ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 動物の生活様式の本質は遺伝因子に刻まれており、ヒトにおいても難しいことをせずにそのような生活様式を取り入れてみることが健康への第一歩と思います。なぜなら、生物の進化を眺めると、生息環境内で成り立ち得るある種の特徴を持った生態系があり、そこに依存する姿・形が想定する生活様式に倣うことが最も簡単と考えるからです(姿・形は生物側による長期間にわたる最適な変化の蓄積の賜物。例:チンパンジーはツル植物に覆われた密林での果実食に適応し、そのために手及び口の形や移動方法もこれに対応)。
 動物であれば何を食べて生きていくのかということが課題で、生活様式を変えようとすると、野生動物の場合は形質形態を変えるべく遺伝因子の変化を伴います。ヒトはいつの頃からか文化を持つようになり道具・技術を進展させてきましたが、これまでの生活様式を反映した遺伝子による自動制御を活用しないのは勿体ないと思います。(2024年9月記)


 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)


 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。
 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。
 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)
 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

寒暖差アレルギー(季節病)は隠れ蓑に使われているのか?

2013年04月29日 |  今日のメモ

 最近よく忘れてしまうので、先日みかけた「寒暖差アレルギー」に関する話をメモしておこう。ツイッターから、

@chababaca
@onodekita 突然ですみません。先生は医師をやってて寒暖差アレルギーと言うものを過去数年でも聞いた事がありますか?生命を維持する為の体温調節でアレルギーの名前が付く事なんて正直信じにくいですが、免疫力や細胞が傷ついて、自動で体温調節が効かなくなったと言う事なんでしょうか?
2013年4月22日

‏@doriosan1 4月22日
@chababaca 横失礼します。私はかなり前から、例えば夏に冷房の利いた部屋→暑い外へ、もしくはその逆でも、くしゃみを連発します。前から。

Rima ‏@RimaR4 4月22日
@onodekita @chababaca 横からすみません。寒暖差アレルギーとは寒冷蕁麻疹のようなものと思っていたのですが。寒暖差に体がついていけず、目が痒いなど何かしらの反応が出る。そう納得していたのですが、それ自体が常識ではない、ということでしょうか?


 話がかみあわず少し議論が混乱しているようだが、用語「寒暖差アレルギー」の理解が各自の思い込みによっており、統一されていないからではなかろうか。


 先ずは、寒暖差アレルギーという用語の意義についてみておこう。分かり易い解説でいくと、現代ビジネスの記事から(サイト「からだスタイル」に掲載。2012年11月頃の記事か?)、

花粉症でも鼻炎でもないのに、咳やくしゃみ、鼻水の症状が出たら要注意!この季節を悩ます「寒暖差アレルギー」のメカニズム
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/26421

寒暖差アレルギーのメカニズム

 まず、寒暖差の原因は、「この時期としては珍しい、夏の高気圧が日本列島に入り込んできている」ことだと気象予報士から指摘されています。

 この大きな温度差の刺激が、鼻の粘膜の血管を広げ、粘膜がむくむことにより、鼻づまりなどのアレルギー症状につながっているというのです。

 寒暖差による体調不良はそれだけではありません。

 食欲不振・睡眠トラブル・疲れやすい・イライラするなど、自立神経に影響を及ぼしていたのです。

 自律神経は、寒い時は血管を縮め体温を逃がさないようにし、逆に暑いときは、血管を広げ温度差に体を適応させる役割を果たしているのです。

 しかし、その自律神経がスムーズに適応できる範囲は、寒暖差が約7度と言われています。・・・

  [中略]

「実は寒暖差アレルギーというのは、医学的には『血管運動性鼻炎』と呼んでいて、アレルゲンを見いだせないものを指すのです。」


 寒暖差アレルギーとは、ある種の形態の血管運動性鼻炎の俗称ことらしく、通常の意味でのアレルギー症状に似た症状が現れることから、その俗称に「アレルギー」との文言が含まれているようだ。

 もっとそれらしい詳しい解説をみると、血管運動性鼻炎の原因は、正確には不明ということらしい。サイト「コトバンク」から、

鼻過敏症(アレルギー性鼻炎/血管運動性鼻炎)
http://kotobank.jp/word/%E9%BC%BB%E9%81%8E%E6%95%8F%E7%97%87%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%80%A7%E9%BC%BB%E7%82%8E%EF%BC%8F%E8%A1%80%E7%AE%A1%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E9%BC%BB%E7%82%8E%EF%BC%89

[どんな病気か]
  [中略]

■血管運動性鼻炎(けっかんうんどうせいびえん)(血管運動神経性鼻炎(けっかんうんどうしんけいせいびえん))
 アレルギー反応の関与が証明できず、病気の原因がはっきりしないものの、鼻粘膜の自律神経の異常によって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった、アレルギー性鼻炎と同じ症状を示す病気です。

[原因]
 2つの鼻過敏症では、その原因もそれぞれ異なります。
  [中略]

 血管運動性鼻炎の原因 はっきりした原因は不明です。しかし、外気の急激な温度変化(暖かい部屋から出て、外の冷たい空気に触れるなど)、たばこの煙や化粧品の吸入、飲酒、精神的ストレス、妊娠(にんしん)などが刺激となり、鼻の自律神経のはたらきが異常になっておこると考えられています。 (強調は引用者)


 このような理解に基づき冒頭のツイートをみてみると、2番目のツイートが正しいそうということになるのだろう。1番目のツイートは、甲状腺異常による体温調節の不調か何かと混同しているような気がするし、3番目のツイートで言及された「寒冷蕁麻疹」はまた別の何かということだろう。


 こうしたツイートや記事が出てきたということは、現状としては多分

●の影響 →原因不明の鼻炎の増加 →発病時期によっては寒暖差アレルギー又はその疑いに診断(原因不明を解消)

という流れがみられるのではないかと推測される。鼻炎が増加しいてるのは、●の影響による粘膜の損傷がからんでいることが多いのではないだろうか(過去の関連記事はココ)。


 これに類似した流れは鼻炎以外にもあるはずで、直に思いつくのは、うつ病についてである。●の影響でうつ病が増加するとされているし、また、以前の記事で紹介したように「冬季うつ病」というのがあるココ。その流れは、次のような感じだろう。

●の影響 →理由のはっきりしないのうつ病の増加 →発病時期によっては冬季うつ病又はその疑いに診断


 今の時期であれば、冬季うつ病は終わり、そろそろ「5月病」とされるのかもしれない。


 寒暖差アレルギーや冬季うつ病は、いわゆる「季節病」の一種とされている。季節病の解説については、サイト「ピンピンコロリ100歳まで!歩いて元気になりたい」から、

季節病にご用心
http://www.geocities.jp/pinpinkorori100/11sinsatu/kisetu.html

 季節病とは、季節の変化に対応しきれなくなった身体に特定の症状が現れますが、その発生や死亡に季節的な変化がある病気と言ってよいでしょう。
 それでは、なぜ季節が変わると特定の病気が発生しやすくなるのでしょうか。その発生の仕方は3点に分類できます。

(1)、季節的に変化する気象現象が発病や病状悪化の直接の原因となるもの。このカテゴリーの病気には心臓疾患、脳出血、脳梗塞が入ります。
(2)、季節的変化にさらされた身体が変調をきたし、発病や病状悪化の素地となるもの。喘息、インフルエンザなどの各種感染症が含まれます。
(3)、病気の原因となる物質や病原体、媒介する昆虫などが季節的変化の影響を受けるもの。花粉症やマラリヤ、日本脳炎などが代表的なものです。


 上記の分類でいえば、寒暖差アレルギーや冬季うつ病は(2)のタイプに分類されるのであろう。


 最後に、そういえば以前の記事で触れたものに「節電反動冷え」というのがあったのを思い出したけど(ココ)、これも一種の季節病で、かつ、隠れ蓑の可能性があると整理できるのかもしれない。

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「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (8-2)

2013年04月24日 |  関連(生物学医学)

(8) 消化性潰瘍 (つづき)

