shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その②)

2024-05-29 05:30:23 | 山行・旅行
5月24、25日で尾瀬山ノ鼻にテント泊し、尾瀬ヶ原からアヤメ平にかけてを山を眺め花や鳥を探しながら歩いて来た。
その②では、登山道から観られた植物を取り扱う。

■ムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅、Rhododendron albrechtii、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)
北海道、本州の東北地方および中部地方の日本海側に分布し、山地から亜高山の林縁や疎林内などに生育する。
見かけたのは鳩待峠から山ノ鼻への道中と、竜宮十字路から富士見峠へ向かう山中、それにアヤメ平から鳩待峠へ下る稜線上だった。








■イワナシ(岩梨、Epigaea asiatica、ツツジ科イワナシ属の常緑小低木)
高さが10~15cmほどしか無かったが、これもれっきとした樹木だ。本州の日本海側に分布し、山地から亜高山帯の林縁に生育する。
写真は鳩待峠の近くで撮った。


■ムシカリ(別名オオカメノキ、虫狩、 Viburnum furcatum、ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または落葉小高木)
今回の山行では鳩待峠から山ノ鼻の道中、竜宮十字路から富士見峠への道中で何度か見かけた。写真は鳩待峠から山ノ鼻の道中で撮影した。


■タカネザクラ(別名ミネザクラ、高嶺桜、Cerasus nipponica、バラ科サクラ属の落葉広葉樹の小高木~低木)
尾瀬沼や大江湿原でよく観られるサクラで、今回は山ノ鼻のキャンプサイト付近で見かけた。






■ヒメシャクナゲ(姫石楠花、Andromeda polifolia、ツツジ科ヒメシャクナゲ属の常緑小低木)
尾瀬ヶ原でよく観られる。今回は研究見本園で観たものを撮った。まだ咲き始めたばかりのようだった。
今回観られてとても嬉しかった花のひとつだ。




■ハウチワカエデ(別名メイゲツカエデ、羽団扇楓、Acer japonicum、ムクロジ科カエデ属の落葉小高木または落葉高木)
ブナ林の中にハウチワカエデやナナカマドが混生していた。アヤメ平から鳩待峠へ下る途中で撮影した。






■ミズバショウ( 水芭蕉、Lysichiton camtschatcensis Schott、サトイモ科ミズバショウ属の多年草)
この時期の尾瀬を代表する草花。その①でご覧になったとおり尾瀬ヶ原のあちこちで観られる。
ミズバショウは種を水の流れに沿って流し生育域を沢沿いに広げている。それでは上流域に広がらないのではと思われるだろう。上流域にはクマがミズバショウを食べ、種を排泄することで成育域を広げている。ミズバショウとクマは共生している。










■リュウキンカ(立金花、Caltha palustris var. nipponica、キンポウゲ科リュウキンカ属の多年草)
ミズバショウとともにこの時期の尾瀬を代表する花だ。尾瀬ヶ原の広い範囲で観られた。
写真は研究見本園と竜宮十字路付近で撮影したもの。






■タテヤマリンドウ(立山竜胆、Gentiana thunbergii var. minor、リンドウ科リンドウ属の越年草)
ハルリンドウの高山型変種で、ハルリンドウとの違いは葉の数が少なく、花茎の数も少なく、また花の大きさもやや小さい。
この時期に尾瀬で観られる花の中で、もっとも好きな花の一つだ。










■ショウジョウバカマ(猩々袴、Heloniopsis orientalis 、メランチウム科ショウジョウバカマ属の多年草)
ご存じの通りのスプリング・エフェメラルの仲間である。尾瀬ヶ原では雪解け後にまっ先に咲く花の一つだ。尾瀬ヶ原やアヤメ平、また樹林帯の登山道付近でもたくさん観られた。






■ヒメイチゲ(姫一華、Anemone debilis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
やはり雪解け直後に咲く花の一つだ。樹林帯と湿原の境の緑地で観られることが多い。写真は研究見本園で撮影した。




