ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)

 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。

 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。

 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)

 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

肝障害はどこに隠れたのか? (4)

2013年07月30日 |  症例(その他)

 前回(ココ)からの続き。先ずはおさらいで、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)からの病気の流れをみておこう。横浜市立大学のサイトの資料から(http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/120704_amedrc.html)、


 図1 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の病気の自然経過



 「単純性脂肪肝」は、NAFLDのうち単に脂肪が蓄積しているだけのものをいい、NAFLDに炎症が絡んでくるとNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)となる。

 ついでに、肝硬変と肝臓がんの解説をgooヘルスケアから、

肝硬変 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I20100.html

肝硬変とはどんな病気か

 肝硬変は、ひとつの独立した疾患というよりも、種々の原因によって生じた慢性肝炎(まんせいかんえん)が治癒しないで、長い経過をたどったあとの終末像であって、その肝病変は一般に非可逆的(元にはもどらない)と考えられてきました。すなわち肝硬変とは、種々の原因によってびまん性の肝細胞の壊死 (えし)と炎症、再生が繰り返し起こり、その場所に高度の線維が増生した結果、肝臓の本来の小葉(しょうよう)構造と血管系が破壊されて偽(ぎ)小葉と再生結節が形成され、肝臓が小さく、かつ硬くなる病気です・・・


肝がん(肝細胞がん) http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I30100.html

肝がん(肝細胞がん)とはどんな病気か

  [中略]
 日本では年間約3万1000人の肝がんによる死亡者がおり、男性では肺がん・胃がんに次いでがん死の第3位を占めています。2000年前後より肝がんの年間発症率は横ばいになりつつあり、肝がんで死亡する人はわずかに減少傾向にあります。
 肝細胞がんは他臓器のがんと異なり、基礎疾患として慢性の肝臓病(慢性肝炎(まんせいかんえん)または肝硬変(かんこうへん))のあることが多く、長期に“肝細胞の破壊・再生を繰り返すこと”が肝がん発がんの大きな原因と推定されています。B型肝炎ウイルスの保菌者では、ウイルスそのものが発がんを起こしうるとも考えられています。


 この解説だと肝臓がんは減少傾向とあるようだけど、噂話だと次のものをみかけた。ツイッターから、 

@onodekita  7月23日
今日は久しぶりに、講演会に出席。見事に誰も気にしていないが、肝臓癌が2011年後期から、増えていたかのような表があった。そりゃあ、増えるだろうと思いながら、ただ眺めていた。言うだけ無駄だ。 (強調は引用者)


 この情報ガが正しいと仮定すると、一昨年の次の記事は、足元で肝臓がんが増加している点をとらえて記事化されたものかもしれない。「NEWSポストセブン」から、

高リスクで肝癌に進展する「非アルコール性脂肪肝炎」とは
2011.12.15
http://www.news-postseven.com/archives/20111215_75363.html


 そうすると余り関係ないかと思っていたテレビ番組「ためしたガッテン」の次の放送内容も、何らかの意図があったのかもしれない。従来余り気にかけていなかったが、今回あらためて読んでみるとそのような可能性もあるように思えてきた。NHKの同番組のサイトから、

肝臓の健康を守れSP
2011年06月29日放送
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110629.html

医師もびっくり!肝臓病の意外な原因

肝臓がんと診断された河原さん(仮名)は、肝炎ウイルスに感染もしていないアルコールもほとんど飲まない
肝臓がんになる原因が見当たらない患者さんでした。これまで日本人の肝臓がんは肝炎ウイルスとアルコールがその原因のほとんどを占めていたため、河原さんは原因不明の肝臓がんと診断されたのです。

ところが、ある偶然が河原さんの肝臓がんの原因を解き明しました。偶然にも河原さんは27年前に同じ病院で肝臓の組織を調べる検査(肝生検)を受けていて、さらに偶然にも当時の組織が残っていたのです!

