ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 動物の生活様式の本質は遺伝因子に刻まれており、ヒトにおいても難しいことをせずにそのような生活様式を取り入れてみることが健康への第一歩と思います。なぜなら、生物の進化を眺めると、生息環境内で成り立ち得るある種の特徴を持った生態系があり、そこに依存する姿・形が想定する生活様式に倣うことが最も簡単と考えるからです(姿・形は生物側による長期間にわたる最適な変化の蓄積の賜物。例:チンパンジーはツル植物に覆われた密林での果実食に適応し、そのために手及び口の形や移動方法もこれに対応)。
 動物であれば何を食べて生きていくのかということが課題で、生活様式を変えようとすると、野生動物の場合は形質形態を変えるべく遺伝因子の変化を伴います。ヒトはいつの頃からか文化を持つようになり道具・技術を進展させてきましたが、これまでの生活様式を反映した遺伝子による自動制御を活用しないのは勿体ないと思います。(2024年9月記)


 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)


 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。
 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。
 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)
 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

「コルチゾール過剰症候群」 (7-S) ヒト・ヘルペスウイルス感染症(総論)

2012年10月11日 |  過去症例(チェルノブイリ)

(7) 易感染性 (つづき)

 長い前置きも無事終わったので、やっと本題に入ろう。

(S) ヒト・ヘルペスウイルス感染症(総論)

 ヒト・ヘルペスウイルス(HHV。human herpesvirus)については、この項目(易感染性)の冒頭でも少し触れたので、覚えている人も少しはいるだろうと期待する(記事はココ)。だが、書いた本人は忘れかけているので、今回は少しおさらいをしておこう。

 最近でもヒト・ヘルペスウイルス感染症を患っている人はいるようで、例えば、ツイッターで「ヘルペス」や「帯状疱疹」に関連したリアルタイムのツイートを検索してみると、いろいろと出てくるであろう。

ツイッターで「ヘルペス」で検索
https://twitter.com/search/realtime?q=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%82%B9&src=typd (リンクはココ
ツイッター上で「帯状疱疹」で検索
https://twitter.com/search/realtime?q=%E5%B8%AF%E7%8A%B6%E7%96%B1%E7%96%B9&src=typd (リンクはココ

 
 これだけでは増えているのかどうかは多分全く分からないだろうから、先ずは、某掲示板の緊急自然災害板でみかけたチェルノブイリの事例を紹介しておこう。「口唇ヘルペス」はHHV-1又はHHV-2に、「帯状疱疹」はHHV-3に関連し、サイトメガロウイルスはHHV-5のことである。


831 : 名無しに影響はない(千葉県) : 2012/07/05(木) 13:44:20.35 ID:UOpV8SNI [2/3回発言]
  5月中旬に口唇ヘルペスができてなかなか治らず
  やっと治ったと思ったらまた7月に入ってすぐできた。

  体がだるすぎてどうにもならない。
  このまま帯状疱疹とかになってくとしたらいやすぐる。。。

832 : 名無しに影響はない(栃木県) : 2012/07/05(木) 13:50:54.13 ID:0t/SohwS [4/6回発言]
  >>831
  1. Herpes virus activation in the heavily contaminated territories of Gomel Province resulted in increased intrauterine and infant death rates (Matveev et al, 1995).
  1. ゴメル省の汚れが多い地域におけるヘルペスウイルスの活性化は、子宮内死亡率と乳児死亡率の増加をもたらした(Matveev et al, 1995)。

  7. In 1993, women with gestational herpes in Gomel Province with a Cs-137 contamination higher than 15 Ci/km2 experienced 8.6-fold more infant deaths compared to less contaminated territories (Matveev et al, 1995).
  7. 1993年に、15 Ci/km2よりCs - 137の汚染が高いゴメリ州内地区で妊娠ヘルペスを持つ女性は少ない汚染された地域に比べて8.6倍以上の乳児死亡を経験した。

  13. Herpes viral diseases doubled in the heavily contaminated territories of Gomel and Mogilev provinces 6 to 7 years after the catastrophe compared with the rest of the country (Matveev, 1993).
  13. ヘルペスウイルス性疾患は、事故後6-7年後のゴメル省とモギリョフ省の汚れが多い地域で省内他地区に比べ倍増した (Matveev, 1993)。

