南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

香港の新聞に報道されたヒロシマ

2010-08-08 23:15:45 | 日本

2010年8月8月7日の香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト
(South China Morning Post)の最終ページ。一面全部を使って、14
才の時に広島で被爆した橋爪文(Hashizume Bun)さんの記事が出て
いました。Norman Aisbettという人が書いた記事でした。

沢山の鳩が原爆ドームの前を飛んでいる写真が大きく使われています。
この写真はAP通信のHikaru Kikkawaというクレジットがついています。
望遠レンズで撮っているので、鳩に焦点があっているのですが、
奥の原爆ドームは熱気で、もやっているようなふうに見えます。65年
前のあの日もこんな暑い日だったのかと思わせるような写真です。

海外の新聞報道で、原爆の記事がこんなに大きく扱われているのを
見たのは初めてです。しかもこれはニュースではなく、橋爪文さん
の体験を元にしたレポートとなっていいます。ルース駐日米大使や
国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が広島の平和記念式典に出席
したという話しは、別途、中ページにも出ています。



この報道記事だけでも、ページの半分以上を使っています。この
写真の右側の女性は中尾つゆ子さん(92才)、左は池上きぬよさん
(77才)で、広島の原爆で失った友達や親戚を思い嘆き悲しんで
いるというキャプションが付けられています。

さて、冒頭の記事なんですが、見出しは、"A mission to warn
the world"(世界に警告をするという使命)となっています。
これは被爆者であり詩人でもある橋爪文さんが、命の続く限り
原爆の恐ろしさを海外の人々に伝えるという活動を続けていく
という記事です。14才の時に広島で被爆し、奇跡的に生存でき、
助けてくれた人々が次々と亡くなっていく中で、原爆の悲惨さ
を詩にまとめていきます。

2001年に刊行された詩集が、英語に翻訳されて来年出版される
とこの記事の中に出ていました。原爆の真実がより多くの人々に
伝えられていくことはよいことだと思います。

アメリカはいまだに原爆投下を戦争を終わらせるためにはやむ
をえなかったと正当化しているようです。しかしいずれの日にか
これが間違った行いであったと認識される日が来ることを信じて
います。

この記事の中には、恐ろしい被爆の実態が、生々しい表現で記述
されています。またABCC (Atomic Bomb Casualties Commission)
の話しも出てきます。アメリカが原爆を生体実験として使い、
調査データの収集のみ行い、治療活動は行わず、また調査データ
もアメリカに持ち帰られてしまい、その詳細が日本にも世界にも
知られずに封印されてしまったという話しも書かれています。

また、数多くの被爆者の女性が結婚を断念せざるをえなかった
ことなども出てきます。このへんは今村昌平監督の映画『黒い雨』
にも描かれていることですね。橋爪文さんが「原子爆弾はどんな
理由であろうとも正当化されるものではない」と言っている言葉
がこの記事の中にも引用されています。

こういう話しが英文の記事として出てくるのは、アメリカに
とっては都合が悪いことでしょうが、同じ過ちを二度と繰り返さ
ないためにも、世界の人に原爆の悲惨さをもっと認識してもらう
のが重要だと思うのであります。

被爆者のみなさまのご冥福をお祈りいたします。

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4 コメント

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おはようございます! (のりすけ)
2010-08-09 04:06:18
香港の新聞に大きく報道されたんですね!
戦争の悲惨さ、決して風化させてはなりません。
被爆国であるからこそ平和を訴えていく意義が
あると思います。

今日は長崎の原爆忌ですね。
黙祷したいと思います。
返信する
のりすけさん、ありがとうございます (南の国の会社社長)
2010-08-09 15:50:00
コメントありがとうございます。
この新聞を見て、これだけ香港の新聞がページを割いて、
原爆のことを一生懸命書いてくれたことに感謝しました。
原爆の真実が、世界でどれほど知られていないかということを
思うと、悲しくなります。日本でも実は、それほど詳しくは
知られていないんじゃないかと思います。
真実が知られると、アメリカの立場にも影響が出て、
世界の覇権が保てなくなったり、日米関係にも影響が出て
くるのでしょうが、そのために犠牲者の方々が亡くなったの
だとしたらちょっとやりきれません。
ちょっと政治的には複雑な問題なのですが、
黙っていてはいけないのではないかと思い、
あえて発言をしてしまいました。
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Unknown (通りすがりのグルメ)
2010-08-10 21:43:38
South China Morning Postは中国資本傘下にあるので
原爆には肯定的だと思ってましたが意外でした。
アングロサクソン、中韓以外の国の人は原爆にいたく怒っており、日本の方を持つことが多々あります。
東京裁判時に最後の最後まで日本側についたインド人のパール判事も原爆批判してました。
香港には巨大なインド人コミュニティーがあり
何故インド人は親日なのかだんだんわかってきました。
インドは日本のおかげで独立が出来た。
インド独立に導いた英雄チャンドラーボーズはイギリス軍から逃れ日本がかくまった。現在でも遺灰は杉並区にありインドの閣僚クラスの来日の際には参拝に訪れる。

同じくイギリス軍から逃れてきたインドの独立分子を中村という男がかくまった。彼は中村氏にカレーの作り方を教えた→後の中村カレーとなる。

欧米の植民地化とは搾取するのみ、日本が植民地化した国はいずれも発展を成し遂げていると言ったアフリカ人の言葉がいつも脳裏を横切っています。



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原爆 (南の国の会社社長)
2010-08-11 00:52:59
通りすがりのグルメさん、コメントありがとうございます。
香港のマスコミは中国本土べったりではないので、報道の
自由をできるだけ使って戦っているという感じはあります。
アメリカ人の視点が世界の常識とは言えないということが
だんだんわかってきているのではないかと思いますね。

その中村さんって新宿中村屋の創業者の人ですね。すごい
歴史があったんですね。
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