅斑は,肝疾患,妊娠で比較的観察されやすく,主として母指球,小指球に生じる血管拡張性の病変です.
  [中略]

 手掌紅斑を認めたら,肝機能の可能性の評価はしたほうがよいでしょう.


 肝機能の異常で手が赤くなるのは、肝臓での分解能力が低下し分解されずに残った女性ホルモンが血中に増えることが関与しているらしい。コトバンクから、

皮膚の変化をもたらす病気(デルマドローム)
http://kotobank.jp/word/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%99%E7%97%85%E6%B0%97%EF%BC%88%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A0%EF%BC%89

◎肝臓疾患がもたらす皮膚の変化
 肝臓と皮膚病変も深い関連があります。つぎのようなものが有名です。
  [中略]

■手掌紅斑(しゅしょうこうはん)、くも状血管腫(じょうけっかんしゅ)
 肝臓病のときには、血管が広がる症状がでやすくなります。血液中にエストロゲンというホルモンが増えるためというのが、原因の1つと考えられています。手のひらが赤くなる手掌紅斑、小さな傘(かさ)を開いたような形の血管拡張症であるくも状血管腫がみられます。また、男性の乳房が大きくなる女性化乳房もみられます。


 ついでに手掌紅斑の写真は、例えば、「整体テアテマンドール」(札幌市所在)のサイトの記事にあるものが参考になるだろう。

手が赤いのは肝臓が良くない http://teatejp.net/page002.html (写真あり)


 さて本題に戻ると、前回記事(ココ)では、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発症ついてはツー・ヒット・セオリーが多数説になっているはずなのだが(詳しくは前々回記事ココ)、テレビ番組「ためしてガッテン」では脂肪肝→肝臓がんを強調した、いわば「ワン・ヒット・セオリー」のような解説になっていた点を眺めてみた。

 「ワン・ヒット・セオリー」の怪しさは、ツー・ヒット・セオリーを詳細にみていけば浮き上がってくるものと思われる。前々回記事のツー・ヒット・セオリーを図解して絵で第2ヒット目の「酸化ストレス」部分に「過酸化脂質、サイトカイン、鉄」とあったので、この点をそれぞれみていこう。


 先ずは、過酸化脂質について。健康な状態でも脂質は血液中を流れているし、ましてや脂肪肝ともなれば肝臓内にも脂質が多い状態になっている。そこへ酸化ストレスが亢進した状態になると、脂質が酸化され過ぎたもの(過酸化脂質)が増加し、脂質として期待される本来の機能が果たせなくなるものが増加するわけである。いわば、料理でも使い古した油だと揚げ物がカラッとは揚がらないここと似たような現象が体内の生化学反応で起きるといえるだろう。

 この点は「ためしてガッテン」でも指摘されていたが、溜まった過酸化脂質はミトコンドリアに悪さをするらしい。この点については、西原利治氏(高知大学医学部第一内科助教授、2004年時)の講演録を「はざま医院」(愛知県所在)のサイトから、

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が街にやってくる
http://www.hazamaiin.com/nash.html

8. 酸化ストレスとNASH
  
肥満になると高脂血症を生じ酸化ストレスが誘発され動脈硬化を生じ易くなる.しかし肥満は血管にのみ障害を起こすのではない.肝細胞自体にも酸化ストレスを生じてくる.そしてミトコンドリアに過酸化脂質が大量に集積して,その結果,肝細胞のミトコンドリアが非常に膨化し巨大ミトコンドリアとなり,内部に類結晶様封入体が見られようになる.このようなミトコンドリアでは機能はほとんど失われており,細胞も死んでいくしかなくなる.普通の肝炎で見られるようにウイルスに対する免疫によって肝細胞が死ぬ場合,肝細胞の破壊に伴ってAST,ALTの上昇が見られる.一方,NASHのような代謝性疾患でミトコンドリア機能が低下してアポトーシスと呼ばれる細胞死を生じる場合,マクロファージが死んだ細胞を処理し消えていくような死に方をとる.一部,マクロファージが貪食し損なった細胞が破裂するだけである.したがってAST,ALTの上昇はごく軽度に留まる.そのような場合こそNASHを疑わなければならないのである. (強調は引用者)


 ミトコンドリアは巨大になるなど機能低下が著しいと自殺死(アポトーシス)のスイッチが入るらしい。この場合は、免疫系が関与し炎症反応に伴って細胞死がおこるのとは少し違っているようである。ここで思い出すべきものは、このシリーズの冒頭(ココ)で触れたバンダジェフスキー博士による次の講演内容なのであろう。

- 炎症を伴わない肝障害がある


 なお、このタイプは観念的に言えば肝炎ではないので、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)ではないのかもしれない。しかし、肝細胞の損傷が進んだり、何らかの感染があったりすれば炎症反応も起きてくるだろうから、実際に意味のある区別となるかは別問題であろう。


 「ミトコンドリアに過酸化脂質が大量に集積」する理由は不明だけど、個人的には次のようなものではないかと推測している。生体膜というのはリン脂質の膜からできているため酸化ストレスの影響を受け易いので、ミトコンドリアの外膜又は内膜(前回記事ココの図2参照)が酸化ストレスで損傷することが関与しているのではないかと思われる(ミトコンドリアは2層の膜構造によって物質の濃度勾配を作りエネルギーを作り出しているので、膜が損傷すると問題となる)。また、ミトコンドリはエネルギー生産工場であり、自殺死するのではなく仮に何らかの暴走が起きると大きな問題になると思われる。ちなみに、ミトコンドリアでは通常の呼吸の際にも酸素の2%程度が活性酸素になっているといわれている。


(注)過酸化脂質の集積の影響とミトコンドリア膜の損傷の影響とのどちらが大きいのかは不明だけど、仮に過酸化脂質の集積の影響より膜の損傷の影響の方が大きいとすれば、「脂肪肝を伴わない肝障害」という分類項目の下にも何かが隠れていることになるのかもしれない。この点は全くよく分からないので今後の課題ということにしておこう。


 ついでに、講演録の引用に出てきた「AST」と「ALT」は、肝機能マーカーに使われている肝細胞にある酵素(アミノ基転移酵素)のことで、それぞれ次の略称である。

(1) アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase、AST。
かつてはGOT(Glutamic Oxaloacetic Transaminase、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)と呼ばれていた)
(2) アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase、ALT。
かつてはGPT(glutamate pyruvate transaminase、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)と呼ばれていた)

 この辺りについて詳しくは、例えばサイト「NewtonDoctor」の記事を参照してほしい。

検査数値あれこれ - 肝臓が心配な人は注意 GOT(AST)-GPT(ALT)
http://www.newton-doctor.com/kensa/kensa02a.html


 次は順番が前後するけど、鉄について。鉄分は人体にないと困るけど、余りあるほどあっても困りものであるらしい。あり過ぎて病的なものは鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)にあたり、その解説についてはgooヘルスケアから、

ヘモクロマトーシス http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I20400.html

ヘモクロマトーシスとはどんな病気か

 先天的または後天的な原因によって、体内貯蔵鉄(健康な人の体内鉄含量は1~3g)が異常に増加し、肝臓、膵臓、心臓、皮膚、関節、下垂体(かすいたい)、精巣などの諸臓器の実質細胞に過剰に沈着し(鉄蓄積症(てつちくせきしょう))、その結果それぞれの臓器の実質細胞障害をもたらす病気です。
 その成因の違いから、原発性(特発性)と続発性(大量輸血、鉄剤・食事鉄の過剰摂取、無効造血、アルコール多飲、肝硬変など)とに分けられます・・・

原因は何か
  [中略]

 続発性ヘモクロマトーシスは、後天性にさまざまな病気や生活習慣などにより、鉄剤の過剰投与、鉄の過剰摂取などが原因となって引き起こされます。
 鉄は、血液中では鉄移送蛋白のトランスフェリンと結合していますが、その多くは貯蔵鉄であるフェリチン、ヘモジデリンとして肝臓、膵臓、心筋、皮膚をはじめ諸臓器の細胞内に存在しています。
 HFE遺伝子は、トランスフェリンレセプター(受容体)との間に相互作用があり、トランスフェリンとの親和性を阻害していますが、HFE遺伝子の突然変異があるとその相互作用がなくなり、鉄の過剰状態が起こるとされています。
 細胞内の鉄過剰が起こると、蛋白質に結合していない遊離の鉄が増加し、この遊離鉄がヒドロキシラジカル、アルコキシラジカル、パーオキシラジカル等の反応性の高い活性酸素分子種の形成を促進します。これらの活性酸素分子種が細胞内小器官の膜脂質の過酸化をもたらし、その機能を障害すると考えられています (強調は引用者)


 鉄が過剰にあると、何らかの原因で産生された活性酸素が毒性の高いもの(ヒドロキシラジカルなど)に変化しやすいので、上述した過酸化脂質の経路での肝傷害が起こりやすいここととなると考えられる。


