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伊東良徳の超乱読読書日記

はてなブログに引っ越しました→https://shomin-law.hatenablog.com/

究極の速読法

2009-04-30 22:02:54 | 実用書・ビジネス書
 著者の開発した速読法「リーディングハニー」の解説本。
 この速読法のポイントは、要するに旅行をするなら下見をしようということです。後書きや解説、著者紹介と目次から何についてのどのような構成の本かを把握する、最初から最後までパラパラと眺める(1ページ1秒見当)ことでどんな言葉が使われているか、どんなキーワードがあるかを把握し、1ページ2、3秒程度の流し読みで全体の構成や大方何が書かれているかを把握し、その後自由に速く読むという流れです。順番にその本に慣れていき次第に何が書かれているかを把握していき、それが把握できればかなり速いスピードで読めるし、内容を理解できるということです。理屈としては理解できます。
 しかし、小説、特に推理小説、ミステリーでは絶対にやりたくない方法ですし、本格的に読む前に飽きてしまいそうです。取っつきにくくて、そういうやり方でもしないと読めそうにない本にはそうしたいと思いますが。少なくとも読書に楽しみを求める人には向いていないと思います。まぁ、著者が最初に書いているように、読書が苦痛だと思っている人に苦痛をなくすためということですから、その前提で読むべきでしょうね。


松崎久純 研究社 2009年4月3日発行
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ロースクール生と学ぶ 法ってどんなもの?

2009-04-30 21:27:32 | 人文・社会科学系
 ロースクール生が友人や兄弟などから相談を受けて法律問題を論じたり説明する体裁で、身近な法律問題を元に子ども向けに法律の考え方を解説した本。
 いじめ、校則、文化祭と著作権や周辺住民とのトラブル、賃貸借契約、未成年の契約、店の商品を破損したときの弁償(不法行為)、未成年の結婚、刑事事件、未成年の飲酒・喫煙と参政権を取りあげています。
 ロースクール生が周囲の人から法律相談を受ける体裁で、たぶん現実にロースクール生だというだけで法律に詳しいと見られて周囲の人の相談を受けているのでしょうけど、仕事がらちょっと不安を感じます。天然パーマの子どもが「ちりりん」というあだ名を付けられたという素材で「言葉によるいじめがその子にとってトラウマになってしまったような場合には損害賠償が認められる可能性は十分あると思うよ」(10ページ)って、私にはかなり大胆に思えます。後日弁護士になってそういう依頼を積極的に受けてそういう判決を自ら勝ち取っていただきたいですね。目的と手段の相当性を何度も論じながら「たとえば人をぶん殴ったり、万引き、恐喝、飲酒・喫煙、援助交際などをしたりしたら、それらは学校の決まり以前に法律で禁じられていることだから、停学・退学処分をしても不当とはいえないだろうね。」「そうだね。そんな重いことをやっちゃったら退学させられてもやり過ぎとは言えないと思うよ」(36ページ)というのも、ちょっとビックリします。喧嘩や飲酒・喫煙でその程度を問わず一発退学にしてよいというのでは、それまでやってきて手段の相当性の議論は何だったのかなと思いますし、現実問題としてもかなり不当な場合が出てくると思います。このあたりも、実務経験・実務感覚のないロースクール生が法律相談物を書いてしまう怖さを感じます。
 エピローグで法律解釈や法律の考え方には様々な視点が必要で一概には言えないということが書かれていて、ここはいい読み物になっていると思います。しかし、本文の具体例を読んだ読者が、エピローグとあわせ読んで本文の書きすぎを感じ取り修正してくれることを期待するのは、たぶん無理だと思います。


東大大村ゼミ著 岩波ジュニア新書 2009年3月19日発行
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