 前回記事(ココ)のおさらい。顆粒球原因説について安保 徹氏の解説をサイト「アトピー・ステロイド情報センター(ASIC)」から、
 
再び、胃潰瘍、アトピー性皮膚炎、慢性関節リウマチについて(前編)
http://atopy.info/essay/8.html

* 胃潰瘍学説の検証

 胃潰瘍の成因を「顆粒球説」とすると、すべての胃潰瘍の成り立ちを矛盾なく説明できる。ストレスの持続(精神的なものも身体的なものも含む)→交感神経緊張→血流障害と顆粒球増多→粘膜障害である。 このような簡単な理論で胃潰瘍の成因を説明できるのであるが、これを納得させる最も単純な事実は、病理標本で見ると胃炎の粘膜や胃潰瘍の周囲には多数の顆粒球が浸潤しているということである。特に急性炎症にこの傾向がはっきりする。


(C) コルチゾールが関与する際の成因

 (B)で一般的な成因をみたので、ステロイド剤の副作用で消化性潰瘍が起こる機序についてみておこう。一般的には、次のように考えられているのだろう。キョーリン製薬のサイトから、

薬剤による胃潰瘍(ステロイドを含め)
http://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/journal/upload_docs/120556-1-01A.pdf (pdfファイル)

林田: [ステロイド性胃潰瘍]の発症の機序はいかがでしょうか。

吉川[望海氏(昭和大学内視鏡センター長)]:ステロイドに関しましては、仮説でしかないのですけれども、リン脂質にエステル結合したアラキドン酸が遊離する段階で作用するホスホリパーゼA2をステロイドが阻害して胃粘膜のプロスタグランジンが減少する。そのために胃粘液の分泌が減少して、胃液あるいはペプシンに対する粘膜の抵抗性が弱まって防御作用が弱くなり、そこにステロイドの胃酸分泌促進作用が加わってステロイド性胃潰瘍が発症するという仮説があります。

 また、ほかの考え方といたしまして、投与されたステロイドホルモン、ステロイドホルモンというのはコレステロールでもあるわけですけれども、その一部は生理的なものとして普通は尿から排泄されますが、外から投与されたものは、多くは体の中に停滞して酸化コレステロールになって、その酸化コレステロールが微小血流障害と顆粒球の増多を起こして組織を傷害して、ステロイド性胃潰瘍を発症させるという考え方もあります。
 

 前者は、胃粘液減少・胃酸過多が原因とする説で、胃酸原因説の一種とみられる。後者は、血流障害と顆粒球増多からくるとするもので、顆粒球増多原因説の一種と言えるだろう。

 まず、後者からみていこう。「酸化コレステロール」が登場するけれど、これは、ステロイド剤の化学構造はコレステロールの骨格を持つので代謝が難しいとされ、自然と蓄積していく傾向があり、また、体内にとどまれば自然酸化などのため酸化コレステロールに変性していくこととなるためである。この酸化物は、周辺組織に悪さをすると考えられている。サイト「社会問題研究会」(http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/)から、

病気を難治化させるステロイド剤
http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/iryou/iryou200suteroido.htm

 ステロイド剤もコレステロールと同じしくみで悪玉に変化します。使い始めたばかりのころは体外にステロイドを排泄できるので、消炎効果だけを得ることができます。たとえばアトピー性皮膚炎に外用で使用した場合、初めのうちは消炎作用が発揮され、皮膚はものの見事にきれいになります。
 ところが、そのまま年単位でステロイド剤を使い続けると事態は変わります。ステロイド剤は徐々に体に蓄積され、やがて酸化コレステロールに変化して周辺の組織を酸化し、新たな皮膚炎を起こすようになるのです。体内で酸化が進むと交感神経の緊張が強くなり、穎粒球の増加による組織破壊も進行して炎症は悪化の一途をたどります。 (強調は引用者)


 また、コルチゾール、あるいはステロイド剤自体に全身での顆粒球増多を招く作用がある点を指摘しておく必要があるだろう。この点については、また別の機会に(確か、(15)で扱うことになっていたはず)。


 次に、前者をみてみよう。コルチゾール、あるいはステロイド剤は交感神経の緊張を招くので、副交感神経に支配されることの多い分泌作用は、通常低減することとなる。この例の一つが胃粘液の分泌であろう。しかし、胃酸の分泌はこれとは逆方向となっている。

 このようにコルチゾールが胃酸分泌促進作用を持つ理由は、コルチゾールによる免疫抑制を補うためのものと考えられる。コルチゾールの作用の一つには、体内でのエネルギー消費の抑制を目的として免疫抑制作用がある(関連の過去記事はココ)。免疫系の多くは腸管で働いているとされており、免疫抑制があれば、腸管での感染防御が手薄になることとなる。

 他方、コルチゾールの分泌はフリージング(すくみ)反応を誘導するためであり、これは次の闘争・逃走反応のための準備という意味がある(関連の過去記事はココ)。闘争・逃走反応の際には活動量が多くなり、必然的に呼吸量も多くなる。このため、呼吸器系(肺)にいかずに消化器系(胃)の方へ紛れ込む細菌などの異物が多くなりものと考えられる。つまり、コルチゾールが分泌される時には、まもなく感染機会の増加が予想される状態にあると理解できる。

 腸管防御機能の低下がある下で感染機会の増加はやはりまずいということになれば、これを解消するためには、胃における感染防御機能を強化しておく必要があるということになるだろう。胃における感染防御の手段の一つは、強酸(胃酸)によって処理するというものである。


 ●の影響の場合、消化性潰瘍の成因には、別の経路もあるだろう。顆粒球原因説では、顆粒球が持っていた活性酸素が組織破壊を招くものとされている。高濃度に汚染されたものを「食べて応援」しているような場合には、食物に取り込まれていた放射性核種を含む粒子自体が十分な活性酸素の発生源となり、顆粒球を経由せずとも顆粒球の場合と同様な結果を招くものと考えられる(直接粘膜破壊原因説。2011年3月には宮城で出血性潰瘍が多かった点(末尾の関連記事参照)は、この影響かもしれない)。
 

 最後におまけで、組織障害時におけるコルチゾール(あるいはステロイド剤)の役割について理解を深めておこう。サイト「アトピー・ステロイド情報センター(ASIC)」から、

再び、胃潰瘍、アトピー性皮膚炎、慢性関節リウマチについて(後編)
http://atopy.info/essay/9.html

* 痛みや炎症反応の正しい病態把握

 ステロイドホルモンやNSAIDsを長期使用することによって、炎症が悪化するメカニズムを述べてきたが、これを正しく理解するためには痛みや炎症がどのようにして生じているかをも理解する必要がある。・・・このような血流障害や組織障害の極期は、その局所や全身が交感神経緊張状態になっている。

 この血流障害や組織障害の部位には顆粒球が集まってきて破壊された組織を取り除く働きをするが、この過剰反応は自ずからの組織を自分でさらに傷つけることになる。そして、生体がこのような状態から逃れようとする反応が次に引き起こされる。つまり、副交感神経反射あるいは治癒反応である。この時、プロスタグランジン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミンなどが分泌され、血流が回復し組織の治癒が進む。しかし、これらの物質は血管拡張や発赤や痛みを生み出し炎症として,私達の目に留まる。

図2 ステロイドホルモンやNSAIDsは病気の治癒にどのように関与しているのか


 このような反応が十分起こると、組織は修復され正常あるいは健康な状態に戻る。しかし、この副交感神経反射が強く起こり過ぎた時は、「虚血後再巻流」とも呼ばれる反応となる。上記した反応である。したがって、この治癒反応をゆっくりと進める意味で、ステロイドホルモンやNSAIDsの使用は意味を持っている。・・・


 組織障害の際に交感神経の緊張と顆粒球増多がセットで観察される理由が上手く説明されていると思われる。コルチゾール(あるいはステロイド剤)は、副交感神経が支配する各種の分泌作用を抑制することとなり、交感神経の緊張状態を維持する方向に作用するわけである。治療にステロイド剤を使ったとしても、何かを根本的に治すというものでないことがよく理解できるのではないだろうか。


〔関連記事〕
宮城での出血性潰瘍が増加 2011.3-6月  2012/5/29
連続性のある慢性型ストレスの影響  2013/2/20
放射線療法の副作用との類似性 (4) 症状のまとめ  2012/6/11

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ビタミンCの摂取と体内のコルチゾール

2013年04月23日 |  関連(生物学医学)

 手抜きで短く。

 前回記事(ココ)で、笑いとコルチゾールの関係が出てきたけど、今回はビタミンCとの関係について、メモしておこう

 
 ビタミンCの摂取については、3.11後の対策としていろいろな記事をみかける。例えば、ブログ「内科医による新時代の健康革命」から、

放射線に負けない生き方⑥~ビタミンの効果
2011-04-14 12:14:42
http://ameblo.jp/lisalisanet/entry-10852666519.html

 ビタミンCは、私たちの体を健康に保つために不可欠な栄養素です。
もちろん、その抗酸化効果で放射線障害から身体を守ることも報告されています。
過去に受けた放射線障害も改善してくれると言われています。
他の抗酸化物質を補助する効果がありますので一緒にとっておくことで相乗効果が期待できます。・・・

 少しマニアックになると、同ブログ及びサイト「サプリメントで放射能対策」から、

日々の食卓で足し算の抗酸化力
2012-03-22 14:00:34
http://ameblo.jp/lisalisanet/entry-11200218316.html (ビタミンCが体内で酸化防止に役立つことを示唆する図あり)

ビタミンC  放射線防護/放射能防御
http://sapuri-houshanou.seesaa.net/article/220594830.html (多分、富永國比古 著「放射性物質から身を守る食事法」からの引用)


 噂話でみかけたのだと、効果のほどは定かではないが、福島でこんな実験をしている人々がいるらしい。多分ビタミンCのことだろう。ツイッターから、

さくらこママ @murasakitutuji
福島では人体実験とも思われるようなことが行われています。 高濃度ビタミンを摂った人と摂らない人の比較が観察 されているのです。摂った人は、癌細胞が消えましたが、 摂らなかった人は増えました。(森田さん)
2013/02/27


 ●の影響にビタミンCが何らかの効果があると仮定し、コルチゾール過剰原因説(関連記事はココ)に立つと、ビタミンCを摂取した場合、体内のコルチゾールが下がると考えられる。実際にそのような低下を確かめた例があるようだ。

 1日あたり0.9~1.2グラム相当のビタミンCを摂取したところ、体内のコルチゾール濃度が低下したらしい(平均16%減)。「青山皮膚科クリニック」のサイト(http://aoyamahihuka.com/)の資料から、

Dr.亀山のトータルビューティー・コラム 第29回
VCはストレスの指標であるコルチゾールを低下させ、多幸感の指標であるエンドルフィンを増加させます
http://aoyamahihuka.com/column/column29.pdf (pdfファイル。以下は同資料の2頁から)





 チェルノブイリの例をみれば、ビタミンCが万能薬でないことは明らかだが、多少の軽減効果はありそうである。

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〔メモ〕 症状を侮るな

2013年04月21日 |  今日のメモ

と指摘した部分は支持できるけど、その原因分析がいかかんともし難い感じがする。

 昨日上げようと思ったが続き記事が出るかと思いサボってしまったものをあげておこう。朝日系の週刊誌「AERA(アエラ)」は、何か変な方向に舵を切ったのだろうか。

 先ず、冒頭タイトルとは無関係の昨日の記事。サイト「dot.」から、

お一人様で脳卒中…スマホ使えなかったらどうする?
(更新 2013/4/20 16:00)  AERA 2013年4月22日号
http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2013041900017.html

 一人で自由な生活を楽しむ「おひとりさま」。健康なら問題はないが、つらいのは病気になったとき。特に心配なのが「脳卒中」だ。「一人であること」の深き悩みを減らす手立てとは。・・・


 こういう記事がでるということは、やはり足元で似たような事例が増えているのではないかという印象を受ける。

 また、「お1人様」と聞けば、高齢者、65歳以降のような気が個人的にはしていたけど、記事では、千葉在住の40代男性の事例がとりあげられている(2年前の発作とあるので、多分3.11後のことではないだろうか。チェルノブイリでも増えたとされていたよな、脳卒中は)。


 この記事だけなら何ら不審でもないのだが、問題視したいのは、紙媒体では次のようなタイトルでの記事が掲載されていたらしい点である(個人的には未確認)。

AERA(アエラ) 4/15号 健康
ストレスの正体 片頭痛、腰痛、不眠、頻尿、喘息、胃炎、月経不順…ストレスが原因の症状を侮るな (強調は引用者)


 ウェッブ上では次の記事に再編集されたようだ(番号は便宜付けたもの)。

1.ストレス→肩こりのメカニズム 医師が解説
 (更新 2013/4/15 22:00)  AERA 2013年4月15日号
 http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2013041500034.html

2.まつ毛、陰毛ごっそり抜け…昇進のストレスでうつに
 (更新 2013/4/16 16:00)  AERA 2013年4月15日号
 http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2013041500039.html

3.結婚と失業ほぼ同じ? ライフイベントのストレス評価点
 (更新 2013/4/17 16:00) AERA 2013年4月15日号
 http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2013041700003.html

4.コレステロール、ストレスには有効 心に効く栄養素
 (更新 2013/4/18 16:00)  AERA 2013年4月15日号
 http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2013041800024.html

5.一人酒、寝だめはNG? 本当はダメなストレス解消法
 (更新 2013/4/19 16:00)  AERA 2013年4月15日号
 http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2013041800054.html


 各記事の気になるところをみていくと、記事1(「ストレス→肩こりのメカニズム 医師が解説」)からは、

 そもそも、ストレスを受けると体に変化が起きるのはなぜか。

 パブリックヘルスリサーチセンターストレス科学研究所副所長で、日本大学医学部附属板橋病院心療内科の村上正人部長はこう説明する。人間の体は、身体の働きを調整する「自律神経系」、ホルモン分泌を調整する「内分泌系」、ウイルスなどの外敵から身を守る「免疫系」の三つの働きがバランスを保ち健康を維持している。外から働く力(ストレッサー)などによってそのバランスが乱れると、全体のシステムにも影響が生じ、体の機能に変調をきたすという。

 意外なのは、体内の病気ばかりでなく、腰痛や肩こりなどの「痛み」に精神的なストレスがかかわっていることだ。

 ストレスを感じると自律神経の中の交感神経が優位になり、その緊張状態が血管を縮こまらせ、筋肉を硬くさせ、こりにつながる。

 前半は、いわゆるホメオスタシス(生体の恒常性)の話なので支持できる。前にも指摘したような気がするけど、被ばくの健康リスクを評価する多数派のモデル(ICRP(国際放射線防護委員会)モデル)だと、人体を直径30センチメートルの肉塊とみたてて影響を評価するようだが、その際ホメオスタシス自体を評価の対象として考慮していないようだ。これでは正しいリスク評価は難しいであろう。

 引用の後半は、「ストレス」を何故か精神的ストレスに限定する方向に誘導しているが、何の根拠があるのだろうか。引用した部分の続きの部分で、大平哲也 氏(医師、福島県立医科大学教授)の談話が何故か出てくるのだか、大平氏や彼の患者たちが住んでいる環境を考えれば、物理的なストレス(●の影響による酸化ストレス)も考える必要があるだろう。


 記事2(「まつ毛、陰毛ごっそり抜け…昇進のストレスでうつに」)では、東北の30代女性の例を紹介している。疲労感、不眠、易感染性(風邪)、頭痛、睫毛・陰毛抜け、胃痛、子宮の腫れ、うつ病を患った人らしい。

「昇進や、慣れないパソコン操作は大きなストレスになります。ストレスの影響は自律神経があるところには全部出て、めまいや胃の痛み、胸痛や婦人科系など多様な症状が現れます」

 福島県立医科大学教授の大平哲也医師(心療内科)は、この女性の不調の原因はストレスだと指摘する。

「ストレスには段階があって、体がSOSを出す警告期にサインを無視していると、心や体が反発する抵抗期、疲れ言ってうつ病など精神的な症状も出てくる疲憊期(ひはいき)と進行していきます」

 この事例は、記事を読む限り、心理的社会的なストレスの可能性が高いように感じられるが、別の要因のストレスでも類似の症状が現れることになるだろう(まつ毛関連でいえば、眉毛関係の過去記事はココ)。

 また、引用の談話ではストレスの段階説が解説されているが、抵抗期にはコルチゾールの過剰状態が対応すると個人的に考えている。ただ、この期間(多分「タダチニ期間」と重なるもの)は長続きはせず、そのうち期間満了ということになるだろう(満了後の疲はい期になるとどうなるのかは、長くなりそうなので、また別の機会に。なお、ストレスの段階説に関連する過去記事はココ)。


