ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)

 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。

 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。

 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)

 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

〔メモ〕 福島の甲状腺検査への批判

2012年11月30日 |  今日のメモ

 手抜きで短く、他力本願でメモを。

 福島県が「県民健康管理調査」において実施している甲状腺検査については、様々な批判が出されている。以前の記事では市民と科学者の内部被曝問題研究会(略称:内部被曝問題研)が作成した公開質問状について触れたけど(記事はココ)、今回は、別の似たような批判をメモしておこう。ブログ「安禅不必須山水」の記事から、

甲状腺検査「福島県立医大メソッド」について
2012/11/19
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/2931269/


【緊急資料11月16日】
甲状腺検査・診断における
「福島県立医大メソッド」について

2012.11.16 田島直樹
一般市民、市民と科学者の内部被曝問題研究会医療部会員

 私[田島氏]は、これまでの鈴木眞一氏講義を視聴して、甲状腺検査・診断における「福島県立医大メソッド」には、多大な疑問をいだくようになりました。・・・

 有識者や医師の皆さんの中には、鈴木眞一教授の説明を、あたかも専門的かつ技術的なもので、純粋に学問的なものだという人がいます。しかし私が精査した限りでは、決してそのようなものではありません。

“ 福島の子どもたちにはチェルノブイリのような放射線を原因とした甲状腺がんは決して起きないんだ ”

という結論ありきのもので、行政的な判断を優先させて、住民に押し付けるものです。 これでは、子どもの健康を憂慮する保護者の方々の安心・安全には程遠いものといえましょう。・・・

 長編であり部分的に引用も難しいので、詳細は、上記記事にて確認してほしい。


 甲状腺検査については、各方面からいろいろ批判を受けたためなのか、福島県側は、今年10月になって住民説明会を企画したようだ。来年3月までに10か所程度で実施するらしい。福島県のサイトから、

平成24年10月22日 県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会開催について
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/241022koujousensetumeikai.pdf (pdfファイル)

県政記者クラブ各位

県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会開催について

平成24年10月22日
福島県    
福島県立医科大学

  「甲状腺検査」住民説明会の開催日程は以下の通り決定しました。この説明会は、現在実施している「甲状腺検査」の内容、甲状腺に関する医学的特徴等を紹介、説明するものであり、甲状腺検査の理解促進を図り、もって、小児甲状腺がんに対する県民の不安の軽減に資することを目的としています。
 今回日程決定した3都市以降も順次、開催地を拡大し、最終的には年度内に10回程度の開催を予定しています。

1 名称
  県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会

2 開催日時と場所
 ・郡山市11月4日(日)
 13:30~15:30 ビッグパレットふくしまコンベンションホールB
 ・福島市11月10日(土)
 13:30~15:30 福島県文化センター小ホール
 ・南相馬市11月18日(日)
 15:30~17:30 ロイヤルホテル丸屋

3 対象
  甲状腺検査対象となった子どもの保護者等、県民
[以下略]


 説明会の模様についての報道は、例えば、毎日新聞から、

東日本大震災:子どもの甲状腺検査、初の説明会 不信抱く保護者「安全訴えは本末転倒」−−郡山
毎日新聞 2012年11月05日 地方版
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20121105ddlk07040128000c.html

 「なぜもっと早く説明会を開けなかったのか」「どのくらい被ばくしたら危険なのか」。4日に郡山市であった、子どもの甲状腺検査に関する初の説明会。開始から1年後の開催に、参加者からは改めて批判の声があがった。一方で、内容は不信感を抱く保護者の求めとズレがあり「不安は解消されなかった」との不満が残された。県立医大は「今後の検査や説明会の課題にする」と受け止めていた。【栗田慎一】

 

 新聞報道では福島県立医大による説明内容がよくわからなかったのだが、今月10日の福島市における説明会での質疑応答部分を文字化してくれた記事があり、これを読むと福島県側の現在の対処方針が個人的にかなり明解になったので、紹介しておこう。ブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」から、

「日本の子どもはチェルノブイリとは違ってヨウドが過剰だから大丈夫!」県民健康管理調査『甲状腺検査』説明会 11/10鈴木眞一氏質疑応答(内容書き出し)
2012-11-16
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2542.html (リンクはココ

 この中で最も気になったのは、鈴木眞一氏(福島県立医科大教授。甲状腺検査の責任者)の回答の次の部分だろうか。

鈴木眞一:
・・・日本における、
今までの日本における小児の甲状腺がんにかんしては、先程治療で難渋されたという症例がありますけど、
それもガイドラインに書いてありますけど、一見進行して見える、我々もそうです。
肺転移までしててもう、むしろ甲状腺がんが大変だなと思った時期がございますが、
実はその人たちも適切な治療をすれば長期の生存ができて、予後は良いというのは、
大人よりも予後がいいというのがわかっているということで、
ガイドラインにはそれを書いております。

ただ、チェルノブイリ型、それよりも激しい癌が、
もし、もっと、我々の知らない位の大量のヨウ素の被ばくをしてて起こるという事になれば、
それはまた違うだろうと思いますけど、
それに関しては我々は全くそういう事は認識していませんけど、
そういうことが起これば、それはまた違ったがんとしてここで説明をしなければいけないと思います。 (強調は引用者)


 結局、チェルノブイリ型というか、放射線起因の甲状腺がんは起きないという前提で、甲状腺検査の制度自体が設計されているし、その他の様々な判断も同じ前提で行われているということだろう。

 上記の「もっと、我々の知らない位の大量のヨウ素の被ばくをしてて起こるいう事になれば」というフレーズの裏には、福島県側が知っているヨウ素の被ばくというのがあるはずだろう。それはどうも、昨年3月末に政府が行った1,150名の子供の調査らしい(但し、条件が整い測定できたのは1,080人)。朝日新聞から、

福島の子ども、半数近くが甲状腺被曝 政府調査で判明
2011年8月17日
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108170394.html

 東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐり、政府の原子力災害対策本部は17日、福島県の子ども約1150人を対象にした甲状腺の内部被曝(ひばく)検査で、45%で被曝が確認されていたことを明らかにした。17日、同県いわき市で開かれた説明会で発表した。すぐに医療措置が必要な値ではないと判断されているが、低い線量の被曝は不明な点も多く、長期的に見守る必要がある。


 この調査については、かねてより信頼性に問題があると指摘されている。前出のブログ「安禅不必須山水」から、

3月末に行われた児童の甲状腺検査について
2011/09/01
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/2425894

3月末に行われた児童の甲状腺検査について

2011.8.29 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

 3月24日から3月30日にかけて、原子力安全委員会の依頼をうけた原子力災害現地対策本部は、いわき市、川俣町、飯舘村の1,080名の児童の甲状腺検査を実施しました。その概要は5月12日原子力安全委員会のウェブサイトに発表されましたが(1)、検査を受けた児童と保護者への説明は大幅に遅れ8月となりました。朝日新聞は8月18日、一面トップで「45%が甲状腺被曝」と伝えましたが、いずれも「健康に影響がないレベル」と説明されました(2)。検査のやり方には疑問が残りました。・・・


 最近の別の例だと、おしどりマコ氏が講演会(2012年10月28日に東京・東村山市にて)で批判を行っていたようだ。「youtube」から、

"おしどりマコ・ケン"さんのお話 in 東村山
http://www.youtube.com/watch?v=-Dpvoa_jL4k&t=17m27s (時間指定でリンクはココ。関係部分は、20:17辺りまでの3分弱)


 このままだと●の影響による小児甲状腺がんの増加を誤魔化せなくなった後に、福島県立医大の担当者達が「我々の知らない位の大量のヨウ素の被ばく」をしていたことが確認された、と宣伝して回ることになりそうだと予測するのは、余りに悲観的過ぎるだろうか。


大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (4) ツバメの減少

2012年11月29日 |  誤認誘導の疑い

 短く手抜きで。動植物は余り扱わないつもりだったけど・・・

(A) 該当する大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型

 以前の記事で(ココ)、「ある病気の従来からの増加傾向をことさらに強調して報道するパターン」に触れたけど、このパターンの類似型で、

ある事象の従来からの減少傾向をことさらに強調して報道するパターン

についてである。今回は、病気についてはないので、「事象」と変更してみた。


(B) 疑わしい報道

 共同通信の記事を東京新聞のサイトから、

「ツバメ減少」4割が実感 野鳥の会調査に市民
2012年11月28日 18時19分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012112801001322.html (*1)

 日本野鳥の会は28日、全国の市民にツバメの生息について尋ねた結果、分布は従来とほぼ同じだったが、この10年で数が減ったとの回答が約4割あり、減少傾向が示唆されたと発表した。

 ツバメを襲うカラスの増加や、環境の変化が原因とみられ、同会は「カラスは人間が出すごみを餌にして都市部で増えているとされる。人の生活がツバメの減少に関係している可能性がある」としている。・・・ (強調は引用者)


(C) コメント

 上記の記事は、調査を実施した「日本野鳥の会」のサイトをみると、プレスリリースがあり、その要点をまとめたもののようだ。

日本野鳥の会のツバメ全国調査2012 結果報告
プレスリリース 2012.11.28
http://www.wbsj.org/press/121128.html (*2)


 3.11後に鳥類に異変があるのではないか、という指摘はよくみかける。例えば、ツバメの場合だと、「つりきち三平のブログ」から、

放射能汚染地帯ではツバメ減少中?
2012-07-04
http://ameblo.jp/turikiti-3pay/entry-11294341151.html (*3)

今年、ツバメを見ましたか?

千葉県成田周辺では、ほとんど姿を見せなくなりました。
まったくいないわけではないのですが、かなり減少しているように感じます。・・・


 従って、このような点をきちんと調査するなら、3.11前後での状況を比較して調べなければならないだろう。しかし、上記の調査結果の詳細をみると、3.11前後での変化が読み取れないような設問をして調査していたようだ。日本野鳥の会のサイトから、

消えゆくツバメをまもろうキャンペーン
「日本野鳥の会のツバメ全国調査2012 結果報告」詳細
http://www.wbsj.org/nature/research/tsubame/result2012_tsubame.html (*4)

2.調査結果
 ・・・
(2)ツバメの生息数について

 繁殖期の分布は大きな変化は見られませんでしたが、「最近(10年間)ツバメは増えた?減った?」の設問に対しては、回答者のうち39%が、ここ10年間でツバメが少なくなってきていると感じていることが明らかになりました(図4)。・・・ (強調は引用者)


 さすが、日本野鳥の会。次のような指摘を受けるだけのことはある。設問に手心を加えたと疑われても仕方がないだろう。ブログ「院長の独り言」から、

重い腰を上げた日本野鳥の会だが・・・法人会員には原発マネー企業がずらり
2012年05月11日
http://onodekita.sblo.jp/article/55776803.html (*5)


 ただ、日本野鳥の会も、後ろめたいと感じているのかもしれない。上記プレスリリースの方には、原発事故には全く言及がないが、上記の結果詳細の終わりの方に、一応次の説明がなされている。*4のURLの記事から、
 
2.調査結果
 ・・・
(5)経過報告:放射性物質の影響調査

 チェルノブイリ原発事故では、ツバメに部分白化や尾羽の異常が生じたことが報告されているため、当会では主に支部会員に呼びかけ、情報を集めました。その結果、ツバメの部分白化については全国平均で5.7%、尾羽の異常は3.1%の割合で発生していました。一方、福島では、部分白化の発生率が6.5%、尾羽の異常が0%。隣接する宮城県でも部分白化の発生率が6.5%、尾羽の異常が3.2%で有意に高くなる傾向は初年度の調査では、特には見られませんでした。

 しかし、2012年7月に、宮城県内で尾羽に異常のあるツバメが複数いるとの報告が寄せられ、巣立ち後の巣を持ち帰り汚染の有無を調べたところ、5巣中 2巣から、それぞれ7,200、6,700ベクレル/kgと比較的高濃度の放射性物質が検出されました。今後ツバメの被曝の有無や繁殖率などについても地域を絞って継続的な調査をする必要があると考えています。