 ラストは、サイトカインについて。サイトカインは免疫系の情報伝達物質のことで、これは炎症を伴う肝障害につながるもである。この点については、多分次のようなメカニズムなのであろう。横浜市立大学のサイトから、

附属病院 消化器内科 中島 淳教授らの研究グループが、肥満による脂肪肝炎発症のメカニズムを解明
2012.07.04
http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/120704_amedrc.html

主要な研究成果

健康な肝臓では腸内から侵入してくるごくわずかの細菌毒素に関しては無反応で炎症をおこすことはないが、肥満状態では脂肪組織からホルモンの一種であるレプチンが多量に分泌され、肝臓のクッパー細胞(Kupffer細胞)上に転写因子の一種STAT3活性化を介して細菌内毒素(endotoxin)の共受容体CD14の発現を亢進させます。この結果肥満状態では通常は炎症をおこさないごくわずかの細菌毒素に対してCD14により過剰反応をきたしKupffer細胞は活性して炎症性サイトカインを産生し肝炎を発症することを明らかにしました。

  [中略]



用語解説
  [中略]

レプチン:脂肪組織から産生されるホルモンで食欲抑制作用を有する。食事をするとレプチンが産生され脳に働き食欲が低下する。しかしながら肥満者ではこのホルモンが何らかの理由で作用しなくなりレプチンが多量に分泌されているが食欲の抑制が起こらない高レプチン血症になっている。レプチンは細胞上の受容体 ObRを活性化してその下流の転写因子であるSTAT3を活性化することが知られている。


 この研究報告を踏まえると、サイトカインが関与する病気の流れとしては、次のような感じと推測される。なお、クッパー細胞は、マクロファージ(白血球)の一種である。

肥満 →脂肪肝化とレプチンの多量分泌 → クッパー細胞の活性化亢進 →微量毒素に応答し炎症性サイトカイン産生 →適切な炎症水準を超えて白血球の過剰集中・活動 →組織障害


 白血球の過剰集中・活動で過ぎた炎症を起こし組織障害するというのは、過去の記事で触れた顆粒球増多による組織障害と類似した状況なのであろう(詳しくは交感神経の優位と粘膜・組織破壊 (1)  2012/5/13)。その際には多分、白血球の産生する活性酸素が関与ているものと考えられる。


 以上をなんとなく理解すれば、とりあえず「ためしてガッテン」の「ワン・ヒット・セオリー」的な解説はおかしいと思えてくるのではないだろうか。


 終わりに近づいたので、チェルノブイリに関する少しまともな資料を置いておくと、ウクライナ政府報告書("Twenty-five Years after Chornobyl Accident: Safety for the Future"、2011年)から、

3.4.4. Pathology of the digestive tract
 [中略]

From the second decade after the accident a marked increase in the number of detected cases of chronic hepatitis and cirrhosis was noticed. Between 1992–2009 among the 2,881 CER patients suffering from chronic hepatitis, 70 cases of liver cirrhosis were found. The most numerous group in the nosological structure of chronic diffuse liver diseases were non-alcoholic steatohepatosis (50.0 %) and steatohepatitis (36.6 %). Changes in functional state of the liver were more prominent in clean-up workers with large doses of radiation. A direct correlation was found between the level of absorbed radiation dose and the activity of gamma-glutamiltranspeptidase (r = 0.6, p<0,02), alanin aminotransferase (r = 0.39, p<0,02), glucose concentration (r = 0.5, p<0,03) in serum (Fig. 3.87). (同報告書167頁。訳はそのうち・・・)


 最後に、今年に入ってからの肝臓関連の報道だと次のようなものがあったけど、何故「中高年女性」が巻き込まれる必要があるのだろうか。2011年「人間ドックの現況」によれば(この資料の詳細については過去記事ココ)、肝機能異常の割合は、例えば中年だと女性は男性より2割前後低いのだが・・・(40代で男性42.2% vs 女性17.8%、50代で男性43.0% vs 女性16.2%)。食べて応援だからだろうか、●の影響は性差が関係ないからだろうか。うーん、よく分からないな。「Infoseek楽天 ニュース」から、

「肝機能異常」増加 メタボ男性だけでなく中高年女性も注意
NEWSポストセブン(2013年3月22日16時00分)
http://news.infoseek.co.jp/article/postseven_177872

 しかしこの時期、活躍してくれるはずの肝臓にトラブルが多発している。日本人間ドック協会によると、2011年に人間ドックを受診した約313万人について、「異常なし」の人の割合は、過去最低の7.8%。また、生活習慣病に関係する項目で、最も多いのが「肝機能異常」の33.3%。異常がある人の3人に 1人が、肝臓に問題を抱えていることになる。・・・

 
 おまけで全く関係がないけど、そういえばこの方の死因が肝硬変だったと思い出した。「アサ芸+」の記事から、

浅田真央 母が残した「娘への遺言」(1)娘には好きなことをやらせたい
2012年1月2日
http://www.asagei.com/3163

 それは突然の訃報だった。12月9日、肝硬変のため、浅田真央(21)の実母である匡きょう子こさんが急逝したのである。享年48。あまりにも早すぎる死だった。・・・


 いろいろ繋がってきた気もするが、バテバテの中ここまで書く気力がでたのはバンダジェフスキー博士の講演おかげだろう。感謝。


肝障害はどこに隠れたのか? (4)

2013年07月30日 |  症例(その他)

 前回(ココ)からの続き。先ずはおさらいで、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)からの病気の流れをみておこう。横浜市立大学のサイトの資料から(http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/120704_amedrc.html)、


 図1 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の病気の自然経過



 「単純性脂肪肝」は、NAFLDのうち単に脂肪が蓄積しているだけのものをいい、NAFLDに炎症が絡んでくるとNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)となる。

 ついでに、肝硬変と肝臓がんの解説をgooヘルスケアから、

肝硬変 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I20100.html

肝硬変とはどんな病気か

 肝硬変は、ひとつの独立した疾患というよりも、種々の原因によって生じた慢性肝炎(まんせいかんえん)が治癒しないで、長い経過をたどったあとの終末像であって、その肝病変は一般に非可逆的(元にはもどらない)と考えられてきました。すなわち肝硬変とは、種々の原因によってびまん性の肝細胞の壊死 (えし)と炎症、再生が繰り返し起こり、その場所に高度の線維が増生した結果、肝臓の本来の小葉(しょうよう)構造と血管系が破壊されて偽(ぎ)小葉と再生結節が形成され、肝臓が小さく、かつ硬くなる病気です・・・


肝がん(肝細胞がん) http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I30100.html

肝がん(肝細胞がん)とはどんな病気か

  [中略]
 日本では年間約3万1000人の肝がんによる死亡者がおり、男性では肺がん・胃がんに次いでがん死の第3位を占めています。2000年前後より肝がんの年間発症率は横ばいになりつつあり、肝がんで死亡する人はわずかに減少傾向にあります。
 肝細胞がんは他臓器のがんと異なり、基礎疾患として慢性の肝臓病(慢性肝炎(まんせいかんえん)または肝硬変(かんこうへん))のあることが多く、長期に“肝細胞の破壊・再生を繰り返すこと”が肝がん発がんの大きな原因と推定されています。B型肝炎ウイルスの保菌者では、ウイルスそのものが発がんを起こしうるとも考えられています。


 この解説だと肝臓がんは減少傾向とあるようだけど、噂話だと次のものをみかけた。ツイッターから、 

@onodekita  7月23日
今日は久しぶりに、講演会に出席。見事に誰も気にしていないが、肝臓癌が2011年後期から、増えていたかのような表があった。そりゃあ、増えるだろうと思いながら、ただ眺めていた。言うだけ無駄だ。 (強調は引用者)


 この情報ガが正しいと仮定すると、一昨年の次の記事は、足元で肝臓がんが増加している点をとらえて記事化されたものかもしれない。「NEWSポストセブン」から、

高リスクで肝癌に進展する「非アルコール性脂肪肝炎」とは
2011.12.15
http://www.news-postseven.com/archives/20111215_75363.html


 そうすると余り関係ないかと思っていたテレビ番組「ためしたガッテン」の次の放送内容も、何らかの意図があったのかもしれない。従来余り気にかけていなかったが、今回あらためて読んでみるとそのような可能性もあるように思えてきた。NHKの同番組のサイトから、

肝臓の健康を守れSP
2011年06月29日放送
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110629.html

医師もびっくり!肝臓病の意外な原因

肝臓がんと診断された河原さん(仮名)は、肝炎ウイルスに感染もしていないアルコールもほとんど飲まない
肝臓がんになる原因が見当たらない患者さんでした。これまで日本人の肝臓がんは肝炎ウイルスとアルコールがその原因のほとんどを占めていたため、河原さんは原因不明の肝臓がんと診断されたのです。

ところが、ある偶然が河原さんの肝臓がんの原因を解き明しました。偶然にも河原さんは27年前に同じ病院で肝臓の組織を調べる検査(肝生検)を受けていて、さらに偶然にも当時の組織が残っていたのです!

