ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)

 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。

 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。

 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)

 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

色素性痒疹と乾癬・炎症性腸疾患

2024年07月23日 | 思いつき

〔更新履歴:2024-7-24一部修正、7-30追記〕

 

 久しぶりなので、猛暑お見舞い申し仕上げます、と言いたいところだが・・・

 現在は約260万年前に始まった氷河時代であり、氷期と間氷期を繰り返している。現代は間氷期だが、先の間氷期(およそ130k年前から116k年前)については、かなりの精度で科学的観測ができていて(前々の間氷期は雑音との区別がより難し)、個人的に信じている説だと、平均気温が摂氏で3-4度、海水面が今より4-5メートル高かかったらしいので、最近の気候は起こり得る出来事の範囲内とも言える。

 

 このブログの記事は、境界の生態系(皮膚、粘膜)の話で途切れてしまっていたところ(その続きとして皮膚の生態系に特化した話を続ける予定だったものの)、その続きを別の話題にて・・・

 

 我が国における糖質制限食の導師様(江部氏)によると、糖質制限を導入した際の低カロリーはいろいろと良くないらしい。ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事から二つ:

 

糖質制限食実践中の好ましくない症状は、ほとんどがカロリー不足です。 -2022年11月04日 (金) 
https://koujiebe.blog.fc2.com/blog-entry-6124.html
>こんにちは。

糖尿病
メタボリックシンドローム・・・内臓脂肪蓄積が元凶
肥満
肥満に伴う高血圧
アトピー性皮膚炎
花粉症
尋常性乾癬
逆流性食道炎
尋常性痤瘡(ニキビ)
片頭痛
機能性低血糖
歯周病
潰瘍性大腸炎
認知症

など様々な生活習慣病の予防・改善に糖質制限食が有効です。勿論、個人差はあります。
 生活習慣病の本質は『糖質頻回過剰摂取+インスリン頻回過剰分泌』病です。すなわち、「生活習慣病=糖質過剰病」といっても過言ではありません。糖質制限食が『糖化・酸化ストレス』を防ぎ、内臓脂肪蓄積・生活習慣病・老化・認知症を予防します。<

>糖質制限食開始時に、おそらく長年の習慣で脂質まで制限してしまう方々がおられます。この場合「糖質制限+脂質制限」となりますので、食べるものは、白身魚やササミなどヘルシーとされるたんぱく質と葉野菜や海藻・茸の類いが主となります。
 こうなると、本人は気がつかないまま、摂取エネルギーはかなり少なくなり、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を大幅に下回り、様々な症状と検査データの変化が生じます。・・・<
><結論>
糖質制限食開始後にみられる好ましくない症状(全身倦怠、筋力低下、無気力・・・)のほとんどが、摂取エネルギー不足からきています
 甲状腺機能低下症といきなり飛躍したりせずに、普通に摂取エネルギー不足を考慮してみてくださいね。<

 

『色素性痒疹』 について -2024年07月15日 (月) 
https://koujiebe.blog.fc2.com/blog-entry-6606.html
>こんにちは。
今まで、色素性痒疹については、何度か質問を頂き、検討してきました。
結論を言いますと
ほぼ全ての色素性痒疹は、低カロリー食が原因である。」
ということになります。<

 

 このような記事には少し思う所あり、後者の記事にコメントとして次の見解を打ち込んでおいたところ(同ブログのソース基準は厳しめなので、素人の体験談ベースの内容にに留めておいた。糖質制限の導師様には敵が多くここぞとばかり足を引っ張る人が数多いて、特異的な体質の少数を切り捨てるような言説になっているのは仕方のない面もあるところ):

 

色素性痒疹の本質に係る別説

 数年前に緩い糖質制限を導入しまして、その際に個人的に最も困ったのが皮膚症状でした。ネット上の一例報告やうわさを元に一時的なサプリ摂取で克服した経験があります(カロリー的にはサプリ摂取前後で概ね変化なし)。
 このため、この皮膚症状を「色素性痒疹」と見立てつつ、次の問を建てて回答を探していたところです:

Q 糖質制限の導入の際の色素性痒疹については、治したり防止するのにナイアシンの服用(500mg/day程度かそれ以上)が有効という説が数年前巷で広まっていた。仮にこれが正しいとして、何故いいのだろうか?

