血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

トランセンド

2009-08-23 19:41:23 | 06年生
トランセンド(ワイルドラッシュ×シネマスコープ-トニービン)牡・06生

主:7 結:6 土:3 弱:6 影:1 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:7~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 トランセンドは、血統の前面において、Khaled4×5の系列クロスと、Nearctic4×6の系列クロスを作成している。そのために、一見すると主導勢力は不明瞭に見えるが、両者は父父Wild Again内において4代目に並列し、Hyperionによって5~6代目において強固に結合をはたしている(HyperionはKhaledの父、Nearcticの母の父)。したがって、両者は連合勢力だと言える(若干、Khaledが強いが)。惜しむらくは、父父内5代目においてDanteもクロスし、血の集合がやや不明瞭になった点ではあるが、血統全体を比較的強力にリードいるだろう。

○ 結合   (6)

 主導勢力である、KhaledとNearcticは前述のようにHyperionによって結合を強固に完了している(連合勢力と言えるレベルなので当たり前ではあるが)。また、6代目までに存在するクロスである、DanteはDark RonaldによってKhaled、NearcoによってNearcticと、MahmoudはGainsboroughによってKhaledおよびNearcticと、Native DancerはSeleneによってKhaledと、Phalaris~PolymelusによってNearcticと、Owen TudorはHyperionによってKhaledと、PharosによってNearcticと、Beau PereはBay RonaldによってKhaled、PolymelusによってNearcticと、それぞれ両者と結合を果たしている。惜しむらくは、Princequillo~Prince RoseはTraceryによってNearcticと直接結合を果たしているものの、KhaledとはNearcticを通じ結合を完了している点である。ただし、血統全体の連動性は強固に保たれており、7代目以降においても強固な体制を保っている。近親度の強い配合ではあるものの、非常に良好だと考えられるだろう。

○ 土台   (3)

 Gainsboroughが14ヶで形成。単一の土台構造としては世代のバランスの悪さなどもある為に不満が残るが、Pharos(=Fairway)が21ヶとサポートが非常に強力でかろうじて平均レベルにはあるか(Pharos(=Fairway)は、Khaled内には存在しない為に評価としてはあくまでもかろうじて平均レベルにある程度)。

○ 弱点   (6)

 血統全体において、これといった弱点は存在しない。非常に良く出来た血統構成で、各ブロックにおいて主導勢力が存在している。近年まれにみるレベルではあるが、近親度の強さは多少マイナスだろうか。

○ 影響   (1)

 影響度バランスは(20-2-5-5)と圧倒的に父Wild Againを強調している。そのWild Again内に主導勢力である、Khaled・Nearcticが存在し、影響の強いDante・Mahmoudも存在するのは悪くはないが、やはり全体的に見た場合、劣悪なバランスであると言わざるをえない。

○ 質[近]  (2)

 父母共に決して質の高い配合であるとは言い難いが、3代目までに配された各馬も決して質が高い配合では無い。平均レベルにはあるか。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるKhaled・Nearcticは比較的良好な配合内容である。また、影響の強いDante・Mahmoud・Princequillo~Prince Roseも質が高い内容で、底力勝負に対応可能だと考えられる。

○ スピード (4)

 Khaled・Nearcticの中距離向きのスピードを中核に、Owen Tudor・Danteからスピードを補給した配合。また、母の血統において目覚めていたNasrullah(=Rivaz)が本馬の血統内においては眠ったままであるものの、Mumtaz Mahal~The Tetrarch・Lady Josephineがしっかり能力参加しているのもプラスに作用していると考えられ、良好なレベルを保っている。

○ スタミナ (4)

 Princequillo~Prince Roseを中核にした配合。Princequillo~Prince Roseは父内Graustarkと呼応し、キーホースをしっかりとおさえている為に、スタミナの核として機能している。また、Beau Pereが6代目から影響を行使した為、両者が目覚めればある程度の距離延長にも対応可能だろう。更に、7代目以降においてもしっかりと隠し味的に、Sir Gallahad(=Bull Dog)、Son-in-Lawが生きている為に、長く脚を使えるタイプになれる可能性を秘める。


 総括すると、確かにバランスの悪さを秘める血統構成ではあるものの、主導勢力の明確さ、結合力の強固さ、生かされたスピード・スタミナ勢力の強靭さ、などひじょうに見るべき点が多い血統構成となっている。更に、世代のバランスが悪い配合である事は疑いようのない事実ではあるが、これといった世代ズレは存在しないのは脅威的であるとさえ言える。したがって、仕上げにくいタイプではあるだろうが、仕上がった際はかなりの破壊力を秘める内容であると考えられる。
 本質的には、中距離において芝・ダート兼用になりえる血統構成ではあるが、Khaledが主導である点や、前述したバランスの悪さから、ダートを主戦場としているものと考えられる。今後の活躍も期待したい。


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