早速主治医がその組織を調べると・・・河原さんは27年前に脂肪肝だったことが分かったのです!いったいなぜ、脂肪肝ががんになったのでしょうか?


 放送はみていないけど、上記記事を読む限り、脂肪肝の人は肝臓がんになるという印象を植え付けたいかのような内容になっている印象を受ける。この点を判断するために、上記の続きを長めに貼っておこう。

脂肪ががんに!?細胞の中では・・・

脂肪肝が原因でがんにまで進行してしまう病気とは?

[中略]

ふだんのミトコンドリアは糖からエネルギーをつくっています。ところが、脂肪肝の細胞の中では、脂肪が入り込みすぎてミトコンドリアに異常が起きます。すると、なんとミトコンドリアは脂肪からエネルギーをつくりはじめます。脂肪肝の細胞には糖がちゃんと入ってこないため、肝臓を動かすために脂肪さえもエネルギーにしているのです。

しかし、そんなミトコンドリアにも限界の時が訪れます。脂肪からエネルギーをつくる過程でミトコンドリアは
どんどん巨大化して、機能不全におちいります。この状態はジャイアント・ミトコンドリアと呼ばれます。肝臓に何が起きているのでしょうか?

第3の肝臓病・NASH(ナッシュ)が急増中!

肝臓に起きた異常事態ジャイアント・ミトコンドリアはミトコンドリアの死を意味し、そして細胞自体が死んでしまうことになります。

死んだ細胞の跡地は、隙間がコラーゲンで穴埋めされて、ガチガチの繊維化状態になります。これが肝硬変です。がんは肝硬変になった頃に登場するのです。

脂肪肝であることから肝臓に炎症が起き肝炎に。さらに悪化すると肝硬変。そして最悪の場合には肝臓がんへと進行することが研究で分かってきたのです。


 ミトコンドリアについては後でも出てくるので、解説と構造図をウィキペディア日本語版から、

ミトコンドリア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2

図2 ミトコンドリアの構造
注) 1.内膜 2.外膜 3.クリステ(平板状) 4.マトリックス



 放送内容の話に戻ると、なかなか苦肉の解説になっていたようだ。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)に関し一般に広く受け入れられているツー・ヒット・セオリー(two hit theory。詳しくは前回記事ココ)を持ち出さずに、酸化ストレスという概念の説明を回避した内容になっていたらしい。

 つまり、脂肪が過剰にあると、何故かそれだけで肝硬変・肝臓がんになるという解説になっていたようだ。これでは脂肪の蓄積とがんとの間に何もないので、脂肪肝→肝臓がんを強調し過ぎた説明になってしまっているのではないだろうか。


 他人の解説に難癖を付けているだけではよく分からないだろうから、NASHの詳しい発症メカニズムについて、個人的な理解をまとめておこう。

 長くなりそうなので詳しくは次回にすることとして、酸化ストレスとの観点からさわりだけみておこう。そのポイントは、酸化ストレス(活性酸素)による肝臓のミトコンドリアの傷害にあると思われる。藤木龍輔 著「メタボ・生活習慣病の元凶 『酸化ストレス』の恐怖」 (現代書林、2008年7月)によると、

  1950年代から、糖尿病患者さんの10人に1人くらいが肝硬変で亡くなることが分かっていました。・・・ 糖尿病患者さんの肝硬変も合併症の一つと考えられてきました。

  しかし、1998年、この症状は実は合併症ではなく、一つの独立した病気であることが分かってきました。その病気が「 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)」です。「 非アルコール性」と言うように、NASHはお酒をまったく飲まない人でも発症します。

  NASHの原因は、肝臓の細胞の酸化ストレス傷害です。肝臓のミトコンドリアが活性酸素によって傷害されることで、NASHは発症します。普通の細胞のミトコンドリアの数は300 - 400個ですが、肝臓の細胞は2500 - 3000個ほど持っています。そのため肝臓は酸化ストレスの標的になりやすく、NASHの発症につながりやすいのです。脂肪肝は、肝硬変やがんを合併することもないと言われていましたが、NASHは、肝硬変になり、高い率でがんを合併します。 (前掲書84頁)


(つづく)


肝障害はどこに隠れたのか? (3)

2013年07月27日 |  症例(その他)

 苦手の夏だが更新週1ペースじゃいけないよーな・・・


 脇道にそれる展開も思いつかないので、タイトル(質問)の答えを先に書いておこう。●の影響による肝障害が隠れた先は、アルコール性肝障害(alcoholic liver disease)と非アルコール性肝障害(non-alcoholic liver deisease)だと思われる。用語「肝障害」は場合によっては「肝疾患」の方が一般的かもしれない。


 先ずは前者の解説をgooヘルスケアから、

アルコール性肝障害 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I50100.html

アルコール性肝障害とはどんな病気か
 アルコールの過剰摂取で最初に生じるのはアルコール性脂肪肝です。それでもなお大量飲酒を続けると、約2割の人にアルコール性肝障害が起こります。
 ・・・幸い重症化しない場合でも、長期に大量飲酒を続けるとアルコール性肝線維症(かんせんいしょう)をへて、アルコール性肝硬変(かんこうへん)になることがあります。

  [中略]

症状の現れ方
 アルコール性脂肪肝は日本酒換算で5合程度を5週間続けただけで引き起こされるので、大量飲酒者のほとんどに認められますが、通常は無症状です。3合以上の大量飲酒を続けると、2割の人がやがてアルコール性肝障害を発症し、一部症例では、発熱、黄疸(おうだん)、右上腹部痛、肝臓の圧痛、食欲不振、嘔吐、下痢などの自覚症状を訴えます。


 より分かり易そうな別の解説を「コトバンク」から、

アルコール性肝障害 Alcoholic Liver Disease
http://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%80%A7%E8%82%9D%E9%9A%9C%E5%AE%B3
 
[どんな病気か]
 肝臓にとってアルコールは、処理が義務づけられている薬物の1つです。
 このため、アルコールが体内に入ってくると肝臓は、アルコールがゼロになるまで代謝(たいしゃ)し、分解し続けます。
 ところで、アルコールを代謝・分解する際には、さまざまな要因が加わって、栄養素を代謝するときとは異なるはたらきや形の変化が、肝臓を構成する細胞(肝細胞(かんさいぼう)、類洞壁細胞(るいどうへきさいぼう))におこります。
 この変化は一過性のもので、アルコールがゼロになれば正常な状態にもどるのですが、大量のアルコールを飲むほど、長時間、肝臓の細胞の変化が続くことになります。

   [中略]
 その結果、肝臓の細胞の変化が恒常的に続くようになり、ついには、肝細胞の変性・壊死(えし)と、細胞間質細胞(さいぼうかんしつさいぼう)の線維化(せんいか)がおこり、肝臓のはたらきが衰えてきます。
 これがアルコール性肝障害で、おもにアルコール性脂肪肝(せいしぼうかん)、アルコール性肝線維症(せいかんせんいしょう)、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変(せいかんこうへん)の4つの状態があります。


 この場合は、上記引用にいう各種のアルコールの影響と●の影響とは現実に区別することは難しいであろう。以前に記事で「アルコール隠れ蓑説」の話に触れたけど(〔推測〕タバコ、アルコールは隠れ蓑だったのか? (1) 2013/5/10)、この点に関しては出来の良い隠れ蓑ということかもしれない。


 次に後者。仮に●の影響によって肝障害が引き起こされるなら、飲酒の量とは無関係に肝障害が引き起こされるはずだろう。複合要因で病気になった人より、単独の(あるいはそれより少ない)要因で病気になった人(非アルコール性肝障害)を詳しく調べた方が理解が深まるであろう。

 後者については、一般的には次のような展開で解説されていることが多いだろうか。
 
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、non-alcoholic fatty liver disease。ナッフルド)

非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH、non-alcoholic steatohepatitis。ナッシュ)

肝線維症、肝硬変などへ


 先ずは脂肪肝(脂肪性肝疾患)の解説についてgooヘルスケアから、

脂肪肝 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I50200.html

脂肪肝とはどんな病気か
 肝臓はたくさんの肝細胞の集合体ですが、脂肪滴(しぼうてき)がたまった肝細胞が全体の1割を超えたら脂肪肝と呼ぶのが一般的です。慢性の脂肪肝は肥満や糖尿病、高脂血症などで起こりやすいのですが、従来これ自体は多くの場合無害と考えられてきました。
 しかし、このような変化が一部の人では肝硬変(かんこうへん)への一里塚となっていることが最近明らかになってきました。・・・

原因は何か
 脂肪肝は、原因により栄養性、内分泌性、代謝性、中毒性に分類されます。慢性の脂肪肝は、食欲不振症のように高度の飢餓(きが)状態や、ホルモンの異常、高度の肥満に際して生じます。・・・
 

