ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)

 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。

 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。

 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)

 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

ストレス反応と副腎機能 (1/3) セリエ説

2012年07月31日 |  関連(生物学医学)

 前回の記事では副腎関係の疾患を取り扱ったけど、多分あれだけだと分かり難かったのではないかと思うので、ストレスと副腎機能との関係をみていくことにより、●の影響下における副腎機能の重要性をみていこう。今回は、広義のストレスに関するハンス・セリエの学説。

 少し手抜きで、先ずは、某掲示板から発掘しておくと、放射能板から、

137 : 名無しに影響はない(中国地方) : 2012/05/02(水) 16:20:01.30 ID:8bCdASiw [1/1回発言]
  なんでもかんでもストレスで片付けられる。
  ストレスと言っときゃいいみたいな。
  そうじゃなくて、みんな根本から身体が弱ってるんだと思う。


139 : 名無しに影響はない(北海道) : 2012/05/02(水) 16:39:03.29 ID:qEyrmbjp [1/2回発言]
  [中略]
  >>137
  ストレスは、万病の元。

  放射線被曝もストレス(身体的なストレスの一種)で、これを「精神的なストレス」と思い込ませるような報道が続くと思うので(>>130もその一つ)、騙されないように注意した方がよいだろう。


141 : 139(北海道) : 2012/05/02(水) 18:02:33.76 ID:qEyrmbjp [2/2回発言]
  ストレス・セリエ説に関する個人的メモ

  ストレス‐せつ 【ストレス説】
  ttp://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E8%AA%AC  [リンクはココ。朝日新聞のサイト「KOTOBANK」から]

  >セリエが体系づけた学説。ストレッサーとよぶ生体に有害な影響を及ぼす要因にさらされたとき、
  >副腎皮質ホルモンの分泌が増加し(警告反応)、次いで全身の防衛反応が起こり抵抗力の増大した
  >状態が維持され(抵抗期)、しかし後にはこの状態が失われ(疲憊(ひはい)期)、病気になるという説。

  〈ストレス〉 ストレスの仕組み-生物、心理、社会的に見た場合-
  ttp://www.pref.kyoto.jp/health/health/health09_b.html [リンクはココ。京都府精神保健福祉総合センターのサイト]

  >急なストレス反応説 セリエの全身適応反応症候群

  >ストレスという言葉をはじめて用いたカナダのセリエは、生体が外部から寒冷、外傷、疾病、あるいは怒り
  >や不安などの精神的緊張(ストレッサー)を受けたとき、これらの刺激に適応しようとして生体に一定の
  >反応が起こることを発見しました。

  >・・・大きく以下の3期に分けることができます。・・・

  >疲はい期[第3の期]では、適応エネルギーの消耗からストレッサーと抵抗力のバランスが崩れ、再び
  >ショック相に似た兆候を示すことになります。体温の下降、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下
  >などが起こり・・・


  >慢性のストレス反応説 ホメオスタシスの三角形

  >ストレス刺激は、脳の視床下部というところに伝えられます。視床下部は、交感神経と副交感神経を
  >あわせた自律神経系と内分泌(ホルモン)系を統合し、生体のバランスを維持しています。また、
  >免疫系には、生体に異物が侵入すると、それを攻撃する働きがあります。自律神経系と内分泌系に

  >免疫系が加わり、心身のバランスを保つ機構(ホメオスタシス)が維持されていると考えられますが、過剰
  >なストレスが長期にわたってかかることにより、このホメオスタシスが崩れて病気になることがあります。


  ストレスの3つの段階(2)セリエ説
  2009-08-07
  ttp://ameblo.jp/suponta/entry-10315277905.html
  (内容は上のリンクより落ちるけど、行間があいて見やすいバージョン)


 ストレッサーとは、外部から生体に影響を及ぼす刺激のことであり、ストレスとは、その刺激に適応しようとして生体内で一定の反応がおこって歪んだ状態のことである、といえるだろう。

 セリエの学説によれば、このような適応の反応は「全身適応症候群」と名づけられ、

(1) 警告反応期(ショック相と抗ショック相に分けられ、ショック相はショックに対して適応できていない段階、抗ショック相はショックによる生体防衛反応が高度に現れる段階)
(2) 抵抗期(持続するストレッサーと抵抗力とが一定のバランスをとり、生体防衛反応が完成される時期)、
(3) 疲憊(ひはい)期(適応エネルギーの消耗からストレッサーと抵抗力のバランスが崩れ、再びショック相に似た兆候を示す)、