早速主治医がその組織を調べると・・・河原さんは27年前に脂肪肝だったことが分かったのです!いったいなぜ、脂肪肝ががんになったのでしょうか?


 放送はみていないけど、上記記事を読む限り、脂肪肝の人は肝臓がんになるという印象を植え付けたいかのような内容になっている印象を受ける。この点を判断するために、上記の続きを長めに貼っておこう。

脂肪ががんに!?細胞の中では・・・

脂肪肝が原因でがんにまで進行してしまう病気とは?

[中略]

ふだんのミトコンドリアは糖からエネルギーをつくっています。ところが、脂肪肝の細胞の中では、脂肪が入り込みすぎてミトコンドリアに異常が起きます。すると、なんとミトコンドリアは脂肪からエネルギーをつくりはじめます。脂肪肝の細胞には糖がちゃんと入ってこないため、肝臓を動かすために脂肪さえもエネルギーにしているのです。

しかし、そんなミトコンドリアにも限界の時が訪れます。脂肪からエネルギーをつくる過程でミトコンドリアは
どんどん巨大化して、機能不全におちいります。この状態はジャイアント・ミトコンドリアと呼ばれます。肝臓に何が起きているのでしょうか?

第3の肝臓病・NASH(ナッシュ)が急増中!

肝臓に起きた異常事態ジャイアント・ミトコンドリアはミトコンドリアの死を意味し、そして細胞自体が死んでしまうことになります。

死んだ細胞の跡地は、隙間がコラーゲンで穴埋めされて、ガチガチの繊維化状態になります。これが肝硬変です。がんは肝硬変になった頃に登場するのです。

脂肪肝であることから肝臓に炎症が起き肝炎に。さらに悪化すると肝硬変。そして最悪の場合には肝臓がんへと進行することが研究で分かってきたのです。


 ミトコンドリアについては後でも出てくるので、解説と構造図をウィキペディア日本語版から、

ミトコンドリア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2

図2 ミトコンドリアの構造
注) 1.内膜 2.外膜 3.クリステ(平板状) 4.マトリックス



 放送内容の話に戻ると、なかなか苦肉の解説になっていたようだ。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)に関し一般に広く受け入れられているツー・ヒット・セオリー(two hit theory。詳しくは前回記事ココ)を持ち出さずに、酸化ストレスという概念の説明を回避した内容になっていたらしい。

 つまり、脂肪が過剰にあると、何故かそれだけで肝硬変・肝臓がんになるという解説になっていたようだ。これでは脂肪の蓄積とがんとの間に何もないので、脂肪肝→肝臓がんを強調し過ぎた説明になってしまっているのではないだろうか。


 他人の解説に難癖を付けているだけではよく分からないだろうから、NASHの詳しい発症メカニズムについて、個人的な理解をまとめておこう。

 長くなりそうなので詳しくは次回にすることとして、酸化ストレスとの観点からさわりだけみておこう。そのポイントは、酸化ストレス(活性酸素)による肝臓のミトコンドリアの傷害にあると思われる。藤木龍輔 著「メタボ・生活習慣病の元凶 『酸化ストレス』の恐怖」 (現代書林、2008年7月)によると、

  1950年代から、糖尿病患者さんの10人に1人くらいが肝硬変で亡くなることが分かっていました。・・・ 糖尿病患者さんの肝硬変も合併症の一つと考えられてきました。

  しかし、1998年、この症状は実は合併症ではなく、一つの独立した病気であることが分かってきました。その病気が「 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)」です。「 非アルコール性」と言うように、NASHはお酒をまったく飲まない人でも発症します。

  NASHの原因は、肝臓の細胞の酸化ストレス傷害です。肝臓のミトコンドリアが活性酸素によって傷害されることで、NASHは発症します。普通の細胞のミトコンドリアの数は300 - 400個ですが、肝臓の細胞は2500 - 3000個ほど持っています。そのため肝臓は酸化ストレスの標的になりやすく、NASHの発症につながりやすいのです。脂肪肝は、肝硬変やがんを合併することもないと言われていましたが、NASHは、肝硬変になり、高い率でがんを合併します。 (前掲書84頁)