 ついでに関連する病気に詳しそうな解説を管理者不詳のサイトからだけど、

脂肪肝 fatty liver http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s5/s5446.htm


 ●の影響で脂肪肝になるとすれば、コルチゾール過剰原因説(過去記事はココ)を前提とすると、内分泌性ということになるだろう。それは、次のような流れであろう。

●の影響→ コルチゾールの過剰→ 高血糖・脂質異常(高脂血症) →脂肪肝


 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の解説については、例えば、「野澤内科」(兵庫県所在)のサイトから、

アルコールを飲まない人の脂肪性肝炎- NASH(ナッシュ)-について
http://www.doc-nozawa.com/mkog-0404.html

 脂肪肝が最近注目されています。
アルコール性の場合は以前から指摘されていましたが、特に、アルコールを飲まない人の脂肪肝から発症する肝炎も NASH(ナッシュ)と呼ばれ、将来、肝硬変・肝癌に発展することがわかってきました。

  [中略]

2. 脂肪肝にアルコール性と非アルコール性があり、非アルコール性脂肪肝の中に、最近肝硬変に進むケース(非アルコール性脂肪性肝炎)があり話題になっているようですが、これについて説明してください。

 この病気は、1980年にアメリカの Mayoクリニックの病理学者 Ludwig が命名しました。
まったくアルコールを飲んでいない人に、アルコール性肝炎と同じ組織像(脂肪沈着、マロリー体、 pericellular fibrosis)を呈する人がいるということで、non alcoholic steatohepatitis : NASH という名前をつけました。
即ち、脂肪肝にもう一つの原因が加わり、炎症を起こしたものです。
脂肪がたまっているだけなら放置しても肝臓に悪影響はありません。 しかし、脂肪肝にもう一つの刺激が加わり、脂肪性肝炎という状態になると、これはさらに肝硬変や肝癌に進むことがあり、現在治療の対象になっています。


 その発症メカニズムついては、病院検索サイト「Caloo」の記事から、

脂肪肝・NASHについて
2010年11月25日
http://caloo.jp/articles/12/

記者:脂肪肝、NASHが起こる原因は何でしょうか?

[深井健一氏(医師。健 内科クリニック院長)]:脂肪肝の背景には、肥満などを原因としたインスリン抵抗性があります。従ってメタボリック症候群が肝臓に表れているとも言えるでしょう。脂肪肝からNASHへ進行するメカニズムとしてツーヒットセオリー(two hit theory)が提唱されています。まず、肥満などを原因として脂肪肝が起こり、そこに酸化ストレス、サイトカインによる細胞傷害などが加わることで NASHへ移行するというものです。


 上記にいうツー・ヒット・セオリーを分かり易く図示した絵については、市立奈良病院のサイトの資料から(「非アルコール性脂肪肝肝炎(NASH)とは」 http://www.nara-jadecom.jp/user/nash1.pdf。pdfファイル)

図1 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発症のメカニズム
出典)前掲資料。


 出てきましたね、酸化ストレス(これと●の影響とが関連することについては、文末の関連記事からどうぞ)。●の影響が問題なところは、ひとつで第1のヒットも第2のヒットも両方打てるということかもしれない。


 ここまで来ると、シリーズ初回で紹介したバンダジェフスキー博士の講演内容(脂肪肝が頻繁に起こるなど)との関連性が少しみえてくるのではないだろうか。


(つづく)


〔関係記事〕
電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9
酸化ストレス(活性酸素)による生体の障害  2012/5/11


肝障害はどこに隠れたのか? (2)

2013年07月20日 |  症例(その他)

 引き続き、さわりを短く。

 前回(ココ)は、チェルノブイリでの肝障害の例としてバンダジェフスキー博士の話を紹介したけど、肝機能について3.11前後でどうなっていたのかをみておこう。

 まずは福島。以前の記事(ココ)でも触れたように、2011年度に実施された避難区域等の住民の健康診査において、肝機能異常の割合が従来より高かったことが判明している。その結論部分を福島県のサイトの資料から(「県民健康管理調査」検討委員会第8回会合(2012年9月11日開催)の当日配布資料
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911kentouiinkaisiryou.pdf。pdfファイル)、

平成23年度 県民健康管理調査「健康診査」結果解析
(過去の特定健康診査・後期高齢者健康診査との比較)

 [中略]

【まとめ】
 男女両者において、肥満(腹囲、BMI)、糖代謝異常(空腹時血糖、HbA1c、尿糖)、脂質代謝異常(LDL-C、中性脂肪、HDL-C)、肝機能異常(AST、ALT、γ-GT)の割合が、震災前の平成20~22年度と比較して、震災後の平成23年度においては高い数値を示しており、その傾向は特に男性において顕著であった。
 これらの要因を推定すると、余儀なくされた避難生活による運動量の減少やアルコール多飲などを含む食習慣の変化、精神的ストレスや睡眠障害に伴う生活環境全般の変化などの可能性は否定できない。

 しかし、今回比較した平成20~22年度と平成23年度の受診者では、元々の母集団の相違により、対象地域や受診者年齢層が異なっていることから、元々の母集団の疾患頻度の相違の問題が存在する。

 さらに、平成23 年度は震災が起きた直後の年度であり病気が心配な人がより多く受診したと考えられることや避難生活に伴う生活不活発病の影響など、多くの修飾要因が存在するため、現時点では平成20~22年度と厳密な意味での比較はできない。 (以上37頁から。強調は引用者)


 次に全国。いろいろ調べると、日本人間ドック学会というところで毎年「人間ドックの現況」という資料を出していて、この中にも肝機能にかかるデータが入っている(同資料は、http://www.ningen-dock.jp/concerned/press/index.html)。直近だと約3百万人が母集団なので、信頼性は低くはないだろう。幾つか抜き出しておこう。

 図表1 生活習慣病関連6項目の異常頻度の推移 (1984-2011)
出典)2011年「人間ドックの現況」の23頁。
注)作図のデータは、直近以外は約5年間隔。



 肝機能異常の割合については、2000年辺りから25%前後(4人に1人程度)で安定していたが、2011年において異常が急増したことがわかるだろう(33%で3人に1人程度へ)。2000年までについては、何かの影響が15年ほど続いていたというこのなのだろうか。これらのデータについては、

 図表2 生活習慣病関連項目の異常頻度の推移(データ)
出典)2011年「人間ドックの現況」の22頁(一部省略)。
注)「肝機能異常」の数値の推移は、25.2%(2004)、26.6%(2005)、26.2%(2006)、25.7%(2007)、
26.2%(2008)、25.8%(2009)、27.0%(2010)、33.3%(2011年。これらは前掲資料の各年版から)。



 ついでに地域別の詳細(ブレイクダウン)がみられるので貼っておこう(2010年は見にくいか)。

 図表3 生活習慣病関連項目「肝機能異常」の地域差(2010年と2011年の比較)
出典)2010年及び2011年「人間ドックの現況」(一部改編)。



 東北が10%弱の上昇し、関東から近畿にかけても5%以上の上昇がみられる。


 さて、これらは一体なんなのだろう。


(つづく)


肝障害はどこに隠れたのか? (1/5)

2013年07月18日 |  症例(その他)

〔更新履歴:8/3関連記事追加〕

 

バテバテで少しサボりすぎたか。自分だけでなく、他の人もか・・・。読売新聞から、

東京23区の熱中症死43人に…去年の夏上回る
2013年7月17日16時43分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130717-OYT1T00651.htm

 熱中症で今月8~14日の1週間に救急搬送された人が、全国で1万913人に上ったことが17日、総務省消防庁のまとめでわかった。

・・・一方、東京都監察医務院のまとめでは、東京23区内の死者は今年6月以降の約1か月半で計43人。すでに、昨夏(6~9月)の死者数31人を上回った。・・・


 中でも目に付いた不可解なものを、MSN産経ニュースから、

熱中症の疑いで71歳男性死亡 埼玉・狭山
2013.7.15 22:34
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130715/stm13071522340002-n1.htm

 狭山消防署によると、男性は1人暮らしで、発見時はエアコンをつけて寝ていたが、体温が上がった状態になっていたという。
 同署は「日中に体に受けた熱が、夜間になって熱中症となって現れることがある。普段から休養と体調管理に努めてほしい」と注意を呼びかけている。 (強調は引用者)


 ホンマかいなという前置きはコレくらいにして、本題の方は今回はさわりだけ。


 チェルノブイリの例では、肝臓の障害がみかれたらしい。「木下黄太のブログ」から、

ゴメリ赴任後の検査で肝臓が思わしくないと言われたバンダジェフスキー博士。懸念した同僚女性は既に死亡。
2013-07-13 03:43:49
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/7b162bc47cc35aa5d56263524848cbd7

福岡講演[7/12]のポイント
 [中略]

少量のアルコールでおかしくなる。ストレスでも。普通は死なないような人が死ぬ。
 [中略]

