NHK Eテレの子ども向け番組「昔話法廷」の「桃太郎裁判」を出版したもの。
桃太郎が「鬼退治」を強盗殺人として起訴されて裁判員裁判で審理され、殺された鬼の妻、おばあさん、犬が証人として尋問され、被告人桃太郎の尋問があり、裁判員が評議するという展開を見せます。
「何がなんでも長編小説が書きたい!」(2022年3月2日の記事で紹介)で「桃太郎」はテーマも登場人物の役割もろくに考えられていないし、桃太郎が鬼退治をした動機もわからないと批判されていたことからしても、刑事裁判では、桃太郎の動機を明らかにするため、補充する必要があったとは思います。しかし、それにしても、ここで語られる桃太郎の動機は、いくら何でも作りすぎに思えます。「昔話の登場人物が現代の法廷で裁かれる」(表紙見返しと扉にそう書かれています)というのに、桃太郎のお話から想定される範囲を大きく逸脱しては、すでに昔話の桃太郎を裁いているとは言えないんじゃないでしょうか。
次々と証人が新たな事実を証言し、反対尋問で別の面が暴かれたりして、さまざまなことを考える必要があることを示すという試み自体は、裁判だけじゃなくてあらゆることを通じて考える力と安易な決めつけをしない姿勢を育てることに通じて、いいことだと思います。しかし、「昔話法廷」と名乗る以上は、昔話の内容と登場人物のキャラクターは維持した上で多面的に論じる姿勢を持って欲しいと思います。

NHK Eテレ「昔話法廷」制作班編 金の星社 2021年11月発行
桃太郎が「鬼退治」を強盗殺人として起訴されて裁判員裁判で審理され、殺された鬼の妻、おばあさん、犬が証人として尋問され、被告人桃太郎の尋問があり、裁判員が評議するという展開を見せます。
「何がなんでも長編小説が書きたい!」(2022年3月2日の記事で紹介)で「桃太郎」はテーマも登場人物の役割もろくに考えられていないし、桃太郎が鬼退治をした動機もわからないと批判されていたことからしても、刑事裁判では、桃太郎の動機を明らかにするため、補充する必要があったとは思います。しかし、それにしても、ここで語られる桃太郎の動機は、いくら何でも作りすぎに思えます。「昔話の登場人物が現代の法廷で裁かれる」(表紙見返しと扉にそう書かれています)というのに、桃太郎のお話から想定される範囲を大きく逸脱しては、すでに昔話の桃太郎を裁いているとは言えないんじゃないでしょうか。
次々と証人が新たな事実を証言し、反対尋問で別の面が暴かれたりして、さまざまなことを考える必要があることを示すという試み自体は、裁判だけじゃなくてあらゆることを通じて考える力と安易な決めつけをしない姿勢を育てることに通じて、いいことだと思います。しかし、「昔話法廷」と名乗る以上は、昔話の内容と登場人物のキャラクターは維持した上で多面的に論じる姿勢を持って欲しいと思います。

NHK Eテレ「昔話法廷」制作班編 金の星社 2021年11月発行