 記事3(「結婚と失業ほぼ同じ? ライフイベントのストレス評価点」)では、ストレス度を評価する点数制の例が紹介されている。

 以下が、ライフイベントとストレスの強さを示した表から、一部を抜粋したもの。1年のストレスの強さが合計300点以上だと80%、150~299点は 50%、150点未満は30%の人が翌年に心身の不調に陥るといわれる。これを参考にストレス度をチェックしてみてはいかがだろうか。・・・

 東北・関東地域なら被ばく自体が無視できない物理的ストレッサーであり、これを点数化しない理由はないと思われる。これを点数化する部分が追加されていたならば、かなり素晴らしい記事になったであろう。


 記事4(「コレステロール、ストレスには有効 心に効く栄養素」)では、笑いの前後での体内のコルチゾール濃度の変化について紹介している。

 一般的に有効なストレス対処法は何か。たとえば昔から、ストレスに効くことで有名な「笑い」。大阪府立健康科学センター(現大阪がん循環器病予防センター)では、「健康落語道場」を定期的に開催、観客のストレスホルモン(コルチゾール)を測定、落語では7割、笑いヨガでは9割の人のストレスホルモンの値が下がっていたという。

「笑うときの腹式呼吸は、運動効果とリラクゼーション効果がある。声を出すだけの『ニセ笑い』でもストレスには有効。何より笑うことで脳内がリセットされ、考え込んで悪化していくストレスの悪循環を断ち切ることができる」(福島県立医科大学教授の大平哲也医師)

 笑いは確かに精神的ストレスには有効だろうが(少なくとも笑っている最中はほかの事は忘れているため)、被ばくは物理的ストレッサーであり笑っていても継続しているので、これ由来のコルチゾールの過剰部分があるとすれば、笑いがその部分に変化を与えるものではないだろう。


 記事5(「一人酒、寝だめはNG? 本当はダメなストレス解消法」)からは、
 
 「ストレス」という言葉が一般的になってきてから、その解消法も数多く登場してきた。しかし、これまでストレスに効くとされてきた習慣のなかにも怪しいものがけっこうある。そのひとつが、ストレス解消の定番「飲酒」だ。誰かと一緒に飲めば気分転換にもなるが、一人酒はNG。考え込んでストレスの悪循環に陥るという。・・・

 チェルノブイリでも飲酒が問題となったようだが、その理由はよくわからない。不眠の際に睡眠薬代わりでアルコールを飲むという習慣がこじれてしまったのか、あるいは●の影響が出た身体にはアルコールの血管拡張作用が心地よく感じられるとかが関与しているのかもしれない。いずれにしろ飲酒するのであれば、依存症になり易いらしいと認識した上で、量の管理が重要であろう。

 また、3.11後においてストレス解消法を論じるのであれば、転地療養(外部被ばく、呼気被ばくの低減)、マスクの着用(呼気被ばくの低減)、食べて応援の中止(内部被ばくの低減)などの物理的ストレスの対策についても紹介していれば、素晴らしい記事になったことだろう。


 最後に、上記記事とは関係ないのだが、大平氏が何らかの関与を持つであろう、福島の心療内科のある病院の経営状況は、最近よいのだろうと推測される。サイト「机の上の空 大沼安史の個人新聞」の記事から(長いタイトルだが)、

〔フクシマ・ダイアリー〕 柳原弁護士 文科省前で ある母親からのメール、読み上げる /娘さんのテニス部の友だち5、6人、すべてA2判定。でも2次検査(再検査)は必要なし。と。/ 娘が言います、「病院が大丈夫といっているんだから、大丈夫なんだよ。どうせ死ぬんだし……」/ 郡山市の男の子、ひどい疲労感 心療内科、予約殺到で診察断られる (強調は引用者)
2013-02-21
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-f437.html


 どうも症状を侮っているように感じられるのだが、何故だろうか。

コメント

「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (8-1)

2013年04月18日 |  症例(その他)

〔更新履歴:4/24訂正〕


 本来はこのシリーズの(7)の途中のはずだけど、前倒しで(8)を。以前の記事
   肺がんタバコ原因説は正しいのか?  2013/4/5
に続いて、ピロリ菌関係の前置きその2という位置付け。

 久しぶりなのでおさらいをしておくと、このシリーズの趣旨は、●による健康影響の症状の多くがコルチゾールの過剰分泌に起因するものと考える説(コルチゾール過剰原因説)を前提として、これらの症状とステロイド剤の副作用との類似性をみていこうというものである(関連の過去記事はココ)。


(8) 消化性潰瘍

(A) 実例

 先ずは、消化性潰瘍が増加していることを示唆する実例をみておこう。チェルノブイリの例では、以前にも一度紹介したけど(1/26の記事)、ブログ「憂鬱亭非日常」から(タイトルでググレば多分元の動画もみつかることとだろう)、

NHKスペシャル「汚染地帯で何が起きているのか チェルノブイリ事故から4年 」(1990年)文字起こし その7
2013.01.04
http://plaza.rakuten.co.jp/shunsoku2002/diary/201301040006/

N [白ロシア]放射線医学センターは、チェルノブイリ事故による患者を治療するために、一年半前に作られました。・・・
N チェルノブイリ事故以降、神経系の病気、血管障害、胃や腸の潰瘍、肝臓病などが増加しています。
(目を半分閉じて背中に聴診器をあてられている男児目の周囲には、明らかな隈がある)
N この医学センターでは、甲状腺の障害が、事故により増加したと見ています。 (なお、「N」はナレーションの意。強調は引用者)


 もう一つチェルノブイリ関連であげておくと、汚染除去作業員と一般住民を比較したところ、前者で消化性潰瘍が著しく多かったらしい。サイト「原発の危険から子どもを守る北陸医師の会」の「チェルノブイリの健康被害 原子炉大惨事から25年の記録」(セバスチャン・プフル-クバイルほか著、2011.4月)から、

第2章 汚染除去作業員
http://isinokai.churaumi.me/2012/03/07/hapter2/

 旧ソ連に汚染除去作業員の登録記録(知られている限りであるが)がいくつか存在する。・・・960名の作業員と200名の一般住民の罹病率とを比較した場合、前者では次の病気の罹病率が著しくに高いことがわかった:慢性脳循環不全症、自律神経失調症(起立性低血圧症)、慢性胃炎、十二指腸粘膜の慢性的炎症、慢性肝炎、胃十二指腸潰瘍、慢性胆のう炎、高血圧症、虚血性心疾患、慢性気管支炎、慢性腎盂腎炎、前立腺の慢性炎症、脊椎の退行性病変8)。 (強調は引用者)


 3.11後の例では、関係が疑われ信頼度が高そうなものは次の例だろう。朝日新聞の記事から、

ストレスで潰瘍 震災前より倍増
2012年11月05日
http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000001211050003

 胃や十二指腸などでできる消化性潰瘍(かい・よう)の県内の患者のうち、不安や恐怖などの心因性ストレスが原因と見られる人の割合が、東日本大震災の前よりほぼ倍増したことが、東北大病院の飯島克則講師(消化器内科学)らのグループの調査でわかった。

 消化性潰瘍は、胃の中にいるピロリ菌や、鎮痛剤などの服用が主な原因。不安や恐怖など心因性ストレスも一因と考えられてきたが、因果関係がはっきりと確認されていなかった。

 グループは東北大や気仙沼市立、石巻赤十字など県内7カ所の病院で、震災前後の各3カ月間で消化性潰瘍の患者を比較した。患者は261人から383人に増加し、そのうちピロリ菌や薬剤ではなく、ストレスが原因と見られる人の割合が13%から24%に増えたという。・・・


 よく読むと、このネタは次の過去記事で紹介したものと同種のものだったようだ(せっかくなので貼ったままにしておこう)。
   宮城での出血性潰瘍が増加 2011.3-6月  2012/5/29


