眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

piano

2006-05-03 | 
真夏の昼下がり
街角の二階の喫茶店は
遠い景色のような静けさで

部屋の中は薄暗く
珈琲の黒の中
瓶のランプの灯がゆらめいている

ふせる長い睫
ガラス細工みたいな唇を
憧れと
恐れの濃い影に染め上げ
ただ黙って みつめている

   一体いつからこうしているのだろう?
   月も日もなかった

少女は
金の縁の黒い表紙を開く様に
不思議な不安を
笑いもせず
淡々と話し
何処かで木々のざわめきが聞こえる
ここは草原だったろうか

この瞬間が
もしも夢ならば
壁の絵の中で
魚の影が動き出したりはしないか
鈴の音色が
深い記憶を呼び覚ましはしないか

   乾いた視線は
   ふと窓の外をただよい
   ひかえめな音でピアノが流れている




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする