政界エリートの血筋と温厚な人柄と高い支持率に恵まれた安倍政権がスキャンダルまみれになり支持が急落して参院選で歴史的惨敗を喫する経緯についてのレポート。
お友達内閣と揶揄された露骨な論功行賞・側近重用人事の結果、官邸に配置された人材が経験・能力・行動パターン(他人への目配り)において適切ではなく、しかも意思疎通・情報交換が不十分で十分な準備と覚悟なく地位につき事に当たったことから対応に失敗していったということが、繰り返し語られています。
政治家として修羅場をくぐる必要もなくその経験も少ないエリートが若くして上りつめたために「お友達」に十分な人材がいなかったということでもあるのでしょうか。しかし、トップの若さという観点でいえば、日本でこそ安倍首相は若くして就任したと言えますが、欧米では40代のトップが珍しくもないわけで、本当はトップが若くてもうまく回るようなスタッフを確保するシステムが大事なのだと思います。お友達を押し込むのではダメなことは明らかですが、派閥の長老の意見に従えばよかったのかというとそれもまた困ったものですし。
極端な国家主義指向と強行採決を繰り返した反民主主義的な姿勢から安倍首相には反感しか感じませんでしたから、その政治姿勢や手法で崩壊するというストーリーなら自業自得・当然と思いますが、スタッフの人材不足・意思疎通の欠落・対応のまずさで沈んでいくというストーリーを読まされると、これでいいのかなあということの方を考えさせられました。

上杉隆 新潮社 2007年8月25日発行
お友達内閣と揶揄された露骨な論功行賞・側近重用人事の結果、官邸に配置された人材が経験・能力・行動パターン(他人への目配り)において適切ではなく、しかも意思疎通・情報交換が不十分で十分な準備と覚悟なく地位につき事に当たったことから対応に失敗していったということが、繰り返し語られています。
政治家として修羅場をくぐる必要もなくその経験も少ないエリートが若くして上りつめたために「お友達」に十分な人材がいなかったということでもあるのでしょうか。しかし、トップの若さという観点でいえば、日本でこそ安倍首相は若くして就任したと言えますが、欧米では40代のトップが珍しくもないわけで、本当はトップが若くてもうまく回るようなスタッフを確保するシステムが大事なのだと思います。お友達を押し込むのではダメなことは明らかですが、派閥の長老の意見に従えばよかったのかというとそれもまた困ったものですし。
極端な国家主義指向と強行採決を繰り返した反民主主義的な姿勢から安倍首相には反感しか感じませんでしたから、その政治姿勢や手法で崩壊するというストーリーなら自業自得・当然と思いますが、スタッフの人材不足・意思疎通の欠落・対応のまずさで沈んでいくというストーリーを読まされると、これでいいのかなあということの方を考えさせられました。

上杉隆 新潮社 2007年8月25日発行