〇炎症を伴わない肝炎がある。⇒通訳より訂正、炎症を伴わない肝障害がある。

〇ゴメリ赴任後。最初はそれほど深刻に思わず、普通に食べていた。私の体にも 60Bq/kg蓄積。血液検査を軽い気持ちで出した。研究室の女性から、肝臓の数値が良くない心配と電話がかかってきた。私は33歳。この電話の女性はもうなくなっている。二週間保養、蓄積も減っていたし、血液の値もかなりよくなっていた。
 [以下略] (強調は引用者)


 ツイッターだとこういうのも見かけた。

@elisabethkirche 7月13日
バンダジェフスキー福岡講演会。「肝臓の異常。脂肪肝が頻繁に起こる。炎症を伴わない肝炎も」。そういえば人間ドックなど何げにした血液検査で、肝臓の数値が少し壊れてることがある。自分の臓器を生きたまま測定器にかけることはできないからな・・・ (強調は引用者)


 さて、これは一体なんだろうか。

(つづく)

 

〔関連記事〕
肝障害はどこに隠れたのか? (2/5)  2013/7/20
肝障害はどこに隠れたのか? (3/5)  2013/7/27
肝障害はどこに隠れたのか? (4/5)  2013/7/30

肝障害はどこに隠れたのか? (5/5)  2013/8/3
電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9
酸化ストレス(活性酸素)による生体の障害  2012/5/11


心臓突然死

2013年06月23日 |  症例(その他)

 以前心臓病(不整脈)について触れたけど(交感神経の緊張と心臓病(不整脈) 2013/5/5)、その時飛ばした突然死について、まとめておこう。未だによく理解できた気がしないけど・・・


 心臓突然死の例は、このあたりでみつかるだろう。ちょっと古いけど、toggetterから、

突然死症例のまとめ
2011-10-18
http://togetter.com/li/202214 (冒頭の例のみ引用。ただし、心臓以外も混じっている)

茨城県で40-50代の急死報告相次ぐ。スーパーの駐車場でなくなる40代など聞いたことがない。・・茨城に住む方からの報告
返信 RT お気に入り
onodekita 2011-10-13 21:40:04

私の知り合いは、野菜炒めの最中菜箸を握ったまんま、倒れてなくなりました。50まであとわずか。東京。@onodekita
grandamaP 2011-10-13 22:29:22


 最近のツイートだと、例えば、

@etosha0824
震災後に心筋梗塞で亡くなった話をちらほら聞いていたが、”朝布団の中で冷たくなっていた”方が大半だった。運動負荷や精神的ストレスがない就寝中って妙だなと思っていた。不整脈ならば整合性があると思う。
2013-06-19


 「朝布団の中で冷たくなっていた」というのが典型例ではないだろうか。藤木龍輔 著「メタボ・生活習慣病の元凶 『酸化ストレス』の恐怖」 (現代書林、2008年7月)によると、就寝中などの低活動時でも、突然死が少ないないとされている。

心臓突然死の死亡直前の生活活動
 就寝中 33%
 入浴中 9%
 休息休憩 7%
 排便など 5% (前掲書19頁)


 心臓突然死については、心室細動経由が多いとされ、原因は酸化ストレスによるものが多いとされている。同書から、

心臓発作による突然死の80%は原因不明の心室細動

   [中略]

 心室細動が起こると心臓は血液を送り出す機能を失い、6秒で失神、3分で脳死するという不整脈です。・・・

 心臓突然死のうちで原因がハッキリしているのは急性心筋梗塞で、20%を占めます。残りの80%は原因不明の心室細動による突然死です。

(1) 40~50代が最も多い
(2) 男性が女性の2倍も多い
(3) 勤務中でないことが多く、就寝中のことも多い
(4) 健康診断や人間ドックで、大きな異常を指摘されていない

 これらが心臓突然死の特徴です。この原因が活性酸素からの酸化ストレスなのです。 (前掲書18頁)


 中年以降なら動脈硬化経由の心筋梗塞も可能性があるだろうが、若者の場合は心室細動が原因ということだろう。

 また、メカニズムについては詳しい記述がないのでよく分からないが、多分

酸化ストレスの亢進 →交感神経の緊張 → 刺激伝導系の不調 →各種の不整脈

ということではないだろうか。特定の不整脈に偏るというより、いろいろな不整脈がみられ、障害部位と体質との兼ね合いによって、ある人には致死的な不整脈になる場合があるということではないだろうか。

 心臓突然死の解説については、gooヘルスケアから、

突然死(心臓麻痺)
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10651100.html

原因は何か
 心臓突然死の原因としては、虚血性(きょけつせい)心疾患と非虚血性心疾患、そしてとくに原因となる心疾患がないものとに分類されます。

   [中略]

 突然死を起こしうる非虚血性心疾患には、心筋症(しんきんしょう)、心筋炎(しんきんえん)、WPW症候群(コラム)、遺伝性(先天性)QT延長症候群(コラム)があり、それらによる心臓突然死の機序は不整脈によるものです。
 突然死を来す不整脈としては、頻度の高いものから順に、心室細動、心静止、高度徐脈(じょみゃく)(洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)あるいは房室(ぼうしつ)ブロック)、心室頻拍があります

  [中略]

 近年、はっきりした心疾患がない人に起こる心室細動発作が注目されています。このような心室細動を特発性(とくはつせい)心室細動と呼んでいます。この特発性心室細動には、10歳以下の小児に多いタイプと青 壮年の男性に多いタイプとがあります。前者のタイプは男女に頻度の差はなく、約3分の1に突然死の家族歴があります。運動や精神的緊張が発症の誘因になり ます。
 後者のタイプは、従来、ぽっくり病とか青壮年突然死症候群と呼ばれていました。
 そのなかでも最近報告の多いものが、ブルガダ症候群と呼ばれるものです。


 
 心臓突然死の関連で病気として表面化してくるものとしてまず挙げられるのは、最近「木下黄太のブログ」で記事になったブルガダ症候群だろうか。
 
突然死危険警告、「神の手」を持つ男が不整脈『ブルガダ症候群』と診断。東京専門家セミナー本日受付開始。
2013-06-18
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/e58a01c1860f2f2599ea3190f396f727

「いや、木下さん、今度は、ブルガダ症候群」と言われました。

それはなんですか、と僕 [木下氏] が言うと。

「心臓の調子も去年からずっといまいちなんですよ。それは話していた通りなんですが、今まで通っていた病院の診断が今ひとつなので、K病院いったんですよ。」
 僕は「あそこは、しっかりしていますからね。世田谷ではあそこに行くのはよい判断かも知れません。僕の知人もあそこで1人助かりましたよ。」と答えました。

「ええ、そうしたら、心電図の波形を見て、ブルガダ症候群ではないかと言われたんですよ。突然死のシグナルですよ。重い不整脈になる場合があるんです。あきらかに不調だったんです。」

 僕はこの段階でブルガダ症候群を確認しました。1992年にスペインのブルガダ兄弟が特発性心室細動の病気として報告していることから、ブルガダ症候群という名前になって、比較的、新しくわかっている症状です。男性に多く、夜間に発作をおこしやすいとされています。


 同記事でも分かりやすい解説として紹介されていた岡山大学循環器内科のサイトから、

ブルガダ症候群/QT延長症候群/突然死症候群
http://cardio.icn.jp/modules/page/shokogun.html

ブルガダ症候群

   [中略]

1)ブルガダ症候群とは
 ブルガダ症候群は1992年にスペインのブルガダ兄弟が特発性心室細動の病気として報告しました。心電図ではST上昇という波形が特徴的で、現在ではこの波形をブルガダ型心電図、ブルガダ型波形と言ったりします(図1)。特発性心室細動とは、はっきりした原因(例えば心筋梗塞や狭心症や心不全等)が無いのに、心室細動という心臓が全く働くことのできない、直接死につながる重症の不整脈をいきなり起こすと言った病気です。それまで、原因不明の突然死とされていた病気の一部を明らかにしたのです。日本では「ぽっくり病」と用語があり、元気だった人が突然亡くなった場合、特に朝起きてこないので家族が見に行ってみると亡くなっていたというケースが多いと思われます。このぽっくり病のかなりの割合の人がブルガダ症候群に該当すると思われます。もちろん中高年の方では心筋梗塞や脳卒中等で突然命を落とすことが多いですが、20歳代から50歳代の突然死のなかでは比較的大きな要因となっていると考えられます。この病気の特徴は、男性に多く、夜間に心室細動の発作を起こすことです。心室細動が起こると、心臓が血液を全身に送ることができなくなり、意識を失う(失神)、けいれんを起こす、睡眠中なら呼吸がおかしい・息をしていないということで気がつかれます。多くの場合は心室細動が一過性で元々の正常の脈拍に戻り、一時的な症状で終わりますが、不幸にも心室細動が止まらなかった場合、命を落とすことになります。


 また、以前の記事
   〔メモ〕 茨城の小中学生の心蔵の異常の増加(2012.5月調査)  2012/12/29
でも触れたけど、取手の中学生で平時より多発していたQT延長症候群も挙げられるだろう。