 最終的に、継続調査をする必要があるとまとめている。設問の立て方が悪すぎて資産を無駄遣いしようとしているのではないかと個人的には感じられるが・・・


 なお、中には、調査結果の詳細まで読んで、この点を記事に盛り込んでいた記者もいたようだ。読むならこういう記事にあたりたいものだが・・・

ツバメ:全国規模で減少か 過去10年間に…野鳥の会調査
毎日新聞 2012年11月28日 21時16分(最終更新 11月29日 05時28分)
http://mainichi.jp/select/news/20121129k0000m040095000c.html (*6)

 ・・・
 このほか、チェルノブイリ原発事故後、繁殖率低下などが報告されているため、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響も調べた。福島、宮城両県と全国平均で異常の発生率に差はなかったが、立ち入りが制限されている警戒区域などが含まれていないため、精査が必要という。【比嘉洋】


「コルチゾール過剰症候群」 (7-U) 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症 (6)

2012年11月27日 |  症例(その他)

 短く繋いでいこう。

(7) 易感染性

(U) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症(ヒト・ヘルペスウイルス3型(HHV-3)感染症) (つづき)

 特殊な帯状疱疹を眺めていた筈なので、めまい・耳鳴り・難聴の項はとりあえず終わりにして、次の項目へいこう(また、少し出てくるけど・・・)。

(e) 一部の頭痛

 頭痛については、いろいろな原因があると思うけど、噂話だと、昨年寒い時期には増加していたらしい。某掲示板の放射能板から、

457 :名無しに影響はない(東京都):2011/12/07(水) 18:10:23.73 ID:z67a8Snf
    1ヶ月数名から1日数名じゃ30倍だよ
    やっぱり増えてるんだね

    > 785 名前:M7.74(関東・甲信越)[] 投稿日:2011/12/07(水) 16:58:03.29 ID:XFdcX3hnO
    > [sage]
    > ニュースで言ってましたが今年は寒暖差による頭痛患者が増えてるそうです。
    > ある病院では例年は1ヶ月あたり数名の患者だったのが、今年は1日に5~6人になったそうです。
    > 皆さん気をつけましょう。

483 :名無しに影響はない(東京都):2011/12/08(木) 16:58:14.78 ID:wjNj10zb
    >>457
    友達は頭痛→くも膜下出血になった。

    あまりにも酷い場合は精密検査受けたほうがいい。
    みんな、気を付けて。
    そういう自分も頭痛が酷いんだけど、CT受けても別に大丈夫なんだよね。
    ヘルペスが再発しているんじゃないかと思ってガクブル。
    あ、でも甲状腺機能は平気だったな。


 ●の影響によって脳血管系の病気が増加すると言われているが、その場合も初期の症状は頭痛から始まると推測される。このため、頭痛については、いつもと違った感じがするなら、慎重に対処する必要があるだろう。サイト「分かりやすい図解・脳神経外科領域の各種疾患主な症状と治療、また予防について」から、

頭痛について
http://www011.upp.so-net.ne.jp/konkonfj8/ha.html

 家で様子を見ていてはいけない頭痛の代表例というと、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などがあります。危険な頭痛かどうか、というのは一概には言えませんが、一般には、頭蓋内圧が上がるため、頭痛の他に、血圧が160くらいに上がることが多く、頻回に嘔吐します。また、髄膜刺激症状といい、首が硬くなり、前屈しにくくなります(項部硬直)。しかし、「いつもと違うな」と感じたら、迷わず受診するのが賢明です。


 頭痛と水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)との関係を初めに指摘したのは、多分、清水俊彦氏(頭痛専門医。東京女子医科大学脳神経センター頭痛外来客員教授)だろうか。この点を解説した読売新聞の記事を引用しているサイト「個人的なメモ」の記事から、

【頭痛の原因】帯状疱疹ウイルスの頭痛、早期の服薬で効果
2009年10月8日
http://kio9.blogspot.jp/2009/10/zoster-virus-headache-effect-early.html

早期の服薬がカギ 帯状疱疹ウイルスの頭痛

 ・・・
 こうして起きる病気の代表的なものは、皮膚に帯状の水ぶくれができ、激痛を伴う「帯状疱疹」だ。近年、これに加え、「三叉(さんさ)神経痛」や「後頭神経痛」など、皮膚症状は出ず、痛みや感覚のまひなどの神経症状だけが出る病気が起きることも明らかになってきた。

 清水さんは「片頭痛」の患者の6割が感じる症状(頭皮の違和感など)に着目。帯状疱疹ウイルスとの関係を調べたところ、ウイルスが増えている患者は、増えていない患者の4・3倍、症状を強く感じていた。そうした症状を伴う片頭痛はウイルスが原因の可能性が高いと示すこの研究は、国際頭痛学会でも注目を浴びた。

 清水さんの診察経験の中では、緊張型頭痛を除く慢性頭痛の半分、めまいや耳鳴り、突発性難聴の3割は、帯状疱疹ウイルスがかかわる可能性が高い
 ・・・
(2009年10月8日 読売新聞) (強調は引用者)


 めまい、耳鳴り、難聴については、七戸氏が既に唱えていた内容にかなり近いけど、清水氏は、一部の頭痛についても水痘・帯状疱疹ウイルスと関連していると指摘し、その前提で治療を行い症状の改善がみられているようである。

 このような頭痛も、皮膚症状が出ない帯状疱疹なので、無疱疹性帯状疱疹の一種と考えることができるだろう。帯状疱疹の本態は神経の炎症であると考えれば、それほど違和感はないと言えるだろう。

 なお、上記引用に出てくる「慢性頭痛」の代表例は、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛の3種類があるとされている。これらの詳細については、1番目のURLの記事を参照してほしい。


 清水氏が頭痛と水痘・帯状疱疹ウイルスとの関係に気づいた経緯については、マキノ出版のサイトから(出版社サイトの清水氏の著作の宣伝頁。「はじめに」と「目次」が閲覧可能)、

『頭痛、めまい、耳鳴り、難聴は治せる』
http://www.makino-g.jp/bookdetail/isbn/978-4-8376-1218-6/

はじめに
 ・・・
 最初にこの帯状疱疹ウイルスの頭痛への関与に気づいたのは、大学の頭痛外来で、併設されている糖尿病センターの担当医師からの紹介でいらっしゃる頭痛患者様の大半が後頭神経痛であったことに疑問を抱き始めたことでした。どうしてだろう? 初期には糖尿病の患者様は神経に栄養を送る細い動脈の血行障害に由来する末梢神経障害をきたすことが多いので、そのためであろうと考えていました。しかし、ある患者様が初診時には神経痛だけだったのに、その一週間後、頭部に帯状疱疹の皮疹を出されて再受診された際に、その答えが浮かんできたのです。
 すなわち、糖尿病の患者様は免疫力が低下しており、そのためおそらくは小児期に感染し、潜在していた水痘ウイルス(帯状疱疹ウイルス)が再活性化されて神経痛の症状を出してきたのだとわかったのです。・・・

 免疫力の低下に関しては、清水氏の別の著作からも(清水俊彦 「頭痛 耳鳴り めまい 難聴 を治す本」 主婦の友社、2009.10月)、

 毎日、多くの患者さんを診ているなかで、傾向として感じられるのは、帯状疱疹ウイルスが関係してめまい、耳鳴り、難聴などの神経症状を起こしている患者さんは、免疫力の強さがどちらかというと弱い家系の人に多い、ということです。
 そのため、家族のなかに、帯状疱疹になったことがある人がある人や、糖尿病あるいは境界型糖尿病の人がいる場合は、患者さん自身も、免疫力が低下しやすい素因をもっているかもしれないという前提のもと、症状の原因として、免疫力の低下が招く帯状疱疹ウイルスの再活性化も視野に入れながら、診察や検査を進めていきます。  (同書39頁) 

 免疫力の弱い人が水痘・帯状疱疹ウイルスの回帰発症(再活性化)を招き易い、という指摘である。●の影響によっても易感染性(免疫力の低下)が起こると言われている点を思い出す必要があるだろう。


 ちなみに、清水氏が診察する際の通常の手順については、サイト「オムロン ヘルスケア」から、

健康・医療トピックス vol.83 片頭痛に帯状疱疹ウイルスが関与!
http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/topics/83

 激しい頭痛で受診すると、問診後にCTもしくはMRI検査を行って、聴神経腫瘍などの深刻な病気が隠れていないかをチェックし、片頭痛、群発頭痛と診断されると、特定の患者さんには血液検査で「帯状疱疹ウイルスの抗体価」を測定するのです。

 深刻な病気でないことを確認してから、血液検査で水痘・帯状疱疹ウイルスの抗体が活性化しているかどうかを調べるらしい。

 
 以前に単純ヘルペスウイルス感染症の記事(ココ)でも頭痛の例に少し触れて別の機会にとしたので、ここでまとめておこう。単純ヘルペスが出る際に、発熱・頭痛などの症状が出る人がいるけど、なかには主に頭痛ということがあるだろう。例えば、見つけにくい疱疹の場合の例だと、噂話ベースだけどツイッターから、

@1_2_3_for_5
最近皆様にご心配おかけしている私の体調ですが、今日病院に行ってみてストレスが原因で単発疱疹?(帯状疱疹の単発版?)要はヘルペスウイルスが起こしてる頭痛ではないかと診断されました。お医者さんに言われて気がついたんだけど顔や首のあたり左側にちっちゃいぽっちがいくつかあるんだよね。 2012年11月27日

@1_2_3_for_5
今はヘルペスウイルス抑える薬とストレスから偏頭痛起きるかもなので偏頭痛予防の薬飲み始めました。もしこれ飲みきっても頭痛が続くようなら抗うつ剤とか使って別な治療が必要になるそうです。今から抗うつ剤使っちゃうとどれが原因かがわからなくなるのでまずヘルペスをたたくみたいです。 2012年11月27日

@1_2_3_for_5
@hayachan2 いや、帯状疱疹ではなくヘルペスみたいだから^^; 言われてみればちょっとぽっちが痒いかな?って程度で痛くないの^^; でもありがとうね!まだ行けるライブは来年だけど元気にライブ行けるように治します|・∇・)b  2012年11月27日


 別の例で、疱疹ありで頭痛が酷くなっていった場合だと、サイト「アスクドクターズ」から(但し、会員以外は一部閲覧不可の可能性あり)、

単純ヘルペスと頭痛
質問日時  2008/10/12
http://atopy.askdoctors.jp/qa/skin-atopy-and-athletes-foot/skin-disease/t488252.do

 単純ヘルペスによる頭痛の場合は、ヘルペス脳炎やウイルス性髄膜炎に発展するおそれもあるので注意が必要だろう。おまけで、gooヘルスケアから、

髄膜炎・脳炎とは
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10820100.html


NHK番組「ためしてガッテン」 (3) 脳の過敏状態(「脳過敏症候群」)

2012年11月25日 |  誤認誘導の疑い

 お知らせも兼ねて、整理用のメモ。検索性を上げるためカテゴリー「誤認誘導の疑い」を新設し、関連しそうな記事を移動。


 今回は、気分が乗らないときのガッテン頼みでいこう。一応、一昨日の記事(ココ)の流れに配慮して、めまい・耳鳴りに関係するものをみておこう。昨年9月の放送で、少し古いけど・・・

 先ずは、テレビで放送は見ていないけど、NHKのサイトで確認しておこう。

(A) 放送内容

不眠・めまい・耳鳴り 不快症状を解消せよ!
2011年09月28日放送
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110928.html

不眠めまい耳鳴りなど、多くの人を苦しめる不快な症状。
その多くは、病院に行っても「原因不明」「年のせい」などと片づけられ、放置されてきました。
ところが、そうした症状の原因の1つが最新の研究で明らかになってきました。
脳がささいな刺激に過剰に反応してしまう「脳の過敏状態」になっていることが問題だったのです。・・・