 今回の記事をきっかけに再度検討してみたところ、答えが作れそうなシナリオを思いつきました(色素性痒疹のインスリン一過性作用不足起因説)。インスリを補充すれば著効するとされており、このシナリオとも矛盾しないようにも思えます:

色素性痒疹を合併した糖尿病性ケトーシスの3例 -2000年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo1958/43/5/43_5_387/_article/-char/ja/

 与太話はこの辺で失礼します・・・

注1)上記のQの回答を脚注1に追記。

 

 ちなみに上記コメント内で言及した報告は、国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) の科学文献サイトのものだが、そのさわりは:

>抄録
 色素性痒疹は著しい瘋痒を伴う紅色丘疹が発作性に多発し, 後に粗大網目状の色素沈着を残す皮膚疾患である. その発症にケトーシスの関与も示唆され, 糖尿病領域でも注目されている. われわれは, 過去6年間に糖尿病に合併した色素性痒疹を3例経験したので, 文献的考察を含め報告する. ・・・<

 

 その後、自説(色素性痒疹のインスリン一過性作用不足起因説)を本ブログの進化的な考え方と整合的になるよう転がしてみたところ、以下のようにまとめることができたので、紹介しておこう(個人的には、糖質制限食の導入によって花粉症やアトピー性皮膚炎が軽快するのは、異物除去能力の本来能力の回復で説明できそうだと感じていた。しかし、尋常性乾癬や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease、IBD)にはそれだけでは射程が届ないと常々感じていたのだが・・・):

 

・食性の変更(狩猟採集食⇔農耕食)により血清インスリン濃度が変化しIGF(Insulin-like Growth Factor。インスリン様成長因子)も変化するとされている(農耕食で高値へ。例えば、約2倍との報告は注2参照)。
・農耕食は比較としてがんを招き易く細胞増殖を促すようであり、宿主の細胞の新陳代謝を軸として維持されている境界の生態系(皮膚、粘膜において宿主と常在の微生物・ウィルスとが共創するもの)に対し増殖過多・過少を通じて影響を及ぼし、肌環境又は腸内環境を乱し得る。

・このような生態系異常(dysbiosis)を契機とした免疫力の低下により上手く対処できないときは(注3)、具体的には農耕食において皮膚(表皮)の増殖過多による「乾癬」が、腸粘膜(粘膜上皮)の増殖過多による「炎症性腸疾患」が生じると思料される(インスリン水準変動による境界生態系異常症候群仮説)。
・他方、農耕食⇒狩猟採集食という変更においては(インスリン・IGF低値へ変化)、増殖過少による生態系異常があり得、皮膚(表皮)の増殖過少による「色素性痒疹」が生じると思料される(インスリン一過性作用不足仮説。なお、腸粘膜の増殖過少によるものは多分炎症性腸疾患に取り込まれているものと思料)。

・ヒトの本来の食性はインスリン・IGF低値であり、食性の変更によりこれらが高値から低値に誘導されたとしても、いずれ全身においてインスリン・IGF低値に対応した設定に調節可能と考えるのが自然だろう(乾癬も炎症性腸疾患も難治とされており、高値への対応能力には個人差があるのだろう)。

 

注2)ブログ「ドクターシミズのひとりごと」の記事から:

糖質制限でケトーシスになっている人が糖質制限を止めたらどうなる? その1 -2023年11月8日
https://promea2014.com/blog/?p=24243
>IGF-1も同様に、149.30μg /Lから273.40µg/Lに増加しました。<
引用者注)同記事の図表の上から4番目あたり参照。糖質食で約2倍になるらしい。

注3)ここでは免疫力は、侵入防御能力と異物除去能力との兼ね合いで決まるものと考えている(詳しくは2024-2-1付けブログ記事参照)。故に「免疫力の低下」は侵入防御系(バリア機能)自体の劣化、及びそれによる異物除去系の負担増により起こるものを意味する。

 

 この仮説(インスリン水準変動による境界生態系異常症候群仮説)が正しいとすると、潰瘍性大腸炎のほか、クローン病(炎症性腸疾患の一種)にも糖質制限食が有効なはずだが、

個人の体質に応じて、粘膜上皮細胞の増殖過多・増殖過少にならない範囲で糖質量をゆっくりと減らしていく必要がある

というのがかなり難しいのかもしれない。

 

 適当にまとめると、

乾癬や炎症性腸疾患は、糖質食により免疫力の低下(バリア機能及び異物除去機能の両方の能力低下)により起きる疾患であろう

ということになろうか。

 

脚注1)本文中のQの回答について(Qを再掲しつつ):

Q 糖質制限の導入の際の色素性痒疹については、治したり防止するのにナイアシンの服用(500mg/day程度かそれ以上)が有効という説が数年前巷で広まっていた。仮にこれが正しいとして、何故いいのだろうか?