 ブルガダ症候群もQT延長症候群も本来は遺伝性の体質が問題となるようだけど、●の影響下では非遺伝性(孤発性)のものも問題となってくるのであろう。


 バンダジェフスキー博士の本を読んだ感じでは、不整脈ではないけど、心筋細胞の損傷が関与する心筋症による突然死もあるのではないかと個人的には考えている。gooヘルスケアから、

心筋症
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10631600.html


「コルチゾール過剰症候群」 (9) 筋力低下

2013年06月01日 |  症例(その他)

 心臓病の脇道は休止として、久しぶりにこのシリーズも進めておこう。はじめての方は次の過去記事参照: コルチゾール過剰原因説 2012/8/8


(9) 筋力低下

 先ず、コルチゾールの作用のおさらいから。

 コルチゾールの作用は大きく分けると3種類で、抗ストレス作用、エネルギー源の産生、エネルギー消費の抑制となる。このうち、エネルギー源の産生には2種類あって、一つはタンパク質などから糖を合成することであり(糖新生)、もう一つは脂肪を分解することである(得られた脂肪酸とグリセロールについては、前者は細胞でエネルギーに、後者は糖新生の原料に)。詳しくは、過去記事を参照: ストレス反応と副腎機能 (2) 抗ストレス・ホルモン 2012/8/5


 コルチゾール過剰の環境にあれば、エネルギー消費を抑制する観点から、闘争・逃避に即座に役立たないタンパク質の合成が抑制され、また、体内で糖分が足りないと判断されるときには、糖新生が行われることとなる。糖新生の原材料であるタンパク質は主に筋肉からのものなので、筋肉においては、タンパク質の新規補充も抑制されつつ糖新生の亢進した状態となり、これが長期にわたると筋肉の機能低下が顕在化することとなるだろう。


 ステロイド剤による筋障害は、ステロイド筋症(あるいはステロイド・ミオパチー)と呼ばれている。筋肉が萎縮するということらしい。サイト『筋疾患百科事典』から、

Ⅱ.筋原性疾患(myopathies) - 8. ステロイドミオパチー(steroid myopathy)
http://www.jmda.or.jp/6/hyakka/kin240.htm#%3CB%3E%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%9F%E3%82%AA%E3%83%91%E3%83%81%E3%83%BC%3C/B%3E

 Cushing症候群や、治療としてのステロイド投与で、近位筋優位の筋力低下をみることがあります。ステロイド投与開始して3ヶ月以降に症状が出現することが多いのですが、投与量、投与期間と症状は必ずしも一致しません。ステロイドを減量するか、中止することにより筋力は回復します。
 血清クレアチンキナーゼ(CK)値は正常か、軽度上昇程度です。筋生検ではタイプ2(白筋)線維萎縮を中心とした筋原性変化をみます。

 
 筋萎縮についての分子生物学的なモデルについては、日本リウマチ財団ニュース(http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm220/news.html)の記事から、

日本リウマチ財団ニュースNo.109  2011年11月号
ステロイド治癒の現在 ステロイド治療薬の今後を占う
http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm220/pdf/news109.pdf

図 ステロイド筋症の分子機構(仮説)
注)「異化プロセス」はタンパク質の分解、「同化プロセス」はタンパク質の合成の意味。
出典)前掲資料4頁。



[田中廣壽 氏(東京大学医科学研究所付属病院アレルギー・免疫科准教授)]
 骨格筋量の調節機構に関する理解はこの10 年くらいで飛躍的に高まっています。成人では,筋タンパクの合成と分解のバランスによって規定されているようです。
 最近では,筋萎縮はある種の遺伝子発現プログラムによってきわめて精緻に制御される能動的プロセスであるとされています。筋肉の遺伝子発現に与えるステロイドの作用を見ると,ステロイド受容体は複数の遺伝子発現プログラムを合理的に動かして,ユビキチン- プロテアゾーム依存性タンパク分解,オートファジーを促進させ,その一方でタンパク合成を抑制するのです。タンパク合成のカギ分子はmTORといわれるセリンスレオニンキナーゼですが,実はこのmTORを活性化すると,タンパク合成が上がると同時にステロイド受容体の働きをブロックすることがわかりました。ですので,GR[(ステロイド受容体)]とmTORはシーソーみたいな関係です。
 GRはタンパク分解,mTORは合成の,各々カギ分子として互いの働きを抑制しあっています。進化の過程では,飢餓などによってストレス時にステロイドが分泌され,骨格筋の分解によってエネルギーをうまく取り出す機能が重要だったのでしょう。もちろん,ちゃんと食べると,それこそインスリンなどを介してmTORが活性化され,筋萎縮のプロセスもシャットダウンされる。このように,ステロイドが巧妙に筋肉を使って代謝をコントロールしていることが分かりました(Shimizu, et al., Cell Metab. 2011;13:170)([上図参照])。この研究成果から,ステロイドによる筋萎縮に対するmTOR 活性化療法という新しい治療法開発のヒントが得られたわけです。 (前掲資料4頁)


 筋萎縮が起きると、場合によっては筋細胞が破壊されることもあるだろう。心筋の場合は再生しないといわれているが(そのため一旦壊れると問題が大きい)、骨格筋の場合は、再生するとされているが、それにも自ずと限度がある。特に、高齢者では、加齢による筋力低下とともに再生能力も低下しているはずで、問題化しやすいと思われる。日本筋ジストロフィー協会のサイトから、

筋肉再生の報道について
2002/10/02
http://www.jmda.or.jp/6/saisei20020924.htm

筋細胞の再生について

    筋ジス研究班班長 清水輝夫

  [中略]

 骨格筋は、胎児の時期そして生まれて成長する過程で、未分化な細胞が分裂して数を増した後に、細胞同士が融合して大きな長い細胞に分化することによりつくられる。分化した細胞は次に成熟して、収縮するはたらきをもった筋細胞ができあがる。成熟した筋細胞は、その中に収縮をになう微細な構造がぎっしりつまっているために、収縮できるわけである。このような分化した筋細胞や成熟した筋細胞は、もはや分裂しないと考えられていた。
 一方、骨格筋に損傷が起きた場合には、その骨格筋を修復するために再生が起こる。この再生には、成熟筋細胞のかたわらで分裂せずに寄り添うようにして存在している未分化な衛星細胞が、中心的な役割を果たす。すなわち筋細胞の損傷などにより、衛星細胞が活動状態になり分裂して数を増す。分裂した細胞同士は分化して融合し、さらに成熟することにより、もとのように骨格筋を再生する。しかし衛星細胞はある程度までしか分裂しないため、損傷した箇所が大きい場合には、再生はある程度までは起きても、損傷箇所すべてを修復するには至らない。


 3.11後の状況の参考になるかもしれないので、ステロイド剤による筋力低下の具体例をみておこう。最初は、何故か動物の場合から(紹介しないとうなされそうで・・・)。ブログ「フェレットの飼い主さん御注意を!悪質獣医がいます気をつけて!」から、

実例ケース2 ・ Bさんの被害 (ステロイド長期大量投与)
2006/4/22
http://blogs.yahoo.co.jp/puratina9999/3094811.html

 Bさんのフェレットは6歳。もう老齢でした。・・・

・・・実は、それはステロイドの副作用で、後ろ足の筋肉が溶解したため、歩きにくくなっていたようなのですが、悪徳獣医は、それを、検査もしないで「神経の病気、脊髄神経の問題、腰も痛いです。」などと言って、さらにステロイドを投与し続けたのです。


 次は、人の場合で、免疫疾患(SLE。全身性エリテマトーデス)でステロイド剤を摂取していた例をみておこう(但し、3.11前)。ブログ「一歩一歩!振り返れば、人生はらせん階段」から、

「ステロイドによる骨格筋の筋力低下」についてのアンケート
2010年 10月 23日
http://ippoippo51.exblog.jp/14844674

 実は、「ステロイドによる骨格筋の筋力低下」は、ステロイドを服用し始めた25年前から私を悩ませていた副作用の一つだった。
入院してステロイド12錠で治療を始めたが、しばらくして、歩行中に違和感を覚えるようになったのだ。床の踏み心地が変なのだ。何か、ふわふわした感じがするのだ。安定感がないような感じ。滑ってこけそうな感じ。
だから、病院の廊下を歩くときは、必ず手すりを持って歩くようにしていた。
主治医に告げたら、「ステロイドの副作用で筋力が低下しているのだと思うから、転ばないように気をつけてください。」と言われた。病院のお風呂で鏡に裸姿を映して見たとき、お尻の筋肉がゲッソリと落ちていることに気がついた。

 退院後、股関節の激痛が度々起こり、「すわ、骨頭壊死か?」と心配したが、整形外科で診てもらうと筋力低下が引き起こしている痛みだと言われた。ステロイド減量と運動による筋力強化が解決方法だが、当時はSLEも安定せず、腎臓が悪くて安静状態で、我慢するよりなかった。