(つづく)


肝障害はどこに隠れたのか? (3)

2013年07月27日 |  症例(その他)

 苦手の夏だが更新週1ペースじゃいけないよーな・・・


 脇道にそれる展開も思いつかないので、タイトル(質問)の答えを先に書いておこう。●の影響による肝障害が隠れた先は、アルコール性肝障害(alcoholic liver disease)と非アルコール性肝障害(non-alcoholic liver deisease)だと思われる。用語「肝障害」は場合によっては「肝疾患」の方が一般的かもしれない。


 先ずは前者の解説をgooヘルスケアから、

アルコール性肝障害 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I50100.html

アルコール性肝障害とはどんな病気か
 アルコールの過剰摂取で最初に生じるのはアルコール性脂肪肝です。それでもなお大量飲酒を続けると、約2割の人にアルコール性肝障害が起こります。
 ・・・幸い重症化しない場合でも、長期に大量飲酒を続けるとアルコール性肝線維症(かんせんいしょう)をへて、アルコール性肝硬変(かんこうへん)になることがあります。

  [中略]

症状の現れ方
 アルコール性脂肪肝は日本酒換算で5合程度を5週間続けただけで引き起こされるので、大量飲酒者のほとんどに認められますが、通常は無症状です。3合以上の大量飲酒を続けると、2割の人がやがてアルコール性肝障害を発症し、一部症例では、発熱、黄疸(おうだん)、右上腹部痛、肝臓の圧痛、食欲不振、嘔吐、下痢などの自覚症状を訴えます。


 より分かり易そうな別の解説を「コトバンク」から、

アルコール性肝障害 Alcoholic Liver Disease
http://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%80%A7%E8%82%9D%E9%9A%9C%E5%AE%B3
 
[どんな病気か]
 肝臓にとってアルコールは、処理が義務づけられている薬物の1つです。
 このため、アルコールが体内に入ってくると肝臓は、アルコールがゼロになるまで代謝(たいしゃ)し、分解し続けます。
 ところで、アルコールを代謝・分解する際には、さまざまな要因が加わって、栄養素を代謝するときとは異なるはたらきや形の変化が、肝臓を構成する細胞(肝細胞(かんさいぼう)、類洞壁細胞(るいどうへきさいぼう))におこります。
 この変化は一過性のもので、アルコールがゼロになれば正常な状態にもどるのですが、大量のアルコールを飲むほど、長時間、肝臓の細胞の変化が続くことになります。

   [中略]
 その結果、肝臓の細胞の変化が恒常的に続くようになり、ついには、肝細胞の変性・壊死(えし)と、細胞間質細胞(さいぼうかんしつさいぼう)の線維化(せんいか)がおこり、肝臓のはたらきが衰えてきます。
 これがアルコール性肝障害で、おもにアルコール性脂肪肝(せいしぼうかん)、アルコール性肝線維症(せいかんせんいしょう)、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変(せいかんこうへん)の4つの状態があります。


 この場合は、上記引用にいう各種のアルコールの影響と●の影響とは現実に区別することは難しいであろう。以前に記事で「アルコール隠れ蓑説」の話に触れたけど(〔推測〕タバコ、アルコールは隠れ蓑だったのか? (1) 2013/5/10)、この点に関しては出来の良い隠れ蓑ということかもしれない。


 次に後者。仮に●の影響によって肝障害が引き起こされるなら、飲酒の量とは無関係に肝障害が引き起こされるはずだろう。複合要因で病気になった人より、単独の(あるいはそれより少ない)要因で病気になった人(非アルコール性肝障害)を詳しく調べた方が理解が深まるであろう。

