血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年 ダービー

2013-06-06 19:30:54 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたダービーの上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。

キズナ(ディープインパクト×キャットクイル-Storm Cat)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231960

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:38点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Northern Dancer5×4の中間断絶クロス。その中のAlmahmoud5×7・6で実質的に血統をリードしている。決して明瞭とは言い難いものの、ひとまずNorthern Dancerに血が集合している事と、血統全体でGainsboroughの流れが強く、父母から継続しその維持が出来たのは大きなセールスポイントで、仕上がった際には非常に迫力のある内容だと言う事ができるだろう。また、血統全体の結合力は、やや間接結合に頼る部分はあるものの、ひとまず完了しているのも見て取ることができる。更に生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピードは主導たるAlmahmoudを中核に、Pharamond(=Sickle)。スタミナは更に強靭で、Aurora~Hyperion・Donatello・Somethingroyal~Princequilloと隙が少ない。惜しむらくは父の決め手の源となったTurn-toや、スタミナを支えたCourt Martialの欠落だが、全体的には非常に良くできた血統構成。是非、無事な開花を望みたい。

エピファネイア(シンボリクリスエス×シーザリオ-スペシャルウィーク)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233298

主:8 結:5 土:2 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導はHail to Reason4・7×5・6の系列クロス。父母内(Ⅱブロック)は位置の関係で若干動き出しがおそいものの、血統の4ブロック全てに存在し全体を強力にリードしている。反面、結合力は全体としては悪くは無いものの、父方6代目Gold Bridgeが完全に離反している点は非常に気になる点で、ここが当馬の血統構成を考える上で、限界点だと言えるだろうか。しかしながら、世代ズレを抱えたバランスの悪い配合であった、父シンボリクリスエスの配合として、その補正に成功したのは大きなセールスポイントで、国内向きのスピードは、母の主導であるAlmahmoudこそ欠落するものの非常に豊かな配合で、自在性のあるマイル~中距離馬だと言えるだろう。

アポロソニック(Big Brown×Purely Surprized-Pure Prize)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234975

主:5 結:6 土:2 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:3 ST:3
合計:31点 クラス:2B 芝:9~11F ダ:8~10F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め
芝適性:□ 砂適性:○ 重馬場適性:□
距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導はNashua7×5・7・7の系列クロス。次いで、Bold Ruler6×6で全体をリードしている。この両者は、血統内において9連存在する、その父Nasrullahによって強固に結合する。従ってかなり強力な主導に見えるが、当馬の血統においては、Northern Dancer4・4×5・6やPrincequillo6・7×6・7の中間断絶クロスや、Sword Dancer5・6×7の単一クロスの影響も強く、決して明瞭であるとは言い難い状態で、惜しまれる点ではある。ただし、複雑な血統構成をしながら、非常に優秀であった、父Big Brown(1A級)のキーホースをおさえたのは幸いで、本質的にはダート向きの血統構成ではあるものの、仕上がった際にはなかなかに迫力がある血統構成だと言えるだろう。
 また、全体的にスタミナ優位の血統構成で、ペース次第では距離延長への適性を秘めている事を指摘しておきたい。

テイエムイナズマ(ブラックタイド×クラスター-Danzig)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233192
主:6 結:5 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:7~9F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

主導は、Northern Dancer5×3の中間断絶クロス。その中の、Nearco7・7・9×5・6・7およびAlmahmoud5・7×5で実質的に血統をリードしている。この影響の強い両者によって、BMSのDanzigを圧倒的に強調し、血を集合させたのが、当馬の血統構成において、最大の長所であると言える。また、生かされたスピード勢力はかなり強靭で、その結合も自身の土台構造を形成するPharos(=Fairway)~PhalarisやGainsboroughを核として、上手く結合させ連動させているのが見て取ることができる。
 惜しむらくは、圧倒的にスピード優位の配合で、血統前面でスタミナを供給するのが、Bull Lea7×6、Feola7×6、Princequillo7×5と最低限そろっているものの、本質的にはマイラーの内容だと言える。父であるブラックタイド(=ディープインパクト)の産駒としては珍しい内容だと言えるが、スピードという個性を上手く引き出したのは、当馬にとって幸いで評価に値する部分だと言えるだろうか。

コディーノ(キングカメハメハ×ハッピーパス-サンデーサイレンス)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=232411

主:7 結:6 土:2 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:□ 距離延長適性:□

 主導はAlmahmoud7・7×5の系列クロス。キングカメハメハ産駒にありがちなNorthern Dancerクロスは無く、同父産駒としてはシンプルな形態を形成しているのが最大の長所。また、6代目以内に生じたクロスとはGainsboroughを核として結合し、かなり強固な状態だと言え、影響度バランスも良好な為、安定感のある血統構成。反面、土台構造はかなり散漫で、血統の字面ほどの成長力は期待しづらいとも言えるだろう。それでも、国内向きのスピードの血はかなり豊富で、最低限のスタミナを確保している為、12Fを自力で克服するのは難しいだろうが、10F前後でなら自力勝負は十分可能。主導の明確性と結合の強さから考えて、決め手のある早期有利な国内向きの中距離馬だと言えるだろう。


 今回の血統徒然草は、先日行われたダービーにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。


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