  15. In all the heavily contaminated territories there was activation of herpes viruses (Voropaev et al, 1996).
  15. すべての汚れが多い地域では、ヘルペスウイルスの活性化があった (Voropaev et al, 1996)。 [以上、ベラルーシ。報告書122-123頁]

  11. Herpes and cytomegalovirus viruses were found in 20% of ejaculate samples from 116 liquidators who were examined (Evdokymov et al, 2001).
  11. ヘルペスウイルス(帯状湿疹)およびサイトメガロウイルス(胎児小頭症や頭蓋内石灰化、網膜出血、免疫低下時の肺胃腸炎)は、検査された116清算人から精液サンプルの20%で発見された(Evdokymov et al, 2001)。  [ロシア。報告書124頁]

 なお、上記の英文は、YNNチェルノブイリ報告書の「5.11節 感染症と寄生虫感染」(122-124頁あたり)からの引用で、その和訳(原文のママ)は訳者が断りなく補足している部分あるので少し注意が必要だろうか(なお、同報告書について以前の記事はココ)。
 
 ついでに、上記に引用されていないヒト・ヘルペスウイルス関連の部分をYNNチェルノブイリ報告書から抜き出しまとめておくと(なお他力本願で、イタリック体部分の和訳は某掲示板の次の記事から借用:「首都圏で手足口病・マイコプラズマ肺炎が激増している背景-放射能で微生物生態系が「沸騰」し、B・C型肝炎も劇症化へ」 2011 年 10 月 24 日 http://www.asyura2.com/11/genpatu17/msg/717.html。リンクはココ)、

5.11. Infections and Parasitic Infestations
5.11. 感染症と寄生虫感染

14. Activation of cytomegalovirus infections in pregnant women was found in the heavily contaminated districts of Gomel and Mogilevprovinces (Matveev, 1993). [ベラルーシ、同報告書123頁]
(14) 妊婦におけるサイトメガロウィルス(訳注1)感染症の活性化が、ゴメリおよびMogilev州のひどく汚染されたエリアで見られた。
(訳注1) ヒトヘルペスウイルスの5型(HHV-5)。サイトメガロウイルス感染症は、発展途上国でより多く見られ、社会・経済的に低い階層でより多く見られる。妊娠中に母親が初めてサイトメガロウイルスに感染すると、胎児も感染する危険性が増す。


11. Chernobyl’s Radioactive Impact on Microbial Biota
11章 微生物相に対するチェルノブイリの放射線の影響

2. There is evidence of increased susceptibility to Pneumocystis carinii and cytomegalovirus
in children whose immune systems were suppressed in the contaminated territories of Novozybkov District, Bryansk Province (Lysenko et al., 1996).
(2) ニューモシスティスとサイトメガロウィルスに子供に感染しやすくなることの証拠がある-そういった子供の免疫システムは、Bryansk州のNovozybkov区域で抑制されていた。

6. Herpes viruses were activated in the heavily contaminated territories of Belarus 6 to 7 years after the catastrophe (Matveev,1993; Matveev et al., 1995; Voropaev et al.,1996).
(6)破局後の6-7年でベラルーシのひどく汚染されたエリアでは、ヘルペスウイルスが活性化した。

7. Activation of cytomegalovirus was found in the heavily contaminated districts of Gomel and Mogilev provinces, Belarus (Matveev, 1993).  [以上、同報告書281頁]
7. サイトメガロウイルスの活性化がベラルーシのゴメリ州及びモギィレフ州の高汚染地域でみられた。

   Our contemporary knowledge is too limited to understand even the main consequences of the inevitable radioactive-induced genetic changes among the myriad of viruses, bacteria,
protozoa, and fungi that inhabit the intestines, lungs, blood, organs, and cells of human beings. The strong association between carcinogenesis and viruses (papilloma virus, hepatitis virus, Helicobacter pylori, Epstein–Barr virus, Kaposi's sarcoma, and herpes virus) provides another reason why the cancer rate increased in areas contaminated by Chernobyl irradiation (for a review, see Sreelekha et al., 2003). [同報告書283頁]

 われわれの現代の知識はあまりにも限られているので、人間の腸・肺・血液・組織・細胞に害を為すウイルス・バクテリア・原生生物・菌類の内で、放射能に誘発さえた遺伝子の不可避的な変化に関する主要な結果を理解できない。発癌現象とウイルス(乳頭腫ウイルス・肝炎ウイルス・ピロリ菌・感染性単核球症を引き起こすヘルペスウイルス・カポシ肉腫ウイルス・ヘルペスウイルス)との間の強い関連は、チェルノブイリの放射線の照射によって汚染されたエリアで癌の発生率が上昇した理由を提供している。


 ヒト・ヘルペスウイルスによる感染症について3.11後に直接増加したことを示すデータはないものの、間接的には増加が推定できるであろう。国立感染症研究所の病原微生物検出情報 (IASR)によれば、国内でのヘルペス群ウイルスの検出報告数が昨年に著しく増加している(HHV-5を除く。足元で感染数(又は再発数)が増加していれば検査機関でのウイルスの検出数も増加する筈との推測が成り立ち、実際に検出数の増加がみられる)。



図 ヘルペス群ウイルスの国内検出報告数(年別、2008~2012年)
(注)「NT」はNot typed (型不明)。「Varicella-zoster virus」はHHV-3に、「Cytomegalovirus」はHHV-5に、「Epstein-Barr virus」はHHV-4にあたる。
(出典)IASRの地研からの報告(ヘルペス群ウイルス&その他、年別、2008~2012年。http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr/511-surveillance/iasr/tables/1493-iasr-table-v.html)から一部抜粋 (なお合計部分は引用者による)。


(つづく)

コメント

「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (6)

2012年08月17日 |  過去症例(チェルノブイリ)

 今回も前回記事の続き。ステロイド剤(ステロイド系抗炎症剤)の副作用の項目別に、問題の症状へのコルチゾールの関与の仕方、関連する疑わしい症例をあげていこう。

(6) 骨頭無菌性壊死

 先ずはちょっと脱線。個人的にいろいろ謎を抱えているのだけど、その一つが「藤波心の謎」。

 「藤波心」というのは、B級アイドルの中学生(高校生?)のことで、最近は何故か反原発運動のマスコット的存在に収まりつつあると感じるのは気のせいだろうか。なお、彼女を映像でみたい方は、朝日ニューススターの番組「ニュースの深層」から、

2012.2.28(火) ニュースの深層「私たちの未来と脱原発を考える」 2/3
http://www.youtube.com/watch?v=gr36NeIC_RY&t=4m25s

(リンクはココ時間指定あり。part 3/3にも続く筈だけど、見ていないないので貼るのは省略。おしどりマコ氏の部分はpart 1/3から全部みたけど・・・)

 また、ここで「謎」というのは、ある出来事があった際にその出来事の意味を個人的に考えることが多いのだけれど、その背景、前後の文脈などから読み取ってみてもその出来事の意味を個人的に上手く納得できないという趣旨であって、そういった際は「○○○の謎」という腑に落ちなかったラベルを貼って頭の中を整理しているのである。

 なので「藤波心の謎」というのは、より正確に言うと、藤波心さんが3.11後に無名のB級アイドルから反原発運動のマスコット的存在にたどり着いたのは何故か、ということである。自然発生的なものかもしれないし、そうではないかもしれない。

 一般人に混じれば十分カワイイだろうが、正統派美人でもないし、個性的な顔立ちでもないし、有名になったきっかけとされるブログ記事は当時リアルタイムで眺めた気がするけど印象に残ってないし。いかにも普通のB級アイドルという雰囲気しか感じとれないのだが・・・。 

 最近どうも、巷では彼女の評判が悪いように感じられる(個人的には余り興味がないので中立的)。例えば、つぶやきまとめサイト「Togetter」から、

藤波心 http://togetter.com/li/347286 (リンクはココ

 だからナンナンだという声が聞こえるような気がするけど、要は、批判はかまわないけど、一応未成年なので彼女本人と彼女を取り巻く大人達とを区別して、彼女本人へは暖かい目で対応すべきかなと。なぜなら、彼女自身は本物かもしれないので・・・