 上記URLの記事を読む限りでは、放送内容は、不眠、めまい、耳鳴りなどの不快な症状があって、専門の診療科で診てもらっても原因不明で症状が改善しない場合は、

片頭痛を過去に長期間放置 → 脳の過敏状態 → 不眠、めまい、耳鳴りなどの不快な症状

ということらしい。更に、この経路により発症しているなら、

脳の過敏状態の治療には、抗てんかん薬・抗うつ薬

がよいと紹介したらしい(なお、片頭痛の治療には、市販の消炎鎮痛薬ではなく処方薬のトリプタン(トリプタン製剤)を紹介した模様)。

 
 しかし、放送で紹介された事例では、抗てんかん薬・抗うつ薬を使って不眠、めまい、耳鳴りなどの不快な症状が改善したらしいけど、頭痛が出てきたらしい。上記記事から、

しかし、ある同じ薬で治療したところ、なんと3人とも症状が大幅に改善。
笑顔が戻りました。
一方で、症状がよくなるのと引き換えに頭痛に襲われるようにもなりました。
 
 頭痛もなくなったとの説明がないので不明だが、仮に頭痛が残るなら、それでよいのかという疑問が出てくるが・・・


 ついでに他の点もメモしておくと、片頭痛は神経伝達物質のセロトニンが不足すると起きやすくなるとしつつ、典型的な片頭痛の症状として、以下を指摘:

・光に対して非常に敏感
・皮膚に問題がないにもかかわらず顔や頭の皮膚がピリピリするナゾの症状
・生理時の頭痛(6~7割は、生理痛ではなく片頭痛という報告もあり)


(B) コメント
 
 放送のタイトルをみて先ず出てくる疑問は、「不眠」と「めまい・耳鳴り」が入っているのだが、この放送内容はたまたま立てた企画なのだろうか、あるいは当時このような症状で悩む人が増えていて立てた企画なのか、という点であろう。


 次に、上記の放送内容は何か凄く安易な気がして、大丈夫かと心配になるのだが、上記記事の終わりの方にちゃんと注意書きというか、「免責条項」(逃げ道)があるようだ:

※原因不明の不眠、めまい、耳鳴りの全ての原因が「脳の過敏状態」というわけではありません。

 更に、投薬を受けるため頭痛専門医を受診することをお勧めしますとしつつ、もっと凄い逃げ道も発見:

ただ、今回番組で紹介した考え方は、去年発表されたばかりのため、まだ全ての頭痛専門医の標準的な治療となっているわけではありません。

 冷静に見ればかなり混乱した放送内容だと思うのだが、一体全体、何を放送したかったのだろうか、という疑問が残るだろう。

 最近めまい・耳鳴りが増加しているので(不眠も増えてると思うけど、この点は別の機会に)、身近にみられる片頭痛のせいにどうしてもしておきたかった、ということなのだろうか。うーん、ちょっと違うか。


 ついでに、当時の状況をググッてみると、視聴者の理解にも混乱がみられ、巷の開業医に少なからず迷惑をもたらした可能性があるだろう(患者の要望どおりに処方するなら営業機会の増加ととらえられるが・・・)。ブログ「頭医者のつぶやき」から、

耳鳴の治療に「トリプタン製剤」?
2011/10/05
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/10/post_c5a3.html

 先月の末から今月にかけて、お年寄りの方々が、診察室に入るなり、「先生、トリプタン製剤を出して下さい」と言われるのです。それも、これまで「片頭痛の診断」をしていない 75~90 歳までの方々がです。だいたい、このように言って来られる方が毎日2,3名は、おられます。・・・

 耳鳴に「トリプタン製剤」を使うことは、まずありえない・・・

 ちなみに、トリプタン製剤の解説は、gooヘルスケアから、

トリプタン製剤 http://health.goo.ne.jp/medical/mame/word/372.html


 放送内容で出てきた「脳の過敏状態」というのは、清水俊彦氏(頭痛専門医。東京女子医科大学脳神経センター頭痛外来客員教授)が提唱している「脳過敏症候群」のことと思われる。この概念は、番組が「逃げ道」でも指摘しているように、2010年に提唱され出したもののようで、病態自体もまだはっきりしない状態にあるようだ。ブログ「Neurology 興味を持った『神経内科』論文」から、

「脳過敏症候群」のインパクト
2011年11月27日
http://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/5f4043ecc0cba40f381e8c35f38a1c4c

 この記事によれば、「脳過敏症候群」の診断基準(案)は、

下記の項目のうち少なくとも1項目を満たす
・過去に片頭痛などの慢性頭痛の既往がある
・2親等以内に片頭痛などの慢性頭痛を持つ者がいる

上記を満たす者のうち下記のA-Cの項目を満たす
(なお脳過敏症候群の治療中に過去の頭痛が現れることがある)
A. 日常生活および社会生活に支障を来す程度の下記の症状を3項目以上満たす
 一側または両側性の頭鳴
 不眠
 不安の増強
 高次脳機能の一時的障害
 頭重感
B. 脳波所見に全般性過敏性を示唆する異常が見られる
C. その他の疾患によらない

 放送当時もこれと似た内容だったと考えられるが、「不眠」は一応診断基準案に明記されているが、「めまい」・「耳鳴り」は明記はされていないようだ。

 上記記事の中には「長く治療せず放置された例ではめまいが生じる」との記述はあるので全くないということではなく、「脳過敏症候群」によってめまいが出現するにしても、頻度は少ないのだろうと推測できるだろう(記事で耳鳴りは言及すらないけど・・・)。

 どうも、「脳過敏症候群」で起こり得るかなり頻度の少ない事象(めまい・耳鳴り)を無理に放送内容に仕立て上げたという疑いが出てくるのではないだろうか。


〔メモ〕 福島の子供の外部被曝量の増加 (2012.6~8月調査)

2012年11月23日 |  症例(報道ベース)

 超手抜きで、報道の紹介。毎日新聞の記事から、

福島・二本松:子供の被ばく量増加 野外活動増え
2012年11月23日 21時41分
http://mainichi.jp/select/news/20121124k0000m040081000c.html

 福島県二本松市が実施した市民の外部被ばく調査で、半数近い小中学生が昨年より線量が増えたことが23日、市民への報告会で発表された。市調査では空間放射線量は昨年比約3割減っており、市の放射線アドバイザーを務める独協医大の木村真三准教授は「昨年は制限された体育の授業や部活動など屋外活動が増えた ため。影響が大きい子どもや妊婦は長期的に気を使うべきだ」と指摘している。

・・・昨年もデータがあり今年と比較可能な小中学生ら4344人中1969人(45.3%)は被ばく量が増加。うち46人は1.5ミリシーベルト以上も増えていた。

 全体の平均値を昨年と比べると、小学生は0.07ミリシーベルト減の1.40ミリシーベルト、中学生は0.06ミリシーベルト減の1.40ミリシーベルト。・・・

 調査人数が昨年より4667人も減ったことから、木村准教授は放射線から身を守る意識が低下していると指摘。「記録を残すことが万が一の健康被害への備えになる」と呼びかけている。
(強調は引用者)

 

 記事によれば、空間放射線量は昨年比で約3割減少だが、調査対象の小中学生全体の平均被曝量はほぼ変わらずらしい(1.4mSv前後。なお、この値は自然放射線量を控除した人工放射線量と思われる)。

 よく聞く話だと、福島で除染が行き届いているのはモニタリング・ポストの周辺だけとの指摘があるから、その影響なのかとも思ったが、木村真三氏(独協医大准教授)の談話によれば、野外活動の増加ということらしい。

 ということは今後、体育の屋外授業などを再度制限しようという議論になるのだろうか。「長期的に気を使うべきだ」と指摘しておいて、あとは各自の自助努力でやって下さい、では意味がないだろう。

 
 この部分の談話は理解できないこともないけど、かなり不可解なのは、2番目の談話の方だろう:

「記録を残すことが万が一の健康被害への備えになる」

 
 これは全然意味が分からない。健康被害を治療する上で、記録を残しても全く意味がないだろう。なぜなら、内部被曝を無視して外部被曝の記録だけでは不十分だし、また、放射線障害の場合、根本的な治療法がないからだ。

 この談話は、仮に健康被害が出れば、将来行政を相手に裁判を起こす際に証拠として記録が必要であるという趣旨のものなのだろうか。あるいは、仮に健康被害が出れば疫学調査の対象としたいので、記録を残して欲しいという個人的な要望なのだろうか。ウーン、ますますよく分からない、ということでメモに残しておこう。


「コルチゾール過剰症候群」 (7-U) 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症 (5)

2012年11月22日 |  症例(その他)

 短く繋いでいこう。

(7) 易感染性

(U) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症(ヒト・ヘルペスウイルス3型(HHV-3)感染症)

(d) メニエール病および周辺疾患(めまい、耳鳴り、突発性難聴)はアルファ・ヘルペスウイルス亜科の感染症 (つづき)

 前回記事(ココ)でいろいろな事例を列挙したとおり、どうも3.11後にめまい、耳鳴り、難聴あるいはメニエール病が増加している雰囲気にあると思われる。

 このような症状が現れることには、いろいろな原因があるだろう。めまいについてみてみると、gooヘルスケアから、

「めまい」を見分けて、あわてずに
2007年04月17日
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h003/0071.html

めまいの7割は内耳の異常によるもの
 朝起き上がろうとしたとき、くらっときたり、目の前の風景がぐるぐる回ったりすることはありませんか? 「めまい」の原因の7割は内耳の異常にありますが、脳に異常がある場合や、自律神経やホルモンの乱れなどからめまいが起こる場合もあります。・・・

めまいがする http://health.goo.ne.jp/medical/chart/008.html (症状チャート)
めまい http://health.goo.ne.jp/medical/search/10B10100.html (解説)


 しかしながら、最近増加した部分の相当数のものは易感染性によるもので、アルファ・ヘルペスウイルス亜科に属するウイルス(つまり水痘・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス)の回帰発症(再発)ではないか、と個人的に考えている。

 ただ、この場合、めまいのみであるならば注意が必要で、先ずは、貧血を疑った方がよいのではないだろうか。特に「くらっとする立ちくらみ(目の前が一瞬暗くなる)」のタイプであればそうだろう。造血器系の機能異常、血が止まりにくい(特に女性)、甲状腺の異常など別の影響が出ている可能性が考えられる。


 また、良性発作性頭位めまい症についても、前々回記事(ココ)で紹介した七戸満雄氏によれば、ウイルス感染症の可能性があるとされている。同氏の個人サイトから、

『めまいは治せる!』(七戸満雄著、文藝春秋) 本書より
http://shichinohe.web.fc2.com/naoseru.htm

[めまい治療の権威の批判に対して]
 ・・・
 ──異なった病因を有すると考えられている三つの全く異なった病気(メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎の三疾患)を同一に見なし、それらに同一の原因治療(?)を行っている点から見て、この(七戸)理論が非科学的であると言わざるを得ない(権威による七戸批判)

[批判への七戸氏の見解] 最初に申し上げておきますが、私[七戸氏]が治療したのは、耳鼻科医によって、メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎等と診断された患者さんたちです。その診断を下したのは専門医です。

 したがって、「(三疾患が)異なった病因を有すると考えられている三つの全く異なった病気」と決めてかかるのは、○○先生の方こそ「非科学的」と言わざるを得ません。

 これまで、メニエール病と診断されてきた疾患と前庭神経炎が同一のウイルス感染によるということは、かなりの確率としてありそうなことですし、良性発作性頭位めまい症にしても、私は、同じウイルスの特定部位への軽症の感染の結果である可能性があると思っています

 最近ではこれらの病気の定義が狭まったようですが、以前にはメニエール病の間欠期に、前庭神経炎や良性発作性頭位めまい症がみられると記載されていたくらいです。(第二章より) (強調は引用者)