の3期に分けられている。

 この説によれば、警告反応期には副腎肥大、胸腺リンパ組織の萎縮などが起こり、疲憊期に至ってしまうと、体温の下降、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下などが起こるとされている。これについては、副腎は、警告反応期にはその機能の活性化がおこるものの、疲憊期に至ると疲弊・消耗してその機能の低下がおこるものと解される。

 もう少し詳しく知るために別のサイトを探すと、滋賀医科大学のサイト「痛みと鎮痛の基礎知識」の次の記事がよくまとまっていると思われる。

ストレス stress
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/react-stress.html (リンクはココ

 ストレスの学説に関し経緯が簡単にまとめられていて、用語の定義のあと、セリエの「汎(全身)適応症候群」、ストレスに反応する生体システム、ストレスに対する自己防衛行動などについて解説がなされている。

 上記リンクの「ストレスに反応する生体システム」部分の要旨を書き出しておくと、
 
 ストレスに反応する生体システム

・ストレス刺激は末梢から感覚神経を介して脳に送られ、情報処理が行われた後、内分泌系、自律神経系、運動系を通してストレス反応が表出される。
(中略)
・ストレス刺激に関する情報は大脳辺縁系で処理された後、神経伝達物質等を介して視床下部へと伝えられる。

視床下部室傍核はストレス応答の司令塔であり、SAM系とHPA系の2つのシステムで担われてる。

SAM axis (視床下部~交感神経~副腎髄質系。sympathetic-adrenal-medullary axis)
副腎髄質や交感神経末端からアドレナリンとノルアドレナリンが分泌される。
・ストレス反応での心拍数の増加、血圧上昇、発汗、血糖上昇、覚醒、闘争反応等の基礎反応の原因となる。

HPA axis (視床下部~下垂体~副腎皮質系。hypothalamic-pituitary-adrenal axis)   
副腎皮質からグルココルチコイド[糖質コルチコイドのこと。主としてコルチゾール]が分泌される。
・グルココルチコイドの作用は血圧上昇、血糖上昇(糖新生の増加)、心収縮力の上昇、心拍出量の上昇、さらにはカテコールアミンの作用に対しては補助作用を示すなど多方面にわたっています。
・ストレス状態におかれた個体にとってグルココルチコイドはカテコールアミン[アドレナリン、ノルアドレナリンの総称]とともに重要な生体防御ホルモンである。

 上記リンクの「ストレスに対する自己防衛行動」部分の要旨を書き出しておくと、

ストレスに対する自己防衛行動

・ストレス反応に対処する戦術に2つの選択肢がある。

(1) SAM系による行動制御→攻撃または闘争・逃走反応

(2) HPA系による行動制御→フリージング

 ・ストレスが強すぎたり、長く続く場合、あるいは、個体がストレスに対処できない場合には、受動的ストレス反応が現れる。闘わずにじっと動かなくなり(フリージング)、行動意欲も減退する。
 ・この時、HPA系が活性化されて、いわゆるセリエの3徴候が出現する。
 ・このタイプのストレス反応では、不安や抑うつなど心理的にはネガティブな面が現れ、さまざまのストレス性疾患が発生する。


 ストレス反応において、副腎が重要な役割を果たしていることがわかるだろう。

============

注)・8/1 誤字脱字修正。


放射性セシウム137の体内濃縮と関連する疾患

2012年07月28日 |  関連(生物学医学)

 前回の記事ではユーリ・バンダジェフスキー氏のリンゴ・ペクチン論文を紹介したけど、この論文のなかには、放射性セシウム137の体内濃縮の状況について言及がなされている。

Relationship between caesium (137Cs) load, cardiovascular symptoms, and source of food in 'Chernobyl' children -- preliminary observations after intake of oral apple pectin.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=15635491 (要旨)
http://www.smw.ch/dfe/set_archiv.asp?target=2004/49/smw-10219 (全文pdf)

   137Cs mainly concentrates in endocrine glands, pancreas, thymus, and heart.  In these organs,
levels 10 to 100 times higher than those in other organs are found in children [1]. (Introductionの第2パラ)

