血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

Novellist(ノヴェリスト)

2013-08-05 17:40:00 | 海外馬
Novellist(Monsun×Night Lagoon-Lagunas)牡・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=232473

主:8 結:6 土:3 弱:3 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:37点 クラス:3B 芝:10~16F ダ:9~12F
日本適性:× 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:△ 距離延長適性:○


○ 主導   (8)

 主導は途中Alchimistが断絶するものの、Birkhahn5×5・7・8を伴うLiterat4×4の系列クロス(8代目Birkhahnは位置的に微妙だが、血統全体でBay Ronald系の流れが強く、かろうじてクロスしていると判断している)。この主導は、比較的明瞭で、極めて強力にとはいかなかったものの、当馬の血統を上手くリードしていると言えるだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるLiteratと6代目までに存在するクロスである、OlympはLiteratに含まれ、NearcoはPhalarisで、Neckar(=Naxos)~Ticino、OlympはArjaman~Heroldで、Tornadoはその父Tourbillonで、Donatelloは直接結合をしないものの、Swynfordを経由してTornadoによって主導と結合をはたしている。7代目以降においても、Teddy系などの一部の米系を除き、かなり強固に結合をはたしている。かなり優秀だと考えて差し支えないだろう。

○ 土台   (3)

 土台構造は、Heroldが13ヶで形成している。決して強固とは言えないが、Phalarisが8ヶでサポートしている点と、Heroldが5代目を基準とした各ブロックにほぼ存在する点を考えると平均点にはあるか。

○ 弱点   (3)

 母方、Flaming Page及びWindy Answerに弱点を発生させている。比較的影響の弱い部分であるのは幸いだが、決して無視できるものでもない。当馬の血統構成を考えるに、非常に惜しまれる点であると言える。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(10-7-6-2)と決して良好とは言えない。出来ることなら父父方の影響をもう少しおさえた形が望ましかったか。やや安定感に欠ける血統構成だと考えられる。

○ 質[近]  (3)

 父母の血統構成は比較的優秀だと考えてよい。底力勝負可能な血統構成。惜しむらくは母方より父方が優秀な点だが、総合的には優秀な部類に入ると言えるだろう。

○ 質[遠]  (4)

 主導たる、Literatをはじめとして、優秀な独血統のクロスで血統を構築。前述の質[近]とあわせ、かなり優秀な血統構成である。完全開花した際には、自ら競馬を作れる内容だと考えられる。

○ スピード (3)

 Nearcoを中核にした配合。若干スピードが不足気味だと考えられるが、7代目以降においてRelic等が隠し味的にスピードを補給している。引き出しに苦労すると考えられるタイプで、鍛錬が必要以上に大切な血統構成であると言える。Mahmoud及びBlue Peterの欠落が惜しまれる。

○ スタミナ (5)

 Hyperion及びTourbillon・Donatelloを中核にした配合。それぞれが主導たるLiteratへと質が高く、非常に強靭なスタミナを確実に補給しているのが見て取れる。本来、主導たるLiteratはバランス型の血統構成であるが、前述したスタミナ勢力のアシストも受けている為に、スタミナ型へと能力変換をおこしていると考えて良い。近年まれに見るレベルで、ステイヤーといって差し支えないレベルで、本領発揮は12F以上必要だと考えられるか。


 総合的に見ると、質の高いスタミナを血統の背骨に全体の骨格を構成しており、古きよきステイヤーのたたずまいを見せている。若干、スピードに欠ける点が惜しまれるが、重厚なスタミナは、その弱点を補って余りある内容である。
 惜しむらくは、弱点を2ヶ所抱えた事で、この部分さえ無ければもうワンランク上の評価もありえただけに、重ねて惜しまれる点だと言える。更に、影響度バランスや土台構造なども鑑みると、安定感には劣る可能性は指摘しておきたい。爆発力はあるが、不可解な敗戦を喫するタイプであるとも言える。
 それでも、スタミナという質実剛健な武器をしっかりと確保した内容で、近年珍しいステイヤーだと言えるだろうか。
 それだけに、仮に国内でデビューした場合、勝ち上がりにすら苦労する血統構成であるのは確かで、ここまでの成績を収めるに至った、関係者の方々の努力にささやかながら敬意を表したいと思います。