 さて、どうでもよさそうな話から離れて、本題に入ると、骨頭無菌性壊死の概要については、サイト「無駄口薬理学」から、

ステロイド剤の新しい事実 http://www.sam.hi-ho.ne.jp/tootake/1999.5.15.htm (リンクはココ

骨頭無菌性壊死

原因薬剤:ステロイド剤

<症状>
 大腿骨壊死の場合、初期症状の大半は歩行時や起立時の股関節付近の疼痛ですが、必ずしも股関節が初発というわけでなく、腰痛、膝痛、臀部痛、大腿部前面部痛などを初期症状とすることも多く、腰椎椎間板ヘルニア等の腰椎に関連する疾患と誤診されることも少なくないと報告されています。
 大腿骨以外の部位に骨壊死の合併症をみる例が10~20%あり、その部位は、大腿骨遠位端、上腕骨頭、脛骨近位端、手舟状骨、上腕骨小頭、距骨などがあります。

 患者用:歩くときや立ち上がる時の股関節付近の痛み、腰の痛み、膝の痛み、臀部の痛み、太もも前面の痛み (頁中の3番目あたりの項目)

 要は、骨の壊死のことらしい。ちなみに、無菌性というのは、細菌、真菌などによるものでないという趣旨であろう(例えば、ウイルス性、薬剤性など)。特に発症例が多いとされる大腿骨頭部については、gooヘルスケアから、

大腿骨頭壊死 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10980700.html (リンクはココ

大腿骨頭壊死とはどんな病気か
 股関節内の大腿骨頭(大腿骨の骨盤側、球形の形のため骨頭と呼ばれる)の軟骨直下の骨が、血行障害により栄養分がとれずに壊死状態になって脆弱化(ぜいじゃくか)し、つぶれて破壊される病変です。
 小児に発生するペルテス病は、ほぼ同様の部位に発生しますが、修復能力が高いことが特徴です。大腿骨頭壊死は大人の血行障害のため、小児のような修復は望めず、治りにくく、厚生労働省の難病に指定されています。

 これは成人の場合だが、子供の場合についても似たような病態があるようで、上記引用の解説のとおり、別の病名が付いている:

ペルテス病 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10980300.html (リンクはココ

 ついでに、成人の場合は難病に指定されているらしいので、公益財団法人 難病医学研究財団のサイト「難病情報センター」から、

特発性大腿骨頭壊死症(医療従事者向け) http://www.nanbyou.or.jp/entry/306 (リンクはココ
特発性大腿骨頭壊死症(一般利用者向け) http://www.nanbyou.or.jp/entry/160 (リンクはココ

 似たような内容だけど、前者の方から一部引用しておくと、

・概念
 大腿骨頭壊死症は大腿骨頭が阻血性壊死に陥って破壊され、股関節機能が失われる難治性疾患である。大腿骨頭壊死症のうち、 明らかな基礎疾患がないものが特発性大腿骨頭壊死症とされ、ステロイド性、アルコール性および狭義の特発性にさらに分類される。本邦では全身性ステロイド大量投与に伴う大腿骨頭壊死症は、ステロイドと壊死の因果関係がまだ明確でないことから特発性に分類されている。特発性大腿骨頭壊死症の治療は長期間に及ぶこともあり、医療経済学的に問題が大きい。また、青・壮年期に好発して労働能力を著しく低下させることから労働経済学的にも大きな損失を生じる。患者の QOL に大きな影響を与えるため、早期に適切な診断を行い、適切な治療へと結びつけていく必要がある。

・症状
 骨壊死が発生しただけの時点では自覚症状はない。自覚症状は大腿骨頭に圧潰が生じたときに出現し、この時点が大腿骨頭壊死症の発症である。大腿骨頭壊死症の発生と発症の間には数ヵ月から数年の時間差があることを十分に認識すべきである。
自覚症状としては、急に生じる股関節部痛が特徴的であるが、股関節周辺には自覚症状がなく、腰痛、膝部痛、殿部痛などで初発する場合もあるので注意が必要である。また、初期の疼痛は安静により2~3週で消退することが多いことや、再び増強したときにはすでに大腿骨頭の圧潰が進行していることも知っておくべきである。アルコール愛飲歴やステロイド大量投与歴のある患者がこれらの症状を訴えた場合は、まず本症を念頭に置いてMRIを撮像することが望ましい。


 次に、骨頭無菌性壊死へのコルチゾールの関与の仕方は、サイト「無駄口薬理学」の前掲リンクの記事から(「ステロイド剤の新しい事実」 http://www.sam.hi-ho.ne.jp/tootake/1999.5.15.htm)、