■ニリンソウ(二輪草、Anemone flaccida、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
筑波山などでは4月中旬に咲くニリンソウだが、尾瀬ヶ原では1ヶ月遅以上く咲く。ここでは咲き始めたばかりだった。スプリング・エフェメラルの仲間。
ニリンソウの葉には葉柄が無く、サンリンソウにはあるので、それで見分けられる。下の写真と比べていただきたい。


■サンリンソウ(三輪草、Anemone stolonifera、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
尾瀬ではニリンソウと混じって咲いているので、気をつけないと間違う。花だけを観ていたら分からない。スプリング・エフェメラルの仲間。


■エンレイソウ(延齢草、Trillium smallii 、シュロソウ科エンレイソウ属の多年草)
樹林帯の登山道脇に複数観られたが、どれも花は終わっていた。スプリング・エフェメラルの仲間。


■ミツバノバイカオウレン(三葉の梅花黄蓮、Coptis trifoliolata、キンポウゲ科オウレン属の多年草)
ミツバオウレンとの違いは茎が褐色なこと。尾瀬ではミツバオウレンが多く、ミツバノバイカオウレンは少ない。研究見本園で見かけた。




■コミヤマカタバミ(小深山片喰、Oxalis acetosella、カタバミ科カタバミ属の多年草)
鳩待峠の近くで見かけた。早朝だったので花は閉じていた。


以前に書いたshuの花日記を見ていて、コミヤマカタバミの花期が6~8月なのに気づいた。するとこの植物はミヤマカタバミかもしれない。
https://blog.goo.ne.jp/shu2702/e/4ad3d0271ad3e5a22fbc4232da5de97a


■スミレの仲間
いくつかのスミレの仲間を観た。黄色いスミレはオオバキスミレのようだ。
「尾瀬植物手帳」にはオオバキスミレの他に以下の種が掲載されている。チシマウスバスミレ、ツボスミレ、ムラサキコマノツメ、ジョウエツキバナノコマノツメ、ミヤマスミレ、オオバタチツボスミレ、スミレサイシン、オオタチツボスミレ。
スミレにお詳しいkeitannさんから、「上の2枚はオオバキスミレ、3枚目はツボスミレ、4枚目と5枚目はミヤマスミレ、最後は消去法で行くとオオバタチツボスミレ」とのご助言をいただいた。感謝申し上げる。












■スゲの仲間
スゲの仲間(カヤツリグサ科)はまったく分からない。最初の1枚がワタスゲのように思うが、それすら自信が無い。
「尾瀬植物手帳」にはワタスゲ、サギスゲ、タヌキラン、タカネクロスゲ、オオカサスゲ、アブラガヤが載っている。
最後の2枚は同じ個体である。カンスゲまたはホソバカンスゲかもしれない。














■タネツケバナ( Cardamine occulta、アブラナ科タネツケバナ属の越年草)
尾瀬には本来生育していない植物もたくさん観られる(侵入生物)。その一つがタネツケバナで、今では群落も観られる。
写真は研究見本園で撮影した。
尾瀬の入山口では靴底の土を落とすためのマットが敷かれている。しかしその目的が多くのハイカーに十分伝わっているようには思えなかった。






2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その③)では、今回の尾瀬行で見かけた動物(主に鳥)をご覧いただく予定でいる。

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12 コメント

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おはようございます^^ (attsu1)
2024-05-29 07:21:41
ユキグニミツバツツジ
同じツツジでも雪国と付くのは、やはり尾瀬に雪が積もり、
そんな雪が溶けてから咲くのを感じますね^^

