Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

夏の鎮魂の季節が近づいた

2018年07月19日 10時35分29秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 本日も朝から暑い、ひたすら暑い。

★夏の海水兵ひとり紛失す     渡辺白泉

 「1944(S19)の作。兵士のひとりの命にネジ一本ほどの価値も認められないような空気を白泉はまさに時代の当事者として嗅ぎ取っていた」(高柳克弘)。物が紛失するように人の死を記述することはすべきではないが、そのような時代があったことを私たちは身近な体験として聞いて育った。
 生命の力が横溢する「夏の海」、そこは本来は、自然のエネルギーと人間の活力がぶつかり合うところである。ヒトは観念をつくり出す動物である。ところが人はみずから作り上げた観念の世界に殺される。あたかも観念に復讐されるように。その最たるものが「国家」であり「民族」という概念でもある。その「国家」と「民族」の区別すらつけられずに「国家間」「民族間」の争いである戦争がこの「夏の海」でぶつかり合い、人が物のように殺され、死んでも物のように扱われる。
 戦争を体験した世代がごく少数となり、社会の舞台から退く今、戦争を語り継ぐことはできなくとも、生身の言葉を聴きながら戦後に育った私たちが、「戦後」を語ることで「戦争体験の忘却」に対峙する。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。