旗本夫人で息子が大奥との連絡等の事務を行う役人だった井関隆子が幕末近い天保年間の5年間にわたって書いていた日記を紹介した本。
江戸時代の風俗や習慣が描かれていて興味深く読めますが、あくまでも幕府の役人の家庭からの視点ですので、一般庶民にとってはたぶん違う感じなんだろうなとも思えます。
水野忠邦の「天保の改革」についてはかなり批判的で、その点も興味深い。忠邦は「世間には節約するようにと、厳しいお触れを出して、これも将軍家のためであるといいながら、自分自身は領地を増やしてもらっている。また、世には厳しく禁止されている賄賂なども、水野殿自身は、何事につけても、受け取っている。そういう人物である」(136~137頁)とか。それじゃあ改革も失敗するわなと納得します。
この天保の改革関係と江戸城大奥の火事(192~205頁)あたりが読ませどころでしょうか。
新書ですから、まぁ当然とも言えますが、新たな研究発表ではなくて二十数年前に書かれた本の要約・焼き直しのようです。そのためか同じことが何度も出てきたり、本文と最後のまとめ的な部分に対応のズレがあったりして、ちょっと気になりました。

深沢秋男 文春新書 2007年11月20日発行
江戸時代の風俗や習慣が描かれていて興味深く読めますが、あくまでも幕府の役人の家庭からの視点ですので、一般庶民にとってはたぶん違う感じなんだろうなとも思えます。
水野忠邦の「天保の改革」についてはかなり批判的で、その点も興味深い。忠邦は「世間には節約するようにと、厳しいお触れを出して、これも将軍家のためであるといいながら、自分自身は領地を増やしてもらっている。また、世には厳しく禁止されている賄賂なども、水野殿自身は、何事につけても、受け取っている。そういう人物である」(136~137頁)とか。それじゃあ改革も失敗するわなと納得します。
この天保の改革関係と江戸城大奥の火事(192~205頁)あたりが読ませどころでしょうか。
新書ですから、まぁ当然とも言えますが、新たな研究発表ではなくて二十数年前に書かれた本の要約・焼き直しのようです。そのためか同じことが何度も出てきたり、本文と最後のまとめ的な部分に対応のズレがあったりして、ちょっと気になりました。

深沢秋男 文春新書 2007年11月20日発行