 やがてステロイドが減り、少しずつ働けるようになり、趣味のハイキングや軽い登山を始めたら、しばらくして、膝に痛みが出るようになり、これも「すわ、変形性膝関節症か?」と心配したら、膝の半月板損傷とのことで、手術した。
半月板が壊れるような激しい運動はしていないから、軽い登山が原因ではないかと思う。膝に負担がかかったのに、筋力低下で支えきれなかったので、半月板に負荷がかかり、痛んだのではないかと思っている。


 最後に、免疫疾患(多発性筋炎)でステロイド剤を摂取していた例を紹介しておこう。ブログ「自作PC」から、3.11後の例だと思うけど、

ステロイドミオパチーと筋炎
2011年11月30日
http://jisakupc.ddo.jp/2011/11/miopachy.html

 私の場合は、上肢近位筋の筋肉痛や脱力は一時的(数日)で終わりましたが、下肢近位筋(主に大腿部)は今のところ筋肉痛の様な痛みはありませんが、時々『ピリッ!』とした感覚が走ります。この感覚は入院中にも有り、この時には皮膚の表面近くが酷く痛かったのを覚えています。

 脱力もこれに合わせるように強くなってきました。またそれに伴い筋肉の質が変わってきた様に思えます。固かった筋肉質が、ぷよぷよの柔らかい筋肉質に変わって来た感じが致します。

  [中略]

 それと、筋肉の萎縮も同様に感じ取れます。同じ体制で物を掴んでいると、その形のまま萎縮してしまいます。手の平がお椀の形の様に成り痙ってしまったり頻繁にこの症状が出て来ます。

  [中略]

 ついでにオマケが有るようで、かなりキツイ肩こりが出て来ます。


 ちなみに、多発性筋炎の解説については、gooヘルスケアから、

多発性筋炎、皮膚筋炎
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10T10200.html


 以上の例によれば、筋力低下が本態だが、筋力低下が引き起こす関連の症状にも悩むこととなるらしい。


 3.11後における筋力低下の疑わしい症例をみておこう。手抜きで過去記事発掘にたよると、高齢者については、次で言及した例が関連している可能性があるだろう。

   〔メモ〕 被災地高齢者における歩行困難の増加 2012/10/30

 この流れだと、「足腰フラフラ病」というのが出てきた次の過去記事も関連しているのかもしれない。

   NHK番組「ためしてガッテン」 (4) 姿勢制御系(体性感覚)の機能低下 2012/12/8


 また、子供については、次の過去記事で指摘した運動能力の低下が関連しているのかもしれない。

   子供の体力・運動能力(2011年) 2012/10/13


 以上の例であっても、個々にみれば、全てがコルチゾール過剰のせいではなく、他の要因も多分寄与しているのだろう。コルチゾール過剰経由の影響とそれ以外の経路の影響を区別するのは難しいと思われが、最も影響がある要因は、筋肉にとある核種が蓄積することと考えるのが妥当なのかもしれない。以前にも紹介した記事だが、朝日新聞から、

筋肉のセシウム蓄積は血液の数十倍 警戒区域の牛を調査
2011年11月25日15時7分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201111250281.html
 

 このような核種濃縮経路以外の要因も考えられるだろう。例えば、高齢者の場合は、うつ病経由(これが増加する点はまた別の機会に)あるいは慢性疲労症候群経由(関係の過去記事はココ)で活動が減った結果歩けなくなってしまったとか、骨粗しょう症経由(関係の過去記事はココ)で骨折した結果歩けなくなってしまったとかも混じっている可能性があるだろう。また、子供の場合は、成長障害の経路(関係の過去記事はココ)や甲状腺疾患が関係していることもあると思われる。


「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (8-1)

2013年04月18日 |  症例(その他)

〔更新履歴:4/24訂正〕


 本来はこのシリーズの(7)の途中のはずだけど、前倒しで(8)を。以前の記事
   肺がんタバコ原因説は正しいのか?  2013/4/5
に続いて、ピロリ菌関係の前置きその2という位置付け。

 久しぶりなのでおさらいをしておくと、このシリーズの趣旨は、●による健康影響の症状の多くがコルチゾールの過剰分泌に起因するものと考える説(コルチゾール過剰原因説)を前提として、これらの症状とステロイド剤の副作用との類似性をみていこうというものである(関連の過去記事はココ)。


(8) 消化性潰瘍

(A) 実例

 先ずは、消化性潰瘍が増加していることを示唆する実例をみておこう。チェルノブイリの例では、以前にも一度紹介したけど(1/26の記事)、ブログ「憂鬱亭非日常」から(タイトルでググレば多分元の動画もみつかることとだろう)、

NHKスペシャル「汚染地帯で何が起きているのか チェルノブイリ事故から4年 」(1990年)文字起こし その7
2013.01.04
http://plaza.rakuten.co.jp/shunsoku2002/diary/201301040006/

N [白ロシア]放射線医学センターは、チェルノブイリ事故による患者を治療するために、一年半前に作られました。・・・
N チェルノブイリ事故以降、神経系の病気、血管障害、胃や腸の潰瘍、肝臓病などが増加しています。
(目を半分閉じて背中に聴診器をあてられている男児目の周囲には、明らかな隈がある)
N この医学センターでは、甲状腺の障害が、事故により増加したと見ています。 (なお、「N」はナレーションの意。強調は引用者)


 もう一つチェルノブイリ関連であげておくと、汚染除去作業員と一般住民を比較したところ、前者で消化性潰瘍が著しく多かったらしい。サイト「原発の危険から子どもを守る北陸医師の会」の「チェルノブイリの健康被害 原子炉大惨事から25年の記録」(セバスチャン・プフル-クバイルほか著、2011.4月)から、

第2章 汚染除去作業員
http://isinokai.churaumi.me/2012/03/07/hapter2/

 旧ソ連に汚染除去作業員の登録記録(知られている限りであるが)がいくつか存在する。・・・960名の作業員と200名の一般住民の罹病率とを比較した場合、前者では次の病気の罹病率が著しくに高いことがわかった:慢性脳循環不全症、自律神経失調症(起立性低血圧症)、慢性胃炎、十二指腸粘膜の慢性的炎症、慢性肝炎、胃十二指腸潰瘍、慢性胆のう炎、高血圧症、虚血性心疾患、慢性気管支炎、慢性腎盂腎炎、前立腺の慢性炎症、脊椎の退行性病変8)。 (強調は引用者)


 3.11後の例では、関係が疑われ信頼度が高そうなものは次の例だろう。朝日新聞の記事から、

ストレスで潰瘍 震災前より倍増
2012年11月05日
http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000001211050003

 胃や十二指腸などでできる消化性潰瘍(かい・よう)の県内の患者のうち、不安や恐怖などの心因性ストレスが原因と見られる人の割合が、東日本大震災の前よりほぼ倍増したことが、東北大病院の飯島克則講師(消化器内科学)らのグループの調査でわかった。

 消化性潰瘍は、胃の中にいるピロリ菌や、鎮痛剤などの服用が主な原因。不安や恐怖など心因性ストレスも一因と考えられてきたが、因果関係がはっきりと確認されていなかった。

 グループは東北大や気仙沼市立、石巻赤十字など県内7カ所の病院で、震災前後の各3カ月間で消化性潰瘍の患者を比較した。患者は261人から383人に増加し、そのうちピロリ菌や薬剤ではなく、ストレスが原因と見られる人の割合が13%から24%に増えたという。・・・


 よく読むと、このネタは次の過去記事で紹介したものと同種のものだったようだ(せっかくなので貼ったままにしておこう)。
   宮城での出血性潰瘍が増加 2011.3-6月  2012/5/29


(B) 消化性潰瘍の成因

 次に、消化性潰瘍の一般的な解説をgooヘルスケアから(前にも貼った気がするけど)、

胃・十二指腸潰瘍
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10G20900.html

胃・十二指腸潰瘍とはどんな病気か
 胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼んでいます。消化性潰瘍の代表は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍です。
 胃潰瘍は、40歳以降の人に多くみられるのに対し、十二指腸潰瘍は10~20代の若年者に多くみられます。十二指腸潰瘍の患者さんは、過酸症 (かさんしょう)であることが圧倒的に多いのですが、胃潰瘍の患者さんは、胃酸の分泌は正常かやや少なめの場合がほとんどといわれています。 ・・・

原因は何か
 胃・十二指腸潰瘍の成因のうち、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に由来するものが十二指腸潰瘍で95%、胃潰瘍で70%前後とされています。ピロリ菌以外の成因として重要なのは、薬剤、とくに非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:エヌセッド)です。アスピリンが最も有名ですが、日本ではアスピリン以外でも多数のエヌセッドが関節リウマチやかぜなどの治療に使用されています。・・・


