「卵と小麦粉それからマドレーヌ」の続編。
小学校時代にいじめにあい別居中の父親の言葉を支えにそれを乗り切り、その後大人びた文学少女になった高1の川田亜矢を主人公に、北村菜穂ら友人たちとの関係、2人暮らしの母との関係を描きながら、再会した小学校の同級生との恋をめぐりいじめの過去と向き合う亜矢の心を描いています。
パパっ子だった亜矢の母親との関係はなかなか難しいものがありますが、時に喧嘩しつつも次第に母親を好きになっていく様子が気持ちよく読めます。同時に別居後も月1回続けているパパとのデートを通じての別居した父親との心の交流も好感が持てます。そしていじめが始まる前に転校していった同級生との再会と淡い恋、しかし、そのために度々いじめられた過去を思い出さざるを得ない亜矢の辛さも巧妙に位置づけられ、それと向きあい成長していく亜矢の様子にすがすがしさを感じられます。
亜矢を主人公にしたことで前作より重いテーマが描かれているのですが、やはり悲劇的にならずにさらりと読めました。
文章は、前作から6年経ったせいか、話者を入れ替えたのにあわせたのか、前作より少しシャープな感じがしました。前作の文章の方が私の好みですが。

石井睦美 ピュアフル文庫 2007年11月18日発行
小学校時代にいじめにあい別居中の父親の言葉を支えにそれを乗り切り、その後大人びた文学少女になった高1の川田亜矢を主人公に、北村菜穂ら友人たちとの関係、2人暮らしの母との関係を描きながら、再会した小学校の同級生との恋をめぐりいじめの過去と向き合う亜矢の心を描いています。
パパっ子だった亜矢の母親との関係はなかなか難しいものがありますが、時に喧嘩しつつも次第に母親を好きになっていく様子が気持ちよく読めます。同時に別居後も月1回続けているパパとのデートを通じての別居した父親との心の交流も好感が持てます。そしていじめが始まる前に転校していった同級生との再会と淡い恋、しかし、そのために度々いじめられた過去を思い出さざるを得ない亜矢の辛さも巧妙に位置づけられ、それと向きあい成長していく亜矢の様子にすがすがしさを感じられます。
亜矢を主人公にしたことで前作より重いテーマが描かれているのですが、やはり悲劇的にならずにさらりと読めました。
文章は、前作から6年経ったせいか、話者を入れ替えたのにあわせたのか、前作より少しシャープな感じがしました。前作の文章の方が私の好みですが。

石井睦美 ピュアフル文庫 2007年11月18日発行