 放射性セシウム137は、主に内分泌腺、すい臓、胸腺及び心臓で濃縮する。これらの臓器において、子供では、他の臓器に比し10-100倍高い水準で濃縮がみつかっている [1]。


ここで引用されている文献 [1] もバンダジェフスキー氏の論文の一つ。
 
Chronic Cs-137 incorporation in children's organs
Bandazhevsky YI.
Swiss Med Wkly. 2003 Sep 6;133(35-36):488-90.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14652805 (リンクはココ。要旨のみ)
http://www.smw.ch/dfe/set_archiv.asp?target=2003/35/smw-10226 (全文pdf)

その結論を要旨から引用すると、

   We measured the Cs-137 levels in organs examined at autopsy. The highest accumulation of Cs-137 was found in the endocrine glands, in particular the thyroid, the adrenals and the pancreas. High levels were also found in the heart, the thymus and the spleen.

 我々は、死体解剖で調査された臓器での放射性セシウム137の水準を計測した。最も高い放射性セシウム137の蓄積は、内分泌腺、特に甲状腺、副腎、すい臓でみつかった。高い水準は、心臓、胸腺及び脾臓でもみつかった。 


 これらの蓄積しやすい臓器での関連する疾患について、某掲示板での指摘を発掘しておくと、緊急自然災害板から、

272 : 地震雷火事名無し(東京都) : 2012/02/25(土) 16:33:08.72 ID:z+B8QSw/0 [1/1回発言]
 [中略]

  Bandazhevskaya, et al.(2004)によるセシウムが溜まりやすい組織:
  > 137Cs mainly concentrates in endocrine glands, pancreas, thymus, and heart.

  関係しそうな病気は、

  ・内分泌腺(具体的にはこのあたりらしい):
     甲状腺 → 甲状腺機能亢進(バセドー病) or 低下(橋本病)
     副 腎 → 副腎機能亢進         or 低下(アジソン病)
  ・すい臓   → 糖尿病

  ・胸 腺   → 免疫系の変調
  ・心 臓   → 心筋機能低下、[電導]障害、心血管系の障害


 だいたいどこか聞いたことがあるものが並んでいる。少しおさらいをしておこう。

 甲状腺については、初期被ばくでの放射性ヨウ素131による影響が有名だが、長期的には放射性セシウム137による影響が上乗せされることとなる可能性が高いこととなるだろう。なお、甲状腺疾患の詳細については、以前の記事を参照(甲状腺の異常 〔YNNチェルノブイリ報告から〕)。

 副腎は最後に回すことにして、すい臓について代表的な疾患はやはり糖尿病で、これについても詳細は以前の記事を参照してほしい(福島の子供の糖尿病の原因は? (1/2)(2/2))。後の記事に追記した、いわゆるセシウム原因説については、その根拠はこのバンダジェフスキー論文の指摘にあると思われる。

 胸腺については、これも以前の記事で少しとり扱ったけど(交感神経の緊張と自己免疫疾患(膠原病))、進化したリンパ球のうち、T細胞の一部(これらの細胞の生まれは骨髄)が胸腺で成熟することになっており、胸腺が影響を受けるとT細胞の機能にも影響が出て、一番進化した免疫系(外来の小さい異物を処理)の機能にも異常をきたすものと考えられる。免疫力の低下か、あるいは自己免疫疾患と関係することになるだろう。

 心臓については、まだこのブログでは余りまとめていないような気がするけど、ここでは、問題の種類は3つあることだけ指摘しておこう。3つとは、心筋の収縮機能上の障害、心筋(特殊心筋細胞といわれる部分)のペースメーカー機能上の障害、これらの心筋に栄養・酸素を供給する血管系の障害。要は、心臓が止まると大問題なのだけど、その元々の原因として、収縮障害(心筋症)、電導障害(不整脈ほか)、血流障害という3つを概念としては区別しておく必要があるだろう(1番目の障害は次の記事の終わりの部分で少し触れたかも:宮城での心不全、急性冠症候群、脳卒中の増加 2011.3-4月)。

 最後にというか、今回メインの副腎について。先ず、副腎ホルモンの種類については、サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」から、