イワナシ
可愛い花ですねぇ~
スプリング・エフェメラルを感じます。

ヒメシャクナゲ
こんなシャクナゲがあるんですね。
さり気なく見ているシャクナゲですが、
尾瀬で見ると、まる違う花のようです。

ミズバショウ
やはり尾瀬は、ミズバショウですねぇ~
凄い群生、気持ちよさそうに咲いていますね

タテヤマリンドウや、スミレ、
尾瀬に春が来たのを伝えていますね。
もう一度、春を見せていただきありがとうございます^^
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静かな尾瀬 (山歩き)
2024-05-29 10:20:54
shuさんこんにちは。その①ではテント泊での食事について詳しく教えていただき有り難うございました。テント泊はしませんが岩手山の避難小屋のように、食事の提供がない場合に参考にさせていただきます。
これまでにアンパン、南部せんべいなど真似をしましたが、ソーセージ、レタス、フランスパンは未経験です。マヨネーズは遭難したときに命をつなぐことが出来た話を聞いたことがあります。

さて、お花ですね。
私にはムラサキヤシオにしか見えないツツジですが、ユキグニミツバツツジもトウゴクミツバツツジも見たことがありません。もしかするとムラサキヤシオと思い込んでいたかもしれません。

分布を日本海側、太平洋側というくくりで分けるのは少し大雑把過ぎないかと思うのは、shuさんに、スミレサイシンが日本海側だけでなく岩手県内でも確認された、と教えて頂いたからです。県内でも豪雪地多である奥羽山脈側は日本海側と考えることにしました。

今回は、ニリンソウとサンリンソウの違いを写真で教えて頂き、目の付け所が分かりましたので楽しみですが、今年は観る機会がなさそうです。
ヒメシャクナゲは早池峰山ほか県内の山にも咲くようですが、観たことがありませんので探したいと思います。

「尾瀬植物手帳に」に掲載のムラサキコマノツメは観たことはもちろん、聞いたこともありませんので検索しました。4枚の薄紫のスミレの写真の中では、1枚目がそれに該当するように思います.

2枚目と3枚目は葉を見るとミヤマスミレのように思いますが花の色薄いのでアオイスミレかな、うーんやはり分かりません。4枚目の葉は観たことがなく全く分かりません。

侵入生物が群落を形成しているとは、事情を知らなければ綺麗だなと見とれてしまいます。
尾瀬では植生保護の対策がしっかり行われていると思っていましたが、大勢の入山者に追い付かないようですね。

富士山では入山料を徴収するなど規制が始まるようですが、尾瀬ではそのような動きはないのでしょうか。賑やかなテント場のこともお聞きしましたし、「静かな尾瀬」は難しそうですね。
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attsu1さん こんにちは (shu)
2024-05-29 12:18:35
コメントありがとうございます。
先ずお詫びします。トップのツツジはムラサキヤシオツツジでした。本文を修正しています。

もうじき6月ですが、尾瀬には場所により雪が残っていて、春と言ってもいいですね。
筑波山とは1ヶ月以上季節が違います。
気温も下界とは10℃違いました。
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山歩きさん こんにちは (shu)
2024-05-29 12:47:46
コメントありがとうございます。
いきなり間違えてしまい、落ち込んでいます。ご指摘ありがとうございました。
ムラサキヤシオは標高が高いところで咲いているという印象があり混乱しました。
鳩待峠自体が1600m近くあるのですから、条件的には十分ですね。

今回撮ったニリンソウもサンリンソウも、花数は一つでした。
サンリンソウかどうかは、よく観ないと分かりませんね。

スミレの写真が分かりにくくて申し訳ありません。
スミレはいつまで経ってもよく分かりません。
今回は行っていませんが、見晴のテント場付近のスミレは、オオバタチツボスミレだと教わりました。

