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伊東良徳の超乱読読書日記

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狼たちの月

2008-01-24 20:31:11 | 小説
 スペイン内戦で敗走し山間部に逃れて落ちのびた共和派戦士たちのその後を描いた小説。
 フランコ政権下で治安警備隊に追われ、次第に仲間を失いながら、勝利の展望もなく投降したら殺されるので闘い続けるしかないという思いで抵抗を続ける戦士たちの日々が書き連ねられています。
 敵治安部隊に対する積極的な攻撃はせず/できず、戦闘は仲間を売った者への報復か、治安部隊の攻撃を受けたときの反撃だけ。日常的には無抵抗の市民を銃で脅しつけて食料や物資を奪う山賊のような日々。支持者も、匿う家族や知人もいるが、それも治安部隊の弾圧で消耗し続けて殺害されたりもう協力できないと言い渡されたりしていきます。
 勝利の展望も未来への希望もなく、大義のためのはずが市民から略奪を続けることで生きながらえ、家族や支持者にも多大な犠牲を強いて生きのびる戦士たちの姿はあまりにも哀れでむなしい。一体何のために闘争/逃走を続けているのかと問いかけざるを得ません。そのことで、正義とは大義とは何か、戦争とは何かを考えざるを得ないのですが、それにしても、正義を掲げて闘う側をここまで報われない救われない描き方をされるのにはちょっと読んでいてあんまりだなと思いました。
 文章は詩的な言い回しが多く、翻訳も苦労した様子ですが、日本語としてはスッと落ちない表現が多く、読みづらく思えました。


原題:LUNA DE LOBOS
フリオ・リャマサーレス 訳:木村榮一
ヴィレッジブックス 2007年12月15日発行 (原書は1985年)
コメント
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