(B) 消化性潰瘍の成因

 次に、消化性潰瘍の一般的な解説をgooヘルスケアから(前にも貼った気がするけど)、

胃・十二指腸潰瘍
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10G20900.html

胃・十二指腸潰瘍とはどんな病気か
 胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼んでいます。消化性潰瘍の代表は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍です。
 胃潰瘍は、40歳以降の人に多くみられるのに対し、十二指腸潰瘍は10~20代の若年者に多くみられます。十二指腸潰瘍の患者さんは、過酸症 (かさんしょう)であることが圧倒的に多いのですが、胃潰瘍の患者さんは、胃酸の分泌は正常かやや少なめの場合がほとんどといわれています。 ・・・

原因は何か
 胃・十二指腸潰瘍の成因のうち、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に由来するものが十二指腸潰瘍で95%、胃潰瘍で70%前後とされています。ピロリ菌以外の成因として重要なのは、薬剤、とくに非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:エヌセッド)です。アスピリンが最も有名ですが、日本ではアスピリン以外でも多数のエヌセッドが関節リウマチやかぜなどの治療に使用されています。・・・


 消化性潰瘍の主な原因には諸説あって、胃酸で一部が溶けて潰瘍になるとの説(胃酸原因説)がかつての主流で、上記解説によれば今の主流はピロリ菌原因説ということだろうか。

 しかしながら、個人的には、顆粒球増多原因説を支持している。おさらいしておくと、●の影響によって次のような一般的な経路が生ずると考えられる(詳細は、交感神経の優位と粘膜・組織破壊 (1/2)  2012/5/14)。

何らかのストレス(酸化ストレスを含む)酸化ストレス →交感神経の緊張 →顆粒球の増多及び血流障害 →組織障害

消化性潰瘍の場合については、安保 徹氏の著作「免疫革命」(講談社、2003.7月)から引用すると、

・・・研究の結果、胃潰瘍はあきらかに交感神経緊張状態がもたらす顆粒球増多が引き起こしていることがはっきりしました。ストレスがかかると、顆粒球が増えて、胃もふくめた身体中の粘膜におしかけ、そこへ、ヘリコバクター・ピロリ菌などの刺激によって、活性酸素が産生され、粘膜組織を破壊していきます。これが、胃潰瘍発症のプロセスです。ヘリコバクター・ピロリ菌が粘膜破壊の主役でないことは、この菌をほとんどもっていない二十歳代の若者でも、強い恐怖や刺激にさらされると胃潰瘍を起こすという実験結果からもわかります。 (同書238頁)


 この点のより長めの解説については、サイト「湯島清水坂クリニック」から、

胃潰瘍 http://yushima-s-clinic.com/index.php?%E8%83%83%E6%BD%B0%E7%98%8D

 胃潰瘍の原因は、交感神経緊張による、顆粒球の増多にあります。交感神経緊張状態が続くと、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が盛んになり、アドレナリンレセプターを持っている白血球中の顆粒球が増えます。顆粒球の寿命は1~2日で、最後は粘膜上にたどり着き、活性酸素を放出するのです。

 顆粒球が放出する活性酸素が、胃の粘膜を破壊するため、胃潰瘍が起こります。


 なお、上記記事では胃酸原因説やピロリ菌原因説の問題点も指摘しているが、短く引用するのも難しいので、時間があればURL先を確認してほしい。


(つづく)

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〔メモ〕 慢性疲労症候群(CFS)は最近増えているのか?

2013年04月16日 |  今日のメモ

 週3~4程度の更新を目指して、今回はライトな更新にて。

 昨日、東京新聞のサイトで何故かアクセス・ランキング上位にきていてみかけた先週日付の記事をメモしておこう。

原因不明の発熱、脱力感が続く 働き盛りに多発 慢性疲労症候群
2013年4月9日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013040902000138.html

 ある日突然、全身の倦怠(けんたい)感に襲われ、疲労や微熱が続く「慢性疲労症候群」(CFS)。働き盛りの二十代~四十代で発症する例が多いが、詳しい原因は不明で根本的な治療法もない。症状はうつ病と似ていて診断は難しく、病気を知らなかったり、認めなかったりする医師もいて、精神科や内科をたらい回しになる患者もいる。 (細川暁子)

 
 記事は長いので上記URLでみてほしいけど、症状関連の記述をみておくと(記事で紹介された女性は3.11前の事例)、

 東京都内の女性(40)の体に異変が起きたのは二〇〇九年三月。三九度の熱が出て、解熱剤を飲んだが一週間以上も微熱が続いた。頭がボーッとして会話の内容が理解できなかったり、少し動くだけで息切れしたりするように。全身の筋力が低下して、次第に鍋がつかめないほどになった。治療を受けたが、症状は軽減せず、半年後にCFSと診断された。・・・

 CFSは激しいだるさや脱力感、微熱が続き、筋肉や関節が痛むのが特徴だ。それが半年以上続き、日常生活に支障が生じていることなどが診断基準で、リンパ節の腫れを根拠にする医師もいる。だが一般的な検査では異常は見つからず、詐病を疑われる場合もある。・・・

 多くの患者は身体的な症状だけでなく、不眠や思考力、集中力の低下などの症状も訴える。東京・池袋の「池袋内科」の井上幹紀親(みきちか)さんは「うつ病との区別が難しく、病院を渡り歩く患者も多い」と話す。。症状としては、内科と精神科にまたがっているため、双方の協力が重要という。


 また、上記記事では、慢性疲労症候群とウイルス感染や活性酸素との関連性が指摘されている。

 発症のメカニズムは解明されていないが、患者の血液を調べると、何らかのウイルスが見つかるケースがあり、倉恒[弘彦(関西福祉科学大教授)]さんは免疫との関連性を指摘している。

 患者は血液中の活性酸素が通常より高いことが特徴で、活性酸素を減らす薬を出すこともある。ただし、現状では、それぞれの症状を軽減する対症療法しかない。通常の日常生活に戻れる患者もいるが、十年以上も症状が軽減せず、苦しむ人もいる。


 ウイルス感染との関連性については、過去記事でも少し触れたところ(ココ)。活性酸素(酸化ストレス)について一言だけ言っておくと、●の影響がある場合でも血中の活性酸素量が多くなると推測される(関連の過去記事はココココ)。

 ついでに、慢性疲労症候群に関し、チェルノブイリ後の国内の状況については、噂話ベースだと、某掲示板の緊急自然災害板から、

611 名前:地震雷火事名無し(福岡県) 投稿日:2012/09/29(土) 01:52:33.73 ID:ulFwTjeP0
 ほ、だよね。同じこと思ってた
 アレルギーやアトピーや、原因不明の「慢性疲労症候群(筋痛症)」とか。怪しすぎ

612 名前:地震雷火事名無し(関東・甲信越) 投稿日:2012/09/29(土) 02:00:06.49 ID:lJiO9rgx0
 >>611
 慢性疲労症候群(CFS)が問題になりだしたのは1990年の前後から。チェルの3~
 4年後な訳だ。奇形の増加が医療関係者の間で話題にされるようになったのは、
 1990年代の半ばあたりから。確実に同じ道をたどるだろうな。


 こちらの一部は過去記事で既出だけど、同掲示板の放射能板から、

680 名前:名無しに影響はない(関東・甲信越) 投稿日:2012/11/05(月) 02:45:53.40 ID:nxq5/YtU
  チェルノの後、1989年前後で慢性疲労症候群に罹患したよ。快復に2年掛かった。
  原因不明で治療法なし。安静にしてるしかない。体はダルいし、物が覚えられ
  ない。頭の中に消しゴムがあるかのように言葉が消えていく。思考が停まる
  から本も読めない。学生の頃だったから何とかなったがね。

699 名前:名無しに影響はない(やわらか銀行) 投稿日:2012/11/05(月) 11:24:40.91 ID:whx1+ufO
 >>680
 自分は1991年にぶらぶら病みたいなのになった。
 微熱(37度4分位~38度くらい)が三年くらい続いたよ。常に風邪ひいてるような状態。
 当時は慢性疲労症候群について、また医学界でもメジャーではなかったみたいだね。
 普通の町医者にはまったく診断もできなかった。
 「疲労するほど何してるの?」とか「運動でもして気晴らししたら?」とか言われた。
 血液検査しても確実な異常がみつからなくて、大学病院行っても診断がつかなかった。
 家族は医者による「何々病」という診断がないから、怠け病としかみてくれなくて、
 毎日暴言吐かれて辛かった。働けないなら体売って稼げとかね。。
 三年目くらいから少しずつ熱がひいていき体力も回復し、友人達からの励ましや
 協力も得て働けるようにもなった。