 なので、次の著名人のものも易感染性に起因していたのかもしれない。朝日新聞及びj-castニュースから、

なでしこ沢は「頭位めまい症」 15日の復帰目指す
2012年3月12日
http://www.asahi.com/sports/update/0312/OSK201203120201.html

 なでしこリーグ・神戸は12日、日本女子代表MF沢穂希(33)が兵庫県内の病院で良性発作性頭位めまい症と診断された、と発表した。神戸によると、全治は1~2週間とされるが、人によって約1カ月かかる場合もあるという。・・・

休養の澤穂希「良性発作性頭位めまい症」ヘディングが原因?
2012/3/14
http://www.j-cast.com/tv/2012/03/14125341.html?p=all

 突然襲ってくる激しいめまい。時間は30秒から1分間と短いが、1日に何度も襲ってくる。この病気の原因は何なのか。病名は俗にいうめまい症。正式名称は良性発作性頭位めまい症。「今、この病気に罹る人たちが増えています」と西村綾子リポーターは伝えた。

 後者の記事によれば、良性発作性頭位めまい症に罹る人々が増えているとされている。仮に澤選手の発症の原因が頭の強打(ヘディング)であったとしても、巷で症例が増加している点が全く説明できていないと言えるだろう。


「コルチゾール過剰症候群」 (7-U) 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症 (4)

2012年11月21日 |  症例(その他)

 手抜きで、事例を貼るだけ・・・

(7) 易感染性

(U) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症(ヒト・ヘルペスウイルス3型(HHV-3)感染症)

(d) メニエール病および周辺疾患(めまい、耳鳴り、突発性難聴)はアルファ・ヘルペスウイルス亜科の感染症 (つづき)

 前回記事(ココ)の終わりで、突発性難聴の例がわかるURLを一つだけ紹介したけど、引き続き、めまい・耳鳴り・難聴の事例、あるいはメニエール病の事例をまとめておこう。

 昨年5月頃だと、某掲示板の緊急自然災害板から、

587 : 名無しさん@お腹いっぱい。(関東・甲信越)[] :投稿日:2011/05/03 05:01:08 ID:3uHGgOOkO [1/5回(携帯)]
  受診したので報告

  咽頭痛はすでに消失
    →喉頭ファイバー正常
  耳介下のリンパ節腫脹
    →原因不明
  耳鳴難聴耳痛
    →耳管解放症疑い
    聴力高音域で若干低下

  風邪でも花粉でもない
  [以下省略]

651 : 名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[sage] :投稿日:2011/05/04 01:33:38 ID:eentnZ1X0 [1/1回(PC)]
  俺も軽い喉の痛みが最近まで続いた。事故後は耳鳴り、風呂入った時に立ちくらみが
  起きるようになった。放射能事故後ビビって引きこもっていたし外に出るときは
  必ずマスクしてたし事後前まで健康的な生活してたから身に覚えがなかった。 (強調は引用者)


313 : 名無しさん@お腹いっぱい。(dion軍)[] :投稿日:2011/05/13 11:22:13 ID:Pf3fHYtD0 [2/2回(PC)]
  松戸住みだけど、再投。
  最近めまいがして倒れこみそうになったり、頭痛と共に吐き気があったりもする。
  こんな事今まで全くなかった超健康体なので、不気味。

364 : 名無しさん@お腹いっぱい。(関東・甲信越)[] :投稿日:2011/05/13 18:35:42 ID:eP8/E9gRO [3/3回(携帯)]
  耳の下のリンパ節はれて耳鳴りがすごい

457 : 名無しさん@お腹いっぱい。(関東・甲信越)[] :投稿日:2011/05/14 13:05:35 ID:+Fhiu1U0O [4/4回(携帯)]
  千葉
  のどいた
  リンパ節はれ
  耳鳴り ←いまここ

544 : 名無しさん@お腹いっぱい。(内モンゴル自治区)[] :投稿日:2011/05/15 02:01:57 ID:yEVJ5tCdO [1/1回(携帯)]
  放射線障害の一つに耳鳴りもあるらしい
  これはチェルノ事故で周辺住民の人が証言してる

  あとどこかのソースで原発情報見たけど原子炉の中で作業してた人が酷い耳鳴りに悩まされたと言ってた

814 : 名無しさん@お腹いっぱい。(チベット自治区)[sage] :投稿日:2011/05/16 12:09:42 ID:tY55OXYN0 [1/3回(PC)]
  元々免疫が弱いので、
  症状が出てくるの早い気がする。
  頭痛とめまいが昨日からひどい。 (強調は引用者)


 今年に入って1月頃の例だと、同じく緊急自然災害板から、

589 地震雷火事名無し(WiMAX) 2012/01/08(日) 11:02:53.86 d86iVLPw0
  メニエール病(難病)になっちゃったよ。
  新宿区在住。
  今迄病気になったこと無かったのに。
  免疫力が低下して、絶対原発のせいだよ。。。。

590 地震雷火事名無し(WiMAX) 2012/01/08(日) 11:05:57.47 d86iVLPw0
  ちなみに風邪もひかなかったんだからね。
  ただし、ストレスには弱かった。
  放射能騒ぎで強度のストレスがかかったんだと思う。

611 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] :投稿日:2012/01/09 08:02:34 ID:mPlEdBBf0 [1/1回(PC)]
  ちょっと前に、メニエール病になったって書き込みあったけど、被曝と関係あるの?
  埼玉在住の叔父が最近メニエール病になったので、とても気になる。

612 : 地震雷火事名無し(dion軍)[sage] :投稿日:2012/01/09 10:41:59 ID:klFHfgjm0 [1/1回(PC)]
  >>611
  メニエール病て、女性特有のものだと思ってたけど男性もかかるんだ (強調は引用者)


 今年の春先の例だと、同じく緊急自然災害板から、

221 : 地震雷火事名無し(東京都)[] :投稿日:2012/04/25 23:54:15 ID:I/2YFfed0 [1/1回(PC)]
  最近頻繁にめまいがするようになった。まじで不安です。放射能は関係ないのかな?
  家ではずっと横になってる

222 : 地震雷火事名無し(東京都)[] :投稿日:2012/04/25 23:58:41 ID:to4M5Yr50 [1/2回(PC)]
  めまいの症状。医者も原因が分からない。
  なんだろう、もしかしてそんな人多くない?

223 : 地震雷火事名無し(東京都)[] :投稿日:2012/04/26 00:05:48 ID:to4M5Yr50 [2/2回(PC)]
  めまいの原因って沢山あるんだね。
  http://www.byememai.com/learn/

225 : 地震雷火事名無し(dion軍)[sage] :投稿日:2012/04/26 00:48:01 ID:uc7uQs030 [1/2回(PC)]
  >>221-222
  去年の秋からめまいが起きるようになって、めまい止めの薬を
  処方してもらいました。
  治る様子もなく、最近特に頻繁になって心配なんですが
  血液検査の結果は原因不明。
  首のリンパ節も腫れたままだしやれやれです。

227 : 地震雷火事名無し(東京都)[] :投稿日:2012/04/26 00:58:54 ID:ibLlA/SR0 [1/2回(PC)]
  >>225
  私も区内です
  もともと安全厨だったので放射能のせいにしてなかったのですが
  まじでおかしいんです。
  イスに座ってる時もめまいするし気分悪くなります
  めまいは内科に行けばいいんでしょうか?脳神経科?

232 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[sage] :投稿日:2012/04/26 01:08:28 ID:06op5KSV0 [1/1回(PC)]
  脳から来てれば脳神経科、血管とか心臓が疑われれば循環器科とかじゃないだろうか。
  めまいという症状だけで考えれば、耳鼻科でめまい外来やってるところもある。

  柏に住んでいる安全厨の親戚はメニエル氏病がひどくなって2か月寝込んだらしい。

769 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[] :投稿日:2012/05/08 20:48:26 ID:ncOMO3520 [1/1回(PC)]
  東京に住む友人から電話があったんだが・・・
  半年前話したときとはうって変わったしゃがれ声に、まず驚いた。
  ほかにも、あちこち不調があって病院通いしてるが全然よくならないこと、
  とくにめまいがひどいこと、それに、周りでも体調不良を訴える人がいる
  と聞いた。本人は年のせいにしてたが、事故との関連を考えずには
  いられなかった。危ないとは思っていたが、ほんとにショックだ・・

770 : 地震雷火事名無し(関西地方)[] :投稿日:2012/05/08 22:37:11 ID:NhsWI9eyO [2/2回(携帯)]
  めまいはよく聞くね

772 : 地震雷火事名無し(関西・東海)[sage] :投稿日:2012/05/08 23:29:09 ID:KmL+ibqXO [1/1回(携帯)]
  >>770
  実家(中国地方)の安全厨気味の両親が、
  同じような時期に揃ってメニエールを発症した
  うちの近所の知り合いも一時酷いめまいで歩くのも大変だったらしい

  まだ知り合いがバタバタ倒れるって程じゃないが、やっぱりヤバイのかな
  安全厨だらけだもんな…

789 : 地震雷火事名無し(京都府)[sage] :投稿日:2012/05/09 12:55:12 ID:AIXiqyPx0 [1/1回(PC)]
  メニエールって原因(内耳の内リンパ水腫)はわかっているけど

  診断は症状から他のものを除外していくかんじだね
  リンパ水腫の有無を確認する検査もあるっぽいけど必須ではない? (強調は引用者)


 今年の秋頃の例だと、同じく緊急自然災害板から、

666 : 地震雷火事名無し(長屋)[] :投稿日:2012/09/29 21:34:03 ID:3JeO7BSh0 [1/1回(PC)]
  国産ビール再開したらなんかまた蝉のような耳鳴り再開。

731 : 地震雷火事名無し(庭)[sage] :投稿日:2012/09/30 21:55:41 ID:xZcYCbh/0 [1/1回(PC)]
  >>727
  大阪だがウチの会社にも今年になってめまいがするだのめっちゃ怠いだの言って
  月の半分は休んでるおばちゃんがいる。先日は鼻血が止まらなくなったとか言ってた。
  メニエール病と診断されてるそうだが、内部被曝が進んでるようにも思える。
  もちろん食品の産地なんか気にしてない人だ。

739 : 地震雷火事名無し(長野県)[sage] :投稿日:2012/09/30 22:33:33 ID:loNmJFCl0 [1/1回(PC)]
  普通に喋れなくなってきた
  元々うまく喋れない方だったけど、それが酷くなってきた
  今日はめまいが辛い (強調は引用者)


540 :地震雷火事名無し(東京都)[sage]:2012/10/12(金) 17:17:48.30 ID:kr86Secq0
  郵便やさんも宅配の人も去年の春に被曝してるからヤバイよね
  今年に入ってけっこう症状出てきている人が多い。
  癌で亡くなった人、腰痛が悪化、メニエール発症率が高い。
  表沙汰にならないけれど死亡事故もたくさん起こしてる。 (強調は引用者)


 ついでに、めまいに関連した報道について、今年5月頃にみかけたもの2件を某掲示板の放射能板から、

130 : 名無しに影響はない(北海道)[sage] :投稿日:2012/05/02 13:56:30 ID:Pg7kNXmy [1/1回]
  ストレスで頭痛やめまいの人急増
  http://news.goo.ne.jp/article/postseven/life/postseven104624.html

  出ました、毎度お馴染み反論を封じる魔法の言葉『ストレス』

  > とくに、リーマン・ショックや3.11以降患者が急増している。
  > 3.11以降患者が急増している。
  > 3.11以降患者が急増

544 : 名無しに影響はない(東日本)[sage] :投稿日:2012/05/11 18:19:59 ID:379PnrKj [1/1回]
  震災後、6割の子がめまい訴え 心理的要因か、日大調査
  http://www.asahi.com/national/update/0511/TKY201205110230.html (強調は引用者)


