『史記』項羽本紀の一説に次の様な話がある。
鴻門の会.の会の直前、沛公(劉邦)は快進撃を続け、秦の都咸陽を破り関中に入って王を捕らえようと云うところまで来た。
それを知った項羽は怒り、沛公を攻撃しようとする。
沛公の兵10万に対し、項羽方は40万。
しかし、老将軍范増は項羽に言う。「故郷の山東にいた時の沛公は、財貨を貪り美姫を好んでいた。だが、関中に入ってからは財物にも婦女にも手をつけていない。これはその志が小さくないと云うことだ。私がある人に沛公の気を望見してもらうと、それは五采を成す竜虎の形をしていると謂う。これは天子の気だ。急に攻撃して気を失っては為りません」
古代中国では、空の雲の形、目に見えない空中の気、太陽や月の周りの嵩(かさ)、虹などで戦争の勝敗や、人事、農作物の出来などを占っていた。これは、祥瑞思想の一つ、体が発する気を見てとる「望気」と云う術で、天子になる者には先立って天帝が予見してその気象を表わすと謂う。
易に「雲は竜に従い、風は虎に従う」とある様に竜虎は英雄を示し、特に竜は天子の象徴で祥瑞(吉兆)を示す霊獣である。
青、黄、赤、白、黒が交わった美しい模様である五采も、やはり古代の神秘思想と結びついて天子の祥瑞と考えられた。
つまり、沛公は、将来、天子になるはずだと予見されたのである。
この様な体から外部に発散される気を、現代の気功科学では「外気」と呼び、外気を異常に発出する能力を持つ者を「特異功能者」と言う。外気についてはまだ研究中の段階だが、電磁波だとする説が有力となっている。また、生命体の表面からコロナ放電が行なわれていることも、平面電極と高電圧低電流を用いて写したキルリアン写真によって確認されている。
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