 消化性潰瘍の主な原因には諸説あって、胃酸で一部が溶けて潰瘍になるとの説(胃酸原因説)がかつての主流で、上記解説によれば今の主流はピロリ菌原因説ということだろうか。

 しかしながら、個人的には、顆粒球増多原因説を支持している。おさらいしておくと、●の影響によって次のような一般的な経路が生ずると考えられる(詳細は、交感神経の優位と粘膜・組織破壊 (1/2)  2012/5/14)。

何らかのストレス(酸化ストレスを含む)酸化ストレス →交感神経の緊張 →顆粒球の増多及び血流障害 →組織障害

消化性潰瘍の場合については、安保 徹氏の著作「免疫革命」(講談社、2003.7月)から引用すると、

・・・研究の結果、胃潰瘍はあきらかに交感神経緊張状態がもたらす顆粒球増多が引き起こしていることがはっきりしました。ストレスがかかると、顆粒球が増えて、胃もふくめた身体中の粘膜におしかけ、そこへ、ヘリコバクター・ピロリ菌などの刺激によって、活性酸素が産生され、粘膜組織を破壊していきます。これが、胃潰瘍発症のプロセスです。ヘリコバクター・ピロリ菌が粘膜破壊の主役でないことは、この菌をほとんどもっていない二十歳代の若者でも、強い恐怖や刺激にさらされると胃潰瘍を起こすという実験結果からもわかります。 (同書238頁)


 この点のより長めの解説については、サイト「湯島清水坂クリニック」から、

胃潰瘍 http://yushima-s-clinic.com/index.php?%E8%83%83%E6%BD%B0%E7%98%8D

 胃潰瘍の原因は、交感神経緊張による、顆粒球の増多にあります。交感神経緊張状態が続くと、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が盛んになり、アドレナリンレセプターを持っている白血球中の顆粒球が増えます。顆粒球の寿命は1~2日で、最後は粘膜上にたどり着き、活性酸素を放出するのです。

 顆粒球が放出する活性酸素が、胃の粘膜を破壊するため、胃潰瘍が起こります。


 なお、上記記事では胃酸原因説やピロリ菌原因説の問題点も指摘しているが、短く引用するのも難しいので、時間があればURL先を確認してほしい。


(つづく)


「腰痛は国民病」キャンペーンの始まりなのか? (3/3)

2013年03月30日 |  症例(その他)

 前回(ココ)からの続きで、まとめ。

 腰痛持ちの割合については、3.11後においては、将来的には原爆被爆者生存者の数値(約3割)を目指して増加していく可能性が高いと思うけど(その数値周辺に留まるかどうかの問題もありそうだが・・・)、現状ではそこまで増加していないと個人的には思われる。

 調査によって数字が違うのは、調査における質問の形式が腰痛に焦点をあてるか、あてないかが影響しているのではないだろうか。つまり、厚労省研究班の調査の詳細がわからないので推測になるけど、多い数字(2800万人で国民の約2.5割)が出たのは、問診が腰痛に焦点をあてた形式のものだったためではないだろうか。

 厚労省の国民生活基礎調査(2010年で国民の約1割)は、病気やけが等で自覚症状の有無やその内容をを調べるもので、「病気やけが等で自覚症状がありますか」のような形式の質問で始まるだろうから、変に腰痛に注目が集まらないのだろう。このため、腰痛持ちと自覚のない回答者が調査時にたまたま一過性の腰痛を持っていたとしても、回答に反映されていない可能性があるだろう。個人的には、数字としては、こちらの方が実態により近いとのではないだろうか感じられる。

 他方、厚労省研究班の調査は、推測になるけども、前出の朝日新聞の記事には『医師による問診などで、「腰に痛みがある」「1カ月以内に1日以上痛みがあった」人の割合は、60代が4割強でピークだった』と調査で判明したとあるので、調査の際の問診が腰痛(あるいは腰痛を含む関節痛)に焦点を当てたものとなっていた可能性があるだろう。仮にそうであれば、上述のような一過性の腰痛も紛れ込んでくる可能性があると思われる。

 話が少し脱線してきたけど、要は、朝日新聞の記事では多めの数字のみを使って一面トップの記事にしたらしいが、その目的はなんだったのか、ということである。記事のバランスに配慮するなら、同じく厚労省が公表している少なめの数字にも言及すべきであろう。
 
 
 再度、某掲示板でみかけた話に戻ると、少し活きの下がった情報だけど、女子小学生の腰痛なんてあるのかと感じたレス(投稿)である。本人も「なんかおばぁちゃんみたいだね」と言っているし・・・。緊急自然災害板から、

858 名前:地震雷火事名無し(東京都) 投稿日:2013/03/26(火) 19:07:33.93 ID:yXRRte/N0
 小林歩佳(サンミュージック。ニコ☆プチ専属モデル。テレビ新潟にも出演中)
 立ち話してるとすぐに腰が痛くなる。最近2~3か月身長が伸びてなかった。
 新潟県在住の小5。
 http://ameblo.jp/ayuka-kobayashi/entrylist.html

 2013-03-11 腰痛あゆかとお返事だよ
 (略)腰が痛いから病院行ってきまーす

 2013-03-11 おばあちゃん歩佳
 病院行ってきて なんで腰が痛いのか わかったよ!股関節がかたいみたい 
 それに筋肉が弱いのもあるみたい 今日から股関節を柔らかくするストレッチも
 追加するよ 立ち話してるとすぐに腰が痛くなってたからよくなるといいな
 なんかおばぁちゃんみたいだね 卒業式の練習で体育館に長くいるのも
 あんまりよくないみたいだから 明日からは腰にホッカイロ貼っていくんだ

 2013-03-12 (≧∇≦)
 きのう病院であゆの骨を見てもらったんだけど まだ身長伸びるって言われた
 最近2~3か月身長が伸びてなかったからちょっと心配してたんだ~
 あゆはあと8cm身長が高くなりたいんだ

 2013-03-18 (T_T)
 あゆ花粉症だと思ってたら ただの風邪だった 今月2度目の風邪です!!
 病院行ってお薬もらってきたよ!!病院行ったついでに血液検査もしてもらったよ
 あゆは何型かな!?ドキドキ(後日のブログでB型と発表)  (強調は引用者)


 これに関連し股関節で腰痛といえば、思い出すのはレディー・ガガの話。以前激太りに関し記事(ココ)を書いたので、その続きということでメモしておこう。サイト「RO69 (アールオーロック)」から、

レディー・ガガ、骨盤関節損傷でツアー中止。払い戻し額は23億円相当に
2013.02.17
http://ro69.jp/news/detail/78468

 年が明けてからレディー・ガガは北アメリカ・ツアーに乗り出していたが、先週腰を傷めて歩行もままならなくなり、ドクター・ストップがかかったことで今後のツアーはすべて中止になったことを発表している。治療には手術が必要だとされていて、その後の回復にも相当な時間がかかると見込まれている。

 [中略]

 「・・・怪我の深刻さをはかるため本日[2/13]の朝に行った検査の結果、レディー・ガガは骨盤の間接唇を損傷していて、回復には手術が必要だと診断されています。また、手術後には回復のため相当の時間も要することになります。このため、残念ながら、レディー・ガガの怪我の治療のため、ツアーは中止しなければならなくなりました」 (強調は引用者)


 最初に出てきた国内の報道だと、確か骨膜炎とあったけど痛む部位が不明だったと記憶している。上記記事によれば、腰が痛かったらしい。また、検査結果によれば多分「股関節唇損傷」ということだろう。股関節唇については、ブログ「もっと知りたい股関節痛!! 」から、

股関節唇損傷(こかんせつしん)
http://blog.ginzaplus.com/?eid=1061762


 今回の病気は、激太りして公演向けダンス練習をしたことが原因というのが一番可能性が高そうだが、3.11後に来日公演をしたりして、このブログ的にはちょっとリスキーな行動が多く、そもそも激太りの原因は何だったのかという疑問が個人的には残っている。

 ついでに気になった点を二つ指摘しておくと、サイト「RO69」の次の記事に出てくる錦鯉の産地は、日本国内のどこか確認したのだろうか。

レディー・ガガ、手術後、500万円を超える錦鯉を病室に持ち込む
2013.03.06
http://ro69.jp/news/detail/79173


 また、この原因は何だろうか。スポニチの記事から、

レディー・ガガ ケガの影響でスランプ状態「創作力湧かない」
2013年3月16日
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/03/16/kiji/K20130316005407620.html

 レディー・ガガ(26)が2月に受けた臀部の手術以降、通算3枚目となる新作アルバム「アートポップ」の制作が難航していることが分かった。

 ●の影響による精神症状の一つに「意欲がわかなくなる」というのがあるらしい。錦鯉は淡水魚だし、ベクレていたらかなりのものだろう。水中にいるので自然と遮蔽されそうだが、27匹も病室にいたらこれまでの累積分とあわせて・・・


 ガガの話をメモしたくて膨らまして記事にしてみたけど、とりとめがなくなってしまったような・・・orz