A)先ず、色素性痒疹については、次のような病態と考えられる(インスリン一過性作用不足起因説):

・ヒトは、狩猟採集食の時代にはもともと血清低インスリン・低IGF(インスリン様成長因子)であろう。糖質食に変化すると、これらが高めに誘導される結果、皮膚の新陳代謝系においてそれらの感受性が自ずと抑制・低下するものとみられる(この抑制が慢性的に上手くいかない場合もあり得るだろう)。
・糖質食から糖質制限食に戻した際には、燃料供給系(ぶどう糖・脂肪酸の供給系)の調整は〔2-3週前後で〕済むようだが、皮膚の新陳代謝系の調整には個人差のため〔12週前後ほど〕かかる場合があるとみられる(二つの期間は体感からの山勘推定。この場合には、血清インスリン・IGFが低め誘導される中、感受性が抑制されたままの期間が生じ作用不足が起き皮膚が脆弱となるため色素性痒疹に至るのだろう)。

 次に、ナイアシンの服用(高容量)については、肝臓のミトコンドリア内にNAD+(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド。摂取ナイアシンから代謝産生される補酵素で、電子伝達体の一種)を過剰に供給することがあり得、その際にはNAD+とNADH2+(還元型ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)とによる酸化還元制御に支障を来たすことから、肝機能を障害しインスリン抵抗性を発揮させることがあるとみられる(脚注2、3参照)。
 従って、ナイアシンの服用によりインスリン分泌水準が高めに誘導される結果、一時的なインスリン作用不足が解消し皮膚の新陳代謝系が健全化するため、色素性痒疹に有効になるものとみられる。

 

脚注2)肝機能障害・インスリン抵抗性の存在については、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」の記事から二つ:

ナイアシンは安全か? その2 -2019年7月11日
https://promea2014.com/blog/?p=8719
>ナイアシンのこのような肝臓に対する肝毒性と、脂質代謝に与える効果、そして「その1」で書いたインスリン抵抗性の増加、などを総合的に考えれば、ナイアシンは肝臓に対する大きな作用があり、その一部の効果はコレステロールや中性脂肪を低下させますが、その他の効果では肝臓のインスリン抵抗性を招き、何らかのシグナルが出て筋肉のインスリン抵抗性も起きるのではないでしょうか?そして一部の人にはナイアシンの肝毒性が起きるほどに強く肝臓に効果を与えるのです。そして、ナイアシンの肝毒性が検査値にどのような変化を与えるかは非常に多彩です。通常の肝機能(ASTやALT)の上昇が少ないからと言っても安心できませんし、そのまま経過をみて進行してしまっては非常に危険です。少しでも異常値が出たら中止の方が良いと思います。
 いずれにしても、定期的に肝機能の検査、凝固能の検査等ができないのであれば、ナイアシンは慎重に少量で使用すべきです。少しでも異常があれば検査等が必要です。2~3gを飲み始めて数週間という期間で肝臓に大きな問題を起こす場合もあるのですから。<

