つむじ風

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削減目標25%とは

2009年09月13日 09時42分35秒 | Weblog
 民主党の「温暖化ガス削減目標25%」について、神戸商工会議所の水越浩士会頭(神戸製鋼所相談役)は7日、「荒唐無稽もいいところだ」と批判し、更に「国益に反するのは間違いなく、(国内では)生産活動ができなくなる」、「この案を推進すれば生産拠点の海外移転が加速する」などとのたまわったらしい。また、新日本製鉄の三村明夫会長も「地球温暖化対策というのは、環境対策ではなく、総合的な経済政策の一環として出されるべき」などと述べている。また「他の主要排出国と歩調を合わせるべき」とも言っている。さらに、他のアメリカや中国など大量排出国が削減しなければ、排出量全体に占める割合が4.4%の日本だけが少しくらい削減しても何の影響もないという意見もある。

 「削減目標25%」は「荒唐無稽」でもなんでもない。「国益に反する」などと言っているが、ではこのまま温暖化ガスを出し続けて、他の国が海に沈むのは「国益」なのか。砂漠化や自然災害が多発して害を被るのが国益なのか。「生産拠点の海外移転が加速」することを心配しているが、海外とて温暖化ガスの削減は避けられない。地球上何処へ行っても同じ事であり、温暖化ガスを排出する道義的責任は免れない。この問題はカンペキな「環境問題」であり、無関係とは言わないが、経済問題でも政治問題でもない。それは問題のスリ替えというヤツに他ならない。「他の主要排出国」と歩調を合わせるというが、それで大幅削減が出来るのか。また、そのようなことでリーダーシップが取れるのか。リーダーシップなど、どうでも良いが、そんな話しをしているうちに、北極の氷は溶けて無くなるだろう。そもそも、出来ない算段ばかりして、出来る算段をしようとしないのが今の経済界の連中だ。大量生産、大量消費を繰り返し、資源の浪費を重ねてきた日本が言えることではないし、そのような主張をしても、誰も聞いてはくれないだろう(アメリカは聞いてくれるかも)。もし4.4%の日本が削減することで世界が動くならそれは結構なことではないか。それが「影響力」というものだ。

 確かにこの削減目標は、簡単ではない。全ての産業において従来方法の延長では、解決策は見つからないだろう。否応なしに相当のパラダイムシフトをしなければならないだろう。産業構造が一変するくらいの変化を必要とするかもしれない。しかし、そうしなければ「地球の維持」が難しくなっているのだとしたら、いくら出来ない算段をしても意味がないのである。

 民主党の削減目標25%とは、旧政権の削減目標と最終的には同じである。次のグラフを見て欲しい。アソー政権では2050年「少なくとも60%、出来れば80%くらいまで削減したい」などとやる気のない(消極的な)見解を示していたが、それを「80%」を見据えた上で2020年「25%」と言ったまでで、最終目標の80%に向かって、直線上にあることは確かだ。ただ、その実行過程で「問題を先送り」したアソー政権(赤)と、あまりに素直なハトヤマ政権(青)の違いである。

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