 更に別の報道を紹介した記事をサイト「低気温のエクスタシー byはなゆー」から、

福島県からの疎開者の4割が「めまい、頭痛、不眠」を訴えている
2012年6月12日
http://alcyone-sapporo.blogspot.jp/2012/06/blog-post_1701.html


福島の健康調査 (8) 甲状腺検査の結果(2012.11月)

2012年11月20日 |  症例(報道ベース)

 18日日曜に、福島県の県民健康管理調査の検討委員会(第9回会合)が開かれ、新たな情報が出てきたのでメモしておこう。以前のブログ記事は、

福島の健康調査 (5) 甲状腺検査  2012/9/12 (リンクはココ
福島の健康調査 (6) 甲状腺の細胞診  2012/9/15 (リンクはココ

 今回は何故か前日から報道が出ていた。サイト「47news」から、

福島、甲状腺がん判定へ 子ども1人「2次検査必要」
2012/11/17 20:41 共同通信
http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012111701001618.html

 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べるため、福島県が18歳以下の約36万人を対象に行っている甲状腺検査の1次検査で、がんの疑いがあり「直ちに2次検査が必要」と初めて判定された子どもが1人いることが17日、関係者への取材で分かった。・・・

 いわゆるC判定が初めて出たらしいが、甲状腺がん1名を発見したときは前日から漏れることはなかったような気がする。何かのメディア工作を意図したものなのだろうか。

 当日の報道振りは、同じく「47news」から、

甲状腺「直ちに2次検査」初判定 福島の放射線影響調査、女性1人
2012/11/18 16:28 (共同通信)
http://www.47news.jp/47topics/e/236209.php

 調査主体の福島県立医大によると、判定されたのは16~18歳(同)の女性で、細胞や血液を詳しく調べる2次検査中。詳しい年齢や住所は明らかにしていない。

 ・・・

 甲状腺検査は18歳以下の約36万人が対象で、1次検査の結果が判明したのは約9万6千人。しこりの大きさなどを基準に、軽い方から「A」「B」「C」に分かれる判定のうち、今回の「直ちに2次検査」は「C」。緊急性は低いが念のため2次検査が必要という「B」が500人。残りの9万5千人以上は、しこりがないか、小さい「A」だった。・・・


 今回は、疑いにとどまるのに、何故か年齢と性別が出てきた。甲状腺がんと診断された子供1名の年齢・性別は明らかにされなかったと記憶しているが、仮に隠されたままだとすれば、何らかの意図があると考えざるを得ないであろう。

 最新の甲状腺検査の結果データについては、昨19日にアップされたようで、福島県のサイトから、

 「県民健康管理調査」第9回検討委員会(平成24年11月18日開催)当日配布資料
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/241118haihushiryou.pdf (pdfファイル。全56頁の資料で、甲状腺関係部分は25~31頁)

 少し分かりにくいので、前回同様この公表内容の概要をまとめてみると、

表1 福島県「県民健康管理調査」の甲状腺検査の結果概要(2012年9月28日or11月5日現在)

 1次検査については、異常(A2+B+C判定)が出た割合は、前回と余り変わっていないようだ。

 2次検査については、検査終了した割合は僅か17%(501名のうち83名)。前回9月の会合のときは9%(425名のうち38名)だったのでそれよりかは改善しているようだが、それにしても進展が遅いだろう。

 現状1名が甲状腺がんと診断されているので、

がん診断1人に対応する1次検査者数は、約15,900人 (約96千人の17%)
がん診断1人に対応する異常判定者数は、 約6,300人 (約38千人の17%)

と考えることができるだろう(仮に今回公表されたがん疑いの者ががんと診断されれば、これらの値はそれぞれ半分になるだろう)。このような高い割合でがんが隠れている可能性も否定できないので、早急に2次検査を迅速に処理できる体制を整えるべきでだろう。


 ちなみに、チェルノブイリの例(YNNチェルノブイリ報告による)では、甲状腺がん1人に対応する甲状腺の異常者数は千人といわれていたと記憶しているけど、最近では700人まで下がってきているようだ。「木下黄太のブログ」から、

日本での甲状腺異常や突然死に関するヤブロコフ博士(NY科学アカデミーのチェルノブイリレポート著者)見解。
2012-07-09
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/64f1891829a0b0b8958340b97f5a2698

 ヤブロコフ博士からのお返事・・・をまとめ、和訳致しました。・・・

 38111人の子供たちのうちの36%に甲状腺異常があったと言うことですが、これは大変に重大で危険です。チェルノブイリの時の状況と似ています。チェルノブイリの経験からいくと、甲状腺異常700件につき1人に、3-4年後にガンが見つかりました。・・・


大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (3) 骨粗しょう症

2012年11月18日 |  誤認誘導の疑い

 手抜きで短く。ちょっと違うような気もするけど・・・

(A) 該当する大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型

  こういう類型もあるかもしれない、という気がしてきた。●の影響によりその病気が増加する可能性は無視しつつ、

ある病気は老化が原因であることをことさらに強調して報道するパターン

である。 

 このパターンの問題は、チェルノブイリの知見に乏しい人々に対し、その病気を患ったときに「仕方がないか、老化なのだから」と思い込ませることにより、真の原因を探究するきっかけを失なわせ、あるいは探究の開始を遅れせてしまうおそれがある点だろう。


(B) 疑わしい例

 どちらか単独だと「こういう情報も必要とされているよな」と思う程度だと思うけど、短期間で複数出てくるとなると、状況が少し変わり、怪しくなるだろう。

  
株式会社産経デジタルのサイト「zakzak」から、
“骨粗しょう症”は立派な病気! 老化だと放置はダメ
2012.11.16
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121116/dms1211160714012-n1.htm

 骨粗しょう症を老化現象の一種と考えている人は多い。しかしこれは思い違いで、医学的に見ると、骨粗しょう症は立派な“病気”なのだ。「年のせいだから仕方ない」と諦めるのではなく、積極的に治療をしていくことが重要になってくる。・・・


株式会社朝日新聞出版のサイト「dot.」から
自覚症状がない骨粗鬆症 YAM値70%未満は要注意
更新 2012/11/17 07:00 (週刊朝日 2012年11月23日号)
http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2012111600012.html

 骨粗鬆症は、全身的に骨の強度が低下し骨折しやすくなった状態のことをいい、その結果として骨折などの症状が出る。折れやすい部位は、まず胸腰椎、そして大腿骨や腕である。

「骨粗鬆症による『骨折しやすい状態』というのは、一般的には立った状態から倒れて骨折するような場合です。これを『脆弱性骨折』といい、階段から落ちて折れたというような、通常の『外傷性骨折』と区別します」(竹内[靖博医師、虎の門病院の内分泌センター部長])


(C) 補足の解説

 仮に最近骨粗しょう症が増加しているなら、骨折も増加傾向にあると思われる。この点については過去記事で幾つか具体例に触れたところである。

「コルチゾール過剰症」とステロイド剤の副作用 (3)  2012/8/15 
http://blog.goo.ne.jp/site_epsilon/e/c56ebe106afab488b31c17cb3a750c11 (ココ


 最近の例だと、噂話ベースではブログ「院長の独り言」の主が作成した次のツイートまとめが参考なるだろう(ただ、同ブログ主はストロンチウム原因説を唱えているようだが・・・)。サイト「togetter」から、

増え続ける易骨折
2012/09/30
http://togetter.com/li/381926

 ストロンチウムの影響ではないかと昨年6月からずっと考えている


 他方、ここまで書いてアレだけど、冒頭でも触れたように少し違うような気もしていて、骨粗しょう症の治療薬の宣伝の一環の可能性もあるかもしれない。

 いずれにせよ、現時点ではどちらかよく分からないので、メモしておこうという趣旨である。


「コルチゾール過剰症候群」 (7-U) 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症 (3)

2012年11月14日 |  症例(その他)

 他力本願に頼りつつ、少しづつ書いていこう。

(7) 易感染性

(U) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症(ヒト・ヘルペスウイルス3型(HHV-3)感染症) (つづき)

 前回記事では、普通の帯状疱疹を眺めたので、ちょっと特殊なタイプをみていこう。

(a) 帯状疱疹後神経痛(PHN)

 先ずは、後遺症というか、痛みの長期化について。

 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)や単純ヘルペスウイルス(HSV)などのアルファ・ヘルペスウイルス亜科の回帰発症(再発)の本態は、皮膚・粘膜の症状ではなく、潜伏していたウイルスが増殖する際の神経の炎症である。特にVZVが増殖する場合は、神経系の機能への影響が大きく、皮疹の消失後に残る帯状疱疹後神経痛(PHN、Post-herpetic Neuralgia)が問題となる。慶應義塾大学病院のサイト「KOMPAS」から、

帯状疱疹 たいじょうほうしん
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000331.html

(3)帯状疱疹後神経痛
 皮疹が消えてから3ヶ月以上たっても頑固な神経痛が残る場合があります。これはVZVに感染した神経が支配する皮膚領域に起こる慢性的な痛みで、数ヶ月から数年にわたってしつこく続く場合があります。帯状疱疹による炎症が原因で神経が傷つき、結果として神経痛が残ると考えられています。帯状疱疹後神経痛は主に高齢者に多く、ほとんどの場合、痛みは1~3ヶ月で治まりますが、10~20%のケースで1年以上、まれに10年以上続くこともあります。

 帯状疱疹からPHNへの移行率は、40代で3%程度、70代で6%程度、80代で1割以上との報告もある。

 この神経痛は酷い人はかなり痛いらしいので、特に高齢者の場合や、かなり痛む場合は、無理に我慢せず早期に適切な治療を受けた方がよいだろう。痛みの程度については、他力本願で、読売新聞のサイト「発言小町」でみかけた描写から、

帯状疱疹後神経痛のブロック注射について
2012年9月3日 15:57
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/0903/537075.htm?o=0

 70歳の母が、膠原病のステロイド治療の最中に帯状疱疹(片腕全体)に罹ってしまい、治療が遅れたせいか、帯状疱疹後の神経痛が残ってしまいました。・・・

でも毎日「痛い痛い」と泣きそうになって「出産よりも癌手術よりも今が一番痛い」と何も出来ずにいる母を見ているのが辛くて仕方ありません。 (強調は引用者)


(b) ラムゼイ・ハント(Ramsay-Hunt)症候群

 次は、重い病型について。顔面神経麻痺を伴うタイプ(ラムゼイ・ハント症候群、あるいはハント症候群)については後遺症を伴いやすいので、注意が必要だろう。帯状疱疹の1%程度がこれにあたるらしい。それぞれ杏林大学病院及び日本めまい平衡医学会のサイトから、

【原因】 ラムゼイハント症候群(Hunt’s syndrome)
http://www.kyorin-prs.com/fp/hunt.html

 ラムゼイ・ハント症候群は、略してハント症候群と呼ばれることが多いですので本説明も、以下、ハント症候群といたします。
 ハント症候群はベル麻痺とともに末梢性顔面神経麻痺の2大原因の一つで、顔面麻痺全体の10%ほどを占めます。ちなみに、ベル麻痺は全体の約70%程度です。・・・

・・・また、ハント症候群の方がベル麻痺よりも麻痺の後遺症の割合が高くなります。


11.ハント症候群 (Hunt’s syndrome)
http://memai.jp/shindan/11Hunt.html

1.疾患概念
 ハント症候群は,
 1)耳介,外耳道及びその周辺,もしくは軟口蓋の疼痛と帯状疱疹
 2)難聴,耳鳴,めまい
 3)顔面神経麻痺
などの第7,8脳神経症状を来す症候群で,varicella zoster virus (VZV) の感染によるものと考えられている。

 ・・・
4.鑑別診断
1)ベル麻痺
 3主徴のいずれかを欠く不全型ハント症候群との鑑別が困難な場合がある。ベル麻痺の中にも VZV を含めたウイルス混合感染が認められ(3~16%),ハント症候群の中にも VZV 感染の他に他のウイルス混合感染がみられるものがあり,従って両者の鑑別が困難なことがある。・・・


