ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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「腰痛は国民病」キャンペーンの始まりなのか? (2/3)

2013年03月28日 |  症例(その他)

 前回(ココ)からの続きを、短く。

 朝日新聞としては、国民の約2.5割(2800万人)を腰痛持ちとしたいように感じるのだが、やはり少し多き過ぎるのではないだろう。一面トップの記事らしいので、別のデータにも触れて、少しバランスに配慮した方がよかったと思われる。

 腰痛は、通常1割程度とされることが多いのではないだろうか。厚労省の平成22年(2010年)国民生活基礎調査によれば、同省のサイトから(平成22年国民生活基礎調査の概況、III 世帯員の健康状況 - 1 自覚症状の状況、http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/3-1.html)、

図1 性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答、2007年及び2010年)



 上図によれば、腰痛がある人の割合は男性で9%弱、女性で12%弱であり、全体では1割前後ということだろう(2007年、2010年)

 女性の方が腰痛持ちが多いようだけど、冷え性の人が多いことと、あるいは筋肉の量が少ないことと関係でもしているのだろうか(冷え性も熱の産生量が少ないととらえれば、結局筋肉の量の問題かもしれない)。

 さて、1割か2.5割かのどちらが現実に近いのかと考えて、とりあえず思い出すのは、次の図であろう。京大原子力安全グループのサイトの記事から、

チェルノブイリ原発事故:国際原子力共同体の危機
ミハイル・V・マリコ
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Malko96A-j.html

日本のデータとの比較

 ここで,大変興味深い事実に触れておく.チェルノブイリ事故被災住民に一般的な病気の発生率が有意に増加していることに対して疑問を呈する専門家たちは,そのような影響が1945年8月の広島・長崎原爆被爆者の中には見られていないと,大変しばしば述べている.しかしながら,それは正しくない.そのことは,阪南中央病院(大阪府)の専門家によって示されている33.彼らは,1985年から90年にかけて,1232人の原爆被爆者を調べた.その結果,「腰痛は3.6倍,高血圧は1.7倍,目の病気は5倍,神経痛と筋肉リウマチは4.7倍に増えており,胃痛・胃炎などでも同じ傾向である33.」

 日本の専門家のデータを図1に示す.著者らによれば,日本の厚生省の「国民保健統計」には,歯の病気,頭痛,関節炎,体力低下,頸部脊椎炎が含まれていなかったとのことで33,図1には一般公衆についてはそうした病気のデータが示されていない.・・・ (強調は引用者。図1は、下図参照)


図2 日本の原爆被爆生存者と一般住民の罹病率と比較 (%、1985-1990年調査)



 上図によれば、腰痛については、原爆被爆生存者で3割前後ということらしい(一般住民で7~8%前後)

(つづく)


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