 後者については、一般的には次のような展開で解説されていることが多いだろうか。
 
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、non-alcoholic fatty liver disease。ナッフルド)

非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH、non-alcoholic steatohepatitis。ナッシュ)

肝線維症、肝硬変などへ


 先ずは脂肪肝(脂肪性肝疾患)の解説についてgooヘルスケアから、

脂肪肝 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10I50200.html

脂肪肝とはどんな病気か
 肝臓はたくさんの肝細胞の集合体ですが、脂肪滴(しぼうてき)がたまった肝細胞が全体の1割を超えたら脂肪肝と呼ぶのが一般的です。慢性の脂肪肝は肥満や糖尿病、高脂血症などで起こりやすいのですが、従来これ自体は多くの場合無害と考えられてきました。
 しかし、このような変化が一部の人では肝硬変(かんこうへん)への一里塚となっていることが最近明らかになってきました。・・・

原因は何か
 脂肪肝は、原因により栄養性、内分泌性、代謝性、中毒性に分類されます。慢性の脂肪肝は、食欲不振症のように高度の飢餓(きが)状態や、ホルモンの異常、高度の肥満に際して生じます。・・・
 

 ついでに関連する病気に詳しそうな解説を管理者不詳のサイトからだけど、

脂肪肝 fatty liver http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s5/s5446.htm


 ●の影響で脂肪肝になるとすれば、コルチゾール過剰原因説(過去記事はココ)を前提とすると、内分泌性ということになるだろう。それは、次のような流れであろう。

●の影響→ コルチゾールの過剰→ 高血糖・脂質異常(高脂血症) →脂肪肝


 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の解説については、例えば、「野澤内科」(兵庫県所在)のサイトから、

アルコールを飲まない人の脂肪性肝炎- NASH(ナッシュ)-について
http://www.doc-nozawa.com/mkog-0404.html

 脂肪肝が最近注目されています。
アルコール性の場合は以前から指摘されていましたが、特に、アルコールを飲まない人の脂肪肝から発症する肝炎も NASH(ナッシュ)と呼ばれ、将来、肝硬変・肝癌に発展することがわかってきました。

  [中略]

2. 脂肪肝にアルコール性と非アルコール性があり、非アルコール性脂肪肝の中に、最近肝硬変に進むケース(非アルコール性脂肪性肝炎)があり話題になっているようですが、これについて説明してください。

 この病気は、1980年にアメリカの Mayoクリニックの病理学者 Ludwig が命名しました。
まったくアルコールを飲んでいない人に、アルコール性肝炎と同じ組織像(脂肪沈着、マロリー体、 pericellular fibrosis)を呈する人がいるということで、non alcoholic steatohepatitis : NASH という名前をつけました。
即ち、脂肪肝にもう一つの原因が加わり、炎症を起こしたものです。
脂肪がたまっているだけなら放置しても肝臓に悪影響はありません。 しかし、脂肪肝にもう一つの刺激が加わり、脂肪性肝炎という状態になると、これはさらに肝硬変や肝癌に進むことがあり、現在治療の対象になっています。


 その発症メカニズムついては、病院検索サイト「Caloo」の記事から、

脂肪肝・NASHについて
2010年11月25日
http://caloo.jp/articles/12/

記者:脂肪肝、NASHが起こる原因は何でしょうか?