 「ベル麻痺」については以前に触れたけど、おさらいしておくと、最近では単純ヘルペスウイルス(HSV)が原因とされることが多い。

 後者の記事の1)~3)の3つの主徴が揃えばかなり分かり易いだろうが、3つが揃うのは6割程度との報告もある。

 ついでに、個人的に定期的な巡回ルートに入れているブログでも、症例(疼痛のみ疱疹なし、顔面麻痺の例)をみかけたのでURLをおいて置こう。この例も、時期(昨年6月)を考えるとなかなか怪しい気もするけど、80代の高齢者でもあり・・・。ブログ「院長の独り言」から、

Ramsay-Hunt症候群(本職の話)
2011年06月02日
http://onodekita.sblo.jp/article/45664007.html 


(c) 無疱疹帯状疱疹(ZSH、Zoster sine Herpete)

 次は、本題に入る前置き。冒頭で述べたように、VZVの回帰発症の本態は神経の炎症なので、ときには皮膚・粘膜に皮疹が出現しない場合がある。何故そうなるのかはよく分からないが、ウイルスの増殖数が足りないなど何らかの理由があるのであろう。この場合、普通は痛みのみが主訴となる。症例(但し、3.11前のもの)については、沖縄県医師会のサイトから、

命ぐすい耳ぐすい - 無疹性帯状疱疹
2004年6月30日
http://www.okinawa.med.or.jp/old200603/healthtalk/gusui2004/0630.html


(d) メニエール病および周辺疾患(めまい、耳鳴り、突発性難聴)はアルファ・ヘルペスウイルス亜科の感染症

 最後に、今回記事の本題を。この説を唱えているのは、七戸(しちのへ)満雄氏(内科医、札幌東和病院)である。多分、無疱疹帯状疱疹(あるいは無疱疹単純ヘルペス)の一種(痛みまではいかない神経の異常)と考えることができるであろう。他力本願で、詳しくは同氏の個人サイトをみてほしい。

めまいは治せる!-ヘルペスウイルス感染症説(Meniere's Disease)
http://shichinohe.web.fc2.com/

[資料]
七戸医師は、1990年からこの治療法でめまい、耳鳴り、突発性難聴に治療効果を確認し、医学雑誌や学会で発表を続けてきました。
 以下のように、めまいの権威たちが、しだいに七戸医師の治療法を認めつつあります。・・・


 上記のサイトを詳しく読んでもらえればわかると思うけど、日頃の診療に基づき内科の町医者の立てた説に対し、耳鼻咽喉科医系の学会(日本めまい平衡医学会。特に同学会前理事長(現在は顧問)の八木氏が主導か?)がケチを付ける形での論争は続いているようで、多数説とはなっていない。しかし、町医者の説を支持する輪が広がりつつあるように個人的には感じられる。

 なお、メニエール病の解説については、gooヘルスケアから、

メニエール病 http://health.goo.ne.jp/medical/search/10B41100.html

メニエール病とはどんな病気か
 めまいといえばメニエール病といわれるほど有名ですが、実際にはそれほど多い病気ではありません。メニエール病は内耳の病気で、繰り返すめまいに難聴や耳鳴りを伴うものです。一般に、片側の内耳の障害ですが、時には両側とも障害されることもあります。
原因は何か

 内耳を満たしている内リンパ液が過剰になると内(ない)リンパ水腫(すいしゅ)になりますが、この状態によってメニエール病が起こると考えられています。しかし、この内リンパ水腫がなぜ起こるのかについては不明です。・・・

 次の二つの記事も参考となるだろう(特に後者)。

ブログ「井蛙内科開業医/診療録(3)」から、
めまいの原因はウイルス?
http://wellfrog3.exblog.jp/11826348/
(2009.6.26付けの日経BPネットの同タイトルの記事を引用しており、読める)

サイト「漢方科 松本医院」(大阪府高槻市所在)から、
メニエール病は完治する その理論と証拠
http://www.matsumotoclinic.com/menieru/m_index.html
(wikiの「メニエール病」の項に書かれた、通説的とされる内容を批判した記事で、内容も分かり易い。URL先の青字がwikiの内容で、赤字が松本仁幸氏の批判。同氏は似た病態を「ヘルペス性内耳神経炎」としてまとめることを唱えている模様)


 最後に力尽きてきたので、3.11後の症例で、何故か突発性難聴が増えているという噂話を指摘して終わりにしよう。「院長の独り言」のブログ主が作成したツイートのまとめをサイト「togetter」から、

突発性難聴の増加
5 days ago(2012/11/9?)
http://togetter.com/li/403992

芸能人の突発性難聴が増加しているようなので、まとめてみた。
一般人の間でも明らかに増加している ・・・


「コルチゾール過剰症候群」 (7-U) 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症 (2)

2012年11月12日 |  症例(その他)

 このシリーズの年内は終結は断念したけど、久しぶりにこちらを。

(7) 易感染性

(U) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症(ヒト・ヘルペスウイルス3型(HHV-3)感染症) (つづき)

 先ずは少し脱線して、最近みかけた噂話から。

 チェルノブイリ事故後の我が国においても、子供などの感受性の高い人々の一部は単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)や水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染で悩んでいた可能性があるのだろう。某掲示板の放射能板から、

680 名前:名無しに影響はない(関東・甲信越) 投稿日:2012/11/05(月) 02:45:53.40 ID:nxq5/YtU
  チェルノの後、1989年前後で慢性疲労症候群に罹患したよ。快復に2年掛かった。
  原因不明で治療法なし。安静にしてるしかない。体はダルいし、物が覚えられ
  ない。頭の中に消しゴムがあるかのように言葉が消えていく。思考が停まる
  から本も読めない。学生の頃だったから何とかなったがね。

740 名前:名無しに影響はない(奈良県) [] 投稿日:2012/11/06(火) 13:33:21.23 ID:s6wqbeYt
  >>680
  翌年の1990年なら口唇ヘルペスが治っては出来、治っては出来て
  人前に出たくなくてインドア派になった時期だな
  唇からアゴにかけて広範囲で出来て子供ながらにへこんだわ
  1992年には中学生なのに帯状疱疹にかかって
  病院の先生に「運動して体力つけろ」と笑われたw
  インドア派になって運動量が減った自覚はあったけど、まさか・・・・
  ちなみに当時は札幌住まい

742 名前:名無しに影響はない(福岡県) 投稿日:2012/11/06(火) 14:49:30.34 ID:Jq4uQgE7
  >>740
  口唇ヘルペスきついよな 子供の頃よくできてたけど
  大人になってからは出来にくくなったし重症になることもなくなった
  それに薬もできたしな いい時代だよ

744 名前:名無しに影響はない(関東・甲信越) 投稿日:2012/11/06(火) 15:33:39.09 ID:IXB8lGPp
  >>740>>742
  免疫が落ちると症状が悪化するんだよね。エイズなんかが爆発的に拡がったのも、大体、その頃だ。

756 名前:名無しに影響はない(やわらか銀行) 投稿日:2012/11/06(火) 23:09:34.71 ID:zga/HBUe
  自分もチェルノの翌年頃、唇ヘルペスによくなってた
  当時子供で牛乳を麦茶代わりに1日1リットル以上飲んでいた
  偶然だと思いたい・・


 さて本題に戻ると、帯状疱疹(zoster、herpes zoster)については、前回の記事(ココ)の冒頭に幾つかリンクを貼ったので余り付け加えることはないのだけど、おさらいがてら内容を整理しておこう。

 帯状疱疹は、潜伏感染している水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)の回帰発症(再発)が原因であるとされている。慶應義塾大学病院のサイト「KOMPAS」から、

帯状疱疹 たいじょうほうしん
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000331.html

概要
 帯状疱疹は水ぼうそうのウィルスと同じ、水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)が再び活性化することにより起こります。通常は生涯に一度しかかからず、日本では6~7人に1人がかかるものと推定されています。・・・
 初めての感染で水ぼうそうを発症した後、VZVは知覚神経に沿って、顔面の三叉神経や、脊髄の神経、坐骨神経などの神経細胞に残ります。長い間は症状が無いまま過ぎますが、体の免疫能の低下をきっかけにして、潜伏していたVZVが活性化します。きっかけとしては、加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、重症な感染症、放射線や紫外線への曝露、免疫抑制剤や抗がん剤を使用した場合などがあげられます。活性化したVZVは神経を伝わって皮膚へ出てきて、皮膚でウィルス粒子が増殖し、水疱を発生します。

症状
 帯状疱疹の症状には、皮膚と粘膜の症状と、神経痛があります。皮疹がでる前に、しばしば神経痛あるいは知覚の異常が、数日から1週間続きます。これは片側の神経分布領域に一致して起こります。その後同部に少し膨らんだ紅斑があらわれ、その中に小さな水疱がでます。発生する場所は、胸やお腹、背中など(肋間神経領域)が最も多く、ついで顔(三叉神経領域)に多いですが、全身のいずれの場所にも発症します。・・・(強調は引用者)


 一生涯での帯状疱疹の発症率は、上記引用では14~17%とされているけど、約2割とされることが多いと思われる。●の影響による易感染性の下では、生涯2度以上罹る人の割合も増加するのではなかろうか。

 帯状疱疹の発症のきっかけは、免疫力の低下(易感染性)によるわけだけど、上記引用の具体的誘因の中で、「放射線への暴露」にきちっと言及しているのは、良心的といえるのかもしれない。

 帯状疱疹が高齢者で起き易い要因については、VZVの特異的免疫は通常40~50年程度しか持続しないので、特に高齢者では免疫低下時に発症し易いとの説もあれば、周囲に水痘患者がいないと野生株に触れることによる免疫のブースター効果が得られないので、そのような人々には免疫低下時に発症し易いとの説もあるようだ。後者については、日本皮膚科学会のサイトから、

皮膚科Q&A 第5回 ヘルペス 
Q12 お年寄りに多いと伺いましたが、本当でしょうか?
http://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/q12.html

A 帯状疱疹は免疫能力特にVZVに対する特異的免疫が低下すると発症する疾患で、誰でも罹患しうる疾患です。水痘 罹患や水痘ワクチンを接種してVZVの抗体を持ったものの約20%が罹患すると云われております。特に、細胞性免疫が低下するAIDS、白血病、悪性リン パ腫などの患者に罹患しやすく、老人も罹患しやすいといえます。90歳以上のヒトではその半分は罹患すると考えられています。しかし、統計的にみると20 歳代と50歳代にピークがみられ、これらの年代では周囲に水痘患者がいない年代で、VZVの免疫にブースターが罹らないためとされています。


 単純ヘルペスウイルス(HSV)と水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)とは、かなり似たようなウイルスで、いずれもヘルペスウイルス科アルファ・ヘルペスウイルス亜科に属しており、例えば、潜伏場所もいずれも知覚神経節の中と共通している。

 しかし、更に詳細にみればいろいろ相違点もある。例えば、回帰発症の頻度に大きな差がある。これについては、HSVは神経節内の神経細胞自体に、VZVは神経節内の神経細胞の周囲にあるサテライト細胞(衛生細胞)に潜伏するという違いがあるためとの説や、潜伏しているウイルス量がHSVの方が多いとの説があるようだ。エーザイ(製薬会社)のサイト「パリエット」から、

他科医に聞きたいちょっとしたこと ヘルペスウイルスについて
http://www.pariet.jp/helpful/vol54/no561/sp06.html

質問 水痘は、全身に発疹が出現しますが、単純疱疹は、口腔口唇および陰部に限られます。また、帯状疱疹は一般的に一生に一度ですが、単純疱疹は、何度も再発します。これら2つのウイルスの症状発現の違いは、いかなる理由によるものでしょうか、ご教示ください。(静岡県・内科)