骨頭無菌性壊死
  [中略]

<機序>
 本症の発症機序は未だに十分に解明されていません。特発性では荷重との関連も考えられていますが、ステロイド性では多発性であり、骨髄内栄養血管の終末部位に一致する傾向があることから、むしろ脈管系の障害が考えられています。
 大腿骨頭部は栄養血管に乏しく、なんらかの血行障害により容易に血流が低下します。成因として骨髄内の脂肪細胞増加、脂肪栓塞による循環障害や骨髄内圧上昇など、ステロイド剤による脂肪代謝障害の関与が考えられてきましたが、明確でないと報告されていまする。

 残念ながら、この病気の原因は未だに十分に解明されていないので、コルチゾールの関与の仕方も明確にはわからないが、血行障害が主因のようであり、血管病の一種の可能性があるのではなかろうか。

 また、難病情報センターの前掲リンクの記事によれば(特発性大腿骨頭壊死症(医療従事者向け) http://www.nanbyou.or.jp/entry/306)、

・病因
 病因として、酸化ストレスや血管内皮機能障害、血液凝固能亢進、脂質代謝異常、脂肪塞栓、骨細胞のアポトーシスなどの関与が指摘されている。これらのなかで、最新の研究成果として血管内皮細胞の機能障害が注目されており、ステロイドが血管内皮細胞のアポトーシスを誘導することや、 eNOS発現を抑制してNO bioavailabilityを低下させ、その結果血管内皮機能が低下することが報告されている。しかし、本疾患発生に至る一義的原因としての十分な科学的根拠までは得られていないのが現状であり、動物モデルを用いた基礎的研究や臓器移植症例を対象とした臨床的病態解析が続けられている。

 ここで紹介されている最新の研究成果から推測すると、

酸化ストレス →コルチゾールの過剰 →血管内皮機能障害といった経路

が関与しいてる可能性もあるだろう。


 更に次へ進むと、骨頭無菌性壊死に関連する疑わしい症例については、残念ながらはっきりわかるものは未だみかけたことがない。

 この点については、「骨壊死が発生しただけの時点では自覚症状はない」、「大腿骨頭壊死症の発生と発症の間には数ヵ月から数年の時間差があることを十分に認識すべきである」との難病情報センターの記事による指摘もあるので、未だ発生例がわずかしかないからとも考えられる。

 従って、やむを得ずチェルノブイリに関連した疑わしい例をあげておこう。ブログ「院長の独り言」のとある記事に対するイタリア在住の方からコメントから、

子どものタンパク尿検査を-バンダジェフスキー氏の講演会から
2012年03月20日
http://onodekita.sblo.jp/article/54551127.html (リンクはココ

この記事へのコメント

院長先生 とてもお世話になっております。ありがとうございます。バンダジェフスキー氏に関する、マイナーな解説をいろいろ目にしました。わたしは医学の知識は有りませんが、大腿骨の骨頭壊死を患って以来、医学というのは、実は意外に何もわかってはいないのではないか? というような感覚を持っています。放射能の影響も、バンダジェフスキー氏の経験を価値のないものだ といえる 何かが解っているのか、とても疑問に思いました。
わたしはチエルノブイリの2年後から、北イタリアの低度?汚染地に住んでいます。4年目(35歳)で骨折、処置から1年後に壊死が進んでいることが判明しました。日本では、ステロイドの治療でもしない限りかなり珍しい病気だと言われましたが、こちらでは時々聞く病名です。まあこんなハナシは何の役にもたたないと思いつつ、骨折のtweetが気になったので報告しておきます。
Posted by 加藤千恵 at 2012年03月21日 07:03 (強調は引用者)

 このコメントによれば、時系列はだいたい次のような感じで、汚染に触れてから診断が出るまでの間に約5年が経過したと推測される。

1988年 北イタリアに移住(低汚染地域の模様)
1992年 大腿骨骨折
1993年 その後大腿骨の骨頭壊死が判明
     現在も北イタリアに在住


 さて最後に、冒頭のどうでもよさそうな話に戻ろう。

 仮に、自分の母親が原因不明の珍しい病を患っていて、子である自分にも遺伝する可能性があるとしよう。読者の方がこのような立場に置かれたら、何をするだろうか。

 情報化社会だし、最近の子供であればインターネットとか、あるいは親を通じて患者同士のネットワークなどを利用して、徹底的にその病気を調べるのではないだろうか。

 今年1月下旬の東京新聞の記事に出てくる女の子はそんな状況にあったと見受けられるけど、何らかの行動をとったのだろうか。ネットなどで調べただろうか。調べたとして、どういった情報が引っかかったのだろうか。同記事のオリジナルはみあたらないので、それらしいものを某掲示版から、

