『資本論』学習資料室

泉州で開催された「『資本論』を読む会」の4年余りの記録です。『資本論』の学習に役立たせてください。

第32回「『資本論』を読む会」の案内

2011-02-14 13:05:43 | 『資本論』

『 資  本  論 』  を  読  ん  で  み  ま  せ  ん  か 


 チュニジアにおけるベンアリ独裁政権を打ち倒したジャスミン革命(チュジニアの国花の名にちなんでこう呼ばれている)は、多くの人たちにとっては、“寝耳に水”の驚きであった。
 1987年以降20数年にわたって独裁權力を欲しいままにしてきたベンアリ政権はそれほど安定したものに思われてきたのである。

 しかしそれが歴史的必然であったことは、この革命がたちまち中東・北アフリカ諸国に波及して、中東最大国であるエジプトでも、革命が起こり、30年の長期にわたるムバラク独裁政権をも打ち倒したことを見ても明らかである。

タハリール広場に集まり革命の成功を祝う群衆 

 革命の波は、ヨルダンやイエメン、アルジェリア等にも及び、中東諸国にいまだに居すわっている王国や首長国にも大きな脅威として迫りつつある。そればかりか長期の共産党一党独裁が続く隣の中国でも、為政者はその波及をくい止めようと必死だといわれている。

 今回の革命の特徴は、インターネット等を利用したものであることが取り沙汰されている。しかし、われわれが注目するのは、イスラムという宗教色の薄いものだという点である。チュニジアでもエジプトでもデモの中心にいるのは宗教者ではない。独裁政権の圧政に苦しみ、貧富の格差に憤り、失業と貧困、食料品の高騰による生活苦に対して民衆は立ち上がったのである。

 これまでの中東諸国における様々な革命や政変の多くは、宗教的色彩を帯びて、イスラム教の原理に帰れという呼びかけと共に行われ、イスラム原理主義組織がその中心にあった。しかし今回のエジプトの革命運動の中心を担ったともいわれる「4月6日運動」とは、2008年に始まった、緩やかな無党派反政府ネットワークだという。彼らは昨年の人民議会選挙でも既存野党からの共闘の呼びかけを拒否し、選挙にも参加しなかったという。反ムバラクだけでなく、既存の政党への不信を表明しているところに特徴があるのだという。

 中東・北アフリカ諸国においては、チュジニアやエジプトだけではなく、リビアやイエメンなど長期にわたる独裁政権が続く国家が多い。またサウジアラビアやバーレーンなどの湾岸諸国においては、いまだに国王が国政の実権を握り、首長が国を治めている。それに反対するさまざまな政治運動も、イランのイスラム革命に象徴されるように、イスラムの宗教色が強いのが一般的であった。

 こうしたこれらの地域の特徴は、ひとえにこれらの諸国が、資本主義的発展がいまだ十分ではなく、労働者の階級としての未発達と未成熟に起因するといえる。

 マルクスは『資本論』第1版序文で、自分がこの著作で研究するのは、資本主義的生産様式と、それに照応する生産諸関係および交易諸関係であるが、その典型をなしているのは、イギリスだと述べ、同時に、当時のイギリスに較べて、資本主義的発展が遅れていた大陸諸国について、次のように述べている。

 〈資本主義的生産の発展ばかりでなく、その発展の欠如もまた、われわれを苦しめている。近代的な窮境とならんで、一連の伝来的な窮境がわれわれを締めつけているが、これらの窮境は、古風で時代遅れの生産諸様式が、時勢に合わない社会的政治的諸関係という付随物をともなって、存続していることから生じている。われわれは、生きているものに悩まされているだけでなく、死んだ者にも悩まされている。“死者が生者をとらえる! Le mort saisit le vif! ”〉(全集23a9頁)

 しかし今回のチュジニアやエジプトの革命は、こうした諸国においても近代的な資本主義的生産の発展と労働者階級の発達は、不可避にそれに相応した政治体制を要求しつつあることを教えている。これらの諸国においても、〈こんにちの支配階級は、より高尚な動機は別として、まさに彼ら自身の利害関係によって、労働者階級の発達をさまたげている、法律により処理可能ないっさいの諸障害を取りのぞくことを命じられている〉(『資本論』同10頁)といえるであろう。

 「革命」という、既に歴史の倉庫の中でホコリを被っていたと思われていた“幽霊”が再び甦りつつある。貴方も『資本論』を読んで、共に来るべき「革命」に備えませんか。

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第32回「『資本論』を読む会」・案内


 ■日   時    2月20 (日) 午後2時~

 ■会  場   堺市立南図書館
      (泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m、駐車場はありません。)

 ■テキスト  『資本論』第一巻第一分冊(どの版でも結構です)

 ■主  催  『資本論』を読む会


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