悪魔や魔女の話が、過去のことだと思ったら、それは大間違いだ。
今も世界には悪魔や魔女の集団を自称する団体がたくさんある。
そのうちでも有名なのが、1966年に結成され、世界各国に10万人以上の信者を持つと謂われるアメリカの秘密結社「悪魔教会」である。この教会は、人間のあらゆる肉体的自己を是認している。教祖のアントン・ラ・ベイは、人間は動物としての本能に忠実に生きるべきで、恨みや憎しみを晴らしたい人間が居れば、呪いをかけて殺すのは自然なことだと言っている。
そして、彼は入会者に、「あらゆる悪事を徹底的に行ない、法に触れない犯罪を研究し、実行すること。
いつも復讐心を燃やし、人に呪いをかけて地獄に落すこと。快楽と悪事に徹すること。
サタンこそ教会の最大の友であることを忘れない」と云った規則に従うことを約束させる。
ラ・ベイは催眠術や呪殺術を含む十三種類の黒魔術を行ない、
彼が「我らの王サタンと悪魔長官ルフェルよ。呪いの魔力を与え給え!」と唱えて、呪う相手に呪文を投げつけると、相手はまるで催眠術にかかった様に言う通りに動き出すと謂う。
そんな彼の魔術の犠牲になったのが、セックス・シンボルとして知られた女優のジェーン・マンスフィールドである。
ジェーンは最初、子供の養育権で裁判沙汰になっていた彼女の二番目の夫に呪いをかけてくれる様ラ・ベイに依頼した。
そして、この裁判に勝ったことから悪魔教会の教えを信じる様になる。
また、彼女の息子が動物園でライオンに襲われた時にもラ・ベイに助けを求め、
奇跡的に回復したことから、更に、この教団にのめり込む様になった。
ところが、そんな彼女を見て、恋人のサム・ブロディは、ラ・ベイに対する嫉妬心から「今後ジェーンに近づいたら、ペテン師だと振れ回ってやる」と脅迫した。そして、遂にラ・ベイに呪いをかけられ、自動車事故で足を骨折。それでも脅しを止めなかった。
1967年6月29日、ブロディとジェーンの乗った車はトラックに衝突し、二人は即死する。
ラ・ベイは、ジェーンに対し、ブロディに近づかない様何度も警告していたが、結果的に彼女まで死に追いやったことを後悔したと言う。それでも、この事件が切欠で悪魔教会は益々有名になり、ラ・ベイの著書もベストセラーになったと云うから世の中皮肉なものである。
(画像・ジェーン・マンスフィールド)
呪い あなたの知らない不気味な世界
-恨みの魔力に命を奪われた人々ー
呪いの惨劇はこうして起きた