南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

ふるさと3

2010-08-17 17:24:06 | 日本

愛知県の田原市の田原市博物館で2010年夏のイベントとして
小説家の杉浦明平(すぎうらみんぺい)さんの展示が8月の
22日まで行われています。お盆で故郷に寄ったときにちょっと
覗いてきました。子供の頃から地元の渥美半島に住んで活動を
している作家だということはよく知っていたのですが、その
作品をそれほど読んでいたわけではありませんでした。

この人のことはそれほど知らなかったのですが、1913年渥美
半島で生まれ、2001年に亡くなった小説家でした。詩人の立原
道造と同じ時代に学生時代を過ごし、立原道造が24才の若さで
亡くなった時に、彼の詩を編纂して詩集として出版したのはこの
人でした。

イタリア関係の著作もありますが、渥美半島に帰ってからも、
文人らとの交流は続き、地元の出来事に題材をとった作品を
書き続けていました。『台風十三号始末記』という小説は
映画化もされています。また、田原藩の家老でもあった
渡辺崋山について書いた『小説渡辺崋山』で毎日出版文化賞
や、中日文化賞を受賞しています。

こちらはその展示のチラシの裏の説明書きです。



この展示では、有名な作家や文化人たちとの書簡が数多く展示
されていました。詩人の立原道造をはじめ、文芸評論家の寺田
透、作家の野間宏、高見順、木下順二や、映画監督の山本薩夫
や、その他様々な小説家、評論家、文化人との書簡がいろいろ
と展示されていました。すっかり忘れていた懐かしい名前でした。

その中に、太宰治に対して書いた原稿がありました。杉浦明平
の直筆で、原稿用紙に何枚にも渡って書いてありました。
どうやら杉浦明平は太宰治には面識がないようでした。書き出し
は、まだ会ったことはないけれど、作品を読んで、書かないで
はいられなかったというようなことが書いてありました。
これらの文字を見ていると、太宰治が現実の人物として急に
身近に感じられてくるのでした。

売店で、立原道造の手書きの詩集『さふらん』の復刻版が売られ
ていました。1000円だったのですが、思わず買ってしまいました。



そういえば自分も若い頃、手書きの詩集を印刷して売っていたの
を思い出しました。タイトルは『HEART COLLECTION』。
立原道造の『さふらん』の詩集とちょうど同じくらいの小ささ
だったので、懐かしく思い出してしまいました。

あと、田原市博物館の中に並べられていた書籍を見ていたら、
高校の時の美術の先生であり、美術部の顧問だった仲谷孝夫先生
の画集がありました。これもまた懐かしかったです。

この博物館で自分が見つけたものは、忘れていた自分の過去だった
ようです。

よろしければ、こちらもついでによろしくお願いします。

にほんブログ村 海外生活ブログ 香港情報へ
にほんブログ村