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カンチャン狂騒曲

日々の事をあれこれと、大山鳴動してネズミ1匹がコンセプト。趣味さまざまなどを際限なく・・。

年始に読書(1)

2015-01-05 10:16:39 | 日記
 帰省していた子供達もそれぞれの定位置に引き揚げて、元の静かな我が家に戻った。
 賑やかな孫に注目が集まり、賑やかなテレビを観ようなどという者も居ず、録画していた静かな風景だけを映し出していた。
 そしてひたすら食べて飲んだ。
 全員が1~2Kgは増量して帰途についたが、残されたものとて同じかそれ以上の成果をあげた。
 ふと現実に目を向け、食事をいつもの状態に戻し、年末に借りていた図書館の本の読み残しのためテレビを消した。
 と、まあやけに長い導入部分を終わりにして、要するに7日の返却日までに読み上げてしまおうということに・・。
 
 「秋の雪」イレーヌ・ネミロフスキー短編集 芝盛行(訳)2014.3未知谷刊
 ロシア・キエフ生まれで革命時にパリに亡命、1929年に「ダビット・ゴルデル」で文壇デビュー。
 1942年アウシュビッツ収容所で死去するまで、沢山の著作を残していて2004年遺品から発見された未完の大作「フランス組曲」が刊行され、世界中に反響を巻き起こしているらしいが、私は知らなかった。
 旧刊の再版や未発表作の刊行は続いているらしい。
 「秋の雪」は5編が収められている短編集の2番目に登場する。
 実は1番目の「舞踏会」は、なんとなく陳腐な文体で、面白くもない展開なのだが、最後にド~ンとやられてみて、あのわざとらしい文体はこのためであったのかと、何度か読むのを止めようと思った自分を恥じた。
 2番目以降は、むしろ引きつけられるような文章で、ロシア革命や亡命を契機として大きく変わる白系ロシア人一家に使えてきた乳母の年老いた姿を描いていく。
 1903年に生まれ1942年までの39年の生涯で、作家としての活動は戦前から戦中の10年間なのだが、内容に古さをまったく感じさせない。
 二つの相対する価値観の違う人物を登場させどちらにも自己主張させて肩入れをしない。
 人間への熱い関心と、失ったものの大きさを際立たせる冷たい観察力は独特のものがあり、決して歳月によっても褪せることのない鮮烈な作家の意思が込められた作品である。

 良い短編に出合うと、淀川長治氏ではないが「読書ってホントにいいもんですね」と言いたくなる。
 読書離れなどという現況には、もったいないなあが本音である。

 
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コメント
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