1年間に作品講評する受講者(要するに受講者中長編小説の原稿を仕上げた人)が35、6人、新人賞の予選を通過するのが毎年20~30人(12~13ページ)という小説講座を開講する著者が、長編小説が書けない、行き詰まる原因を指摘し、叱咤する本。
登場人物の設定について、あれが決まってないのはこれを考えていないからという指摘がわんさかあります。登場人物の住所が番地や部屋番号まで決まっていなければ「それは、あなたがその登場人物の収入と金銭管理能力と生活哲学を把握していないからです」(118ページ)とか…登場人物のキャラ設定を作り込むことの重要性や、キャラ設定を作り込むことで人物が動いていって書きやすいというのはわかりますが、そこにそこまでの労力を注ぎ込むことが得策なのか、そこで止まってしまうリスクをどう考えるのか。
「主人公を女子大生にしてしまう失敗。これはけっこうあります。中高年男性の著者が、たいした思い入れもなく主人公を女子大生にするケースは、とてもよくみかけます」(193~194ページ)って。私も中高年男性で、自分のサイトに掲載しているラブコメ仕立ての解雇事件解説小説「その解雇、無効です!」の主人公(視点者、語り手)は、女子大生ではないものの20代後半の女性です。解雇事件の得意なベテラン弁護士のスキルを説明するのにベテラン弁護士自身が説明したら読者にわからないので、新人弁護士の目から見て語らせるため、年齢は若く設定し、ラブコメにするために異性でないと(と言ったらLGBTに配慮がないとか言われかねませんか…)ということで20代後半の女性にしたのですが…
「桃太郎」はテーマから何からほとんど考えられていない、それに引き換え「カチカチ山」はテーマも登場人物の役割や設定も明確でわかりやすいということと、あれがダメ、これがダメという怒られている印象が残り、他方でこうやれば書ける!という希望が今ひとつ持ちにくいように思いました。

鈴木輝一郎 河出書房新社 2021年11月30日発行
登場人物の設定について、あれが決まってないのはこれを考えていないからという指摘がわんさかあります。登場人物の住所が番地や部屋番号まで決まっていなければ「それは、あなたがその登場人物の収入と金銭管理能力と生活哲学を把握していないからです」(118ページ)とか…登場人物のキャラ設定を作り込むことの重要性や、キャラ設定を作り込むことで人物が動いていって書きやすいというのはわかりますが、そこにそこまでの労力を注ぎ込むことが得策なのか、そこで止まってしまうリスクをどう考えるのか。
「主人公を女子大生にしてしまう失敗。これはけっこうあります。中高年男性の著者が、たいした思い入れもなく主人公を女子大生にするケースは、とてもよくみかけます」(193~194ページ)って。私も中高年男性で、自分のサイトに掲載しているラブコメ仕立ての解雇事件解説小説「その解雇、無効です!」の主人公(視点者、語り手)は、女子大生ではないものの20代後半の女性です。解雇事件の得意なベテラン弁護士のスキルを説明するのにベテラン弁護士自身が説明したら読者にわからないので、新人弁護士の目から見て語らせるため、年齢は若く設定し、ラブコメにするために異性でないと(と言ったらLGBTに配慮がないとか言われかねませんか…)ということで20代後半の女性にしたのですが…
「桃太郎」はテーマから何からほとんど考えられていない、それに引き換え「カチカチ山」はテーマも登場人物の役割や設定も明確でわかりやすいということと、あれがダメ、これがダメという怒られている印象が残り、他方でこうやれば書ける!という希望が今ひとつ持ちにくいように思いました。

鈴木輝一郎 河出書房新社 2021年11月30日発行