[関連記事]
肥田舜太郎 氏(4)-生き延びた人  2012/4/1
肥田舜太郎 氏(5)-症例に関する様々な談話  2012/4/2
慢性疲労症候群 (CFS) 〔YNNチェルノブイリ報告から〕  2012/5/5

慢性疲労症候群と放射性降下物 (1)  2012/5/8
放射線療法の副作用との類似性 (2) 倦怠感  2012/6/7
「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (7-2)  2012/8/26  (既出)

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脂肪分解促進物質の過剰と糖尿病・動脈硬化などの疾患

2013年04月13日 |  関連(生物学医学)

〔更新履歴:4/14図の追加〕


 ちょっとサボリ過ぎたので、リハビリを兼ね予定を変更して、ググッていてみかけた記事をメモしておこう。少し古い話だけど、コルチゾール過剰原因説(過去記事はココ)に関連する話である。

 脂肪分解を促進するある特定のタンパク質(AIM。Apoptosis Inhibitor of Macrophage。無理に訳せば「マクロファージ自殺死阻害剤」か?)が体内で過剰になると糖尿病や動脈硬化になりやすくなるらしい。日経記事から、

太っても動脈硬化にならず、特定たんぱく質解明 東大教授ら
2011/7/5
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0500K_V00C11A7CR0000/

 東京大の宮崎徹教授らは、太っていても特定のたんぱく質が働かないと、糖尿病や動脈硬化にならないことをマウス実験で突き止めた。・・・

 体内では「AIM」というたんぱく質が働き、脂肪細胞にため込んだ脂肪を分解している。研究チームはAIMができないマウスを作製。高いカロリーの食事を与えて肥満にしても、糖尿病や動脈硬化が起きなかった。

 通常のマウスはAIMが脂肪を分解し、免疫細胞を呼び寄せる。免疫細胞が炎症性物質を作り、この状態が続くと糖尿病や動脈硬化に進む。AIMがないと、この流れが断ち切られる。・・・


 上記記事の詳細については、プレスリリースと解説記事を東大のサイトから、

肥満から糖尿病や動脈硬化への橋渡しメカニズムを解明
(2011/7/5掲載)
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/2011press.html#20110705
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20110705.pdf (詳細はpdfファイル。以下に一部引用)

3.発表内容:

   [中略]

 発表者[(宮崎 徹 (東京大学大学院医学系研究科附属 疾患生命工学センター 分子病態医科学部門・教授)]らは[2010年]、肥満に伴いAIMの血中濃度が上昇し、脂肪組織に蓄積した中性脂肪を分解することによって、からだ全体の肥満の進行を妨げることを明らかにしていた (文献2)。おそらく肥満が進行すると、からだがAIMを沢山作り、脂肪滴を溶かすことによって、これ以上太るな、という反作用を起動するようになるのであろうと推察される。

 今回の研究では、こうしたAIMの抗肥満作用を上回る食生活の乱れなどにより肥満が進行してしまい、血中にAIMが多量に存在する状態では、AIMによる中性脂肪の分解により脂肪細胞から多量の脂肪酸が放出され、それが脂肪細胞表面にあるToll様受容体(注2)の一つを刺激することによって、脂肪細胞自身が、マクロファージを呼び寄せるケモカイン(注3)というタンパク質を産生していることが明らかになった。すなわち、マクロファージを脂肪組織に呼び寄せ炎症を惹起し生活習慣病の引き金を引くのは、肥満して大量に蓄積した中性脂肪を、大量のAIMが分解することなのである

 実際、AIMを作れなくしたマウスに高カロリー食を与え、過度に肥満させても、脂肪組織にマクロファージはほとんど浸潤しない。そのため、慢性炎症も起こらず、結果的に糖尿病も発症しない(文献3)。動脈硬化についても、AIMを作れなくしたマウスでは、発症や増悪が著しく抑制されることを、発表者らはすでに報告している(文献4)。したがって、血中のAIM濃度が低いメタボリックシンドロームの初期には、AIM自身により肥満を抑制し得るし、肥満が進行して血中AIM濃度も高くなってしまい、糖尿病や動脈硬化の危険性が高くなっている状況では、AIM阻害剤を用い、肥満からこれらの病気への橋渡しを阻止できると考えられる。

  [中略]

 7.用語解説:

(注1)AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage):
 当初マクロファージから分泌され、細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制する分子として発表者が発見したもの。その後の研究で、アポトーシス抑制以外にも作用する細胞の種類などの違いにより様々な作用があることが明らかになった。

(注2)Toll様受容体(Toll-like receptor: TLR):
 リンパ球を中心とした獲得免疫に対し、いわいる自然免疫において中心的な役割を果たす、免疫細胞や脂肪細胞の細胞膜上に存在する分子である。刺激されると、サイトカインやケモカインの遺伝子発現を促し、炎症の惹起に寄与する。現在9種類のToll様受容体が見つかっており、脂肪酸は主にTLR4を刺激することが分かっており、脂肪細胞はTLR4を発現している。

(注3)ケモカイン:
 血液細胞や脂肪細胞を始め様々な細胞によって産生される液性タンパク質。マクロファージやリンパ球など、ケモカインの受容体を有する細胞を組織に呼び寄せる働きを持つ。多数のケモカインが見つかっており、今回の報告にある、脂肪細胞によって産生されるケモカインは、主にマクロファージを呼び寄せる働きを持つものである。  (強調は引用者)


図 脂肪組織の肥満進行から慢性炎症が起こるプロセスとAIMの関与
注) 「lypolysis」は脂肪分解の意味。「TLR4」はToll様受容体(前出の注2)の一種。
出典) 前出pdfファイルの資料4頁。



肥満になっても、いいの?
2011/11/09
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/todai-research/editors-choice/obesity-in-their-sights/

 東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授らは、血中に多く存在するAIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)というタンパク質が、炎症の根本的な原因となっていることを突き止めました。

 実は、AIMには脂肪細胞中の中性脂肪を分解する性質があります。つまりAIMは肥満を防ぐ役割を持つタンパク質なのです。AIMの働きを超えて太り続けてしまう状態は、ちょうど車のブレーキをかけながら同時にアクセルを踏み続けているようなものです。肥満にブレーキをかけるためAIMがどんどん増加し、やがてAIMの血中濃度がある値を超えると炎症が起こり、その炎症が全身に波及する結果、生活習慣病が発症するのです (強調は引用者)



 以上をまとめると、次のような経路があるのであろう。

肥満 →血中AIM濃度の増加 
→更なる肥満進行による血中AIM濃度の過剰 
→血中への脂肪酸の多量放出 
→脂肪細胞によるケモカイン(マクロファージ遊走活性物質)産生・放出 
→炎症(マクロファージの呼び寄せ・浸潤)
→全身に波及し糖尿病・動脈硬化へ

 この理解によれば、脂肪分解促進作用を持つ物質が過剰になることがあれば、AIM以外の物質であっても類似のこと起こり得ると考えられる。


 チェルノブイリの例によれば、糖尿病や動脈硬化が増加したとされている。実際、福島でもこのような傾向がみられるようだ。福島県の調査によれば、避難区域等の住民において、肥満、糖代謝異常、脂質代謝異常の割合が増加している(関連過去記事はココ)。

 また、コルチゾールの主な作用の一つは、脂肪分解促進作用である点が思い出される(関連過去記事はココココ)。


 AIMの場合は、体内での濃度の増減が肥満と密接に関連しているらしい。コルチゾール過剰原因説によれば、コルチゾール濃度の増減が●の影響の程度と密接に関連しているはずなのだが、果たして・・・

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肺がんタバコ原因説は正しいのか?