[深井健一氏(医師。健 内科クリニック院長)]:脂肪肝の背景には、肥満などを原因としたインスリン抵抗性があります。従ってメタボリック症候群が肝臓に表れているとも言えるでしょう。脂肪肝からNASHへ進行するメカニズムとしてツーヒットセオリー(two hit theory)が提唱されています。まず、肥満などを原因として脂肪肝が起こり、そこに酸化ストレス、サイトカインによる細胞傷害などが加わることで NASHへ移行するというものです。


 上記にいうツー・ヒット・セオリーを分かり易く図示した絵については、市立奈良病院のサイトの資料から(「非アルコール性脂肪肝肝炎(NASH)とは」 http://www.nara-jadecom.jp/user/nash1.pdf。pdfファイル)

図1 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発症のメカニズム
出典)前掲資料。


 出てきましたね、酸化ストレス(これと●の影響とが関連することについては、文末の関連記事からどうぞ)。●の影響が問題なところは、ひとつで第1のヒットも第2のヒットも両方打てるということかもしれない。


 ここまで来ると、シリーズ初回で紹介したバンダジェフスキー博士の講演内容(脂肪肝が頻繁に起こるなど)との関連性が少しみえてくるのではないだろうか。


(つづく)


〔関係記事〕
電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9
酸化ストレス(活性酸素)による生体の障害  2012/5/11


肝障害はどこに隠れたのか? (2)

2013年07月20日 |  症例(その他)

 引き続き、さわりを短く。

 前回(ココ)は、チェルノブイリでの肝障害の例としてバンダジェフスキー博士の話を紹介したけど、肝機能について3.11前後でどうなっていたのかをみておこう。

 まずは福島。以前の記事(ココ)でも触れたように、2011年度に実施された避難区域等の住民の健康診査において、肝機能異常の割合が従来より高かったことが判明している。その結論部分を福島県のサイトの資料から(「県民健康管理調査」検討委員会第8回会合(2012年9月11日開催)の当日配布資料
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911kentouiinkaisiryou.pdf。pdfファイル)、

平成23年度 県民健康管理調査「健康診査」結果解析
(過去の特定健康診査・後期高齢者健康診査との比較)

 [中略]

【まとめ】
 男女両者において、肥満(腹囲、BMI)、糖代謝異常(空腹時血糖、HbA1c、尿糖)、脂質代謝異常(LDL-C、中性脂肪、HDL-C)、肝機能異常(AST、ALT、γ-GT)の割合が、震災前の平成20~22年度と比較して、震災後の平成23年度においては高い数値を示しており、その傾向は特に男性において顕著であった。
 これらの要因を推定すると、余儀なくされた避難生活による運動量の減少やアルコール多飲などを含む食習慣の変化、精神的ストレスや睡眠障害に伴う生活環境全般の変化などの可能性は否定できない。

 しかし、今回比較した平成20~22年度と平成23年度の受診者では、元々の母集団の相違により、対象地域や受診者年齢層が異なっていることから、元々の母集団の疾患頻度の相違の問題が存在する。

 さらに、平成23 年度は震災が起きた直後の年度であり病気が心配な人がより多く受診したと考えられることや避難生活に伴う生活不活発病の影響など、多くの修飾要因が存在するため、現時点では平成20~22年度と厳密な意味での比較はできない。 (以上37頁から。強調は引用者)


 次に全国。いろいろ調べると、日本人間ドック学会というところで毎年「人間ドックの現況」という資料を出していて、この中にも肝機能にかかるデータが入っている(同資料は、http://www.ningen-dock.jp/concerned/press/index.html)。直近だと約3百万人が母集団なので、信頼性は低くはないだろう。幾つか抜き出しておこう。

 図表1 生活習慣病関連6項目の異常頻度の推移 (1984-2011)
出典)2011年「人間ドックの現況」の23頁。
注)作図のデータは、直近以外は約5年間隔。



 肝機能異常の割合については、2000年辺りから25%前後(4人に1人程度)で安定していたが、2011年において異常が急増したことがわかるだろう(33%で3人に1人程度へ)。2000年までについては、何かの影響が15年ほど続いていたというこのなのだろうか。これらのデータについては、

 図表2 生活習慣病関連項目の異常頻度の推移(データ)
出典)2011年「人間ドックの現況」の22頁(一部省略)。
注)「肝機能異常」の数値の推移は、25.2%(2004)、26.6%(2005)、26.2%(2006)、25.7%(2007)、
26.2%(2008)、25.8%(2009)、27.0%(2010)、33.3%(2011年。これらは前掲資料の各年版から)。