ナイアシンは安全か? その1 -2019年7月8日
https://promea2014.com/blog/?p=8762
>先日、糖質制限の情報が非常に豊富な「もう失敗しない!正しい糖質制限ダイエット」というブログでナイアシンについて取り上げられていました。非常に興味深く拝見させていただきました。(それにしてもすごい情報量です!)そこではナイアシンの大量摂取で血糖値が上昇したことが書かれていました。
 ナイアシンについては様々な健康に有益な効果をもたらすと考えられ、サプリとしても人気でしょう。しかし、確かに添付文書上では副作用として耐糖能低下が書かれており、耐糖能異常の人には慎重投与となっています。
 これまではあまりナイアシンについて興味がなかったのですが、糖質制限を勧めている以上、血糖値が上がる仕組みを知りたくなりました。と言っても実際には完全に解明されてはいないと思います。
 その記事の中では「ナイアシンは脂質代謝を亢進させてコレステロールを下げる効果があるので、グリセロールを原料に糖新生が亢進する可能性があるのと、人によっては糖新生自体を亢進させる」とどなたかにアドバイスされたことが書かれています。
 前半の部分は糖新生の原料が増加すると糖新生が亢進するのであれば、糖質制限をしている人は脂質代謝が亢進しているので、多くの人が高血糖になってしまう可能性があります。しかし、糖新生はコストがかかる反応なので、必要に応じて必要なだけ行われると思うので、ちょっと違うのでは?と思います。しかし、後半の糖新生自体を亢進させるというのは、人間の正常な代謝を越えて糖新生を起こす何かメカニズムがあるということだと思うので、これはもしかしたら「あり」なのかもしれません。<
>上の表は脂質やカテコラミンの反応です。ニコチン酸によりどのグループも確かにコレステロール値や中性脂肪値は低下しています。カテコラミンはエピネフリンは変化していませんが、ノルエピネフリンは増加しています。ノルエピネフリンはいわゆるインスリン拮抗ホルモンで、糖新生を起こします。確かに糖新生を亢進させるメカニズムが存在しそうです。糖尿病の人では暁現象が起きやすくなる可能性があるでしょう。
 いずれにしても、ナイアシン(ニコチン酸)によりインスリン感受性は低下、つまりインスリン抵抗性が高まり、それに対して耐糖能が正常である人はインスリン量を増加させて対応しているようです。しかし、インスリン分泌能が低下していれば、そのような反応が十分ではなく、血糖値の上昇が起きるようです
 血糖値が見た目に変化がなくても、最も気になることはインスリン分泌が大きく増加していることです。高インスリン血症は非常に有害だと考えられます。ただし上の図のグラフを見てもわかるように、人によってはインスリン感受性が増加している人もいます。何が違うかは不明です。多くの人は感受性が低下していると思われますが。
 つまり、糖質制限をする人にとって(糖質制限をしていない人にも)大量のナイアシンを使用することは良くない可能性が高いことになります。特にすでに糖尿病を発症している人、食後高血糖を示す人などには恐らく有害です。β細胞にとって良くないと思われます。ただし、いつも言っていますが、この研究は糖質過剰摂取をしている人で行われています。糖質制限との組み合わせでは不明です。<


脚注3)ナイアシンによる肝機能障害の機序については、国立情報研究所(NII)サイト内の「東京医科大学 学術リポジトリ」の報告から:

健康補助食品の過剰摂取を契機として肝機能障害及び好中球増多症を呈した一例 -2022年
https://tmu.repo.nii.ac.jp/records/13252
>考 察
 ニコチン酸やニコチンアミドなどのナイアシンは速やかに肝臓に取り込まれ代謝される。大量投与により肝逸脱酵素の上昇やプロトロンビン時間の延長、高尿酸血症などの症状を呈する1)。特に、サプリメントなどのナイアシン徐放性製剤では肝毒性のリスクが最も高いとされる2)。肝毒性が生じる機序は正確にはわかっていないが、近年の報告ではナイアシン代謝に伴い産生されるニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide mononucleotide : NMN)や還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド〔フォスフェート〕(Nicotinamide adenine dinucleotide phosphate : NADPH)により肝細胞ミトコンドリア内の酸化還元不均衡が生じ、結果として肝機能障害をきたすと推測されている3)。・・・<

 この見解をベースにして考えてみると、具体的には次のような感じかもしれない:

- 肝ミトコンドリア内における酸化還元制御の不均衡は、TCA回路(トリカルボン酸回路)の中間体(オキサロ酢酸とリンゴ酸)の平衡関係を乱すため糖新生や脂肪酸β酸化の亢進を引き起こし、肝機能を障害し得る。この際には、肝臓での遊離脂肪酸不足が起こり、中性脂肪合成が阻害され血清中性脂肪も低下するのだろう。
- これらの亢進はインスリン作用と拮抗するが、カテコ-ルアミン(ノルエピネフリン)分泌が増えてインスリン抵抗性が生じて解消されることが多いようであり、結果、インスリン高値(場合によっては血糖高値)に誘導されることになる。
- 末梢(筋肉)では、低下した血清中性脂肪に対応するため、リポ蛋白リパーゼ(LPL)の活性を上昇させるようインスリン抵抗性が生じるのだろう。

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