血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

Overdose(ウーヴェルドーズ)

2010-07-25 11:32:46 | 海外馬
Overdose(Starborough×Our Poppet-ウォーニング)牡・05生

主:8 結:4 土:4 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:7~10F ダ:6~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 Overdoseの主導は、Never Bend5×5の系列クロス。その父Nasrullahを5・6・7×6・7とクロスさせ、血統全体を強力にリードしている。若干惜しまれるのは、父父ソヴィエトスター・母父ウォーニング内においてNasrullahが7代目から存在する点であるが、ソヴィエトスター内ではNearcoが6代目から影響を行使しているのは、バランスの悪さが残るものの、幸運だといえるだろうか。

 また、血統全体でNearco~Pharos(=Fairway)系が強い血統構成で、その意味でも血統全体の血の集合力は強力で、土台構造もPharos(=Fairway)が22ヶとかなり強固な状態を作り上げている。更に影響度バランスも(3-7-2-3)と抜群のバランスを示し、仕上げやすく、安定感のある血統構成だと言えるだろう。

 反面、血統全体の結合力はやや不満が残る配合で、Native Dancer6×6はSickleを通じPhalarisでかろうじて結合こそするものの、War Relic(=Speed Boat)6・8×7・7は10代目まで遡ってはじめて、Fair Playを介し間接的に結合する程である(つまり実質的に未結合状態である)。この、結合力の弱さはOverdoseの血統において最も大きな不満で、真の意味においての一流であるとは言い切れないのはこの結合力に由来する。

 しかしながら、全体的にはかなり良く出来た血統構成で、7代目以降に存在するDjebel・Donatelloの影響から、主導たるNever Bendはスタミナに良さがあるNever Bendへと能力が変換されていると考えられ(スタミナよりのバランス血統)、また結合こそ弱いもののWar Relic(=Speed Boat)・Prince Rose・Bull Leaとスタミナの血をきめ細かく押さえている。また、スピード面はTom FoolやNasrullah内のスピード要素を完全に再現し、かなり良く出来ていると考えられる。

 血統の前面においては、スピード要素が圧倒的に強い為にけっして12Fを克服できるようなタイプではないものの、内在するスタミナ要素を引き出すことが出来れば、近年のチャンピオンディスタンスである芝10Fは、ペース次第でなんとか克服可能だろう。

 スピードに良さがある血統構成ではあるものの中々に重厚な配合で、一介のマイラーでは無く、スタミナに裏打ちされたスピードを持つタイプで、国内の芝ではスピード不足のレッテルを貼られかねない血統構成である。したがって、見た目の血統構成よりもずっと良く出来た内容で、今後の活躍も引き続き期待したい。


2 コメント

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どうもありがとうございます (Mahmoud)
2010-07-30 15:13:12
私如きが見てもNever Bend~Nasrullah主導が明確でいい配合だなあと思ったのですが、スタミナレベルは良くわかりませんでした。なるほど、距離適性はオグリキャップとほぼ同等なんですね。ちなみに同じStarborough産駒のウォートルベリーが2004年エリザベス女王杯に出走していましたね。すっかり忘れていました(笑)。こちらは父と違い中長距離型(9~12F)の配合だそうです。

Overdoseは先日の復帰戦は辛勝でしたし往年の力が今後出せるか微妙ですが、休養前のパフォーマンスは強烈の一言以外ないほど優れたレースをしておりハンガリーの英雄的存在なのは頷けるところです。こういう安馬が一気にブレイクするのって競馬の醍醐味の一つだと思います。オグリキャップのような存在にはもう出会えないでしょうが、メジャーではない父、母馬からビッグホースが誕生する機会を再び目の当たりにできる日を心待ちにしたいと思います。
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こちらこそありがとうございます (taku)
2010-07-31 21:18:30
 Mahmoudさん

 こちらこそ、いつもありがとうございます。ここは本当に辺境のブログですから(笑)

 そういえば、確かに2004年に同じStarborough産駒のウォートルベリーが出走してましたね。

 ウォートルベリーの場合は、前面に多種のクロスを作成したためにOverdoseよりも主導面での評価が下がると思います。

 反面、Northern Dancer4×5(Hyperion・Nearcoが強く、よりスタミナタイプに能力変換)・Alibhai8×6(Hyperionを通じNorthern Dancerと連動しスタミナを補給)・Vandale5×7(Son-in-Lawを生かしスタミナより)・Bull Dog8×6・7・7・8、更に血統の奥ではあるものの、Djebel・
Donatelloとスタミナに良さがある内容です。

 総括すると、これらが主導たるNasrullahへと良質なスタミナを補給した重厚な配合だと思います。

 サラブレッドは、血統が重要なファクターの一つだとは思います(血統派としては、最重要としたいところですが(笑))。しかしながら現在の日本競馬においては生産~育成~調教のウエイトが非常に大きく感じています。

 その意味では、オグリキャップのようなサラブレッドの、出現の確率は以前より低いと、自分も考えています。

 ただ、Mahmoudさんの仰られるように、そういったサラブレッドの出現は競馬の醍醐味でありますし、自分も心待ちにしているところであります。欲を言えば、父トウカイテイオーが希望ですが(汗)

 また、いつでもおこし下さい。心よりお待ちいたしております。
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