ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (6) アレルギー(3歳児)

2013年01月14日 |  誤認誘導の疑い

 何故このタイミングなのか、という不可解な記事をみかけたので、疑い例としてメモしておこう。

(A)  該当する大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型

ある病気(現象)の従来からの増加傾向をことさらに強調して報道するパターン

に該当するものと考えられる。


(B) 疑わしい報道

 最近、従来路線を軌道修正中なのかとの印象もする、東京新聞から、

アレルギー3歳児 倍増 都まとめ 過去10年
2013年1月11日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013011102000101.html

 東京都がまとめた「アレルギー疾患に関する三歳児全都調査報告書」(二〇〇九年度版)によると、三歳児の食物アレルギーに関する罹患(りかん)率は過去十年で二倍以上に増えている。

 都は五年ごとにアレルギー疾患に関する調査を行っており、食物アレルギーの罹患率は一九九九年度が7・1%、二〇〇四年度が8・5%、〇九年度は14・4%だった。アレルギー性鼻炎も同様に倍増している。

 一方、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、ぜんそくは大きな変化がなかった。アレルギー疾患全体の罹患率では十年で2%増にとどまっている (強調は引用者)


(C) コメント

 先ず、不可解なのが、ちょっと古めのネタ(2010年4月に公表された「アレルギー疾患に関する三歳児全都調査報告書」)を何故このタイミングで報道したのかという点である。

 東京新聞の紙面をみると何か意味があると分かるかもしれないが、背景としては、足元で幼児のアレルギーが増加しているということではないか、と一つ考えられる。

 実際、3.11後にアレルギーが悪化したという話はよく耳にする。ブックマークの中から簡単に出てくる資料だと、サイト「SAVE CHILD」の記事でOurPlanetTVの番組を紹介した内容のものから、

【アンケート結果】関東全域で健康被害広がる~500件の異変報告から
2011.7.20
http://savechild.net/archives/5568.html

 また、アトピーなどのアレルギーの悪化や完治していた病気などの再発、生理の不調、ほくろや紫斑ができるなど、ストレスなどとは到底無関係の症状も多数報告されている。この他、放射能との関連はわからないとしながらも、福島県内の2人の女性から、安定期に流産した、出産直前に死産したなど、胎児に関する報 告があった。 (強調は引用者)


 また、冒頭記事では、3歳児のアレルギー疾患全体の罹患率は10年間で2%増にとどまるのに、何故か食物アレルギーの罹患率が2倍になった点が見出しになるなど、増加がいたずらに強調され過ぎていると言えるだろう。実態は、2009年秋には複数のアレルギーを持つ3歳児が特に増加していたということではないだろうかと思われる。


 冒頭記事で引用された東京都の調査については、東京都のサイトから、

アレルギー疾患を持つ子供に関する調査をしました
保育所等を対象とした児童施設調査及び3歳児全都調査
報道発表資料 平成22年4月22日
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2010/04/60k4m100.htm


 調査の全体は、次の2本立てになっているようで、前者が保育所・幼稚園という施設を、後者が3歳児を対象としたもののようである。

・アレルギー疾患に関する児童施設調査
・アレルギー疾患に関する3歳児全都調査

 
 冒頭記事自体は、アレルギー疾患に関する3歳児全都調査報告書のまとめを文書化したもののようだ。そのまとめを同報告書の概要版から(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2010/04/DATA/60k4m102.pdf。pdfファイル)、





 次回の東京都による調査は2014年秋で、その結果が2015年春には公表されると見込まれる。従来からある各種の要因のほか、●の影響も寄与するだろうから、アレルギー3歳児の割合の増加が予想されるだろう。