FEEL ambivalence

毎日、いろんなことを思います。
両極端な感じで。

両面価値。
同一対象に対する愛憎共存。

「風の歌を聴け」 / 村上春樹。

2008-11-09 22:32:42 | 
ぼくは覚えている。
蒸し暑い夏の夜や、暗闇の中で囁きあった言葉を。

ぼくは忘れない。
金木犀の香りや、ともに朝日を浴びた仲間を。

「風の歌を聴け」は村上春樹氏のデビュー作。

読み返すたびに、Asian Kung-Fu Generationの「ソルファ」を聴いた後で「I'm Standing Here(インディーズ2枚目のアルバム)」を聴いた時のような、不思議な物足りなさと原石を発見したような心地よさを味わう。

ぼくが村上春樹氏の作品を好む理由を一つ挙げよう。
何度も読み返せるからだ。
一度目、二度目と繰り返すたび、その時々のぼくの心の様子が映し出されているように感じる。
それは行間であったり、メタファーであったり、ただの風景描写であったり(意図していない描写などありはしないだろうけれど。)。

「風の歌を聴け」を読むたび、ぼくはいろんなことを思い出す。
自分が学生時代に通ったお店。
一緒に飲んだ友達。
好きになった人。
何度も読んでは、何度も思い出す。

そのたびに、ぼくはまだ覚えている、ということを確認しているのかもしれない。
ぼくを構築するものは、ぼく自身の主観によって構築された記憶の積み重ねだ。
そのかけらをさまざまな感情の波に乗せ、漂わせる。
すると物事の見方がまた違って見えるように思えるのだ。
あの時の自分と今の自分。同じことを思うようで、違うようで。

頭痛がなければ、たばこを吸っていた。

何もなく過ぎていく時間の中で、思索に耽ることができるのは幸せなことだ。
そして、そういう時間は今となっては貴重。
村上氏の作品を読む時、それを媒介に思惟の海に出ていくときがある。
だからこそ、何度も読みたくなるのだろうか。

さぁ、「僕」と「鼠」の物語の続きを読もう。

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