Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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「東海道一の親分」清水次郎長は裏社会から足を洗った後、貿易港開発に奔走した

2017-09-19 10:01:20 | Weblog

*向かうところ敵なし 清水一家誕生!

任侠ものの映画や浪曲などで大人気の清水次郎長(1820~1893年)。彼の本名は山本長五郎と言う。
養子として山本家の嫡男として迎えられた長五郎は、周囲から次郎八の家の長五郎を略して次郎長と呼ばれる様になり、
長く愛称として馴染みある名前となった。
養父の死後、家業を継いで妻も娶った次郎長だが、この頃より博徒と喧嘩に明け暮れる日々を送る。
二十三歳の頃、とうとう次郎長は人を斬ってしまい、妻とは離縁。次郎長は弟分の江尻大熊らを引き連れて、
生まれ育った清水から出奔する。
諸国を巡り、すっかりヤクザの風格が出来上がった次郎長は、再び清水に舞い戻り、
清水一家を結成、「清水の次郎長」の誕生である。
黒駒勝蔵との敵対など、次郎長の半生は、縄張り争いや仇討ちの為の人斬りの連続だった。
しかし、幕末の世が明治として大きく転換すると、次郎長も、裏社会から足を洗って新しい人生を歩む様になる。
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*明治と共に 次郎長親分、カタギになる

明治元年、1868年。家康公の隠居地だった駿府では、不穏な空気が漂っていた。
明治政府から駿府町差配役に任ぜられた浜松藩家老の伏谷如水は、一計を案じ、清水次郎長を沿道警護役に任命する。
江戸時代、駿府の様な幕府領では領地が入り組み、警察機能が手薄になってしまい、ヤクザに頼る傾向にあった。
この時次郎長は五十の坂に差し掛かろうと云う時期。次郎長は固辞したものの、折衝の末に、正式に登用となった。
次郎長の積年の罪は不問となり、帯刀も許された。役人の追っ手から逃れ日陰の道を歩いて来た次郎長が、
大手を振って表を歩ける様になったのだ。
以降、如水と次郎長は親交を深め、年も二つしか違わない二人は、大変に仲が良かったと謂う。
その年の九月、次郎長の縄張りである清水湊に、大破した一隻の軍艦が入港した。
それは旧幕府の咸臨丸。
直ぐに官軍が駆けつけ、残っていた船員をみな殺しにし、遺体はそのまま船内に放置された。
官軍から逆賊の仲間とあらぬ疑いをかけられるのを恐れてか、誰も知らない振りをしていた。
が、そんな状況下で、この痛ましい死者を手厚く葬ったのが次郎長だった。
次郎長は、咸臨丸の船員たちを憐れみ、遺体を集めて向島の砂浜に埋葬する。
これに感銘を受けたのが、後に明治天皇の側近となる山岡鉄舟。
鉄舟は次郎長の義侠に感激し、死者の為に「壮士墓」を贈ったのだった。
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*ヤクザ時代に培ったスキルを総動員して慈善活動

すっかり駿府の顔となった次郎長は、1874年、当時重要な交易品となっていた茶の栽培をする為、
富士山麓の開墾事業を開始する。しかしこれは、ただの開墾作業ではなく、囚人を労働者とした社会事業であった。
荒っぽい男達を束ねて来た次郎長の手腕は、一般社会でも発揮されて行く。
特に、先見性には目を見張るものがあり、次郎長は新時代に於いて蒸気船が運搬の主流になるであろうことに逸早く気づいた。
人々を説得して回り、波止場や船着き場を構築。清水港を貿易港と呼べる立派な港に変貌させた。
また横浜で、後に「横浜の父」と謂われる高島嘉右衛門が英語塾を開いたと聞くと、自身がオーナーとなっていた船宿「末広亭」の一部を改築して、自分もまた英語塾を作ってしまう。
この様に精力的に活動していた次郎長は、家では縁側に座り子ども達の相撲を眺めることが楽しみの一つだったと謂う。

1893年、風邪をこじらせて死去。
葬儀の参列者はゆうに三千人を超え、明治と云う大きな過渡期の駿府を支えた次郎長の死を偲んだと謂う。
次郎長は三人の妻や、かつての側近たちと共に、静岡市の梅蔭禅寺に目眠っている。
墓石に彫られた「侠客次郎長之墓」は、明治期に大臣を務めた榎本武揚の揮毫である。

(画像・清水次郎長一家、前列左から三番目が次郎長)

*まとめ
 晩年は任侠の顔はどこへやら、子どもの相撲を見守る好々爺に

      

                                            「その後」の日本史
                                                  歴史に名を残した偉人たちの「その後」


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