Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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◆政界スキャンダルになった黒ミサ <地獄の火クラブ>

2017-09-15 04:19:12 | Weblog

カトリックを冒瀆する呪術的な儀式の一つに黒ミサがある。
キリストを讃える儀式である一般的なミサに対し、故意に逆手を行く様な方法で悪魔に祈祷し、
キリストを愚弄する目的で行なわれるのが黒ミサである。
カトリックではパンとワインがキリストの血と肉を表わすものだが、黒ミサでは幼児の小便や血が悪魔への捧げ物として用いられる。悪魔の祭壇には、十字架が逆さまに打ち付けられ、殺人者の手を模した長く伸びた黒い爪を持つ手が「栄光の手」として飾られたり、蝋燭も黒いものが用いられる。時には悪魔への生け贄として、女性が貢がれることもあった。

黒ミサを開催する目的は大きく二つに分かれていたと謂われる。
一つは、規範の厳しいカトリック支配からの脱却を目的に、自由な政治経済活動や信仰生活を過ごすことを目指したグループである。政財界の大物もメンバーだと言われたヨーロッパの秘密結社フリーメーソンが、黒ミサを行なっていたと噂されたのも、メーソンの目的がまさにカトリック否定にあるからに他ならない。
そして、もう一つのグループが、黒ミサに伴うオカルトへの興味や、退廃的で危険な娯楽を楽しもうとするグループだ。
こうした黒ミサは、皮肉なことに、カトリックの総本山とも謂えるイタリアで18世紀に流行し、それがヨーロッパ各国に飛び火して、秘密裏に催される様になった。
当然、黒ミサはカトリック教国では容認できる儀式ではない為、参加メンバーは世間に漏れない様に秘密を誓い合い、極秘裏に会を催す必要があった。その為、黒ミサを行なうグループは秘密結社化して行く。

中々表沙汰にならない黒ミサだったが、18世紀のイギリスで発覚したことがある。
それが「地獄の火クラブ」と云う秘密結社の黒ミサだった。
クラブの中心人物は、フランシス・ダッシュウッド卿(1708~1781年)。ロンドンから北西に50㌔ほど離れたバッキンガムシャー州にある名門の家の御曹司として生まれ、何不自由なく育ったお坊ちゃまであった。
若い時、ヨーロッパを旅行する途中で、イタリアで黒ミサに触れ、興味を覚えたダッシュウッド卿は、旅行中に親友となったサンドイッチの語源となったことでも知られるサンドウィッチ伯爵と、帰国後にクラブを結成する。やがて彼は、「地獄の火クラブ」の会員となったのである。

「地獄の火クラブ」が黒ミサを行なう秘密結社へと移行した時期などは、関係者が口を固く閉ざし続けた為に不明だが、ダッシュウッド卿が大蔵大臣に指名される1762年まで、10年以上は続いていたと謂われている。
「地獄の火クラブ」は、30~50名程度の会員規模だった様だが、中心メンバーはすべてダッシュウッド卿の親友で占められていた。貴族の御曹司なのだから、親友もイギリスの社会的地位を約束されたメンバーばかりである。
サンドウィッチ伯爵の他に、詩人のポール・ホワイトヘッド、財務長官トマス・ポッター。更に、特別な招待客の中に、後のジョージ3世となるウィリアム・フレデリックや、後の首相ビュート伯などの大物人物が名を連ねていた。
ダッシュウッド卿は、会員の為に豪華なクラブ専用の館を建設し、贅沢な調度品にポルノ絵画、そして、オカルト関係の書籍が集められ、友好の士を持て成した。会員は酒を飲めることを条件にした為、ワインやポートワインなどの年代物が豊富に倉庫に用意されたと謂う。

黒ミサではやがて女性も用意される様になる。ロンドン市内から高級娼婦を呼んで修道女の衣装を着せて自由気ままにあしらうなど、放蕩息子たちは財産と権力に任せて淫靡で神秘的な世界に熱中した。
一説によると、麻薬からSMプレー、降霊術、悪魔召喚など、規則も束縛もない背徳の世界が展開されていたと謂う。

(画像・地獄の火クラブメンバー、地獄の火クラブがあった館)

       

       




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