中学生アイドル・藤波心さん 一人一人が声上げて危機感語ったブログ炎上
(東京新聞 こちら特報部 1月22日)
http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/436.html (リンクはココ


 「藤波心の謎」は未だ解けていないと個人的に感じるが、繰り返しになるけど、彼女自身の当初の動機は本物である可能性もなきにしもあらずなので(仮にそうでも、取り巻きの大人たちにその後操られていく可能性は残るけど・・・)、もう少し長い目で暖かくみてあげた方がよいかなと思う。急がなくとも、いずれ分かるときが来るだろうし。


〔その他の参考サイト〕

メルクマニュアル 医学百科 家庭版から、
無血管性骨壊死
http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec05/ch064/ch064a.html

 

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注) ・8/22 タイトル変更。

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ミシェル・フェルネクス氏の来日講演録

2012年08月01日 |  過去症例(チェルノブイリ)

 ツイッターでの拾い物をメモしておこう。

@GoodBye_Nuclear
放射能から子供たちを護るために──ミシェル・フェルネクスさん東京講演の記録 http://nishoren.net/food_safety/radioactivity/2276 …
3:27 PM - 1 Aug 12


上記のリンクは、日本消費者連盟のサイト内の次の記事。記事によれば、本年5月、ミシェル・フェルネクス氏(スイス人医師。長年チェルノブイリ被害者を支援)が来日し、全国5ヵ所(広島、京都、さいたま、郡山、東京)で、子供たちをどう放射能から守るかをめぐる講演を行った模様。

放射能から子供たちを護るために──ミシェル・フェルネクスさん東京講演の記録
2012年05月26日
http://nishoren.net/food_safety/radioactivity/2276 (リンクはココ
 

 講演録から、気づきの点を二つあげておこう。

 一つ目は、フェルネクス氏は講演において、最近の記事でとりあげたユーリ・バンダジェフスキー氏に関し、彼の業績として次の2点を指摘している:

(1) 遺体を解剖して各臓器内の放射性物質を測定し、組織を顕微鏡で監察した結果、セシウムを多く蓄積した臓器に多くの病変があることを示した、
(2) 年齢によって臓器への放射能の蓄積の仕方が違うことを示した。

 二つ目は、チェルノブイリの汚染地で行われた遺伝的影響に関する動物実験の話。以下、質疑応答部分から抜粋すると、

Q6:遺伝的影響についてお聞きしたいと思います。野ネズミの実験では汚染地域に住んでいる野ネズミ22世代にわたって遺伝的影響があり、代を追うごとに障害がひどくなってきたとのことですが、野ネズミなり人なりが汚染地域の外に出た場合にどうなるのか、どうなっているか、実験か調査があれば教えていただきたいのですが。

A6:ここで話すのにとてもいいテーマだと思います。ベラルーシのローザ•ゴンシャローヴァは、1986年の事故直後にチェルノブイリに入り、ハタネズミの調査を始めました。それで分かったのは、最初は原発に近いほど突然変異が多いということ。しかし、320 km離れたところでも、ネズミにすでに突然変異や変化が存在していたということです。数は少なかったけれども、確かに存在していた。恐ろしいのは、このネズミの集団を何世代にも継続して調査していくと、遺伝的な異常の増加が見られたことです。放射線が弱い地域でも、その100倍も強い地域でも、あらゆる地域で遺伝系の損傷が見られ、22世代まで世代を経るごとに悪化したという事実です。その後、住民の不安の拡大を恐れた政府は、この調査を禁止したのでした。


 3.11後に、日本消費者連盟など思い出すこともなかったけど、少しは興味を引く活動をやっていたようで・・・(知らなかったので少し反省。今後は、生協と日本消費者連盟とを同じカテゴリーに入れて認識するのは止めておこう)。

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