富士山では入山料を取るようですね。尾瀬ではトイレだけが有料です。
鳩待峠のマイカー規制は1974年から行われていた(1999年から強化)ようです。
また1999年には沼山峠でもマイカー規制が行われるようになったようです。
余談ですが、鳩待峠へのバスの運賃が片道1300円(昨年まで1000円)になっていました。
それとは別に駐車料金が1日当たり1000円かかります。
今後は駐車料金がかからず、バスにも乗らない、富士見下からの入山が多くなりそうです。
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尾瀬 (takan32)
2024-05-29 18:17:17
shuさんへ、私のブログにいいね!をありがとうございます。
ミズバショウがたくさん咲いていてよかったですね。♪
山小屋ではなくテント泊なので、荷物は重かったでしょう。
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takan32さん こんばんは (shu)
2024-05-29 20:32:13
コメントありがとうございます。
尾瀬ではミズバショウをシカの食害から守るため、防護柵を設けています。
今年は霜害で数が少なく、昨年の半分ほどですが、それでも見応えがありますね。
今回は撮影機材を含めると17kgほどになりました。
尾瀬は水を持たなくて良く、標高差も少ないのでこれだけ背負っても大丈夫です。
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豪華ラインアップ! (なつみかん)
2024-05-29 22:09:04
shuさん、こんばんは。
まあ今回は惜しげもなく沢山の植物を見せて下さり、ありがとうございました。
「尾瀬」というと、ミズバショウやリュウキンカなどの湿原の植物をイメージしますが、山の植物がほとんどなのですね。
イワナシやショウジョウバカマなど、こちらでは2か月近く前に見られた花が今見られることに新鮮な驚きです。
これだけの花が一度に見られるのだったら、毎年行きたくなるのが分かります。
スゲの仲間は難しいですね。
最後の2枚は、こちらでも見られるカンスゲにそっくりですが、ナントカカンスゲなのかどうかは分かりません。

明日は鳥さんですね。
楽しみにしています!
返信する
なつみかんさん おはようございます (shu)
2024-05-30 07:54:45
昨夜コメントをいただき、ありがとうございました。
このところ寝る時間が早くなっていて、拝見したのが先ほどでした。

さて、今回は標高で言うと1400~1900mのところを歩きました。
亜高山帯に入る所が多いように思います。
また雪も残っていましたし、ようやく春が訪れたような感じでした。

もう少しするとワタスゲが風になびき、ミツガシワやトキソウも見られるようになります。
その頃再び訪れてみたいです。
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懐かしい尾瀬の植物 (ran1005)
2024-05-30 18:45:57
ムラサキヤシオツツジやヒメシャクナゲは、尾瀬で初めて見ました。
何と、クマが水芭蕉を食べるのですか?
クマが種を排泄して水芭蕉が増えて良い循環ですが・・・
鹿は食害を及ぼすだけで困りものですネ。
タネツケバナは山野で当たり前に見られますが、尾瀬には本来生育していないはずなんですね。
繁殖力のある植物は他にも侵入して居るでしょうネ。
コミヤマカタバミはミヤマカタバミの小型なのですネ。
太陽が射さないと咲かないのはスプリングエフェメラルの特徴でもありますネ。
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ran1005さん こんばんは (shu)
2024-05-30 19:15:03
コメントありがとうございます。
クマは昔から尾瀬にいるようです。最近山ノ鼻周辺に出没することが多く、ビジターセンターではハイカーに注意を呼びかけています。
シカは昔はいなかったようです。日光方面から移動してきて、ミツガシワ、ニッッコウキスゲ、ミズバショウなどが被害を受けています。
私も尾瀬ヶ原で何度かシカを観ています。クマについては早朝に木道の上で真新しい落とし物を観たことがあります。

尾瀬での侵入植物は沢山あります。セイヨウタンポポはよく見かけますし、オオバコ、シロツメグサなども見かけます。

コミヤマカタバミは深山の針葉樹林内に群生します。花期が6~8月なのと小葉の角が丸いことから、ミヤマカタバミやカントウミヤマカタバミ(関東地方南西部、伊豆半島、東海地方に分布)と区別できます。
今回観たものは葉の形からコミヤマカタバミとしましたが、下記がずれているのが気がかりです。ミヤマカタバミかもしれません。

参考記事を添付します。
https://yasousanpo.sakuraweb.com/menu/ma/miyamakatabami.html
http://www.yam1.thyme.jp/folder2/ka/komiyamakatabami.html
https://blog.goo.ne.jp/shu2702/e/4ad3d0271ad3e5a22fbc4232da5de97a
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