回答
 ・・・HSVもVZVも同じヘルペスウイルス仲間であるが、上記のように初感染や再発の機構も異なっている。なぜ、HSVのほうが再発頻度が高いのかは不明であるが、潜伏部位が末梢にまで突起を出している神経細胞のなかにHSVは潜伏するので、外界の刺激を受けやすいためともいわれている2)。また、三叉神経節のウイルス量を検索したPevensteinらによると圧倒的にVZVよりはHSV-1が潜伏感染しているためHSVのほうが再発しやすいと推論されている3)。


 ついでに、神経節内の神経細胞とサテライト細胞との関係については、サイト「組織学総論・講義」の次の写真をみるとイメージが浮かぶのではないだろうか。

衛星(外套)細胞
http://www3.kmu.ac.jp/anat1/edu/histology/general/nerv/satellite.html


月曜日だし、この辺りで・・・


大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (2) らしさの喪失

2012年11月10日 |  誤認誘導の疑い

〔更新履歴:11/12補足〕

 

 興味深い報道をみつけたので、紹介しておこう。先ずは、どういう類型にあたるのか、みておこう。

(A) 該当する大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型

 この類型は、これまでにも多数の例があったので、このブログの過去記事でも幾つか指摘してきたものであり、余り新規性はない。つまり、

ある病気の最近増加は「ストレス」が原因であるとことさらに強調して報道するパターン

のことである。

 ストレス(正確には「ストレッサー」)と言えば、一般的には「精神的なもの」「心理的なもの」と理解してしまうのではないだろうか。実は、前にも記事で触れた気がするけど、温度、気圧、酸素濃度とかは身体的なストレッサー、あるいは肉体的なストレッサーであって、当然に放射線(特に人工放射線)もこの一種に分類されるものである。

 このため、ストレスの意義に詳しくない人々であれば、仮に身の回りで異変が増加したとしても、「ああ、あの報道は正しかったのか」「(精神的)ストレスに気をつけよう」と思ってしまい、真の原因を探究するきっかけを失い、あるいは探究の開始が遅れて始めてしまうおそれがあるだろう。

 ついでに言えば、この類型の本丸はいわゆる「放射能恐怖症」であろう。ちなみに、これが何をすり替えたものであるかを分析しあぶり出していこうというが、「コルチゾール過剰原因説」を展開しているそもそもの理由である。


(B) 疑わしい報道

 前置きはさておき、今回紹介したいのは、株式会社産経デジタルのサイト「zakzak」内の「zakSPA!」に掲載されている特集記事

★[女のオス化]が止まらない!

である。現在、9頁にわたって展開されているようで、そのURLはそれぞれ、

日本人女性に異変!“オス化”する女が急増中
2012.11.06
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121106/zsp1211061401005-n1.htm (トップ頁)

 女性のオス化が進んでいる。仕事もバリバリこなし、職場やプライベートでの行動、物言いも男前になったのに加え、ヒゲが生えるなど身体のオス化を訴える女性も。このままでは日本から女がいなくなる!?

2 嫁の体臭がオッサンより強烈!まるでギョウザのニオイ
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121106/zsp1211061400004-n1.htm (身体編 -体臭)
3 オス化で起こる“毛”の悩み…薄毛、ヒゲ、体毛の増加
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121106/zsp1211061358003-n1.htm (身体編 -薄毛、体毛の増加)
4 言動がオス化する女が急増!飲み屋→おしぼりで顔拭きます♪
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121107/zsp1211071401003-n1.htm (言動編)
5 怒りがオス化の引き金に!ウザいヤツには心で「黙れカス」 
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121107/zsp1211071400002-n1.htm (言動編)
6 身体のオス化はストレスで起こる!生活リズム&睡眠を改善しよう
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121108/zsp1211081400004-n1.htm (身体編 -対処法)
7 恋することでオス化を防止!“女性”を強く意識しよう
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121108/zsp1211081359003-n1.htm (言動編 -対処法)
8 グラドルの身体に興奮するオス化女子!「お尻がいいよね~」
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121109/zsp1211091401003-n1.htm (恋愛・セックス編)
9 オス化を食い止めるために男ができること…触ることも有効
 http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20121109/zsp1211091400002-n1.htm (対処法)


 先ず注目すべきポイントは、このような現象が増加していると報道されている点であろう。薄毛とか、体毛の増加などについては、噂話で個人的にもいろいろ耳にしていたが、「体臭」まではレーダーに写っていなかった。

 次に注目すべきポイントは、これらの異変が何故起こっているのか、ということであろう。それらの原因については、上記の記事では、婦人科医の談話と精神科医・心理専門コンサルタントの談話が取り上げられている。

 後者の方は、「精神面での『抑圧・否定・逃避』による」との原因分析だが、よくわからないので留保しておくとして、個人的には、性ホルモンの異常という前者の意見に同意したい。同特集記事から、

 こうしたオス化は、なぜ起こるのか。松村[圭子「成城松村クリニック」院長、婦人科・美容皮膚科医]は言う。

 「オス化の大きな原因は、ストレスなどによる女性ホルモンのバランスの乱れです。女性にも男性ホルモンは少量分泌されているのですが、女性ホルモンが減ると、相対的に男性ホルモンが目立ってきてしまい、そうなると、男性ホルモンが体の中でさまざまな“悪さ”をするんです」

 男性ホルモンの“悪さ”によって起こるのは、薄毛やヒゲ・体毛の増加、ニキビ、加齢臭など。

 「オス化は特に、仕事の影響が大きいですね。現代では、女性も男性と同等に仕事をしている人が多いのに、家事や育児などはいまだに『女性の仕事』とされていることが多く、女性の抱えるストレスが増え、種類も多様化しています。また、不規則な生活によって、身体の調子を整える自律神経が乱れ、自律神経と密接な関係にある女性ホルモンが影響を受けてしまうこともあります」(松村院長) (同特集3頁。強調は引用者)

 身体の異変だけでなく、記事で指摘されている言動の変化についても、同じ原因と考えてよいのではないだろうか。

11/12補足: 更に、性ホルモンの異常の原因ついて、記事では、女性が仕事を行うことにより多様化したストレスに曝されることが特に大きいとしつつ、不規則な生活(これは身体的ストレスの一種)も寄与している、と指摘しているものと理解できる。

 ついでに、また見かけるかもしれないので同特集記事の担当記者もメモしておくと、 

取材・文/田幸和歌子 桜田容子 増山かおり 藤村はるな 安田はつね(SPA!) (同特集9頁)


(C) 補足の解説

 上記のような性ホルモンの異常とみられる現象について、精神的ストレスの影響が全くないとは言わないけれど、そもそもの主要な原因は別にあるのではないだろうか。

 チェルノブイリにおける性ホルモンの異常については、YNNチェルノブイリ報告(詳細はココ)でも言及されている。例えば、昨年7月に某掲示板の緊急災害板でみかけたものを発掘しておくと(一部改変して部分的に和訳をイタリック体で挿入)、

144 : 地震雷火事名無し(チベット自治区)[sage] :投稿日:2011/07/28 01:00:20 ID:oqFxRDR00 [1/1回(PC)]
  高校生の娘が生理不順。二週間毎にきてる、というか、いつも生理っぽい。
  鼻血も四月~六月にほぼ毎日だった。
  産婦人科に連れて行かなきゃいけないのかな、どういう病気なんだろう。

158 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] :投稿日:2011/07/28 03:10:03 ID:YNe2sFXz0 [1/1回(PC)]
  >>144
  生理不順関係は、ヤブロコフ・ネステレンコ報告を少しみてみると、よくみられた模様。
  ウクライナのある調査では、若い女性のうち14%に月経機能困難があった模様。
  汚染地域での月経異常の数は、事故前の3倍程の模様。

  >Soon after the catastrophe the majority of fertile women from the contaminated
territories developed menstrual disorders. (ベラルーシ、97頁右)
  [・事故の直後に、汚染地域の生殖可能な女性の大部分は月経異常を発症した。]

  >Menstrual cycle disorders are commonly diagnosed in the contaminated territories. (ウクライナ、98頁左)
  [・月経周期異常は、汚染地域でよく診断されていた。]

  >Among 1,017 female children of evacuees (aged 8 to 18 years) examined after the catastrophe, 11% had delayed sexual development (underdevelopment of secondary sex characteristics, uterine hypoplasia, and late menarche), and 14% had disturbed menstrual function (98頁右、ウクライナ)
  [・事故後に調査された避難民の女児1,017名(8~18歳)において、11%には性的発達の遅延(第二次性徴の発達不全、子宮発育不全症(uterine hypoplasia)、遅発初経(late menarche))が、14%には月経機能の乱れがみられた。]

  >The number of menstrual disorders in the contaminated territories tripled compared with
the pre-catastrophe period. In the first years after the catastrophe there was heavier menstruation, and after 5 to 6 years menstruation decreased or stopped. (ウクライナ、98頁左)
  [・汚染地域における月経異常の数は、事故前に比べ3倍となった。事故後1年目には月経が重くなり、5~6年後には月経が減り、又は止まった。]

  これには、内分泌(ホルモン)系の異常が関与している可能性が指摘されている。
  月経過多は、非悪性l甲状腺疾患の症状のうちの1つとされている模様。
  若い女性の特定の月経時期において血清中のセシウム濃度とホルモン濃度(黄体刺激ホルモン、
  プロゲステロン)に相関があったとの報告もある模様。

  >In all of the contaminated territories, there is a marked increase in nonmalignant thyroid diseases (Gofman, 1994; Dedov and Dedov, 1996). Associated illnesses include: delayed healing of wounds and ulcers, delay in growth of hair, dryness, fragility, hair loss, increased susceptibility to respiratory infections, night blindness, frequent dizziness, ringing in the ears, headaches, fatigue and lack of energy, lack of appetite (anorexia), delayed growth in children, male impotence, increased bleeding (including menstrual menorrhagia)(月経過多を含む出血の増加), lack of gastric hydrochloric acid (achlorhydria), and mild anemia. (83頁左)

  >There was a correlation between the level of incorporated Cs-137 and prolactin
concentration in the serum of young women continuing to live in an area with radioactive contamination of 1.5 Ci/km2 (Gomel City) during the first and second phases of their menstrual cycles, as well as a correlation between levels of incorporated Cs-137 and progesterone concentrations during the second menstrual cycle phase (ベラルーシ、79頁右)


 個人的な話をすれば、YNNチェルノブイリ報告書を眺めて知識を増やした後、何かの折に、とある幼児向けの歌の一節を含むツイートを知ってかなりショックを受けたのを覚えている。なぜなら、これが契機となり一つの筋が見えたからだ。

@UniqueTwit_bot
ライオンになりたい女の子♪女の子になりたい男の子♪」って弘道お兄さんが踊ってた頃の子供たちが大人になった今、「肉食系女子」と「男の娘」が流行ってる。NHKの影響力って素晴らしいね。 ryo_tam 1000favs
2012年4月7日 - 6:29 (強調は引用者)

 上記引用の歌は、「おかあさんといっしょ」のwikiによれば、1996年4月から2005年4月まで体操の歌として使われていたらしい。

おかあさんといっしょ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%82%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%97%E3%82%87

 上記歌の歌詞の全体は、株式会社ソングブックカフェのサイト「Hoick」でみられるようだ。

あ・い・うー 作詞: 日暮真三 作曲:渋谷毅
http://hoick.jp/mdb/detail/468/%E3%81%82%E3%83%BB%E3%81%84%E3%83%BB%E3%81%86%E3%83%BC

 上記のツイート主の解釈では、歌に影響を受けた結果としてある傾向を子供達が身に着けたとされている。 しかし、これでは先後関係が逆であろう。

 つまり、作詞者は日頃から小さな子供達に接する機会が多く、従来とは違った何らかの変化を感じ取り、それをスナップショット的に歌詞に落とし込んだのではなかろうか。かなり小さな子どもにも影響が出ていたのであれば、その変化の原因が精神的ストレスとか、社会的要因とかである可能性は低くなるだろうと思われる。