 ついでに地域別の詳細(ブレイクダウン)がみられるので貼っておこう(2010年は見にくいか)。

 図表3 生活習慣病関連項目「肝機能異常」の地域差(2010年と2011年の比較)
出典)2010年及び2011年「人間ドックの現況」(一部改編)。



 東北が10%弱の上昇し、関東から近畿にかけても5%以上の上昇がみられる。


 さて、これらは一体なんなのだろう。


(つづく)


肝障害はどこに隠れたのか? (1/5)

2013年07月18日 |  症例(その他)

〔更新履歴:8/3関連記事追加〕

 

バテバテで少しサボりすぎたか。自分だけでなく、他の人もか・・・。読売新聞から、

東京23区の熱中症死43人に…去年の夏上回る
2013年7月17日16時43分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130717-OYT1T00651.htm

 熱中症で今月8~14日の1週間に救急搬送された人が、全国で1万913人に上ったことが17日、総務省消防庁のまとめでわかった。

・・・一方、東京都監察医務院のまとめでは、東京23区内の死者は今年6月以降の約1か月半で計43人。すでに、昨夏(6~9月)の死者数31人を上回った。・・・


 中でも目に付いた不可解なものを、MSN産経ニュースから、

熱中症の疑いで71歳男性死亡 埼玉・狭山
2013.7.15 22:34
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130715/stm13071522340002-n1.htm

 狭山消防署によると、男性は1人暮らしで、発見時はエアコンをつけて寝ていたが、体温が上がった状態になっていたという。
 同署は「日中に体に受けた熱が、夜間になって熱中症となって現れることがある。普段から休養と体調管理に努めてほしい」と注意を呼びかけている。 (強調は引用者)


 ホンマかいなという前置きはコレくらいにして、本題の方は今回はさわりだけ。


 チェルノブイリの例では、肝臓の障害がみかれたらしい。「木下黄太のブログ」から、

ゴメリ赴任後の検査で肝臓が思わしくないと言われたバンダジェフスキー博士。懸念した同僚女性は既に死亡。
2013-07-13 03:43:49
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/7b162bc47cc35aa5d56263524848cbd7

福岡講演[7/12]のポイント
 [中略]

少量のアルコールでおかしくなる。ストレスでも。普通は死なないような人が死ぬ。
 [中略]

〇炎症を伴わない肝炎がある。⇒通訳より訂正、炎症を伴わない肝障害がある。

〇ゴメリ赴任後。最初はそれほど深刻に思わず、普通に食べていた。私の体にも 60Bq/kg蓄積。血液検査を軽い気持ちで出した。研究室の女性から、肝臓の数値が良くない心配と電話がかかってきた。私は33歳。この電話の女性はもうなくなっている。二週間保養、蓄積も減っていたし、血液の値もかなりよくなっていた。
 [以下略] (強調は引用者)


 ツイッターだとこういうのも見かけた。

@elisabethkirche 7月13日
バンダジェフスキー福岡講演会。「肝臓の異常。脂肪肝が頻繁に起こる。炎症を伴わない肝炎も」。そういえば人間ドックなど何げにした血液検査で、肝臓の数値が少し壊れてることがある。自分の臓器を生きたまま測定器にかけることはできないからな・・・ (強調は引用者)


 さて、これは一体なんだろうか。

(つづく)

 

〔関連記事〕
肝障害はどこに隠れたのか? (2/5)  2013/7/20
肝障害はどこに隠れたのか? (3/5)  2013/7/27
肝障害はどこに隠れたのか? (4/5)  2013/7/30

肝障害はどこに隠れたのか? (5/5)  2013/8/3
電離の直接障害と酸化ストレス障害  2012/5/9
酸化ストレス(活性酸素)による生体の障害  2012/5/11