日本人が日本列島に住み始めて以降、どこにどのように暮らしてきたのか、歴史地理学の理論を噛み砕きながら記述する。まず、自然景観は環境変化によって作られるが、日本人が多く暮らす平野は河川によって作られる。やがて自然に人の手が入り、地形に変化がおころ、文化景観が生まれる。
まず、堤防のない自然河川の挙動から難を逃れるには微高地に住まいがおかれる。河川は上流からの水量や含まれる土砂の量などによって、容易に流れをかえる。そうした動きに耐えるには居住地として微高地をえらぶしかなかった。ところが、稲の耕作には水を必要とするので、河川の氾濫原など水替え安い場所を利用することになるが、河川の挙動にもちろん左右されることになる。
次第に土木の知恵と技術を身につけて、河川を管理しようとするが。現代の技術を持ってしても、毎年のように暴風雨の季節には日本各地のどこかで河川が反乱し堤防が破壊され洪水が起こる。しかし、洪水が起こる場所は、歴史的に河川を管理しようとして堤防を作り、河道を変えた場所が多い。河川はもと流れた場所に戻ろうとする。
本書では、具体的な地名をあげて事例が紹介されるので、地図が数多く掲載されて入るが歴史地図(文書)などが多いので、Google Mapsを広げながら読んでいくと、たとえ、土地勘がないところでも興味深く読みすすめることができる。