■ 価値観の多様化の時代というが
「価値観の多様化の時代、多様性を受け入れて組織を活性化させましょう」 聞こえはいいが、そう容易いことではない。価値観の多様化は、ざまざまな考えをもっている人がたくさんいるということで、見方を変えれば簡単にはわかりあえないということ。
それなのに私たちは言えばわかるでしょうばとつい簡単に考えしまっていないか。
言うだけでわかりあえるのなら、苦労はしない。言ってもわからないことがあるから悩むし、困る。ついイラっとしてしまい不用意な発言をしたり行動をとったりする。わかりあうためには、単に言うだけではない、向き合い方が必要になる。すなわち、コミュニケーションの心構えとスキル。
■ コミュニケーションはキャッチボール
コミュニケーションはキャッチボールで例えられることがある。言うだけは、投げて終わりと一緒。それも相手が取れていようが、取れてなかろうが、私は投げたから後は全て相手のせい。これではキャッチボールとは言えない。
相手が受け取りやすいところに投げて、相手からも返してもらわなければいけない。受け取れない剛速球や相手がまだ想定できない変化球では受け取れない。
相手が別の方向を向いているときに投げてぶつける。または、ボール自体が泥だらけだと相手は嫌がるし、ボールにトゲがあってケガをさせてしまうようならその後は、キャッチボール相手にはなってくれない。
逆に、相手が投げてくるボールをまったく取ろうともいない、無視する。
キャッチボールの成立しない例をあげてみたが、コミュニケーションで、似たようなことはないだろうか。
見た目と違い相手は自分と同じ程度の理解度や能力のもち主ではないかもしれない。小さな子どももいれば、遠投ができなくなってきている高齢者もいる。サッカーの経験あるが、そもそも野球の経験がない者、言葉自体があまり理解できない者等々、一人ひとり違う。体調によって普段と違うときもある。
■ 声のかけを少し変えてみるところから
すぐにはできなかったり、違ったりするからこそ、最初は優しいボールから投げて、お互いの力加減がわかってくれば、少しずつボールを強く投げたり、変化させたりする。相手の投げるクセやボールの強さ、変化、タイミングなどを確認する。
現場のコミュニケーションでも同じようにしてみては。 そのために一歩踏み出してみよう。あまり話をしない人に声をかけてみる。リアクションを大きめにとってみる。ふーんといつもなら流していた話になんとか質問や感想を返してみる。