2 コメント

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ありがとうございます! (Mahmoud)
2013-08-06 22:52:47
母母方のNarola以降の馬を10頭近く新規作成してNovellistの血統表が出来上がったのですが、その過程でドイツ系が色濃いのを感じていましたので、「これは良配合かもしれん」というワクワクした気持ちで9代血統表を見るのを心待ちにしていました。

まあ乱暴な言い方をすればLandoを1代分、世代後退させた感じですが、こちらはBirkhahnがクロスしHeroldが4ブロックでしっかりクロスしているので、よりドイツ血統馬らしい雰囲気がありますね。日本ではこんな土着の馬が主導勢力になるのなんか全く考えられないわけで、うらやましい限りの配合馬だと思います。

その内blogでも触れる予定ですが、先日のキングジョージの勝ちタイムは日本式の2400m戦の換算タイムなら2分22秒台という、相当速いモノでありました。それだけを捉えるとスピード豊かな馬に思えてしまいますが、アスコット競馬場の高低を考えると、概ね1F12秒を僅かに切るようなペースで走り、Novellistのみスパートでガッツリ反応できたレースだったとみて間違いないでしょう。重厚なスタミナに裏打ちされた大レコードと言えるかと思います。

こんなベクトルを持った馬の代表格ならナリタブライアンだと感じます。もっとも、この手の馬はロンシャンだとちょっと割り引いて考えるのが基本スタンスだとは思いますが、さて・・・。
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遅くなってすいませんでした (taku)
2013-08-09 18:53:58
>Mahmoudさん

 コメントありがとうございます。コメント返し、遅くなってすいません(^^;

 当馬の血統構成は、バランス型の血統を主導勢力に、英仏の重厚なスタミナを惜しみなく注入した配合だと思います。文面にもあるように、スピードが不足気味で国内においては、勝ちあがり自体が難しいタイプで、こういう血統構成をトップに持っていける、欧州系馬の懐の深さのようなものを感じる所であります(^^

>まあ乱暴な言い方をすればLandoを1代分、世代後退させた感じですが、こちらはBirkhahnがクロスしHeroldが4ブロックでしっかりクロスしているので、よりドイツ血統馬らしい雰囲気がありますね。日本ではこんな土着の馬が主導勢力になるのなんか全く考えられないわけで、うらやましい限りの配合馬だと思います。

 まったく、Mahmoudさんの仰るとおりだと思います。血統のブログなんかを書いて他国の配合馬を見ていると、国内における血統の不連続性が、くやしく思う事が多々あります。国内で強いNasrullahとHyperionを上手く活用した、トウショウボーイの系列クロスなんか見てみたかったなぁと、考えたりもします。

>その内blogでも触れる予定ですが、先日のキングジョージの勝ちタイムは日本式の2400m戦の換算タイムなら2分22秒台という、相当速いモノでありました。それだけを捉えるとスピード豊かな馬に思えてしまいますが、アスコット競馬場の高低を考えると、概ね1F12秒を僅かに切るようなペースで走り、Novellistのみスパートでガッツリ反応できたレースだったとみて間違いないでしょう。重厚なスタミナに裏打ちされた大レコードと言えるかと思います。

 Mahmoudさんのキングジョージの考察を楽しみにしております。血統面からは、自身のストロングポイントを十二分に生かしたのかと思いますが、ラップ面からの考察で、どのように捉えられるのか、いまからワクワクしております(^^
 で、ロンシャンでの凱旋門賞ですが、アスコットよりスピードを要求されるとなると、若干厳しいかも知れませんね。本当の意味で緩み無い流れであれば、当馬の優位は揺るぎないかもしれませんが、こればかりはゲートを出るまでは水物ですからね(^^;

 今回は有意義な診断依頼いただきましてありがとうございました、楽しんでできました(^^
 今後とも、よろしくおねがいもうしあげます(^^
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