血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

スマートファルコン(川崎記念)

2012-01-26 14:52:42 | 2012年GⅠ勝ち馬
スマートファルコン(ゴールドアリュール×ケイシュウハーブ-ミシシッピアン)牡・05生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=200629

主:5 結:6 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:31点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は、Royal Charger6×5の系列クロス。その父Nearcoを血統の4ブロックに散在させ強力に血統をリードしているのを見て取ることができる。しかしながら、Vaguely Noble5×3が中間断絶であるものの、スマートファルコンの血統内においては、かなり影響が強くなったのはマイナスで(Nearcoで強固に結合したのは幸いだと言える)、更にPharamond・Mahmoud・Sir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drake等、系統が異なるクロスも同程度の影響を行使するクロスも存在するのは明らかに主導の明確性においてマイナスだと考えられる。したがって、決して良好であるとは言い難い。

○ 結合   (6)

 主導たるRoyal Chargerと、6代目に存在するクロスであるNative Dancer・PharamondはPhalaris・Chaucerで、Vaguely NobleはNearcoで、Mahmoud・HyperionはGainsborough・Chaucerで、Bull Dog・Admiral DrakeはSpearmintで結合を完了している。また、主導の明確性を乱しているVaguely NobleがGainsborough系、Blandford系、Pharos(=Fairway)系を参加に収めているため、結合の面においてはプラスに作用しているのが見て取ることができる。7代目以降は多少雑多なクロスを生じているが、総合的にはかなり良好であると考えられる。

○ 土台   (3)

 Gainsboroughが17ヶで形成。比較的良好で悪くはないレベルだと言える。また、Phalarisが14ヶでサポートしたのも幸いして、決して良好であるとは言い難いが、平均からやや良いと言える内容となっている。

○ 弱点   (3)

 母方Bella内に弱点を派生させているが、9代目において主導勢力であるPolymelusをクロスしたのは幸いだと言える。全体的に大きな欠陥は生じてはいないが、かろうじて…という部分が多く存在するのは確かで、決して良好であるとは言い難い。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(3-4-9-5)と、かなりバランスがとれてはいるが、強調された部分であるミシシッピアンには、主導たるRoyal Chargerは存在しない点が惜しまれる。ただし、安定感はある内容だと言える。

○ 質[近]  (2)

 父ゴールドアリュールの血統はやや良いといった程度だが、母方ケイシュウハーブ、ミシシッピアン、キョウエイシラユキと見た目の血統構成よりも、はるかに良好だと言える。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるRoyal Chargerの血の質は決して良好とは言い難いが、Vaguely Noble・Mahmoud・Sir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drakeと影響の強い血はかなり質が高く、完全開花した場合ある程度の底力勝負に対応可能だと言える。惜しむらくはRoyal Chargerの質の低さだろうか。

○ スピード (3)

 主導たるRoyal Chargerを中核に、Mahmoudの中距離向きのスピードを補給した配合。また、Pharamondも強い影響を持ちながら、主導と強固に結合している。したがって短~中距離向きのスピードに良さがある。全体的に見ると比較的良好だと言える。

○ スタミナ (4)

 Vaguely Nobleを中核に、Plucky Liegeを核としたSir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drakeの重厚なスタミナを補給した配合。7代目以降においては若干スタミナ優位といった程度の為、決してステイヤーと言えるレベルではないが、国内においては十分に重厚な配合だと言える。かなり良好だと考えられる。


 総合的に見ると、明らかに芝向きの配合内容で、本質的には芝の中~長距離で真価を問いたい配合内容だと言える。しかしながら本馬の場合、Sir Gallahad(=Bull Dog)等の米系の影響も強く、Mahmoud等の馬力型のクロスも多いためダートを主戦場としているものと考えられる。ただし、軽いスピードも多少なりと生きている為に、芝での走りを見たいタイプであるのは確かで、欧州の芝でも対応可能な配合内容である。重ねて言えば、主導が不明瞭かつ重厚な配合の為、非常に開花しにくいタイプであるのも確かだろう。
 総合的な評価としては、あと一押しの何かが必要だと考えられるものの、こういったタフなタイプである配合馬が、頭角を現すことは中々に珍しく、そういった観点からは貴重なサラブレッドだと言えるだろう。


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