2013年04月05日 |  関連(生物学医学)

〔更新履歴:5/19追記〕


 ピロリ菌が濡れ衣を着せられている可能性もあるので、少し整理しておこう。今回は手抜きで、他力本願にて前置きその1。

 先ずは何故か、タバコと肺がんの関係から。

 個人的には武田邦彦氏(中部大学教授)の言説が正しいのではないかと感じており、紹介しておこう。武田説の要旨は、彼の公式ブログ「武田邦彦 (中部大学)」の記事から、長いので結論だけ引用しておくと、

4大原因を考える・・・ディーゼル、核実験、レントゲン検診、そしてタバコ
平成24年4月19日
http://takedanet.com/2012/04/4_0bdc.html

 つまり、タバコが肺がんの一つの原因になるのは確かですが、これらのデータを見ると、統計的にもはっきりとした傾向の見られるものの方が肺がんへの影響は強いと考えるのが科学的には普通です。

 つまり、肺がんの原因は、第一に被曝(核実験と検診)、第二にディーゼル排ガス、そして第三にタバコと考えられます。タバコの副流煙などほとんど無関係と考えられます。 (強調は引用者)


 彼のブログにはタバコ関連の記事はかなり多いが、冒頭記事を理解する上で参考になりそうなものを時系列で挙げておくと、

タバコを考える パート7 データの真実
平成22年5月16日 http://takedanet.com/2010/05/post_decd.html

 女性はこの45年間でほとんど喫煙率は変化していない。しかし、肺がんは8倍になっている。つまり、「喫煙率が変わらなくても、平均年齢が上がっただけで肺がんは8倍に増える」としよう。

 1965年から2009年までの平均寿命の伸びは、女性と男性でほぼ同じ。

 45年間で喫煙率の変わらない女性は肺がんの死亡率が8倍。同じ45年間で喫煙率が2分の1になった男性も肺がんの死亡率が8倍。つまり、喫煙率が変わっても年齢によって肺がんになる可能性は等しいということになる。

 従って、タバコを吸って致命的な肺がんになりやすいという話は、少なくとも全体統計からは事実とは違うということになる。


奇っ怪な結果?? タバコを吸うと肺がんが減る?!
平成24年3月16日 http://takedanet.com/2012/03/post_b49e.html

タバコ・・・中間まとめ(感情的対立の原因)-1
平成24年3月18日 http://takedanet.com/2012/03/post_80c8.html

タバコ・・・中間まとめ(感情的対立の原因)-2
平成24年3月20日 http://takedanet.com/2012/03/post_bdce.html


 ついでに、冒頭記事以降に書かれた記事で参考になりそうなものは、

タバコは吸った方が良いか、禁煙運動かのトリック(解説編)
平成24年4月22日 http://takedanet.com/2012/04/post_98c2.html


タバコと健康をゆっくり考える(新しい1) 数字と論理
平成24年4月28日 http://takedanet.com/2012/04/post_8f48.html

 「外出しなければ交通事故に遭わない」(タバコを吸わなければ肺がんになりにくい)は良いのですが、「だから外出してはいけない」(だからタバコを吸ってはいけない)という表現はこのような整理をする限り不適切であることがわかります。また「交通事故の原因は外出だ」(肺がんの原因はタバコだ)は良いのですが、「外出すると交通事故に遭う」(タバコを吸うと肺がんになる)も不適切です。

 タバコについて、かなり整理が進んだと思いますが、「人間にとって外出も大切だから、交通事故に注意しよう」と言うぐらいが適切とすると、タバコも同じぐらいの確率ですから「気分転換にタバコも良いが、吸い過ぎには注意しよう」ぐらいが妥当と言うことになります。


 以上の記事を読むと、肺がんの主な原因はタバコである、あるいはそのように示唆する主張(肺がんタバコ原因説)は、かなり問題があるらしいことがわかるのではないだろうか(なお、ここでは、タバコが肺がん以外の呼吸器疾患の原因となる点は別問題との取り扱い)。

 武田説は、肺がんの主な原因としてタバコだけが過剰に注目されていることを疑問視するものといえるだろう。この観点から肺がんタバコ原因説(これが世間の一般的な現状認識だと思うが)を評価すれば「肺がん原因タバコ生贄状態ともみることができるだろう。

 武田氏が原因の一つと指摘する項目の関連国・業界を考えてみると、被曝(核実験とX線検査)は核保有諸国(大所は某機関の常任理事国でもある)と医療業界、ディーゼル排ガスは自動車業界、タバコはタバコ業界(主にタバコ製造メーカー、タバコ農家だろうか)となるだろう。これらを「腕力」の弱そうな順で並べると、最初にくるのはどこだろうか。

 
 しかし、政府は、肺がんタバコ原因説を堅持しているようで、新たな政策を進めていくようだ。

病院に「たばこ相談員」 厚労省、禁煙促す - がん拠点病院397カ所に
2012/9/5
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0404O_V00C12A9CR0000/

 厚生労働省は5日、禁煙に関する電話相談や病院紹介などを実施する「たばこ相談員」を来年度から全国の病院に配置する方針を固めた。禁煙を促し、2022年度までに喫煙率を12%に引き下げる政府目標の達成を目指す。費用として来年度予算概算要求に1億6千万円を計上した。同省は「がん予防だけでなく、健康対策につなげたい」としている。

  [中略]
 喫煙率について、政府は今年5月に閣議決定した、今年度から5年間の目標となる「がん対策推進基本計画」に数値目標を初めて明記。10年に19.5%(男性32.2%、女性8.4%)だった喫煙率を、22年度までに12%に引き下げる目標を掲げている。

 たばこの煙には数十種類の発がん物質が含まれ、肺がんなどのリスクを高めるとされる。厚労省によると、本人の喫煙が影響した10年の死亡者は12万~13万人と推計されている。


病院に「たばこ相談員」 禁煙を後押し 
(2013年3月25日)
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130326134638345

がんリスクの火消し役に 国が配置へ

 厚生労働省は、禁煙を支援する「たばこ相談員」を、2013年度から各地のがん診療連携拠点病院に順次配置する方針を決めた。国による相談員の配置は初めて。喫煙は肺がんや慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)のリスクを高めるとされ、禁煙支援を通じて国民が健康に生活できる「健康寿命」を延ばしたい考え。
  [中略]

 厚労省の担当者は、相談員の配置対象をがん診療連携拠点病院とした理由について「がんと関連付けながら専門的、効果的に相談や支援に応じられる」と説明、「一人でも多くの禁煙につなげたい」と話している。


 仮に武田説が正しいとすれば、この取組みは何か別の意図をもって推進されているということかもしれない


 さて、肺がんタバコ原因説を推進しているのは、誰だろうか。歴史的経緯はよく知らないが、最近ではこのあたりが出発点となることが多いのではないだろうか。「がんサポート情報センター」の記事から、

ここまでわかった「胃がんの原因は本当にピロリ菌?」
2010年08月号
http://www.gsic.jp/cancer/cc_02/pylori/index.html

ピロリ菌感染を確実発がん因子とWHOが認定

1994年、ピロリ菌感染は胃がんの確実発がん因子であると世界保健機関(WHO)によって認定されました。最高の危険性を示す「グループ1」に分類されました。強力な発がん性で知られるタバコやアスベストと同じ分類です。・・・ (強調は引用者)


 かの機関では、タバコとピロリ菌は、似たような扱いらしい。

 

・5/19追記: タバコの有害性に関する各種のデータについては、ブログ「大切なものを大切に☆彡」の次の記事が参考になりそうだ。

タバコは”百害あって一利無し”って本当?~①驚くべき薬効の数々
2010.11.15 Monday
http://hanbey8.jugem.jp/?eid=206

タバコは”百害あって一利無し”って本当?~②有害データはヤラセのイカサマ
2010.11.19 Friday
http://hanbey8.jugem.jp/?eid=207

タバコは”百害あって一利無し”って本当?~③いったい何が有害なの?
2010.11.22 Monday
http://hanbey8.jugem.jp/?eid=208

コメント

〔メモ〕 NHK被災者1000人アンケート調査 (2013.3月)

2013年04月03日 |  症例(報道ベース)

 先日みかけた3.11に関するアンケート調査の結果を忘れないようにメモしておこう。

 元の記事はサイトから既に削除されているようなのでニュースとしての放送は3/9か?)、それを引用したブログ「四季の庭 四季の空」の記事から、

被災者の7割 心や体の不調訴え NHK『NEWS WEB』より
2013-03-10
http://blog.goo.ne.jp/yamanami729/e/c240db255f34dc0b1a3a749c71fb7561

 NHKが、岩手・宮城・福島の3県の1000人余りの被災者にアンケートを行ったところ、この1年で、7割が震災や事故の影響で心や体に何らかの不調を訴え、高齢者だけでなく特に40代や50代の働き盛りの世代でも体調が悪化していることが分かりました。・・・


 3.11から2年経過し、NHKが被災者約1000人に対しアンケート調査を実施した際に、健康影響も調べたらしい。ググッてみると、関連記事と調査結果の詳細をNHKのサイトから、

1000人調査から見える被災地の現実
(3月10日 19時35分)
http://www3.nhk.or.jp/news/2013shinsai/2013_0310_02.html

震災2年のアンケート

 NHKでは、被災地の現状がどうなっているのか、時間が経つにつれてどのように変化していくのか把握しようと、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県で、震災の2週間後から、継続的に被災した人たちにアンケートを行ってきました。7回目の今回は郵送や対面で行い、去年12月から先月までの間に、1006人の方から回答をいただきました。

 [中略]

働き盛りに心身の不調

 こうした状況は、被災者の心や体にも影響をあたえていました。震災直後から、ケアの必要性が言われてきた高齢者。この1年に何らかの心身の不調を訴えた人は75%と、歯止めがかかっていませんでした。そのうえ、40代50代の働き盛りの世代でも72%がなんらかの不調を訴えていました。地域や職場、そして家庭において復興の担い手として取り組み続けてきた人たちが、この1年で体調を悪化させていたのです。




東日本大震災2年 被災者1000人アンケート
http://www3.nhk.or.jp/news/2013shinsai/enquete2013.html (結果の概要)
http://www3.nhk.or.jp/news/2013shinsai/infographic/tohoku2yrs_report.pdf (pdfファイル。結果詳細)


 結果詳細から健康影響の部分をみてみると(質問の内容は「3 心身の状況や家族について」のうち「(6) いまも震災・原発事故による心身への影響がありますか。」)


   (上記資料14頁)


 上掲の表によれば、2年目の症状のうち上位の項目は、次の通り。

a. 気分が沈みがち (36.8%)
b. よく眠れない (31.7%)
c. 意欲がわかない (27.8%)
d. 薬が必要になった (25.4%)
e. 血圧が上がった (22.8%)
f. 飲酒や喫煙の量が増えた (19.6%)
g. 歩きにくくなった (18.7%)


 aとcは精神症状の一種でうつ病(depression)に、fの一部はアルコール依存症(alcohol abuse)に関連し、いずれもチェルノブイリの例では増えたとされている(下図参照)。eは高血圧に関連し、これもチェルノブイリの例でも増えたとされている(この点は過去記事 大衆の誤認誘導効果を有する報道の諸類型 (2) 隠れ○○  2013/1/31 を参照)

 bはいわゆる不眠だが、これもチェルノブイリの例でも増えたようだし、gは多くは筋力低下が関係していると思われるが、筋肉には放射性セシウムが蓄積しやすいらしい。dはよく分からないけど、いずれにせよ病気が増えたということだろう。

図 チェルブイリ事故の清掃作業員における精神異常の有病率 (一般人との比較)
(出典:ウクライナ政府報告書「Twenty-five Years after Chornobyl Accident: Safety for the Future」2011、160頁)


 これらの関連性はまったくの偶然なのか、あるいは何か理由があるのだろうか。


 結果詳細に戻り、もう少しみておくと、
 

   (上記資料15頁)


 上段の「健康状態の変化の年代別分析」によれば、30歳以下では2年目で改善した人が多いようだが、40歳以上では、むしろ悪化した人が多いようだ。

 下段の「2年目の健康状態と地域別分析」では、福島では「良好」の割合人がなり少なく、「不調」の割合をみると、岩手、宮城、福島の順で大きくなっていたようだ(それぞれ26.4%、30.5%、46.3%)。


 冒頭のニュースに戻ると、被災者の心身の不調の原因は、次のように分析されている。冒頭ブログ記事から、

 被災した人たちの健康状態の調査に当たっている東北大学の辻一郎教授は「復興の道筋が見えないことが、中高年の心身の不調につながっていて、アルコール依存やうつに悪化していくのを防がなくてはならない。医療的なケアだけでは解決しないので経済対策や雇用対策などを進めることが最大の薬になる」と指摘しています。 (強調は引用者)


 果たして本当だろうか。例えば、復興の不透明さと「歩きにくくなった」こととの間には、何の関係があるのだろうか。

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〔メモ〕 岩手における脳卒中、高血圧の増加 (2013.1月調査)

2013年04月02日 |  症例(報道ベース)

 以前のブログ記事
   岩手における高血圧、脳血管疾患(2012.3月調査)  2013/1/28
で触れた調査(岩手医科大の寺山靖夫氏のチームによるもの)の続報のようなものをみかけたので、忘れないようにメモしておこう。朝日新聞から、

震災1年境に脳卒中5倍増 岩手沿岸部、学会が改善要求
2013年4月1日18時8分
http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY201304010114.html (非会員は一部のみ閲覧可)

【辻外記子】東日本大震災被災地の岩手県沿岸部で、震災直後から1年後までと、1年後から10カ月間を比べると、脳卒中患者が約5倍に増えていることが、岩手医科大学の調査でわかった。日本脳卒中学会は患者の増加を防ぐため、国に被災者の健康環境の改善を求める声明を出した。


 上記記事の脳卒中のデータを表にしておくと、

表 岩手の被災地における脳卒中患者数
(山田町、大槌町、陸前高田市)
期  間脳卒中患者数 (人)月平均 (人)
2011年4月~2012年3月 12 0.9
2012年4月~2013年1月
の10カ月
52 5.2
出典) 岩手医科大調査(医師から聴取)。
2013/4/1朝日、http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY201304010114.html

 

 また、この被災3市町では、従来の傾向と同じく今年1月の時点でも、過去に脳卒中になったことがなく、不眠などの問題を抱える人々については血圧の数値が悪化していたらしい。前述の記事から、

・・・過去に脳卒中になったことがなく、不眠などの問題を抱える3市町の約千人のデータを分析。13年1月の最高血圧(収縮期)は平均155で、最低血圧(拡張期)は平均93だった。いずれも12年4月と比べて悪化していた。

 チェルノブイリの事例によれば、脳卒中も高血圧も増加したとされているけど、ただの偶然だろうか。


 上記記事で言及されている日本脳卒中学会の声明は、ググッた限りだと、一昨年7月に出されたもののようだ。関連記事を朝日新聞から、声明を同学会のサイト (http://www.jsts.gr.jp/) から、

被災者に高血圧増加 岩手医大調査「栄養指導など必要」
2011年7月31日
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201107310195.html

 東日本大震災の被災地で高血圧の人の割合が増えていることが岩手医科大などの調査でわかった。血圧が高いと脳卒中の発症が増えることから日本脳卒中学会は31日、注意を呼びかけ、政府に被災者の生活改善や脳卒中予防体制の整備などを求める声明を出した。


日本脳卒中学会声明 (2011/7/31付け)
http://www.jsts.gr.jp/img/seimei.pdf (pdfファイル)

・・・この様に、被災地における高血圧有病率と血圧レベルの上昇は、元来、脳卒中多発地方である被災地を抱える東北地方の脳卒中発症が近々圧倒的に増加する事を強く示唆しています。
 [中略]
 日本脳卒中学会は、政府に対し速やかな「被災者の生活・健康環境の改善」と「強力で有効な脳卒中予防体制の整備」を強く要望するものです。


 同声明では、高血圧持ちの被災者が増加していることを背景として、脳卒中予防体制の整備を要望するものだったようだ。現状、確かに脳卒中が増加しているようなので、かなり先見の明があったという気がする。

 仮にチェルノブイリの経験に詳しい人がいて、政府の推進する「食べて応援」の中止と高汚染地ならば避難の権利の付与を求めるという趣旨の声明なのであれば、かなり素晴らしいものといえるだろう。


 この3市町の一つ、大槌町といって思い出すのは、次の過去のブログ記事だ。
   〔メモ〕 被災地高齢者における歩行困難の増加  2012/10/30
同町では、仮設高齢者に心身不調が多かったらしい。いろいろ健康影響がみられるようなので「医学的実験の場」にならないよう、先ずは詳細な汚染地図を作成しチェルノブイリ基準で評価しておいた方がよいのではないだろうか。大槌町に関し、今日の朝日新聞から、

「大槌を社会的実験の場に」 支援の臂さんに聞く復興
2013年4月2日14時26分
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201303300255.html (非会員は一部のみ閲覧可)

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