 次に気づいたのが、「オヤジギャル」なる用語。これがかつて流行ったのが、1990年の話。既に亡くなられているようだが、流行元のwikiから、

中尊寺ゆつこ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B0%8A%E5%AF%BA%E3%82%86%E3%81%A4%E3%81%93

 1989年(平成元年)、OLを題材にした漫画『スイートスポット』を『SPA!』(扶桑社)で連載開始。同作で描かれた「オヤジギャル」は、当時の女性の「オヤジ化」現象を表した新語として話題になり、1990年(平成2年)の新語・流行語大賞新語部門・銅賞を受賞した。


 ここまで調べて来ると、近年よく言われる「男性の草食化、女性の肉食化」もこの文脈でとらえることができると個人的に理解して、あー、ここまで影響が大きい可能性があったのかと・・・


 なお、用語「オヤジギャル」については、冒頭の特集でも言及されている。

 精神科医のゆうきゆう医師[(「ゆうメンタルクリニック」の総院長)]は、「余裕のなさや意識の低下が影響している」と指摘する。

  「’90年代に『おやじギャル』という言葉がありましたが、この頃から若い世代の女性でも“異性の目を気にしなくなった”ように感じます。気持ちや体力的 に女性らしさを表現する余裕がないというのもありますが、大多数の男性を“異性”として意識していないのではと感じられる女性が増えたように思えます」と 言う。 (同特集4頁)


 かなり定性的な話だと分かりにくいと感じる読者の方もいると思うので、もう少し定量的に議論できるデータが必要であろう。定量的に観察される傾向としては、いわゆる「男性の草食化、女性の肉食化」のみではなくて、もっと幅の広い「両性の中性化(らしさの喪失)」ということになると思われる。

 このようなデータをみかけたのは、例えば、今年8月の某掲示板の緊急自然災害板から、

495 : 地震雷火事名無し(茸)[] :投稿日:2012/08/04 21:39:39 ID:E4H5pDLd0 [1/1回(PC)]

  ”女子も「草食化」、経験率減る 日本性教育協会調査”
  1974年の調査開始以来、一貫して上昇傾向にあった女子大学生・女子高校生の性交渉の経験率が下落に転じたと、日本性教育協会が4日、公表した。調査委員会の片瀬一男・東北学院大教授(教育社会学)は「『草食化』の傾向が、若い男性だけでなく、女性でも進んでいることが見て取れる」としている。

  調査は、若い世代の性に対する意識などを探るために、ほぼ6年に1度実施。昨年10月から今年2月にかけて、全国11地点の中学、高校、大学生計約7700人を対象にした。

  その結果、性交の経験率は男子大学生が54%、女子が47%。前回の05年と比べると、男子は7ポイント、女子は14ポイント減り、女子の減り幅が大きかった。高校生も男子が前回の27%から15%に、女子が30%から24%に減少。大学生・高校生とも男子は93年、女子は99年の水準に下がった。

  図 性交経験率の推移
  http://www.asahi.com/national/update/0804/images/TKY201208040212.jpg

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  朝日新聞
  http://www.asahi.com/national/update/0804/TKY201208040211.html

  日本性教育協会HP
  http://www.jase.faje.or.jp/

539 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] :投稿日:2012/08/05 13:04:40 ID:gWrP/0ub0 [1/1回(PC)]
 [中略]
  >>495
  いい資料だぬ。
  知能低下、男児の女性化、女児の男子化は、あることの影響だろうね。
  ちまたでは、それぞれ、ゆとり、草食化、肉食化といわれているけど・・・
  図でピークを打ったあたりの子供達が生まれた頃に何があったか、年表ででも調べるとよいよ。 (強調は引用者)


 かなり残念なこととは思うが、現役の子育て世代、特に若い女性は、1986年事故の影響を受けている可能性が高い上に、3.11後においては、●の影響が更に上乗せされた可能性が高いと思われる。


〔メモ〕 低線量被曝での白血病リスク

2012年11月08日 |  症例(報道ベース)

 連日だけど、手抜きで、報道の紹介。ワシントン発の共同通信の記事を日経新聞から、

チェルノブイリ除染で被曝、低線量でも白血病リスク
2012/11/8 14:15
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0802A_Y2A101C1CR0000/

【ワシントン=共同】チェルノブイリ原発事故の除染などに関わって低線量の放射線を浴びた作業員約11万人を20年間にわたって追跡調査した結果、血液がんの一種である白血病の発症リスクが高まることを確かめたと、米国立がん研究所や米カリフォルニア大サンフランシスコ校の研究チームが米専門誌に8日発表した。

 ・・・

 137人が白血病になり、うち79人が慢性リンパ性白血病だった。統計的手法で遺伝などほかの発症要因を除外した結果、チームは白血病の発症は16%が被曝による影響と考えられると結論付けた。

 これまでに広島や長崎に投下された原爆の被爆者の追跡研究でも、低線量被曝による健康影響が報告されており、線量が低ければ健康影響は無視できるとの主張を否定する結果。・・・

 
 記事のタイトルを読むと、今更ながらの内容との印象を受ける。なぜなら、肥田舜太郎氏の予想によれば(以前の記事参照 ココ)、

「白血病はまだ出ない。三年以降で、白血病はピークが五年、癌が七年だった。これは必ずピークは出る」

らしいので、従来から、確実に観察されるのだろうと個人的に考えていたからだ。


 そもそもICRP(国際放射線防護委員会)ですら、医療用X線に関し10mSv程度の被曝での小児がんの過剰発生を認めている。食品安全委員会のサイトの資料から(放射性物質を含む食品による健康影響に関するQ&A http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka_qa.pdf、pdfファイル)、

問15 放射線によるお腹の子どもへの影響が心配です。どの位の放射線量で、どのような影響が出るのですか?

答) ・・・

4 例えば、国際放射線防護委員会(ICRP)では、医療上のX線により出生前に被ばくした子ども(0-15歳)の研究の分析結果として、小児(固形)がんが10mSvの胎児線量で1700人に1人のリスク(※4)、白血病が数十mSvで自然発生率(10万人当たり1~2人※5)の1.4倍(※6)と推定しています。・・・ (同資料19頁)


 冒頭URLの記事で紹介された研究報告は、以前の記事〔メモ〕 内部被曝に関する研究報告をみかける機会が多いが・・・  2012/10/20でも触れたように、次の着地点の地盤整備を目的とした、現在主流の学説を突き崩すための材料の蓄積の一環という可能性が高いのではないだろうか。


大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (1) 低出生体重児

2012年11月07日 |  誤認誘導の疑い

 手抜きで短く。早速、昨日の記事(ココ)で触れた類型

ある病気の従来からの増加傾向をことさらに強調して報道するパターン

のかなり理想的な例をみかけたので、メモしておこう。産経新聞の記事をYahoo!ニュースから、

低出生体重児、出生率が増加 女性の食生活改善が急務
産経新聞 11月7日(水)8時21分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121107-00000504-san-soci

 大人になったときに肥満などを発症するリスクが高い低出生体重児(出生時体重が2500グラム未満の新生児)の出生率が増加している。若い女性のやせ体形の増加や妊娠中の体重増加量が少ないことなどが原因とみられる。次世代の健康のためにも若い女性の食生活改善が急務となっている。(平沢裕子)

 ・・・

 日本で生まれる子供に占める低出生体重児の割合は、約30年前の昭和55年の5・2%から平成21年は9・6%とほぼ倍増。背景に、日本女性の強いやせ願望によるやせ体形(BMI=体格指数、体重「キロ」を身長「メートル」の2乗で割った数値=18・5未満)の増加や妊婦に対する厳格な体重増加制限などがあるとみられる。・・・ (強調は引用者)


 チェルノブイリでも、事故後に低出生体重児の増加がみられた。YNNチェルノブイリ報告(詳細はココ)から、例えば英国では、

3. General Morbidity, Impairment, and Disability after the Chernobyl Catastrophe
第3節 チェルノブイリ大惨事後の一般的な罹患率、機能障害、能力障害
3.4. Other Countries
3.4節 その他の国

2. GREAT BRITAIN. In Wales, one of the regions most heavily contaminated by Chernobyl fallout, abnormally low birth weights (less than 1,500 g) were noted in 1986–1987 (Figure 3.6). (同報告書50頁)
2. 英国:ウェールズ州は、チェルノブイリの降下物により最も高度に汚染された地域の一つであるが、1986-1987年において、異常に低い出生体重(1,500g以下)が記録された(図3.6)。


 冒頭URLの記事は、「妊娠中の栄養摂取に牛乳活用」の項でまとめて終わっている。仮にこの記事が善意で書かれたものであったとしても、汚染牛乳の存在を注意喚起しないのであれば、意図したことと正反対のことがおきる可能性が高いのではないだろうか。


大衆の誤認誘導効果を有する報道の諸類型 (1)

2012年11月06日 |  誤認誘導の疑い

 番組制作者に個人的恨みがあるわけでもないので、ガッテン頼みの一本足打法ではよくないと反省し、後から見返してもう少し付加価値が出てきそうな方向に整理していこう。なんとなく、やろうとすることは変わらないのだけど・・・


 先ず用語の意味を解説しておくと、「大衆の誤認誘導効果」とは、この場合、ある事象(病気の増加)に関し、予断なくとらえれば関連性が自ずと浮かび上がってくるはずのところを、チェルノブイリの経験に関する知識の乏しい人々が示唆された枠組みでその事象を認識するよう誘導することによって、●の影響が原因である可能性に気づかせない、あるいは気づくのを遅らせること、ということができるだろう。


 さて、シリーズ第1回目で指摘したい「大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型」は、

ある病気の従来からの増加傾向をことさらに強調して報道するパターン

である。長々と抽象的な話をするより、具体例を交えてみてみよう。gooニュースから、

高血圧型からメタボ型へ 若年層の脳卒中が増えている
2012年11月5日(月)09:00
http://news.goo.ne.jp/article/diamond/life/diamond-27344.html

 秋の健診シーズンもそろそろ終盤へ。忙しいから、と逃げ回っている方へ少々厳しい報告を一つ。中高年男性が予防したい疾患の筆頭は心筋梗塞と脳卒中だが、脳卒中に関してはどこかに「お年寄りの病気」という気持ちがある。ところが、米国神経学会誌「Neurology」に報告された調査研究によると、近年、脳卒中の発症が若年齢化しているというのだ。

 ・・・

 一方、国内に目を転じると高齢患者の増加に隠されがちだが、この数年、70年前後に生まれた世代の脳卒中患者が増加傾向にあることが明らかになっている。この世代は高度経済成長期真っただ中の生まれ。この時期を境に日本人は小児期から欧米型の食生活にどっぷりつかり、社会や生活文化もガラリと変化した。・・・


 近年、米国及び我が国で、若年性の脳卒中が増えていると指摘する記事である。指摘内容自体には、それ程言うことはない(でもやっぱり一言だけ言っておくと、大気圏内核実験の影響とかを考慮した上での分析なのだろうか?)。

 しかしながら、受け手側にチェルノブイリの経験について予備知識がないと(事故後に脳血管系の病気が増加)、仮に今後受け手の周囲で脳卒中が増えたとしても、「ああ、いつか聞いたニュースは正しかったな」と理解していまい、真の原因を探求する気がおきないよう誘導してしまう一定の効果があるであろう。

 上記の記事は、例示であげたものなので悪意があって「ことさらに強調」しているかどうかは不明だけど、掲載媒体や記者・ライターの立ち位置、報道のタイミングなどからみて、「従来からの増加傾向をことさらに強調して報道するパターン」に該当すると判断するのが妥当な可能性もあるだろう。

 
 以上のような感じで不可解な報道を類型化しつつ、疑い事例を蓄積していけば、何か意味のあることが見えてくるのではないだろうか、という企画のシリーズなのである。

 企画倒れになりそうだが、とりあえずはネタを探すエリアを広げることができるので、一本足打法は解消できそうだ。