内分泌系(ホルモン)
http://kusuri-jouhou.com/pharmacology/internal-secretion.html (リンクはココ

副腎
 副腎は腎臓の上にある内分泌腺である。副腎の表層の部分を皮質、内部を髄質という。

・副腎皮質
 副腎皮質から分泌されるホルモンには電解質コルチコイド、糖質コルチコイド、副腎アンドロゲンの三つがある。ただし、副腎アンドロゲンは男性ホルモンの一種なので副腎皮質特有のホルモンということはできない。つまり電解質コルチコイドと糖質コルチコイドを副腎皮質ホルモンという。
   [中略]

 副腎皮質から分泌されるホルモンのバランスが崩れると次の病気を引き起こす。
 アルドステロン症 ・・・
 クッシング病   ・・・
 アジソン病    ・・・

・副腎髄質
 副腎髄質からはアドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の二つのホルモンが分泌されている。・・・

 通常、電解質コルチコイドの代表的なものがアルドステロン、糖質コルチコイドのはコルチゾールとされている。また、副腎髄質から出る2つのホルモンは、まとめてカテコールアミン(略してカテコラミン)とも呼ばれることもある。

 副腎機能関係の病気のうち、アルドステロン症とクッシング病(通常はより広い病態の用語「クッシング症候群」を使うことが多い)は副腎皮質機能の亢進の、アジソン病は副腎皮質機能の低下の問題である。

 放射性セシウム137が蓄積されるとする副腎以外の他の臓器では、いろいろ疑わしい例が報告されているので、副腎だけ特別に何も起こらないと考える理由は少ないように思われる。情報量が少ないので上記の引用では詳細を省いたけど、これらに補足していこう。gooヘルスケアから、

原発性アルドステロン症 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10L30200.html (リンクはココ

原発性アルドステロン症とはどんな病気か
 副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイドホルモンのひとつ、アルドステロンの分泌が過剰になるために起こる病気です。アルドステロンは腎臓に作用し、体のなかにナトリウムと水分を蓄えるために高血圧になります。また、尿のなかにカリウムを排泄する作用をもつため、このホルモンが過剰になると血液中のカリウムが減り、筋力が低下したりします。
 もともとまれな病気と思われていましたが、最近、検査法の進歩に伴い、高血圧症の患者さんの5~10%がこの疾患といわれています。

原因は何か
 副腎皮質の腫瘍(しゅよう)、または過形成(かけいせい)(全体がはれて大きくなること)が原因です。・・・

症状の現れ方
 主な症状は、高血圧と低カリウム血症に起因するものです。高血圧はしばしば臓器障害(血管、心臓、脳、腎臓の障害など)を引き起こします。・・・


前回の記事で栃木の中学生の高血圧の報道を紹介したけど(ココ)、これらの例がこの病気と関連するのかもしれないが、決め手にかくところ(ここまでくると、検査データをみないとよくわからん感じ)。

 

クッシング症候群 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10L30100.html (リンクはココ

クッシング症候群とはどんな病気か
 副腎皮質(ふくじんひしつ)でつくられる副腎皮質ステロイドホルモンのひとつ、コルチゾールが増えすぎるために起こる病気です特徴的な身体所見があり、また高血圧、糖尿病、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、感染症など、さまざまな病気を引き起こします。

原因は何か
 脳の下にある下垂体(かすいたい)に腫瘍(しゅよう)ができ、そこから副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰に出てくるために副腎皮質が刺激されてコルチゾールが増える場合と、副腎皮質に腫瘍ができて、そこからコルチゾールが多く出てくる場合があります。
 まれに異所性(いしょせい)ACTH症候群といって、肺がんや膵臓(すいぞう)がんからACTHが分泌される結果生じる場合もあります。とくに下垂体の腫瘍が原因の場合をクッシング病と呼び、区別されています。

この病気の関連だと、千葉に住む女性からの、少し思い入れのある報告をあげておこう。サイト「みんなのカルテ保管庫」から、

443・444 3/11からの記録
http://sos311karte.blogspot.jp/2012/03/443444-311.html (リンクはココ。カルテ番号が443-444)

写真付きで詳細に報告されていて引用のしようもないので、リンク先でみてほしい。最終的に、クッシング症候群(このうちクッシング病(下垂体腺腫))と判明した模様。


アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症) http://health.goo.ne.jp/medical/search/10L30300.html (リンクはココ

アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)とはどんな病気か
 副腎皮質ホルモンは生命の維持に必要なホルモンで、健康な人では体の状態に合わせて適切に分泌されています。このホルモンが、何らかの原因で体が必要とする量を分泌できなくなった状態を、副腎皮質機能低下症といいます。

原因は何か
 副腎は両側の腎臓の上、左右に2つありますが、両側の副腎が90%以上損なわれるとアジソン病になります。原因として最も多いのは、結核(けっかく)(副腎結核)と自己免疫によるものです。まれにがんの副腎への転移によるもの、先天性のものなどがあります。

症状の現れ方
 副腎皮質ホルモンには、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、男性ホルモンがあります。アジソン病では、主に糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドの欠損症状が現れます。現れる症状はさまざまですが、主なものとして、(1)色黒、(2)倦怠感(けんたいかん)、脱力感、(3)体重減少、(4)胃腸症状(食欲不振、便秘、下痢)、(5)低血圧、(6)低血糖などがあげられます。また精神症状(不安、集中力の低下など)や腋毛(えきもう)、恥毛(ちもう)の脱落などもしばしば認められる症状です。
 自己免疫が関係する特発性(とくはつせい)アジソン病の場合、甲状腺疾患や糖尿病、貧血、真菌症などを合併することが多く、これらの症状が現れることもあります。

この病気の症状は、甲状腺機能低下症と重なるものがあるし、更に「自覚症状もはっきりしたものではなく、気がつかないことがほとんどです。」とされ、また、合併症として甲状腺腫もあるので、現状だと、甲状腺異常ぽっい人の中にまぎれているのかもしれないという印象を持っている。そういう中で、区別しやすそうな印象なのは、アルドステロン分泌欠乏での高カリウム血症がからむ例だろうかと思っている。例えば、某掲示板の緊急自然災害板でみかけたものを発掘しておくと、
 
210 : 地震雷火事名無し(北海道) : 2012/02/23(木) 17:38:12.13 ID:T14pn2Ge0 [3/4回発言]
  >447 :地震雷火事名無し(神奈川県):2012/02/23(木) 17:33:31.89 ID:iivfSAh80
  >置換といえば、セシウムとカリウムは体内で同じものとみなされるとケースが有ると聞いたたが、非常に気になる事が・・・
  >自分の回りで、血液検査の結果、「カリウムが高い」と注意された人間が、3人いる
  >「バナナ、キウイ、トマトなんかばかり食べてると、高カリウム血症になりやすいから、気を付けて」と、医者はお決まりの指導
  >(3人とも、それらを殆ど食べない人)思ったのは、昨今の異常なトマトブームの煽り
  >チェルノさんの時は、高カリウム血症はどうだったんだろうか?
  >もしかしたら、これから高カリウム血症類似の人が激増する事を予測しての、伏線なのかもってのは考え過ぎ?
  >「ブームだからって、トマト食べ過ぎたんでしょ?気をつけて下さ」で終わりだもんな
  >一応、このスレに記録として書いておくよ

261 : 地震雷火事名無し(関東・甲信越) : 2012/02/25(土) 12:29:29.24 ID:VfD60hA2O [1/1回発言]
  >>210
  私去年体調悪くて病院で血液検査とホルモン検査したんだけど、カリウム値が基準より少し越えてた…
  アジソン病っていうのもあるから更に詳しくホルモン検査したけどやっぱり高かった…

  ついでにその時血圧測ってるときに不整脈も出てた…
  自覚症状もあったからやっぱり不整脈でてたんだって感じでその場で心電図撮ったけどその時は出なくてわからないままだった。医者曰くこの不整脈の仕方からすると命に関わる不整脈ではないといわれたけど…
  今年になって健康診断での心電図でうまく撮れたみたいで洞性不整脈と診断があったけど、これだけじゃないのかな?
  高カリウムと不整脈が関連してるなんて…


 副腎関係の疾患についても、甲状腺と同様に出てきている可能性がある。ただ、検査でみつけるのは甲状腺関係より難しいと思われるので、各人で留意した方がよいのかもしれない。

 

8/7追記:

 引用したサイトに載っていた副腎皮質関係の疾患を3つ紹介したけど、引用したサイトには載っていなかったが副腎髄質関係の疾患にも一つわりと知られているものがあるので、触れておこう。これは、腫瘍ができて、ノルアドレナリン又はアドレナリンが過剰に分泌されるために起こるものである。gooヘルスケアから、

褐色細胞腫 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10L30500.html (リンクはココ

症状の現れ方
 代表的な症状はカテコールアミンが多く分泌されることによる高血圧、頭痛、発汗過多、代謝亢進(こうしん)、血糖の上昇です。そのほか、動悸(どうき)、やせ、便秘、胸痛、視力障害などもしばしば起こります。
 高血圧などの症状が常にある患者さんもいますが、半数以上の人はこれらの症状が発作的に現れます。・・・

 

〔その他参考のサイト〕

厚生省研究班のサイトから、
副腎ホルモン産生異常症の推定患者数概要
 http://www.pediatric-world.com/asahikawa/fukujin/p05.html
副腎ホルモン産生異常をきたす代表的疾患 - I.アジソン病 
 http://www.pediatric-world.com/asahikawa/fukujin/p06.html

gooヘルスケアから、
高カリウム血症 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10L30800.html
低カリウム血症 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10L30700.html

 

〔その他のサイト〕

「内科・小児科マリヤ・クリニック」のサイトから、
ホルモンの働き2・副腎皮質ホルモン
http://www.mariyaclinic.jp/b_exsamination/b_r01mcn/mcn/mcn2005/b_r01news0501.htm
ホルモンの働き3・副腎髄質ホルモン
http://www.mariyaclinic.jp/b_exsamination/b_r01mcn/mcn/mcn2005/b_r01news0502.htm

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注) 8/7 追記・その他のサイト追加。


栃木の中学生の高血圧 (2011年度調査)

2012年07月26日 |  症例(報道ベース)

 ちょっと手抜きで、栃木の地方紙(下野新聞)の記事から、

大田原の中学生、5人に1人が高血圧 肥満や塩分、ストレス要因?
7月16日
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20120716/827592 (リンクはココ

 大田原市が市内の小中学生を対象に実施した2011年度「小児生活習慣病予防健診」で、中学生の2割が「高血圧」(最高120以上、最低70以上)と診断されたことが15日までに分かった。

 [中略]
 検査項目別では、「高血圧」の小学生は6・5%と微減だったのに対し、中学生は20・6%で、2006年度の9・3%と比べ倍増した。地区別にみると、大田原が20・0%、黒羽25・9%、湯津上14・3%だった。

市子ども幸福課は「高血圧でも肥満でない生徒もおり、高血圧の原因特定は難しい。塩分の取りすぎやストレスも一因にあるのでは」と分析し、事後指導の強化を図る方針。


 この記事を読んで思い出したのは、Bandazhevskaya, et al.(2004)という論文。

Relationship between caesium (137Cs) load, cardiovascular symptoms, and source of food in 'Chernobyl' children -- preliminary observations after intake of oral apple pectin.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=15635491 (リンクはココ。要旨)
http://www.smw.ch/dfe/set_archiv.asp?target=2004/49/smw-10219 (全文pdf)

ユーリ・バンダジェフスキー氏の論文の一つで(彼は著者の最後)、いわゆるリンゴ・ペクチン論文である。その要旨の関連部分を抜粋すると、

Cardiovascular symptoms, ECG alterations, and arterial hypertension were significantly more frequent in children with high 137Cs burden than in children with very low 137Cs burden.

心血管系の症状、心電図変化及び動脈性高血圧は、放射性セシウム137の濃度が高い子供において、放射性セシウム137の濃度が低い子供に比し、著しく頻繁であった。


放射性セシウム137の濃度が高いと、高血圧が多かった、とされている。栃木はけっこう汚染されているようだが・・・

 大田原市の担当者が「ストレスも一因」と示唆しているけど、誤解を招くような気がするので、放射性セシウム137による酸化ストレス(活性酸素)の影響かもしれない、とはっきり言ってみてはどうだろうか。


〔関連記事〕
岩手における高血圧 2011.11月調査  2012/4/23


放射線療法の副作用との類似性 (5) 腸失禁 (bowel incontinence)

2012年07月24日 |  関連(生物学医学)

 以前にも別の例を見かけたのだけど、見失ってしまったので、記録しておこう。某掲示板の緊急自然災害板から、

597 : 地震雷火事名無し(家) : 2012/06/23(土) 04:00:33.39 ID:FQvZQfCZ0 [1/1回発言]
  やっぱり影響来てるね
>60 名前:番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です[] 投稿日:2012/06/23(土) 03:59:08.30 ID:1GWGHTxq0
>去年、当時36歳でウンコ漏らしたからな…まさかこの歳でと思ったわ

601 : 地震雷火事名無し(関東・甲信越) : 2012/06/23(土) 07:16:29.81 ID:I4eGrgVfO [1/1回発言]
  >>597
  俺も昨年似たような事があった。風呂場で湯舟の中でオナラしたら、その拍子にウンコまで出た(笑)


 これについては、以前の記事(ココ)で紹介した、英国の政府系の国民健康サービス(National Health Service、NHS)のサイトで解説されている次の事項と関連する可能性があるだろう。

Radiotherapy - Long-term side effects 放射線療法 - 長期的な副作用
http://www.nhs.uk/Conditions/Radiotherapy/Pages/Side-effects2.aspx (リンクはココ

Bowel incontinence 腸失禁

Bowel incontinence, sometimes known as faecal incontinence, is a rare side effect of radiotherapy to the pelvis. It is the inability to control your bowel movements which can result in faeces (stools) leaking from your rectum (back passage).

腸失禁(ときには便失禁としても知られる)は、放射線療法による骨盤への稀な副作用の一つである。それは、腸運動を制御することの不能であり、糞便が直腸から漏れてくるようになることがある。


 腸失禁でググルと、株式会社エスアールエル(東京の臨床検査会社)のサイト「症状百科」が出てくるので、そこから一部引用すると、

腸失禁
http://www.syojo.jp/HouseCall/encyc/1/55/60_0_0_0.html (リンクはココ

定義
腸管の調節ができなくなること(非意図的な排便)。尿失禁も参照してください。腸失禁はガスの排出にともなう大便の漏れから、完全な腸管の調節障害までの範囲におよびます。

(中略)

一般的原因
- 慢性の便秘や直腸内で固化した便から、下痢が生じ固化した便の周囲からの失禁が起こる(糞便失禁も参照)
- 激しい下痢により、便のコントロール能力を越える
- 未知の環境のストレス
- 腸の膨満感に対する知覚の鈍麻
- 神経または筋肉の損傷(卒中、外傷、腫瘍、放射線照射による)
- 情緒的傷害(心理学的)
- 産婦人科、前立腺、直腸の手術
- 重い痔疾または直腸脱
- 結腸切除術または腸管切除術
- 慢性の下剤乱用 (強調は引用者)


一応、日本語ウェッブでも、腸失禁が放射線照射による副作用に含まれることが確認できるようだ。

 滅多にあるとは思わないが、漏らしたくない人は、対策を続けた方がよいのかもしれない。冒頭で触れた最初にみかけた例では、本人はその後落ち込んで寝込んでしまったと報告されていたと記憶している。


〔関連記事〕
放射線療法の副作用との類似性 (4) 症状のまとめ  2012/6/11 (既出)


〔メモ〕 福島県立医大の放射線研究新センター構想

2012年07月23日 |  今日のメモ

 久々の更新。短い記事の紹介。東京新聞から、

「低線量被ばく明らかに」 福島県立医大の新センター
2012年7月22日 20時12分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012072201001658.html (リンクはココ

 福島県立医大(福島市)は22日、東京電力福島第1原発事故による県民健康管理調査や、放射線研究に取り組む新センターの基本構想の素案を取りまとめた。菊地臣一学長は「低線量被ばくのデータを明らかにして、人類の財産にしたい」と意欲を示した。

・・・新センターは健康調査の他に、被ばく線量モニターの開発など最先端医療機器の整備、早期診断による早期治療、産業界と協力して新薬の開発、放射線被ばくを含む災害医療に関する人材育成の計五つの役割を持つ。・・・ (強調は引用者)


 さて、どちらが関係者の本音なのだろうか。従来から県民に説明している内容(100mSv以下の安全性を強調)か、あるいは記事にある内容か。

 5つの役割とやらを読むと、何も無いとは思えないのだが・・・(例えば、景気もよくないのに、何も無いを前提に投資する産業界があるのか?)