「ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭-神々が戦いにあるとき、救済は諸芸術の中にある-」(1912年作)。スラヴ叙事詩の最初につくられた3作品の2番目の作品。
こちらもキリスト教を奉じるゲルマン民族と、多神教のスラヴ民族の熾烈な争いを背景としている。バルト海沿岸のルヤーナ島を信仰の要地としてスヴァントヴィートを祀った。1168年、ゲルマン民族のデーン人がこの地に侵入、ゲルマン化された。上部の天空の左がゲルマンの戦いの神、右がスラヴのスヴァントヴィートという。
そして画面の中央下に、前作ほどには目立たないが、こちらを見つめる白衣を着た赤子を抱く母親が描かれている。「スラヴ人が生まれもっていた栄光は、落日の光の中で薄れていく」情景を描いていると解説されている。
前作のこちらに訴えかけるほどの悲惨な眼ではないが、はかなげである。何か諦念を表しているかのようである。
母性を象徴するものとしての女性の像が、一般化、普遍化して聖母像のように昇華している。